ポンコツ主と悪魔執事たちの現実   作:青瑠璃

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実録めいたもの

筆者がリアルで忙しい日があり、それをあくねこの日記に書いてストレス発散していた日々、なぜなのかシロにとあることを言われて救われた言葉を、ハル主に落とし込んで小説にしてみました

主の世界事情描写されてます

苦手な方閲覧非推奨

良かったら読んで下さると幸いです












応援してると言われた日(シロ)

 

「来月は、この保育園で初めての試み、別保育園との交流会を開きます」

 

 その点に関する注意すべきことを説明します……と園長先生が話し出すのを聞きながら、私は内心こう思っていた。

 

(何をするにも、初めてのことってちょっと緊張するな……)

 

 保育園同士の交流会。それは子ども同士のいい刺激にもなるだろうが、それはいつも以上に怪我や教育に気をつけなければならないということ。最近は酷暑が続いているし、熱中症にも気をつけなければならない。それに加え、交流先の保育園の先生もいるのだから、こちら側の教育方針も見られるということ……。

 

(不評になるようなことは避けないと……)

 

 私は深呼吸をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅いぞ」

 

 夜にデビルズパレスに帰ってくると、その日の担当執事であるシロが苛立った様子で出迎えてくれた。

 

「ごめん、シロ。今日の会議が長引いちゃって……」

 

 私は保育園での会議を思い出しながら謝罪する。皆、初めてのことだからか、質疑応答が多かったのだ。

 

(交流会か……)

 

 私に出来ることはなんだろう、と思いながら自分の世界から持ち込んだ会議の資料を眺めると、つかつかとシロが近づいてきた。

 

「顔色が悪いぞ。もう休め」

 

 シロもこんな冷たい言い方はするものの、気遣い上手なのは他の執事たちと変わらない。だが、私はまだ休む訳にはいかなかった。

 

「これをもう一回読んでから休むね」

 

「……フンッ、そうか」

 

 シロは口数が少ない。だが、いつもの私ならこの時間はのんびりとしているので、屋敷に帰ってもなお作業をしている私が気になるのだろう。

 

「……」

 

 チラリとシロの方を見やる。特段変わった様子はないが、私がわずかに顔を上げた音すらも気づくというのか、バッチリとシロと目が合ってしまった。

 

「なんだ」

 

 私がシロの目に見とれてしまったからだろうか。シロが問い詰めるように聞いてきた。

 

「ううん、なんでも……」ない、と言いかけて一旦言葉を切る。「しばらく、シロが担当執事でもいい?」

 

 他の執事がダメとか、集中出来ないとかではなかった。ただ何となく、これから慌ただしく変化するだろう私の仕事上、しばらくシロがそばにいて欲しい、と思ったのだ。

 

「それは構わん」

 

 素っ気ないシロの返答。私のこと、なんとも思ってないんだろな、とか意地悪な考えが浮かんでは消す。ううん、そんなことない。シロはずっと、自分の仲間を探して戦っている心優しい人なのだ。私はそれのお手伝いをしているだけ……。

 

(あれ? やっぱり、私嫌われてる……?)

 

 確かに自分のポンコツさやだらしなさを思い返すと、シロに好かれる要素が全く思いつかない。

 

 もう一度シロへ視線を投げると、自分の作業があるのか、ノートを開いて何か書き物をしている。まるで私は空気になったみたいだ。なんて詩的な考えを浮かべながら、とりあえずこれからの予定に集中しようと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからというものの、保育園の仕事は想定以上に忙しく、慌ただしかった。デビルズパレスに来るのも日を追うごとに遅くなり、その度に担当執事をして貰っているシロが「遅いぞ」「まだ起きてるのか」と苛立ちとも取れる言葉が投げられていたが、ある日を境にそれもなくなり、いつもの声掛けに戻っていた。

 

「お前か。また来たのだな」

 

 そして短い沈黙のち、別にどうということはないだの、他意はないだのと言われる。まぁシロの場合、事実を述べただけなのだろうけど……。

 

「おい」

 

 その数日後、私がデビルズパレスで日記を書いていた時だった。突然シロが話し掛けてきた。

 

「うん……? どうしたの、シロ」

 

 私が不思議に思いながら聞くと、シロはいつもの平然とした顔でこう言ったのだ。

 

「お前の事情はよく知らないが……応援しているからな」

 

「え……」

 

 仕事で忙しい、なんて誰にも話したことはなかった。しかも、こっちの世界の執事たちには特に。忙しい、を言い訳にする自分が嫌いだったからだ。だけど、どうして急にそんなことを……? まさかその言葉をシロに言われるとは思わなかったので、私は一気に肩から力が抜けた。

 

「ありがとう、シロ」

 

「フンッ……」

 

 どういたしまして、なんてシロから聞いたことはない。だけど、何もしていないと謙遜にならないところ、シロは私が今必要としていた言葉に気づいたってことなのだと思った。そうなのだ。例え世界が私の敵になろうとも、シロや執事たちは味方でいてくれる。そんな大袈裟なことを考えながら、私の中で張り詰めていた余分な力が、ちゃんと抜けていった感覚がした。

 

(大丈夫。きっと成功するよ)

 

 その後、私はシロの何気ない応援の言葉で保育園の交流会を成功に収めた。身構えていた以上に楽しい時間になって事が終わったのだ。そういえば、執事の誰かが言ってたっけ。心配している90パーセントはほとんど起こらないって。

 

 色々落ち着いたら皆への感謝を改めて伝えよう。私はそう心に決めた。

 

 

 おしまい

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