仮面ライダーアナザーディケイド〜Journey through the another decade〜   作:@蛇足

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またあの夢を見た。

人里離れた採石場で異形の姿をした怪人たちが戦っている夢。

そこでは、数多な数の怪人たちが交錯していた。

今まで見たことのない姿をした怪人。

理由はわからないが、そこにいる皆が命懸けで拳を振るっている。

立ちこめる爆発に身を包まれながら戦う怪人たちには、姿形は違えど共通して特徴的なベルトを巻いていた。

1人。また1人。

倒れていく怪人たち。

あれだけいた怪人たちも残りが9体となった時、ヤツは必ず現れる。

今までどこにいたのか。

そう問いたくなるほどにそれまで姿を見せなかったマゼンタ色の怪人。

死闘を潜り抜けた9体の怪人。

その怪人達による全体に向けられた敵意が、マゼンタ色の怪人の登場で一方向に向けられる。

勝ち残った怪人たちだ。

決して弱くない。

それなのに。

マゼンタ色の怪人はまるで赤子の手をひねる様に、身に降りかかる9体の怪人からの攻撃をいなし、蹂躙していく。

勝ち残るマゼンタ色の怪人。

首が大きく振り返って、緑色の大きな目がこちらに向けられる。

傍観していた自分に訪れる突然のピンチ。

その魔の手がこちらまでやってくるかというところで…。

毎回、目が覚める。

上体を跳ね起こし、項垂れる。

微睡む意識の中でもくっきりと内容が残っていた。

何度も見る同じ内容の夢。

寸分の狂いもなく同じストーリーを見せつけられる。

そして毎回頭に残るのは。

どんな意味を持つかわからない不思議な6文字の言葉。

事象なのか名前なのか。

知らずとも吐き出さずにはいられないんだ。

『ディケイド』と……。











第1話 虫の知らせ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ディケイド?」

 

 

「はい。そうです」

 

 

「へえー。なんとも不思議な夢を見るもんだねぇ」

 

 

 

 

翌日のバイトでのこと。

オープン作業しながら、店長に昨日の夢について相談してみた。

カフェでマスターをしながら、お祖父さんが営んでいた写真館も兼業している店長。

学生時代は都市伝説やミステリーといったオカルト研究会に所属していたらしい。

 

 

 

 

「その夢っていつから見るようになったの?」

 

 

「だいたい1ヶ月前くらいですかね」

 

 

「結構長いじゃないか。ちゃんと眠れてる?ツカサくん、ただでさえ勉強とバイトで睡眠時間削ってるんだから」

 

 

「全然大丈夫ですよ。もう慣れてますし。浪人生なんで、ただでさえ遅れをとってる身ですから…」

 

 

「そうは言ってもねぇ…お!いらっしゃいませぇ」

 

 

 

店の重たい年季のあるドアがカランコロンと音を立てて開いた。

オープンに合わせてやってきたのはいつも来てくれてる常連さんだった。

 

 

 

「やあエイジロウくん。おはよう」

 

 

「レンジさんおはようございますー。いつものモーニングセットでいいですか?」

 

 

「いやー悪いね。いつもいつも」

 

 

 

自分がコーヒーを淹れてる隣で、店長はトーストした食パンでサンドイッチをつくる。

毎日決まった時間に来てくれるおかげで身体に刷り込まれ、提供までのスピードはお手のものだ。

 

 

 

 

「それで何話してたの。ツカサくん結構深刻そうな顔してたの見えたよ」

 

 

「それがですねー実はツカサくん、ここ最近悪夢を見てるようで。ね?」

 

 

「はい。実は」

 

 

「悪夢だって?なるほど。それはエイジロウくんの専門分野だね」

 

 

 

 

俺は相槌を打ちつつ、完成したモーニングセットを手にカウンター席に座るレンジさんへ提供する。

出来立てのサンドウィッチに香り立つ淹れたてのコーヒー。

レンジさんは嬉しそうに手を合わせるとコーヒーとサンドウィッチを口に運んだ。

 

 

 

 

「その夢って言うのが、いつも決まった内容なんですって。見たことない姿形をした怪人が争い合ってて、最後は自分へ襲いかかってくるーっていう」

 

 

「なんとも穏やかじゃないね」

 

 

「正直参ってます。それに昨日のは続きがあって。女の人…が出てきたんです」

 

 

「なんだって。それは本当かい?」

 

 

 

店長の問いかけに俺は頷いて応える。

そう。今日俺がこの相談を改めてしたのは今までと違った部分があったからだ。

 

 

 

「特長的な、民族衣装みたいな白い服を着てました。なんかこっちに向かって叫んでるんですけど声は聞こえなくて」

 

 

「ふーむ。どうですか。オカルトマスター」

 

 

「そうですねぇ。ストレートに受け取るなら何かのメッセージ。ツカサくんの身に厄災が降りかかることをその女の子が伝えているっていう風な解釈ですかね」

 

 

「なるほど。さすがオカルトマスター」

 

 

「やめてくださいよー。こじらせていた時なんてもう20年ちょっと前の話です。今はもう全然触れてないですから。からっきしです」

 

 

 

 

そんなこと言ってるけど店長。

バレバレです。

口がにやけて満更でもなさそうです。

それに、このカフェのインテリア。

都市伝説の文献にUMAの標本などなど。

店長の趣味全開じゃないですか。

 

 

 

 

「なんか暗い話ばっかりだねぇ。今朝も新聞見たら大きな事件が取り上げられてたよ。そのせいか今日の天気が物凄くどんより感じたね」

 

 

「確かにそうですね。今日はいつもより空が雲に覆われてる」

 

 

 

 

2人の視線を追いかけて俺も窓から外の様子を窺う。

確かに言う通り、空は分厚い雲に覆われてどんよりしていた。

 

 

 

 

「一昨日までいい天気だったのに。予報じゃ晴れるって言ってんだけどなあ…うん?」

 

 

「どうかされましたか?」

 

 

「いや、気のせいかな。なんか空が一瞬歪んだようにか気がして」

 

 

 

 

 

店長も俺もじっと空に視線を奪われる。

会話に花を咲かせてた店内は静まり返り、いつしか設置されたブラウン管のテレビからのニュースキャスターの声だけが聞こえていた。

 

 

 

 

「えっ…」

 

 

「どうしたんだいエイジロウくん?」

 

 

「いや。僕にも今歪んだように見えて…」

 

 

「はっは。何を言い出すかと思えば。君まで衰えたのかい?私の半分しか生きてないのに。まだ早いよ」

 

 

「はは…。そうですよね」

 

 

 

違う。

見間違いなんかじゃない。

俺の目にもハッキリ映った。

何個かあるビルのうちの1番高いビルのところ。

その上空が歪み、黒い渦が生まれたか思うと、小さな黒い粒がワナワナと溢れ出てきた。

 

 

 

 

「店長…俺も…」

 

 

「更に僕の半分しかない歳の子に見えたってことは…」

 

 

「見間違えじゃ…ないのかい?」

 

 

『コーナーの途中ですが、ここで臨時ニュースです。午前9:30ごろ、#●@市にあるトタニビル上空に原因不明の黒い渦が発生しました。調査関係者によりますと、この黒い渦は…え?怪物?なにを……?』

 

 

「うわあ!」

 

 

「な、なんだこの揺れは!」

 

 

 

 

突然、前触れもなく大きな揺れが俺たちを襲って来た。

店が揺れインテリアや食器が飛び出し大きな音を立てて散乱する。

必死に身を守り耐えていると、しばらくして揺れは治った。

でも…。

 

 

 

 

「なんだ次は!」

 

 

「遠くで何かが爆発しました!」

 

 

 

 

揺れが治るや否や今度は巨大な爆発音が轟いた。

そしてそれを皮切りに。

さらなる惨状が襲いかかる。

 

 

 

 

「エイジロウくん。あれ…今度こそ私の見間違いだよね」

 

 

「そんな…ほんとにこれは現実なのか?」

 

 

 

 

平和という毒に戦いの牙を抜かれた世界に住む我々へ向けた警告なのか。

日常はこうもあっさりと終わりを迎える。

 

 

 

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