仮面ライダーアナザーディケイド〜Journey through the another decade〜   作:@蛇足

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ようやく…ようやく辿り着いた。

果たして今回は間に合ったのか。

…どうやら世界の崩壊が始まる前に来れたようだ。

ならばまだ間に合う。

ゆっくり休んでいる暇はない。

次こそこの世界で『器』を探さなくては…。







第2話 滅びの現象

 

黒い渦から出て来た夥しい数の黒い粒。

その粒が侵略を始めるかのように、わなわなと四方八方へ飛び散り始めた。

 

 

 

 

「レンジさん。これも歳のせいじゃなさそうです…」

 

 

「こっちに向かって来てるぞ!」

 

 

 

 

待てよ。

トタニビルってここ『ヒカリカフェ(兼ヒカリスタジオ)』からかなり離れているはずだよな。

それなのに黒い渦から出て何かをどうして目視で確認できたんだろう。

嫌な汗が頬を伝う。

次第に大きくなる黒い何かが異形の姿をした巨大な怪物だと認識できた頃にはもう、命の危機が迫っていた。

 

 

 

 

『臨時ニュースをお伝えします!トタニビル上空に発生した黒い渦から大量の怪物が出現しました!ものすごい速度で移動しています!我々の住む世界に見たこともない生物が侵攻しています!近隣住民は一刻も早く…うっ…!うわあ!!!』

 

 

「逃げるぞ!」

 

 

「レンジさん落ち着いて!ツカサくん!君は早くそこから…!」

 

 

 

店長と共にレンジさんを支えられながら外へ出たところで巨大な怪物が店の上を過ぎ去った。

すごい低空飛行していた巨大生物。

もしかしたら店へ突っ込んできていてもおかしくなかったかもしれない。

 

 

 

「なんですかあれ…。翼竜ですか?」

 

 

「多分だけどあれケツァルコアトルスだよ。ちょっと知ってる姿と違うけど」

 

 

「そんなことどうでもいい!なんでそんなものがここにいる!あの黒い渦は何を出してるんだ!」

 

 

 

 

外の騒ぎで近隣の人たちもパニックになって外へ出て来始めた。

どこへ行くべきか逃げ惑う人々で溢れる中、次なる悲劇が襲う。

 

 

 

 

「何見惚れてるんだエイジロウくん!早く逃げるぞ!」

 

 

「ダメですレンジさん!そっちは!」

 

 

 

 

嫌な気配を感じ、レンジさんへ声をかけたその先には。

道幅いっぱいに隊をつくって迫ってくるアンドロイドの軍勢があった。

 

 

 

 

「ギッ⁉︎」

 

 

 

 

ならば反対側へ逃げようと、切り返すもそっちには長い武器を持ってやってくる石の怪人の軍勢が。

道は1本。

他に逃げ場なんてない。

文字通り、退路を断たれてしまった。

 

 

 

 

「そんな…」

 

 

「なんで俺たちだけ…」

 

 

 

両サイドで進行してくる足が止まり、コチラの様子を窺っている。

獲物の品定めをされているような立場に強烈な恐怖感を覚えた。

しかしそんな時間は一瞬で過ぎる。

先に石の怪人からこちらに攻め込んできた。

 

 

 

 

「これで終わりか…」

 

 

 

 

店長とレンジさんが襲われるのをただ黙って見ていることしかできなかった。

逃れようのない結末を悟り肩の力が抜ける。

長いようで短い人生だった。

まさか最期が異世界からやってきた来訪者に命を奪われて終了なんて。

世界の終わりはどうやらこんなあっさりやってくるらしい。

 

 

 

 

「こんなもんなのか。世界の終わり日っていうのは…」

 

 

「レンジさん!」

 

 

「危ない!」

 

 

 

 

怪人に吹っ飛ばされようとも、尚もレンジさんの身を案じる店長の声が聞こえてくる。

消沈して動かなくなるレンジさんに怪人の魔の手が忍び寄ろうとした……。

 

 

 

 

 

『ハアッ!!』

 

 

 

 

そのときだった。

 

 

 

 

「⁉︎」

 

 

 

 

透明な壁が目の前を通り抜け、石の怪人の軍勢を押し除けた。

そしてそのまま怪人たちを飲み込み消してしまった。

 

 

 

 

「レンジさーん!」

 

 

 

 

何が起きた?

レンジさんは?レンジさんはどこに?

 

 

 

 

 

「ツカサくん!あれ!」

 

 

 

 

透明な壁が流れてきた方向。

店長が指を指すその先から、マゼンタ色に輝くバイクが宙を舞って現れた。

バイクは地面に着地すると、そのままの勢いでアンドロイドの軍勢へ突っ込み、数体をまとめて吹っ飛ばした。

いきなり現れた存在の行動に、出鼻を挫かれたアンドロイドの軍勢が後退する。

白い服を着た…女だろうか。

その人物はバイクを停めるとヘルメットを着脱し、こちらに向かって近づいてくる。

 

 

 

 

「見つけましたよ。角田(かどた)ツカサ」

 

 

「…?どうして俺の名前を」

 

 

「細かい話は後です。今は…この窮地を乗り越えるのが先です」

 

 

 

 

肩に掛かるくらいの女の黒髪が風に揺られてふわっと靡いた。

アンドロイドの怪人たちは攻撃の構えを見せながら、こちらの様子を窺っている。

この女の特攻が効いたのか、こちらに対して凄く警戒しているようだった。

 

 

 

 

「乗り越えるって…何をする気だ?」

 

 

「勿論。戦うんです。それもあなたが」

 

 

「はっ?」

 

 

 

こちらの理解を待たずして女は懐から何かを取り出した。

それはマゼンタ色のバックルに、本のような形をしたコンパクトなアイテム。

あっけに取られていると女は2つのアイテムをこちらに押し付けてきた。

 

 

 

「『バックル』と『カード』です。これを使って変身して戦うのです」

 

 

「なに悠長に背向けてるんだよ!おい後ろ!」

 

 

「全く…もう少し待っていてください…」

 

 

 

 

あまりに無防備に背を向けるため怪人たちが頃合いだとこちらに近づいてきた。

女は踵を返すと攻めてきた怪人たちに向かって大きく腕を振り回す。

するとその動きに合わせて透明の壁が現れた。

これは。

そうか最初の壁もこの女が。

生成した透明の壁を腕に宿し、女は怪人たちに向かって伸ばす。

放たれた透明な壁は怪人の群れへ迫っていくと次々とその姿を飲み込んでいった。

 

 

 

 

 

「ぐぐっ…。力は無闇に使うものじゃありませんね…」

 

 

 

 

顔を顰めて女は右腕を押さえている。

痛みに堪えながら再びこちらに向き直ると、俺の両手にあるアイテムを指差した。

 

 

 

 

「さあ早く」

 

 

「ダメだよツカサくん!危険だ!」

 

 

「店長…」

 

 

 

 

 

唇を切って流血している店長がゆっくりと体の痛みに堪えながら立ち上がった。

 

 

 

 

 

「この子…普通じゃない!こんなとんでもない力を使って…。レンジさんはどこだ!キミは何をしたんだ!」

 

 

 

 

声を荒らげて女を糾弾する店長だが、女はそれを無視して話しかけてくる。

 

 

 

 

「さあ早く!時間がありません!バックルとカードを!」

 

 

「ダメだよ!ツカサくん!」

 

 

「力を使うのです!『ディケイド』!」

 

 

 

ディケイド…。

使うか否か。

葛藤でグルグルしていた頭の中に、女のその言葉がゆっくり、かつはっきりと浸透してきた。

ディケイド。

その言葉は夢の中で聞いたあの…。

よく見たらこれ女の見た目。

髪も顔も服装も。

昨日夢に出てきた子とそっくりだ。

こちらに向かって何かを訴えていた女。

そして店長が言ったこの夢の解釈。

 

 

 

 

「何かのメッセージ…」

 

 

「ツカサくん?」

 

 

「…?」

 

 

「店長。俺…やってみます」

 

 

「何を言って…」

 

 

「世界を救えるかもしれません…多分」

 

 

「なに…?」

 

 

「あっ。えっと…。こんないきなり現れた怪物たちにこれ以上好き勝手されたくない。うん。そう。この世界は俺たちの世界です。店長やレンジさん。それにここに住む人たちの涙なんて見たくない。皆んなに笑顔でいて欲しいんです」

 

 

「……。」

 

 

「恐い…。でも…俺はあんな悪魔になんかならない!…。そこで見ていてください。俺の…変身」

 

 

 

このバックルとカード。

カードはまだしもバックルの方は見覚えがある。

それは夢が終わる最後。

あのマゼンタ色の怪人が腰に巻いていたベルトと一緒なのだ。

『ディケイドライバー』と『ライドブッカー』。

そう。俺は知っていた。

夢で先に知っていた。

随分と減った敵の前に立ち、俺はバックルを腹に打ちつけた。

ベルトが伸び腰に巻きつくと、今度はライドブッカーからカードをとりだした。

 

 

 

 

「そう。そのまま…」

 

 

 

 

カードに印刷されたディケイドの姿。

間違いない。

夢はこの世界の終わりを計画していたんだ。

俺はバックルを横に展開するとカードを勢いよく挿入した。

 

 

 

 

「今日がそのときです。ディケイド…」

 

 

「変身!」

 

 

『KAMEN RIDE ! DECADE !』

 

 

 

 

 

 

 

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