・導入部。個人的に一番きつい回。
・連載当時は「メインヒロインがコレかよ」と一話目でギブアップしました。
・その後「お前、
01-01 原作第1話
“男たる者かくあるべし”
地域で有名なヤクザの元締め、集英組。
その二代目として組員たちから期待されている一条
しかし体格も良くなければケンカも弱い、そんな自分はヤクザに向いていないと思っていた。
「一流大学を卒業して堅実な公務員になって、お天道さんに顔向けてまっとうに生きたい」
早く家を飛び出して、静かに平和に暮らしたい。そう願っていた。
高校でこそはと思っても家業のために友人を作るだけでも苦労し、一流大学に行くために勉強漬けで彼女はおろか、モテたことすら一度も無い。
「……いや、あるか。1回きりだけど……」
首に下げたペンダントを手に取る。
中央にカギ穴の付いたそれは、10年前の約束の証。
『
『あなたは「
『肌身離さず、ずっと大切にもっていよう』
『いつか私たちが大きくなって再会したら、この「
『そしたら──』
『結婚しよう……!』
この
◆
「オース、
「一条君!? どうしたのそのケガ」
それもそのはず、いつもと変わらずボサボサの髪に十字の髪留めを付けた彼は、いつもと違って額から鼻にかけて
「……はあ?
2m以上ある学校の塀を飛び越えてひざ蹴りって、どんな女の子だよ。
自称『親友』(
金色に近い明るい茶髪にメガネの、お調子者系男子高校生らしいと言えばらしい行動である。
「ちょっと待って。今、バンソーコ……」
それとは対照的に
左側だけが長い、濃い茶色の髪を肩口まで伸ばした可愛らしい少女である。
鼻血は止まっているようだが、擦りむいたところには治療が必要だろうと自分の荷物をあさる。
中学からの
それを見て当然気付いている
「あの塀なら、マイちゃんも飛び越えてなかった?
「ん? ああ、あれは飛び乗ろうとして目測を誤っただけだよ」
少し引いた立ち位置で少しおかしな会話をするのは、
一見するとクールそうに見えるが、実際はそうでもない小柄でポニーテール&メガネの宮本るり。
一見すると黒髪ショートカットの少女に見えるが、実際はそうでもない岬
2人ともこの世界での
「そもそもマイちゃんは空を飛べるよね?」
「塀を乗り越えるくらいなら、自前の筋肉だけで十分だよ」
「足首しか動いてなかった気がするけど?」
そこに
ちなみに
そのため男子生徒からの一条
「つい最近、入学式だった気がするけど。こんな時期に転校生って珍しいね」
「……
「助っ人としての『転校生』なのか、それとも異世界から侵略してくる方なのか。楽しみだね」
本当に、おかしな会話をする3人である。
アフロから
『今日は
登校中に少女とぶつかる。
そして、転校生のウワサ。
ごく普通のフラグは、ごく普通のフラグで強化され。
「初めまして! アメリカから転校してきた桐崎
ごく普通の回収をされました。
「あなたさっきの……」
「さっきの暴力女!!」
でも、ただひとつ違っていたのは、転校生は……
「それが謝ってる態度かよ! この……
「誰が
「おお、一条が格ゲーのKOシーンのように宙を舞ってる……」
クラス中が置き去りにされるほどの勢いで言い争う
その締めに繰り出された
この時期は暴力ヒロインが猛威を振るっており、もはや見慣れた光景なのだが、それでもあまり気分のいいものではないなぁと思いつつ、
「それにしてもアメリカからとは。でもこの時期だと入学? 編入?」
「…………絶対に
本当に、おかしな会話をする2人である。
「で、桐崎さんは左右対称の金髪ロングだけど、頭のリボンで対称性を崩してると」
「確実に
本当に、おかしな会話をする2人である。
◆
転校初日から実に仲良さげな2人が、実に自然な流れで隣同士の席になった後。
「無い!! オレのペンダントが無い!!」
何事かとクラスメートから注目を集める中、今度は
「ハァ!? なんで私がそんな物探すの手伝わなきゃなんないのよ」
「てめーのひざ蹴りのせいで失くしたんだから、てめーにも責任あんだろ!」
『大事な思い出の品というわりによく落とすよね。しかもこの重みが無いと落ち着かないとか言いつつ、無くしても気づかないとか』
『2mの高さからひざ蹴りを繰り出し、「あっごめん、急いでたから」と放置するような人間に責任とか筋を求めるのは、いかがなものだろうか』
思わず
そんな自分とは違い、空気の悪い2人へと心配気に近寄り、事情を聞いて手伝いまで申し出る
ちなみに、
自分ならとっくに見限って距離を置くような相手に、こうやって正面からぶつかって、最終的には分かり合える男だからだ。
「で? どんなペンダントなのよ、それ?」
「あー、このくらいのチェーンの先に、こ~んな形の
「え、それって……」
まったく無関係の人間が出てきたことに良心の
彼女がペンダントのことを質問したときに、何故か反応したのは
このとき
「……分かった。じゃあそれを探すかわりに、今後私に学校の中で話しかけないって約束してくれる?」
「……は?」
「私、嫌いなのよ。過ぎた事をグチグチ言う男って。そんな器の小さい男とお友達だなんて思われたくないもん」
指を突き付けつつ、畳みかける様に放たれた
「今回もダメだったか……」
「どうかした?」
るりは詳細を知らないため、まして話の終わった
そう、
無論当事者しか知らない詳細な部分は分からなかったが、おおよその検討が付けられるほどの情報は手に入れていた。
そもそも男子中学生がペンダントを身に着けている、それも10cm近くの大きなものをとなれば気になるのは当然で、見せてもらうついでに来歴というか
そうなればちょっと調べてみるかとなって、1人でいろいろと調査したのである。まさかアメリカと中国まで出張することになるとは思っていなかったが。
というのも『誰もこのペンダントを気にしていない』『それどころか当人も気にしていない。大切な思い出を一部とはいえ忘れているのに』という状況に少し怖くなり、
その流れで少々特殊な人たちと縁が結ばれたのは、良い思い出である。
「
「え?! な何にもないよ!」
るりと話す
彼女は
しかし当人はこの2つのペンダントの結びつきに対して確信までは至っていないようで、期待と不安の入り混じった表情をしている。
これまで
それがここにきてあっさりと気付いてしまった。桐崎
「やっぱ呪いの品だよなあ……」
これからのことを考えて不安になりつつも、せめて
◆
「で、1週間たっても見つからない、と」
いがみ合っていた2人も、毎日放課後に顔を突き合わせていればお互いを理解し仲良くなれるだろう。
そう思って静観していた
「マイちゃん、どこ行くの?」
「ん? そろそろ桐崎さんが限界を迎えそうだから、代わりに手伝いに行こうかと。
るりちゃんも行く?」
先ほどクラスの女子が2人の仲をからかうような発言をしていた。
これを聞き流せるような性格には到底見えないため、恐らくもう無理だろうと判断し代わろうと思ったのだ。
「……そうね。
暗雲立ち込める、という表現にふさわしい空を見上げて、るりはそう言った。
が、暗雲が立ち込めていたのは空ではなく、地上であった。
「フン! 何よ大の男がペンダント1つ失くしたくらいで。
あんたお気に入りのクマさん失くしたら夜も眠れなくなるタイプ?」
かつてないほどに鋭く、そして完全に敵として
「どーせ昔好きだった子に
あーやだやだ、昔の事ズルズル引きずって女々しいったら無いわ!!」
今までとは違い、
そして同じく『昔の事』をズルズル引きずっている当事者かもしれないという意識のせいで、
「どーせその相手だって、あんたにそんなもんあげた事なんて忘れてるに決まってんのに。
ホンット、ダサ!! バッカみたい!!」
「うるっせぇな!!!!
だったらもう探さなくていいから、どっか行けよ!!!」
◆
桐崎
これまでとは比べ物にならないほど険悪な2人の空気に、クラス内では余計な物音1つ立てられないような状態が続いていた。
そんな緊張感からようやく解放された放課後、るりは
「ねえマイちゃん、どうにかできないの?」
「ここまでこじれると……下手に部外者が入ってしまうと、これからずっとこのままになる危険性があるし……」
精神的な疲労の色が見える彼女の背を撫でつつ、ついでにポニーテールの先を
救いは
直接それを見てしまった
そのため状況を察した
「お?」
ふと窓の外をみると、
そして離れた位置にはこれまで
「あれって一条君? 何か突然倒れたけど」
「ああ、向こうにいる桐崎さんがペンダントを投げつけたようで、それを顔面に受けた一条が倒れたんだよ。
そして今はペンダントに結び付けられていた手紙を読んでいるようだね。英語だから読めているかは分からないけど」
るりは眼鏡で視力を矯正しているせいか細かいところまでは見えなかったようだが、
「……この距離で何でそこまで見えるのよ。相変わらずとんでもない視力……って、大丈夫? 能面のように表情が抜け落ちた顔してるけど」
『他人の大事なものをそんな勢いで投げつけるなよ。壊れたらどうするんだ』
『そもそも人に物を投げるなよ』
『というか一条に当たらなかったらまた失くすところだったじゃないか』
『直接渡せないなら担任経由とか……いやアレはダメか』
『この一連の流れで、クズはどう考えてもお前だ』
そんな言葉を無理やり飲み込みつつ、
「scum bastard、って……」
前言を撤回しよう、桐崎