本当にせこい   作:七九六十

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原作:第27話ヨリミチ~第37話アイサツ まで

万里花(まりか)登場。(らく)への一途さが魅力のキャラなので、この二次創作ではどうすることも出来ない人。
(らく)実家(ヤクザ)設定のせいで、千棘(ちとげ)以外はそもそもゴールできないという……
・大財閥の跡取りで、婚約が嘘だとばれたら日本経済が! とかでよかった気がする。
 これだと他のヒロインにも可能性があるし、登場人物に金持ちが多い今とあまり変わらないし。




04 - シュラバ
04-01 千棘(ちとげ)の誕生日


 

 

 

(らく)、この日誌どこに持って行くんだっけ?」

「ああ? さっき先生が準備室にって言ってたじゃねーかよ」

 

 日誌を山と抱えた千棘(ちとげ)が声をかける。

 

「あ、おい千棘(ちとげ)! 理科準備室の方だぞ!? また音楽の方と間違えんなよ!?」

「りょーかい」

 

 片手をヒラヒラさせながら彼女は教室を出ていった。

 

 林間学校で一気に距離を縮めた2人だが、目立った変化はお互いの呼称くらいである。

 2人を見守る周囲の人たちにとっては少し物足りない展開である。

 

 

 

 

 クラスの誰かが、ふと思った。

 

(らく)に言い寄る女の数が2倍になったら、どれくらいの速度で2人の仲は進展するのだろうか』

 

 クラスの誰かが、ふと思った。

 

(らく)に言い寄る女の数が3倍になったら、千棘(ちとげ)の危機感も3倍になるだろうか』

 

 誰かが、ふと思った。

 

『2人の仲を進めねば…………………………』

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

千棘(ちとげ)ちゃん、お誕生日おめでと~!」

「おめでとー!」

「え、え? みんな、来てくれたの?!」

 

 毎年恒例の身内(ギャングたち)によるサプライズになっていないサプライズ誕生会に、なんとか気付いていなかったフリをして驚いて見せないといけない。

 そう身構えていた千棘(ちとげ)にとって、友人たちの来訪は本当のサプライズになった。

 

「……………………舞子君も?」

「あれ? オレの扱いヒドくない?」

 

 若干1名、サプライズではなくクエスチョンだったようだが。

 

 

 

「ハッピーバースデーお嬢~!!」

「お誕生日おめでとうございま~す!!」

 

 クラッカーとともに始まるバースデーパーティ。

 

「いやー、今日でお嬢も16歳ですかぁ~!!」

「このサプライズも、何回やっても良い物だよな~!!」

 

 パーティの企画者(ギャング)たちは満足気である。

 

「サプライズのはずなのに千棘(主役)がしっかりドレスアップしてることに、誰も気付いてねーのか……?」

 

 (らく)疑問(ツッコミ)が入る。

 

千棘(ちとげ)ちゃんには、これくらい分かりやすいサプライズのほうがいいのかもね」

「ん?」

「なんか、上手く隠してしまうと誤解して()ねてしまいそうだし」

「……なるほど」

 

 こんな環境で育ったのだ。あり得そうな話である。

 

「おおー!! 今回はお友達も一緒なんですかい!!」

「お嬢が友達連れてくるなんて、初めてなんじゃないっスか!?」

 

 ちょっと悲しい秘密が漏れてしまったような気がするが、気のせいである。

 友達を()()()()()というセリフは、千棘(ちとげ)がパーティの存在を知っていないと成立しないのも、気のせいである。

 

 ちなみに彼らはこんな事を言っているが、あらかじめ(つぐみ)が手をまわしているため、料理が足りないとかそういうことにはならない。

 ただ彼らに知られるとそのまま千棘(ちとげ)に伝わりそうだったので、ケータリングの注文票をこっそり書き換えたりする形になってしまったが。

 

「おやおや、これは一条家の(らく)お坊ちゃんではございませんか……」

 

 その一方で、(らく)面倒な人物(クロード)に絡まれてしまった。

 

「これは困りましたね~。坊ちゃんはさぞ素晴らしいプレゼントをご用意されてるでしょうから、私、プレゼントを渡すのが少々恥ずかしくなってきましたよ……」

 

 実に厭味(いやみ)ったらしくそう告げてくるクロードを軽くあしらって、千棘(ちとげ)にプレゼントを渡す。

 

「……ブレスレット?」

「彼氏としては、まあこれくらいはな」

 

 シンプルなデザインであるが、小さく刻まれたウサギの紋様がどこか千棘(ちとげ)のリボンを連想させる。

 もっと軽いノリで用意したものだと思って油断していたため、千棘(ちとげ)の鼓動が跳ね上がる。

 

「さすがに指輪は勘弁してくれ」

 

 いくらラブラブカップルのふりでも、それはちょっと恥ずかしい。

 

 耳元で(ささや)かれたそのセリフに何を想像してしまったのか、彼女の顔がさらに赤みを増す。

 ちなみにこのプレゼントを際立たせるため、他のメンバーは値段を抑えた雑貨で統一している。

 

「……ありがと」

「おう」

 

 その一言で、ここ数日のプレゼント探しに奔走した苦労が報われた気分の(らく)だった。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

「……おや、久しぶりだね、(らく)君」

 

 所用(きじうち)のためパーティルームを出た(らく)は、千棘(ちとげ)の父親、アーデルトと鉢合わせた。

 彼は娘の誕生日に参加してくれた礼を述べるが、どうも話はそれだけではないようだ。

 

「娘と仲良くしてくれてありがとう。日本に来てからのあの子は、毎日とても楽しそうだよ。きっと君のおかげだ」

「え? いや、オレだけってわけじゃ……」

 

 周りにもずいぶん助けられている。(らく)はそう感じている。

 

「しかし、すまないねぇ、突然恋人の()()なんて大変な事を押し付けてしまって……」

 

 まぁ君たちは相性が良いからね、上手くやっていけると思っていたが。

 

 そんなアーデルトの言葉に引っかかりを覚える。何か根拠があって、そう判断したかのような……

 

「君たちは()()()()()、とても仲が良かったからね」

「なっ……」

 

 驚く(らく)に、やっぱり覚えてないかと苦笑しつつ当時のことを語る。

 

 10年前、日本のとある場所で一条家(集英組)桐崎家(ビーハイブ)は会談を行った。

 そのとき一緒に連れてきていた子供たちは出会い、仲良く遊んでいた。

 

「君たちがとても楽しそうだったから、よく印象に残っている」

 

 10年前に自分は千棘(ちとげ)と会っている。

 その事実は、1つの結論を導き出す。

 つまり、10年前に結婚を約束した女の子は──────────

 

「まさか君たちだけじゃなく、()()()までこの歳で再会する事になるなんてね」

 

「当時君たちはよく、3人で遊んでいたんだよね。今日君と一緒に来た───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその数日後、事態はさらに混迷の度合いを増す。

 

「え? 許嫁(いいなずけ)?」

「昔古い仲間と飲んだ時に、うっかりそういう約束をしちまってよ」

 

 彼の父親が新たな火種を投下する。

 

「明日来るらしいから、適当に相手してやってくんねーか?」

 

 

 

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