「お~、
「
教室に戻ると
「うおおおおなんだぁああ!!?」
「転校生が一条に抱きついた~~!!」
「ちょ、ちょっと待て!! なっ、何すんだいきなり……」
突然の事に動揺する
「ああ、申し訳ありません、
本当はしっかりご挨拶をと思っておりましたが、まさかいきなり焦らしプレイだなんて、そんな。
そう言って
栗色の髪に花のアクセサリをつけて対称性を崩し、ヒロイン格であるとの主張もバッチリだ。
「あ、あの~! 橘さんって、もしかして
先ほど出番を削られた
すると転校生の少女からは微笑とともに肯定が返される。
「では、改めまして」
コホンと咳ばらいを1つ。
「橘
衝撃の
「どぉ~いう事だ一条ー!!」
「
「何何これどういう展開!?」
「これって桐崎さんにライバル登場って事!?」
「修羅場!? 修羅場なの!?」
いつぞやの
そんな中、冷静に分析する
「らくさま、らくさま……んー、聞き覚えはないわね」
「まりか、まりちゃん、まっちゃん……こっちは少しひっかかる気が……」
転校生が使う呼称には心当たりは無いが、名前にはある。
ということは、この10年の間に心境か性格かが変化したのだろうか。
「久しぶりね、タチバナマリカ」
「あら? 桐崎さん?」
少し揺さぶりをかけようと
彼女は昔から変わらぬ特徴的なリボンをしているため、
当時の呼び方が分からなかったので、この場面であれば不自然ではないだろうとフルネームで呼びかける、なんて小細工まで
その甲斐あってか名乗ってもいないのに『桐崎』と返してくる。
やはり彼女は昔のことを覚えている。
「一条君、一条君」
「小野寺?」
その間に
そして揺さぶりをかける者がもう1人。
「本田さん、やっほー」
誰も居ない空間に向かって、ひらひらと手を振る
何をやっているのだろうかと周囲が
「お久しぶりです、岬様」
突如、黒スーツの長身の女性が姿を現す。
「え?! 誰、というかどこから?!!」
彼女は
行間とかコマ割りによる隙間とか、隠れる場所は案外多いものである。
「え、本田、ぇえっ?!!!」
「以前、ちょっとした縁がありまして仲良くなりました」
表情を変えることなく冷静に返される。
あの本田がこんな簡単に居場所を見破られるなんて。
しかも知り合いだなんて。
それも『様』を付ける間柄。
そして彼女がこの場に居ても驚いていないということは……
まさかの出来事に、
ちなみに
「それにしても、アナタは変わったわね」
「と、当然です!
そのタイミングでの
その姿は10年の努力による自信に満ちていたが、同時に不安も内包していた。
そして分かったことがある。
『当時は髪が短くて』『言葉遣いに特徴があり』『お稽古と呼ばれる類のもの受けるような家柄』
それを手掛かりに、記憶を呼び起こす。
『なぁらっくん。らっくんは、どがん女の子が好きと……?』
『ん~、よく分かんねーけど、まあ女の子らしい人、とか? たとえば髪が長いとか』
「あ、お前、まさか……!!」
屋上での会話と合わさって、1つの情景が浮かび上がる。
「マリー……?」
「
彼の言葉に、思わず首元に抱きついてしまう。そして涙まで出てくる。
10年も想い続けて来たのだ。
それなのに、
事前の調査で判明したその事実は彼女を酷く打ちのめした。
彼にとって、自分はその程度の存在だったのだろうか。
自分の10年は無駄だったのだろうか。
そう弱気になる心を叱咤し、震える脚に力を込めて、彼女は
それが、この短時間で思い出してくれた。
「一条君が昔の女を思い出すって、相当レアなんじゃないかしら」
「るりちゃん、空気読んで。感動のシーンなんだから」
「結局、ここ以外は最後まで思い出してなかったような……」
「その点に関しては、私たちも似たようなモノでしたけどね」