恋むすび 効能
一.良縁に恵まれます
二.片思いが実ります
三.古来より恋むすびは
男性が女性に渡すと
求婚を意味します
「マイちゃん様、三番は効能ではないのでは?」
「客寄せ用の商品なんて、そんなもんだよ」
「しかも恋ですらないよね」
「明らかに付け足した感のある文章量よね」
近所の縁日にやってきた
4人は浴衣姿でのんびりと楽しんでいる。
ここは祭りの夜だけ販売するスーパーウルトラ縁結びアイテム、“恋むすびのお守り”で有名である。毎年販売直後に売り切れるほどの人気であり、相応に効果が期待できる代物なのだが、如何せんこの4人には必要のないものだ。どうしても一歩引いた目線で見てしまう。
ちなみにこの時、
しかし人ごみのせいで
「焼きそば、たこ焼き、お好み焼き。匂いに惹かれはするんですけどね」
「自分で作れるようになると、途端に買わなくなるよね」
「アレンジしやすいから、家でもよく作るしね」
「おいしいものが食べれて、余は満足じゃ」
そのため食事を一緒にする機会が多く、味付けの好み等が段々と似てきているのだ。
まあ縁日に来て何も買わないというのもアレなので、普段食べないものや変わり種の新商品をいくつか買ってはいる。
「マイちゃん様、あれは何ですか?」
「カタヌキだね」
割れやすい素材でできた板から特定の図形を抜き出す遊びである。この板は食べることもでき、最近は美味しいものが増えてきた。
ちなみに
「出禁って、何かしたんですか?」
「
「マイちゃんが5枚重ねて一度にクリアしたせいだと思うよ?」
「どっちもどっちよ」
店の利益を守る為には致し方ない処置である。
◆
「今年もナンパ96連敗目……」
「おい舞子、そろそろ止めよーぜ……」
「う~む……」
そこでふとクラスメートたちの姿を見かける一行。
実に関わり合いになりたくない会話をしている。
「……いつもどこかに壁があって、バカやってる時でも常に冷静な自分がいて、どこか無気力だった」
「マイちゃん?」
今年
「中学3年の夏に、一夜で3桁近いナンパを冷静かつ無気力にやるって、凄いよね」
「なんですかそれは、狂人の話ですか?」
「もしこれで中学2年生のときもだったら、もっと凄いよね」
「1人だけ大人だから大丈夫よ」
見つかると面倒なのでその場を離れる。
「にしても、今年も一条は誘わないんかね?」
「仕事があるからあえて誘わなかった、という可能性も無きにしも非ず……いえ、無いですね」
「一条君とは幼馴染なんだよね?」
「本当に友達なのかすら怪しいところね」
ちなみに昨年は焼きそばの屋台で働いていた
まさか友だちと回れる日が来るなんて、とテンションが高かった彼の姿に、こっそりと涙したものである。
◆
「あ、射的」
「やってみる?」
オーソドックスなコルク銃を用いたものだ。
興味を持った
「むう、集弾率もそうですが、威力が足りていません……」
「
もちろん火薬を使うのも禁止である。
「……
「んむ?」
「ん、いつもは歯を立てないようにしてるから、ちょっと新鮮」
「ほほう」
「そしてるりちゃん、今のやり取りの間に残りを全部食べちゃった言い分を聞こうか」
「ん、共食いにならないように配慮した」
ちょっと目を離した隙に、串だけになっている。
「そうなると私の分は……」
「視線を下に向けない。別なの買ってあげるから」
仲のいい4人組は、この後もこんなノリで祭りを満喫するのであった。