いろいろなものに決着がついた翌日。
この日は土曜だったため朝から家業の和菓子屋を手伝っていた
るりも恐らく居るはずなので、2人であればきっと助けてくれるという信頼があった。
「あれ? 一条君?」
予定より少し遅い時間に家を出た
こちらには気づいていないだろうと思い、いきなり声をかけて驚かそうと近づくも。
「あ───……のデ……小野寺……のに」
「……え?」
急に名前を呼ばれ、逆に驚かされてしまった。
何故か
「どうしたの一条君、こんな所で」
「どうしたって……小野寺こそなんでこんなとこ……」
「ダ~リ~ン!! お待たせ~~!!」
ヤケクソのように甘えた声で
しかも分かりやすいほどに着飾っている。
「ゴメンね~! 思ったよりずっと時間かかっちゃって~えぇ~~……」
完全に空気が死んだ。
◆
「桐崎……さん? え……? 今、一条君の事……“ダーリン”って……」
ようやく再起動した
「え~と、その……ダーリンてことは、つまり……」
よりにもよって思い人に、一番されたくない誤解が生まれようとしている。
「2人は、その……付き合って……?」
しかし
2人は付き合ってはいない。これは正しい。
しかしラブラブの恋人同士でなくてはならない。
この2つの武装勢力による抗争を止めるための
「そっ、そーなのよ~~!! 実は私たち、付き合いたてのラブラブカップルなの~~!!
もー彼ったら私にぞっこんで~~!!」
彼と
「は、はぁ~?? 別にぞっこんじゃねーし……
つかこいつが勝手に言ってるだけだし……」
しかしあまりの状況に混乱の極致にある
目をグルングルンと回し、頭からは蒸気を出している。
「さっきもね~? ダーリンとおいしい食事してきてね~?」
「べ、別にオレ食いたくなかったし……こいつが肉、食いたいって言うから……」
「!?」
キャロリ~ンという謎の効果音と共にどうにか演技を続けようとする
ただし日本語のニュアンスに慣れていないのか、
「彼ったらいつも週末に~映画に誘ってくれて~!」
「た、たまたまチケット持ってただけだし……ホントは1人で観たい派だし……」
「!!??」
怒りのせいなのかキラリ~ンと効果音を変えつつ『いつも週末に映画へ誘う、付き合いたてのカップル(初対面から2週間)』という明らかに時系列のおかしい演技を続ける
ただし日本語のニュアンスに慣れていないのか、またしても
「む、むしろ……こんな、映画館でよだれ垂らして寝るような女……」
「んが!!?」
さすがにこのセリフには怒りが限度を超え、
(し、しまった……テンパりすぎてつい否定を……)
足先に発生した痛みによって正気を取り戻した
こっそりと2人を監視していた
「あ、あのな小野寺……」
「……分かってるよ、一条君」
葛藤の末に事情を打ち明けようと言葉を絞り出す
しかしもう1つ、手遅れなことが発生していた。
「もう言わなくても大丈夫だよ。私はちゃんと分かってるから」
分かってくれた、と顔を上げた
「そんなに否定することないよ。いくら
「は!!!?」
が、言葉はしっかりと届いていた。
「あ、ゴメン! デートの途中だよね!」
「あ……いや……」
その場を離れようとする
もはや事情をすべて説明する時間はないが、このまま別れるのは不味い。
「……1つだけ、聞いてもいいかな……」
会話をつなげるために、必死で探した話題。
会話の流れ的に唐突過ぎるが今なら2人きりで丁度いいと、胸元からペンダントを取り出し
「このペンダント、昨日見た時よりも前に、どっかで見た事とかねぇかな……?
たとえば、子供の頃とか……」
昨日、ようやくペンダントが手元に戻ったときに、横に居た
そこから推察すると彼女が『約束』に関係している可能性が高い。
約束の女の子が小野寺であってほしい。
自分に都合のいい願望であったが、確かめずには居られなかったのだ。
「
しかし、返ってきたのは否定の言葉だった。
「え!? い、いや、ないならいいんだ……わるい……」
あまりの衝撃に思考が止まり、結局それ以上
しかしいつまでも落ち込んでいるわけにもいかず、