とある冬の朝。
人相の悪い外国人の2人組が学校の前に居るというだけで十分怪しいのに、やけに焦った様子で辺りを警戒しているとなれば注目を集めないわけがない。
「あ、いた!! お~いそこの、集英組の坊主!!」
どうやら
「突然で申し訳ねぇ、オレたちぁビーハイブのもんなんだ」
「話ってのは、このアタッシュケースの事なんだが……」
本日午後3時からの取引で使うブツが入っているが、暗証番号を失くしてしまった。
それというのも
「お嬢のスリーサイズを入力したらしいんだ」
というわけで、恋人なのだから知っているかもしれない、それがダメでも今日学校で身体検査があるのだから、そこから入手できるかもしれない
「3時までにこいつの中身を届けないと取引はパァ……
そうなりゃオレたちはTOKYO湾のもくずになるかも……」
悲壮感ただよう顔で己の未来を語るギャング2人組。
「スマンが頼む!! オレたちもう戻らねーと!! あとで回収に
「なっ! いや、ちょっと!!?」
そういうわけで、
「なんでオレがこんな…… クソ、どうする……」
「いや、普通に
自分しか居ないはずの校舎裏から、何故か聞こえてきた声に振り向く。
「み、岬?! お前、いつから!」
「え? 最初からだけど」
今回の件は衆目に
まあそれもそうかと納得した
身内とまではいかないが、関係者の生死がかかっているならどうにかしてやりたい。
「いや、でも
「……あのね、別に
その手があったか、と
「じゃあ早速」
「ちょい待ち」
アタッシェケースを抱えて歩き出す
ちなみに『アタッ
カタカナ表記している時点で正しい・正しくないの議論は不毛な気がするが、一応フランス語の
「思ったんだけど、スリーサイズっていつのヤツだと思う?」
「え? そりゃあ……」
クロードが設定した日のモノなのか、それ以前に彼が入手したモノを設定したのか。
というかそもそもスリーサイズであれば、誤差を最大に見積もってそれそれ±5cmだとしても1000通り前後しかないため、総当たりで1時間もあれば確認できてしまう。
なので入力は慎重に行う必要がある。
「てことは、結局
「だね」
ということで、やるべきことはただ1つ。
「
「承知いたしました」
というわけで彼女に相談したのだが。
「え?
「はい、どうやら彼らの勘違いのようでして」
正しくは『
考えてみれば当たり前の話で、大事にしているお嬢のスリーサイズを、そうと説明したうえで部下に知らせるわけがない。
「よかったね、一条。無事に解決したよ」
「お、おう」
ケースはすぐに回収に来るそうなので一件落着である。
「ということがあってね」
午後の身体測定の時間にて、
「まあ身体測定でスリーサイズの測定なんて、都市伝説なのにね」
「だよねー」
そんな漫画の世界じゃあるまいし。
「あれ、でもウチの学校、スリーサイズ測るみたいよ?」
「え?」
ほら、と保健委員から差し出された記録用紙をみると、確かに検査項目に入っている。
「るりちゃん、そもそも何でスリーサイズ測るの?」
「建前では疾患や成長異常を発見するため、ってなってるわね」
「座高と一緒で、変化する数値を計測してればやってる感が出て、指示した方は満足ってだけだと思うけどね」
その数値と疾患との因果関係をろくに研究しておらず、しかも計測した数値を分析もしないのだから、何の意味もない。
「それなのに、なんでやってるの?」
「誰も止めるように指示しないからよ」
「場所によっては男性教員が測定してるからね。自分から止めようなんて言わないよ」
当たり前の話である。誰がこんなおいしい話を、自分から止めようなどと言い出すだろうか。
「……で、
「いえ、なんとなく皆さんの視線がおかしくて」
計測のためにいろいろと装備を外しているため、いつもより柔らかい。
「ウチのクラスでも断トツの、つぐみちゃんの気になるバスト!! 皆で測らせて
おかしな目つきをしておかしな言動をした女子生徒の群れが現れた。
「……憧れる気持ちは分かるけど、
「うぐっ?!」
「で、でもほら、林間学校の温泉でつぐみちゃんのおっぱいに触った子が、2カップもサイズアップしたって!」
何かしらのご
「俺は毎日触ってるけど、特に変化はないよ?」
「岬君は男の子だし」
本当にご
「私も大きくなってないよ?」
「
少ししょんぼりとした
皆の目線が、少し上下する。
「そんな、ではアレは……」
「いや、しかし……」
女子生徒の群れはトーンダウンしている。
「もしかしたら、
「……まさか!」
「ヤツを探せ! ひっ捕らえろ!!」
そのまま更衣室を出ていく女子生徒の群れを見送る。
「マイちゃん様、小野寺様、ありがとうございました!」
「なんか、お礼を言われるのは複雑だけど……」
別にコンプレックスを抱えているわけではないが、もう少し大きくならないかな~くらいには気にしている