昼休み。机をつなげて一緒に食事を取った面々で談笑している。
ちなみにメンバーは
「みんなもう予定あんの? せっかくだしクリスマスパーティーでもやんない? こう皆でわいわい楽しく~」
「そうね、企画者不在なら」
「オレ言い出しっぺなのに!?」
そんなグループに
「クリスマスパーティーってことは、栗よーかん用意しないとね」
「そうだね、私がんばって作るよ!」
「え? なんで栗羊羹?」
「舞子
「え? え?」
「日本人ならケーキじゃなくて、よーかんよね」
るりからもダメ押しが来る。
「ねぇねぇ
「オレは実家で、
一方でこんな会話も聞こえてくる。
そこで彼は作戦を考えた。
皆に予定を確認するから、それぞれが好き勝手に動くのだ。
ならばまずは
そうすれば
さらに
そう目論んでいたのだが……
「あれ? 桐崎さん?」
「
見れば
これには横に居た
「クリ…… クリス…… クリスマ…… クリマタスミ……」
虚ろな表情でブツブツと
ダイスロールに成功し、
「……毎年クリスマスは、ママが帰って来て家族水入らずで過ごすから、パーティーには参加出来そうにないわね」
青い顔でなんとかそう言い切った彼女のためにも、一旦クリスマスの話題は打ち切られるのだった。
「ねえつぐみちゃん、
「……ノーコメントで」
「何というか、仕事一筋の人だよね」
「あれ? マイちゃんも知ってるの?」
「直接会ったことはないけどね」
忙しい人なので縁もゆかりもない中学生に会ってくれるはずもなく、こっそりと観察したことはあっても、直接話したことは無い。
「優れた能力を持っていて、そしてそれを必要とする人のために使う事を
自分の力を振るう事を考えているため、他の人に作業を分けることをせず、その結果自分の作業負荷が上がっていく。
しかしそれをごり押しで解決できてしまう能力がある。
常に目の前の作業を順番に片付けているため、作業の効率化という視点が抜けており、その結果自分の作業負荷がさらに上がっていく。
しかしそれを更なるごり押しで解決できてしまう能力がある。
「そして最大の欠点は、能力を必要とする人の声は聞こえても、助けを求める人の悲鳴は聞こえていない、ってことなんだよね……」
彼女の能力によって仕事が回り、喜ぶ人が大勢いるのは確かだ。
しかしその一方で、彼女自身を求める人たちにとっては……
◆
そんな話をした翌日。
どうやら
そしてそれに合わせて
「そういうわけで、やってきました
実際に見てみよう、ということで
出迎えのために整列するギャング一同の陰からこっそりと様子を
ほとんどの人間が顔を青くして余裕のない状態のため、『
「
そう告げられると同時に場の緊張がピークに達する。
何故か家族のはずの
そして扉が開き入ってきた若い女性と、おそらく護衛を兼ねているであろう黒服の集団。
夜の屋内なのになぜか全員サングラスなのはお約束だからである。
「…………ただいま」
『おかえりなさいませマダーム!!!』
実に統率の取れた挨拶である。
「え? あれがお母さん? お姉さんじゃなくて?」
「いや、若過ぎでしょ」
そして
「少しは休んでいけるのかい?」
「残念ながらすぐに仕事よ」
やはり仕事人間のようである。
『今、プライベートに使えるのは2時間って言ってなかった?』
『クリスマスの夜まで日本に居て、その間に使えるのが2時間と36分て、おかしくない?』
毎年の家族水入らずの時間とやらは、最大でも
『あれ? なんだか様子が』
「すぐに執務室に閉じ込めて。クリスマスまでに終わらせなかったら、目ん玉ほじくり返すわよ」
どうやら頼んであった仕事が終わっていなかったようだ。
黒服に連行される
「……さてと、
「はひゃい!!?」
「……久しぶりね、元気にしてた?」
「えーと…… あなた今、幾つになったんだっけ?」
「は、はい!! 16歳であります、お母様!!」
こちらは緊張のあまりキャラが変わっている。
『あの2人って……』
『なんか……』
客観的に状況を見られる
「学校の方はどう?」
「は、はい…… こないだテストで学年7位を、取りました……」
「そう…… 7位……」
おずおずと、もしかしたら褒めてもらえるかもと
「……
だが現実は非常であった。
急激に母親の威圧感が増していく。
「あなたが卒業した中学は、アメリカでも屈指の名門。あなたはそこを首席で卒業したわ。
今あなたの通う高校は、日本でも平均的な学力だと聞いてるけど」
にっこりと笑って。
「……どういうことかしら」
「もっと頑張りますぅう~!!」
限界に達した
『なんと不憫な……』
さすがに
一口にアメリカと言っても、下は『進化論を否定し、地球が平面だと教えるレベル』から、上は『覚えるよりも考えることを重視した、エリート向けのレベル』まで幅広く。
まして
そしてそもそも、すべての生徒が自分の学力に合わせて進路を選んでいるわけではないので、学校のレベルが低いからといって油断はできない。
『どこかの誰かが居なければ、もう1つ順位が上だったのに。ねえ学年主席さん?』
『その場合、学年次席さんも同罪だと思います』
『私は9位だったから、悪くないよね?』
ちなみにこの場には8位の
彼らのように人間関係を優先したり、家庭の事情で近場の公立にしか通えない、なんて成績優秀者が毎年居るのだ。
「……娘をよろしくね、坊や」
いつの間にか話題は
そんな彼の順位は、まあ、良いほうではある。
「でも、もしこの子を傷つけるようなことがあればどうなるか…… 想像できる?」
「え、はい、多分……」
彼女は
「安心なさい、必ず想像以上の事をしてあげるから」
『るりちゃん、やっぱり
『ええ、どう考えても子煩悩な母親よね』
ただ、
この短時間でも分かるほど嘘や冗談を
悲しいことに
「あなた…… そのリボン……」
ふと
「……まだそんなものを着けてるの? すっかりくたびれて。
そんなリボンくらい、いくらでも買ってあげるのに」
『…………ねえ、マイちゃん。
『さっき、小さい頃に母親から
『……でも、あのリボンが自分が贈ったものだってのには気付いてたみたいだし』
るりのフォローが入るが、それはすなわち『相手がそれくらい大事にしている』ということが理解できなかったという意味でもある。
『親子だなぁ……』
同時に
この母親だったから、『自分に価値が無い
『あ、一条君が連れていかれた』
『なんか秘書がどうのって言ってたわね』
何人いるか分からないが全滅した秘書の代わりに
『これは婿として一条をテストするためのものかな? それとも秘書の仕事がそこら辺の高校生に務まる程度の内容なのかな?』
『さすがに前者でしょ。今月だけで何人も倒れてるらしいのに、状況を改善する気配が無いから後者のように聞こえる、ってだけよ』
『一条君も大変だねー』
まあ仕事の内容はともかく、クリスマスまでの短い期間ではあるが桐崎
『あれ? 一条君には2人のすれ違いの事、教えないの?』
『こういうときって、他人から教えられた場合と自分で気付いた場合とで、行動にかける熱量が変わってくるからね。できれば自分で気付いて欲しいかなって』
『でも彼が気付かなかったら……』
『もちろん、保険はかけておくよ』
昔、日経平均株価はその日の桐崎
そこで
実際にはその人が得た情報を別の人が金を儲けるために利用し、その儲けの一部が
今もその仕組みは生きているので、それを利用すれば桐崎
ちなみに
『あとは
最後のリボンの件が無ければ直接でもよかったかもしれないが。
コレのせいで部外者が
『まさに一条が成否のカギを握っている、ってことだね』
『マイちゃん、一条君が持っているのは『
『しかも『