本当にせこい   作:七九六十

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原作:第64話ミコサン~第74話オオウソ まで

・1年の冬編。
・バレンタイン、67話と68話の間にある「……泣かないで」という、自分でやっておいてこの発言。
 いくらなんでも小咲(こさき)への悪意が酷すぎる。狂気すら感じる。
・マジカル……? なんで舞子(しゅう)を喜ばすために、小咲(こさき)ちゃんが脱ぐ必要があるの?
・なんというか、るりちゃんは『舞子(しゅう)の代弁者』になってから魅力が無くなった気がする。




07 - ヘンボウ
07-01 バイト巫女


 

 

 

 大晦日。

 

「親父も人使い荒ぇよな。せっかくの年末だってのに」

「ここの神主さんが親父さんと知り合いなんだろ? オレはむしろ超嬉しいけどな」

 

 近所の神社でアルバイト中の(らく)(しゅう)。2人は獅子舞の練習をしていたのだが、今は休憩中である。

 ちなみにこの神社、袈裟を着た坊主が除夜の鐘を突くような神仏習合っぷりで有名である。

 

「はぁ? なんでだよ」

「そりゃあだって……」

(らく)様~~~~!!」

 

 その声が聞こえた途端に目を輝かせている(しゅう)を見れば理由は分かるだろう。

 

「どうですか? 巫女さんの衣装、似合ってますか?」

 

 そう言ってポーズを取る万里花(まりか)。背後のカランという音はなんだろうか?

 

「いいねー!! 万里花(まりか)ちゃん!! よくお似合いですわー!!」

「……あなたには聞いていないのですが」

 

 肝心の(らく)は『カワイイなー』くらいの微妙な反応である。

 

「ど~~~よコレ!!? 巫女さんだぞ巫・女・さ・ん!!!!」

 

 テンション高く迫ってくる(しゅう)の姿に少し引き気味の(らく)

 しまいには懐から取り出したカメラで勝手に撮影を始める始末である。

 これには万里花(まりか)(こぶし)で答える構えである。

 

万里花(まりか)、狙うならボディにしな、ボディに」

 

 そこに同じく巫女衣装に身を包んだ千棘(ちとげ)が合流する。

 巫女にしては物騒なセリフとともに。

 

 今回はこの4人で参加することになっているのだ。

 

(らく)、小野寺が居なくて残念だったな」

「…………」

 

 巫女姿の小野寺……

 見たいという気持ちと、見てしまったら平静でいられないだろうという不安。

 

 (いか)れる女性陣から逃げて来た(しゅう)(ささや)きに、今年最後の煩悩が高まっていく(らく)であった。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、まさかバイトの面接で落ちるとは」

「何がダメだったのかな?」

「コチラの顔を見たと思ったら即決でしたからね」

「メンバーをみたら、むしろ納得よ」

 

 舞斗(まいと)宅にて鍋を囲むいつもの4人。

 彼女たちも(らく)のバイトについていったのだが、やたらとファンキーな神主の面接によって落とされたのだ。

 

 この神主、地元では有名な凄腕の霊能士で、具体的にはよく分からないが街の危機を救ったこともあるとか。

 そんな人から遠回しに『ウチの神社で巫女をやらないでくれ』と断られたのである。

 

 ……念のための補足だが、パートタイマーの巫女として近所の主婦が働いているくらいなので、そういう意味での資格が無かったわけではない。面接で落ちるのは余程の事である。

 

「霊能力には自信があったんだけどねー」

「マイちゃん、怨霊逃散洗霊光線とか使えるからね」

「林間学校の肝試しの時に大活躍でしたよね」

「それが大活躍してしまうって、肝試しとしてどうなのかしらね?」

 

 もちろん外道照身霊波光線も使える。

 

「そういえばマイちゃん、一条君の背中から剥がした黒いのって何だったの?」

「ん? ああ、アレ?」

 

 小咲(こさき)の問いに舞斗(まいと)が答える。

 神社に集合した際に(らく)の背後にまわった舞斗(まいと)が、べりっとやっていたのだ。

 剥がされた本人の方は何も気付いていなかったようだが、(らく)の形をした黒いもやが突然現れたのだ。

 

「アレは怨霊というか怨念というか、モテない男たちの魂の叫びというか」

 

 この半年間の(らく)は、普段から美少女数名を侍らせる鬼畜の所業を働いていた。そのため多くの男たちから恨みを買っていたのだが、それが厄として形を成そうとしていたのだ。

 

「イイ感じに溜まったから、フィルタごと交換する感じで浄化しておいたんだ」

「そんな年末の大掃除みたいに……」

「さすがはマイちゃん様です」

 

 るりは呆れているが、(つぐみ)はパチパチと拍手をしている。

 

「基本的に『複数の女の子に手を出しやがって』な念だったんだけど、中には個人を指してるものもあってね?」

「個人?」

「内訳はこんな感じ」

 

 

 第1位 4893票 小野寺小咲(こさき)

 第2位 4338票 桐崎千棘(ちとげ)

 第3位 2982票 (つぐみ)誠士郎

 第4位 2694票 橘万里花(まりか)

 第5位  971票 宮本るり

 

 

小咲(こさき)ちゃんが一番人気でした」

「え? えーと、みんなありがとう?」

「じゃあ私は、神に感謝、ですかね?」

「順当な順位ですね」

「あ、るりちゃん公式とかぶった」

「うそっ?!」

 

 残念ながら本当です。

 

「……私って、そんな安直なキャラ立ち? それともハジケリスト?」

「るりちゃん、落ち着いて」

 

 るりは衝撃のあまり、小咲(こさき)(すが)り付いたまま沈み込んでしまった。

 

「マイちゃんは何位なの?」

「公式の人気投票に居るわけないじゃん、某北斗じゃあるまいし」

「マイちゃん様、ネタが古すぎます」

 

 読者が何人か入っているので、もしかしたらオリキャラでもいけるか?

 

「ちなみに次回(第2回)は誰に投票するの?」

横綱(刃皇)

「マイちゃん様、ここは『ぼく勉』ではありません」

「『ぼく勉』にも居ないわよ」

 

 るりがツッコミのために復活を果たした。

 がしかし、『ぼく勉』の第2回人気投票には横綱(刃皇)が居るのだ。

 

「というか、こんな話(メタいこと)していて大丈夫なの?」

「大晦日だし、大丈夫だよ」

 

 さすがに人気投票の結果に言及した二次創作は、少なくともニセコイ界には無かったはずだが、たぶん大丈夫だと思う……

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 無事に年が明けて。

 (らく)たちのバイトも終わり、それぞれの新年の挨拶が終わったころ、千棘(ちとげ)から初詣のお誘いがあった。

 彼女は一条家に新年の挨拶に行くので、その流れで昼過ぎに一緒にどうかという話だった。

 

 そういう訳で着物姿で集まる手筈だったのだが。

 

「みんな来ないねー」

「来ないわね」

 

 小咲(こさき)とるりは道行く人の中に紛れていないかと探しているが、やはり居ない。

 

「ダメです、お嬢にもつながりません」

 

 電話で千棘(ちとげ)に連絡を取ろうとしていた(つぐみ)だが、何度コールしてもつながらない。

 護衛についているビーハイブ(千棘の実家)の者たちからは、午前中に一条家に無事到着したと伝えられているので事件性は無いと思われるが。

 

「まさか、千棘(ちとげ)ちゃんたちも姫は」

小咲(こさき)、ストップ!?」

 

 小咲(こさき)の発言が(さえぎ)られる。

 

「なるほど、その可能性が」

「無いから!」

 

 (つぐみ)の納得が否定される。

 

「私たちじゃあるまいし、そんなのはあり得ないわよ!」

「結局るりちゃんが言っちゃった」

「宮本様がボケにまわると困るのですが」

 

 そもそも大晦日に会ったときはいつも通りだったので、この短期間でそこまで関係が進んでいたらビックリである。

 

「状況が分かったよ」

 

 ワイワイと騒いでいた3人のところに舞斗(まいと)が戻ってきた。

 

千棘(ちとげ)ちゃんと橘さんが食べたチョコレートがウィスキーボンボンだったみたいで、アルコールに弱かった2人が暴走、その場にいた男2人(楽と集)が犠牲になったみたい」

 

 これは現場にあったチョコの包み紙、そして4人の状態からそう判断されただけで、実際にどうだったかは誰も見ていないようだ。

 

「ちなみにマイちゃんは、それをどうやって知ったの?」

「え? 直接一条宅に乗り込んで、本人たちの状態を確認ついでに家の人(ヤクザ)たちから話を聞いたんだよ」

「……着物姿で、ものの5分で往復してきたの?」

「さすがはマイちゃん様です」

 

 行間やコマの間を移動するのに、着物姿であってもそこまで苦労はしない。

 

 そんなこんなで状況が分かり、(らく)たち4人は来れないだろうと見切りをつけ、自分たちだけで初詣にいくことになった。

 

「みんなもアルコールには注意しないとダメだよ?」

 

 舞斗(まいと)は状態異常無効のパッシブスキルを持っているため大丈夫だが、他の3人はかなりアルコールに弱い体質である。

 もし千棘(ちとげ)たちと一緒に一条宅を訪問していたら、さらに酷いことになっていただろう。

 

小咲(こさき)ちゃんは服をはだけて色っぽく(せま)ってくるし」

「いつも通りよね」

「なんか体が火照(ほて)っちゃって」

「ちょっと子供っぽくもなりますよね」

 

 絶対に外では見せられない姿である。

 

(つぐみ)ちゃんは淡々とキスを(せま)ってくるし」

「いつも通りよね」

「ちょっと反応が鈍くなってるよね」

「なんかその事しか考えられなくなるんですよね」

 

 こちらも抑えられる人が居ないとダメなタイプである。

 

「るりちゃんはエロく大胆に(せま)ってくるし」

「いつも通りよね、って違うでしょ?!」

「るりちゃん、えっちぃよね」

「宮本様、えっちぃですよね」

 

 るりはこの2人に比べるとマシなほうで、一点を見つめたまま関係のない話題についてしゃべり続けるだけである。

 なので害はないが、周りが扱いに困るタイプである。

 

 そんな話をしながら初詣を済ませた一行。

 果たして今年はどのような1年になるであろうか。

 

 

 

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