すでに勝利を確信し浮かれているクラスメートを一瞬にして抜き去り、その後なぜかもう一度彼らに行く手を遮られる謎の事象に見舞われるも蹴散らし、前を走る
とはいえ彼の体力は平均レベル。途中で限界がきて失速してしまう。
「頑張って一条君! 私、応援してるから!」
給水所に居た
キャラメルの1000倍のエネルギーを得た
「舞子!! お前は先に行け!!」
「ここはオレたちが……」
彼の最後の取り巻きを難なく蹴散らし、ついに最終決戦である。
「ようやく追いつめたぞてめー!! よくも色々と」
「あ~ら
「でもオレ、本当はお前が追い付いて来るって信じてたぜ? さすがだな親友……!!」
「でも、それと勝負は別の話だ。こっから先は小細工なしの一騎打ち! 男と男の勝負と行こうじゃねぇか!!」
「……けっ! 望むところだ!」
いろいろと言いたいことはあるが、男の勝負となれば受けざるを得ない。
たまに思い出したかのように男らしさに
「カウント
「い~~ち、ドン!!」
「こんのゲス野郎がああぁ~~!!!」
そんな彼をよそに、フライングしてラストスパートを始める
本日2度目の置き去りとなった
そして勝負の場は
「あ! 戻ってきました。先頭は舞子君! 続いて一条君! 一騎打ちです!!」
実況の声に応援の女子生徒たちも盛り上がる。
両者は必死の形相で脚を動かす。
「
「頑張れ!!
が、ここに来て疲労のせいか、それとも
しかしそれがいけなかったのか、それとも勝利にかける執念の差か、はたまたスプリガンごっこをしたかったのか、最後の最後に
「ゴール!!! 2着は一条
見事な逆転劇に会場は大盛り上がりである。
「やったぁあ~~~!!」
そんな彼を祝福するかのように集まる人の輪から外れ、1人たたずむ敗者の姿がある。
カウントを省略せずにいれば、ギリギリ逃げ切れたかもしれないメガネである。
「……やれやれ、負けちまったか」
「……キス券、ちょっと欲しかったのにな」
そして彼のようなキャラが言ってはならないセリフが吐かれた。
もし聞かれていたら信用を失い、今後は誰も彼に協力することは無くなっていただろう。参謀キャラとしては失格である。
「……ん? 3着?」
ふと気付いてしまう。
おかしい。確かに自分は
「え、あれ? オレ、2着なの?」
自分たちはトップ争いをしていたはずなのだが。
「いや~、まさかウチのクラスが表彰台を独占するなんてなー」
そこに今回の騒動の発端となった人物の声が響く。
それにしてもなぜ、この人は冬の屋外で半袖なのであろうか。
「ほい、これが商品の“キス券”!」
そう言って手書きで『キス券』と書かれた手のひら大のカードを差し出す先には……
「えっ? 岬?」
「なんでお前が……」
「一条も舞子もお疲れー」
ひらひらと手を振る
「お前、女子の部で走ってたんじゃ……」
「別に両方で走ったらダメってわけじゃないし、それに昨日の先生の言葉を思い出して?」
それじゃあこうしよう。
「理屈の上では
男子の中でではなく、男子の部に参加した者の中でである。
彼女たちであれば男子生徒が相手でも何の問題もなく1位を取れただろう。
「いや、確かに…… じゃあ、オレの頑張りは一体……」
「毎度のことながら、1人で解決しようとするからダメなんだって。ちょっとは周りを頼りなさい」
自分1人で、しかも正攻法で解決しようとするのは、彼の長所でもあり短所でもある。
それでも今回は
危なっかしいのでもう少し確実な手段を模索してほしいところである。
「まあ、一条が頑張ったのはちゃんと届いているけどね」
「え?」
少なくとも
自分たちのために頑張ってくれたこと、そしてあと一歩だったとはいえ十分な結果を残したこと。
2人が惚れ直すのも無理はない。
「それはさておき。先生、コレ」
「え?」
「さあ、キスしてもらいましょうか」
「え?」
まさか自分が対象になるとは思っておらず、一瞬何を言われたのか理解できなかった。
しかし、心配することはない。しっかりと対策は考えてある。
「残ね……」
「キャー!! キョーコせんせーが指名されたわー!!!」
彼女のセリフをかき消すように、周囲の女子生徒たちが一斉に騒ぎ出す。
「い、いや、お前た……」
「それキース、キースッ!」
「キョーコちゃん早くー!」
何かを言おうとするたびに、
気が付けば1-Cだけでなく、他のクラスや学年の生徒たちまで集まってきている。
「あ……」
「キョーコちゃんまだ~?」
「もしかして、できないの~? キョーコちゃんが言いだしたことなのに~?」
「嫌がる私たちに、ホッペにチュッくらいでいいからさって言ってたのに~?」
「当然、キョーコちゃんはもっとすっごい事やるんだよね~?」
ニヤニヤと
いろいろと追いつめられ、彼女の顔が引きつってくるのが見える。
もちろん全部仕込みである。周囲の女子生徒たちはココまで性格は悪くない。
入学当初から醜態を晒してきた担任へ1年の総決算として、また今回は
そしてこれは、まさに彼女の教え子と言うべき
ほとんどの人間は気付いていないがそれでも幾人かはそれを見ており、
人を
だから今回もやり過ぎないよう、事前に計画を立てている。
「まあまあ、みんな落ち着いて」
既に話は通してあるので、
はずだった。
「先生がしないなら、私がするー!」
「あ、じゃあワタシもー!」
「え? ちょっ、予定と違っ」
『好きな
予定ではこの『女の子』の部分を強調し、先生はもう女の子とは呼べないから対象外だったぜHAHAHA、とオチをつけるはずだった。
しかし実際は……
「はいはーい、並んで並んでー」
「せっかくだし、やってみよっか」
「なんか面白そうだから私も……」
暴走を始めた女子生徒を制御できず、ピラニアの群れに食いつかれたかのような惨状である。
いや、ここから三國無双的に吹き飛ばすことはできるし、服を着せた丸太を身代わりに抜け出すこともできるのだが。
策を
彼は計画通りに進めることよりも、その場のノリで楽しむことを優先するタイプなのだ。
「お、おねーちゃーん」
「マイちゃん様、おいたわしや……」
オロオロしている
「………………なんだ、この状況は」
本来だったら
>橘
『
? 『……………………』
ゴボッ ゴボ ゴボボ
楽 「ん?」
ズブッ ズブブ...
楽 「おまえ……昼間のチョコか!?」
楽 「ま、まさかオレに食えと……!?」
チョコ 『……………………』
楽 「ま、またんかいっ!!」
楽 「いくらなんでもおまえみたいに気味悪いモン食えるかっ!!
あきらめ……ろ────っ!?」