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カワイイけど、ヒロインにする必要なかったよね?
・5話の時点で『
その上で何故、絵本作家である母親に話を聞こうという発想に至らなかったのだろうか。
02-01 友達ノート
結局、小野寺は“約束の女の子”じゃなかったんだよな──……
けど、小野寺が“あの子”じゃなかったからといって、オレの想いが変わるわけじゃねー
とにかく今日すぐ小野寺と話して、この誤解をさっさと解こう。
一条
既に手遅れであることを──────
◆
「おめでとー!!!」
「お前ら付き合うことになったんだってな!!」
「末永くお幸せにー!!」
教室に入った
実に手遅れである。
「なっ、なあ……!!?」
あまりのことに
「街で2人がデートしてるのを板野と城ケ崎が目撃してしまったのだよ!!」
一体なんの話だととぼけようとするも、
そんな中、るりは恐る恐る
純粋に彼女を心配してというのもあるが、彼女を慰めるためにこの2日間、大変な目にあったというのもある。
次はもっと凄いことをされてしまうかもしれないという期待もとい不安を感じているのだ。
が、そんな心配をよそに、
彼女には妹がおり、その子がよく甘えて抱き着いていた影響なのか、何かを抱きしめるもしくは抱きしめられていると安心するのだそうだ。
(力の入れ具合から判断すると、一条の事はもう割り切れてるみたい)
(なるほど)
今の彼女は『これ以上は失いたくない』という状態であって、既に失ったことに対しては決着が付いているようだ。
るりは
少なくとも表面上は大丈夫そうだ。
……窓の外に居る、双眼鏡でこちらを見ている白スーツにメガネの男には別の不安を掻き立てられるが。
◆
「なんでこんな事になるのよ……」
「せめてあのメガネを何とか出来りゃな……」
メガネといっても
こちらのメガネも厄介ではあるのだが、今は別のメガネである。
「それはムリ。あーなったクロードは、人の話なんて聞きやしないもの」
屋上で2人きりになった
「……ハァ。これじゃあ、いつまでたっても……」
ベンチに腰掛け、ため息とともに愚痴がこぼれる。
本来の目的、いや願いとも言えるモノを、一向に進められずに落ち込む
「まあでもよ、別に秘密を守れるような
そんな彼女を見て、フォローのつもりで
偶然にもそのセリフは
「たとえ1人でもよ、状況を分かってくれる奴がいればお前だってだいぶ気も楽に……」
「……ああそう。ならあんたはそーすればいいんじゃない?」
彼女の表情の変化に気付くことなく話を続ける彼に、
「……は? なんだよ……」
「うっさいわね! 話しかけないで!」
「ええ!?」
◆
「ということがあってだな」
状況がさっぱり理解できなかった
まあ単に見かけたからついでに声をかけた、とも言えるが。
自分たちの関係については明かせないため『とある秘密』とぼかしたが。
「んー」
「まぁ単純に虫の居所が悪かっただけかもだけど……」
「……と、言うよりかはよ。その秘密とやらを『言える友達がいりゃ苦労しねーよ!!』って事なんじゃねーの?」
そんな戸惑う
『やっぱさー、どっかカベあるんだよねー。避けられてるみたいな』
『金髪美人の帰国子女ってだけで話しかけ辛いけどさ』
『一条君の時と態度全然違うし』
『私たちの事もホントは見下してんのかも……』
桐崎
長く接してきた自分は、彼女のことを知っているつもりだった。
しかしそれ以外の、普段の桐崎
自分の中にうまく情報を落とし込めないまま教室に戻ると、自席に座っている
「岩下さんはポニテの子……テニス部で、活発で明るくて、よく話しかけてきてくれる……」
「鈴木さんは茶髪で園芸部の人。おっとりしてて優しくて、カフェオレが好き……」
「次はきっとこっちから、話しかけてみせる……!」
本当に、自分は桐崎
その姿は、必死に友達を作ろうとしていた昔の自分の姿に重なって見えた。
ふと人の気配を感じた
「なっなななななんであんたがここに!! いつから!!」
席から飛び上がって驚く
対する
「いや、わりぃ。なんつーか……うわ!!まてまて、タンマ!!」
恥ずかしさのあまり、涙目で殴り掛かってきた
「……フン! 何よ、笑いなさいよ!」
ノートを抱きしめ視線を
「仕方ないでしょ……!? こーしなきゃ、みんなの事まだ覚えらんないんだから……
どーやって話しかければいいのか分かんないし……友達の作り方とか、私分かんないんだもん」
家がギャングのせいで、そしてクロードのせいで、こうなってしまったと。
「小さい頃から良くしてくれてるんだけど、知っての通りの過保護でね……
学校行くにもやれ護衛だの、出かけ先でも銃持ってウロウロしたり、しまいにゃ私の交友関係までチェックし始めて……
あいつのせいで、友達作るだけでもどれだけ苦労したか──」
それは聞けば聞くほど、
「──本当は、普通に友達作って、普通の暮らしがしてみたかった。
日本に来れば、みんな私がギャングの娘だって知らないからチャンスだって思った。
でも、やっぱり上手くいかなくて──って、なっなんで私があんたなんかにこんな話!!」
思わず
呆れる、馬鹿にする。そんな彼女の予想に反して、
「オレも作ってたぞ、そのノート」
似た境遇に育った奴って、やっぱ思考も似るのかねぇ。なんて
それは
「オレも親がヤクザってんで、小さいころからクラスや学年が変わるたびに色々言われてな。
悩んでいたのは自分だけじゃない。
相手も同じ悩みを持っていた。
それは共感を生み、お互いが歩み寄るいい切っ掛けになった。
「だから、手伝ってやってもいいぜ? そのノート作るの。
お前は嫌な奴だけど、お前の気持ちは少しは分かるからな」
(本当にクロードさんとやらのせいなんですかねぇ。ご自身の人間性には問題が無かったんですかねぇ)
「マイちゃん、
るりから小声でツッコミが入る。
後ろに居る
「とりあえず、この場から離れましょう」
るりに従いこっそりと移動する。
教室の外から覗いているとはいえこれ以上騒ぐと気付かれるし、またこれ以上聞いていて自分たちの話題が出ると恥ずかしい。出なかったら悲しい。
今日はこのまま2人きりにした方が良いだろう。
教室に置いていた荷物は
というか一気に
どうも
荷物を降ろし、一息つく。
オロオロと当人よりも落ち着きのないるりを
「……やっぱり、一条君と桐崎さんはお似合いのラブラブカップルだったね」
やがて
2人の
分かっていたことではあるが、
その姿があまりにも
「
「一条君は優しいから、桐崎さんのことを優先すると思うよ? そういう人だし、そういう人でいて欲しいし……」
るりの身体をギュッと抱きしめ、彼女は続ける。
「……縁が無かったって、こういうことを言うのかな」
小野寺
問題を表面化させるが解決はできない桐崎
表面化した問題に対して一直線の一条
問題を表面化させずに抱え込む小野寺
また家庭環境についても同様である。
ギャングの娘である桐崎
ヤクザの息子である一条
和菓子屋の娘である小野寺
桐崎
高校入学までに決着を付ければという話もあるが、恐らく上記の違いで長続きしなかっただろう。
後から現れた桐崎
小野寺
「確かに、一条と恋人になるって縁は無かったのかもしれないね」
しかしそれだけではない。
「でもね、友達としての縁はある」
今から2年と少し前に始まり、これから先も続いていくだろう。
そんな縁がしっかりと存在していることを認識させる。
「それに俺とるりちゃんの縁は、
だから大丈夫だと、
「マイちゃん……」
精神的なダメージは初回ほどでは無かったのだろう。
その後は気分を落ち着かせるため蜂蜜入りホットミルクと、お茶請けとしてクッキーを摘まみつつ談笑する。
「それにしても桐崎さん、大丈夫かな?」
ふと先ほどの教室でのやり取りを思い出し、
もはや怨敵とも言える少女の事なぞ放っておけばいいものをと思うも、
「大丈夫だって。一条がどうにかしてくれる」
「どうしてそう思うのよ」
るりが反射的に返してしまうほどに、実にのん気な様子だ。
「一条がドタバタやってるうちに周りが桐崎さんのことを知って、自然と友だちができるよ」
それに、と
「あれだけ『男らしさ』にこだわる一条だよ?
男は、自分の女のためなら何だってできる生き物だからね」
「え? マイちゃん、何でもしてくれるの?」
「
「マイちゃん、私にも」
「はいはい、るりちゃんも分かったから腕をひっぱるんじゃありません」