「で? マイちゃんは何を悩んでるの?」
「うーん、悩むというか何というか……」
るりの言葉に反応し、チラリと
つられて
『ポーラちゃん、それはちょっと盛り過ぎかなー? それだと包めない……2枚目を上に被せても無理だと思うよー?』
「相変わらずのお子様感が……」
「カワイイでしょ? まあ今回の本題はそっちじゃなくて、秦倉先生のほうね」
「
「秦倉先生の本心がどの辺りにあるのかなって。それと、本人が自覚してるのかなって」
「どういう事だ?」
彼女は
嘘ではないだろうが、それだけのために日本にやってきたのだろうか。
恐らく
そのため精神的に追い詰められている様子が見られる、と。
それを考えると、
飛び級する中でわざわざ教員免許を取ったのは、どういう気持ちの表れなのか。
「ねえ一条、いつも皆に頼られる人って、どんな人だと思う?」
「え? ……やっぱり、能力の高い人じゃないのか?」
彼にとっては目の前に居る
「それは『いつも』『皆に』頼られる人? 能力の高い人は誰でも頼られてる?」
「……いや、そうじゃないな」
他にも
「これは個人的な意見なんだけど、『頼まれたときに断らない人』がそうなんじゃないかなって思うんだよね」
頼み事をしたときに一度断られると、次に頼むときにまた断られるのではないかと
場合によっては最初から別の人に頼むようになり、頼りになる人というカテゴリから外してしまうことすらある。
「それが分かってるから、周りから人が離れていくことが怖くて断れないんだよね」
ビジネスの場合でもよくある話で、下請けが無理する理由がここにある。一度断ってしまうと、次から別の会社に発注されて売り上げが落ちてしまうのだ。
「人間には限界があるから、あれもこれもと引き受けていればいつか破綻する。そして一気に人が離れていって、それが深い心の傷になる」
まあ、極端な例だが。
「……無理させないようにすれば大丈夫か?」
「それはそれでストレスになるからやめた方がいいと思う。自分で緩められるようにしないと」
他人に頼られることで自分を保っているような場合、制限をかけるのは逆効果だ。
というわけで根本的な解決を目指す。
「一条君を目当てに学校まで来たんだから、一条君を生贄にすれば良いんじゃない?」
「おい、宮本」
「一条
「橘さんタイプじゃなくて、
「橘さんが2人になったら面白かったのに」
「宮本、お前は他人事だと思って……」
転校してきたばかりの
ただ違うところがあるとすれば……
「どうも、既に線引きがされているような気が」
「線引き?」
普通であれば大勢と仲良くするのは無理があり、結局は気が合う人や友達になりたい人に絞って付き合いを深めていくようになる。この段階に踏み出せたなら自然と頼まれごとに優先順位が付けられ、過度に人に頼られることは無くなるだろう。
学校での
それが現在『ギョーザきょうしつ』に参加しているメンバーである。
どうやらキレイに包めたようで、周囲の人に見せているようだ。
「カワイイでしょ? まあ今回もそっちじゃなくて。
あそこに居るのって一条の『約束』の関係者でしょ?」
「やくそく? ………………やくそく?? …………………………あっ」
そういえばそんな物もあったなと思い出す。
そして言われてみれば、ポーラを除けば『10年前』のメンバーである。
「もしかして、忘れてたの?」
「一条君……」
「いや、だって、最後にその話題が出たのいつだよ!? ここ1年くらい欠片も出てこなかったじゃないか!」
るりの視線に居たたまれなくなった
仲の良い友人たちと遊ぶのが楽しくて、頭の片隅にも残っていませんでしたとは言えない。
そんな主人公にすら忘れられたメインテーマであるが、話のどこかで欠片くらいは出たような気がしないでもない。
「ってちょっと待て、ということはもしかして
「何を今さら」
「教室での橘さんの反応を見てれば、部外者でもそれぐらいの予想は立てられるのに……」
過去の出来事を唯一覚えている橘
秦倉
どう考えても関係者である。
そして実は『
本人がそれを
「昔のように仲良くしたいけど、みんな忘れてるようだしどうしよっか、ってところかな?」
「あなたたち、ちょっと忘れすぎじゃない?」
「それを言われると、返す言葉も無いんだが……」
その意味では昔を覚えていて、さらにイイ反応を返してくれる
「………………このことは、
「教えてないよ」
そう判断した
「…………………………」
いや、昔のようにといっても憶えていないからよく分からないが。
そんな姉のために、弟ができることは……
「…………よし、だったら今日、皆が
他のメンバーも生徒と教師の関係から、もっと親密なものにするため。
一緒になって体力が続く限り遊び倒すのだ。そしてお互いを知ればきっと仲良くなれるはず。
昔のようにではないが、今の自分たちで新しい関係を築くのだ。
そうすれば
「オレたちは『10年前』なんて関係なく仲良くやってんだ、
「おかしいなぁ。カッコいいこと言ってるはずなのに、今一つ納得できない」
「やっぱり『乗り越えた』じゃなくて『忘れてた』のがダメなのかしら」
「……そこは見逃してくれ」
勢いで乗り切ろうと思ったがダメだったようだ。
まあ彼の案は受け入れられたようで、今後について3人で話し合う。
「とはいえ、余計な事しなくても仲良くなれそうだけどね」
「だな」
現在の『ギョーザきょうしつ』でも既に、十分に盛り上がっている。
その表情から
ならば何も考えずに強く当たって、あとは流れで問題ないだろう。
そう結論付けた3人は、彼女たちを優しく見守るのであった。
◆
なお餃子を食べた後、皆でトランプや
初戦で
そういう人を引っ掻き回すのが大好物な彼にターゲットにされた後は段々と余裕を失い、仕舞いには涙目で悲鳴をあげるほどになっていた。
それはもうポーラとギリギリの心理戦を行うほどに追い詰められ、勝利の際には渾身のガッツポーズが出てくるほどであった。
まあ他のメンバーも似たり寄ったりの状態だったので、彼女だけが目立つということは無かったのだが。
「テンパる
とは、某弟の談である。
結局彼らは当初の予定通り体力の続く限り遊び続け、日付が変わる頃には
金関「
金関「やはり先生の話は質が違いますね。教師と生徒というインモラルな関係もあって、他の
横綱「……」
横綱「金関は、本当に秦倉先生が好きなんだねぇ……」
横綱「ただ……、彼女に入れ込むのはほどほどにしとけよ。
教師と生徒の恋愛は
金関「え……?」
横綱「何驚いてんだよ、当たり前のことだろ」
横綱「確かに彼女に惹かれるのはわかる。秦倉先生の
だが先生とのその先の話は、
金関(──どうしてそんな事を言うんだ
今や恋愛の形は多種多様、ボーイミーツガールだけではないのだ!)
金関(私はまだ、