ひとしきり
「そういえば
「私たちはお化け屋敷です!」
「ちなみにお分かりでしょうが、
それに元気よく答える2人はようやく本来の目的を思い出し、営業をかける。
「お、お化け屋敷かぁ~」
それを聞いて2人ほど顔が引きつっている。
言うまでもなく、
2人は怖がりのため、できればお化け屋敷は遠慮したいところである。
しかし妹の、後輩の誘いを断るのも難しく……
「マイちゃんが一緒なら……!」
「そうです、マイちゃん様が一緒なら大丈夫です!」
林間学校の肝試しでも
文化祭の出し物でも大丈夫だろう。
「……あれ? そういえば岬先輩がいませんね」
いつもであれば解説にボケにツッコミにと、かなり出しゃばってくるのだが。
「ああ、岬なら少し前まで設営の方を手伝ってたから、まだ着替えてる最中じゃないかな? もうすぐ終わると思うけど……」
見にいくわけにもいかないので、推測でしかないが。
「ちなみに岬先輩はどんなコスプレなんですか?」
「桃太郎だったな」
「……岬先輩だと、なんか小学生の劇のような感じになりますね」
彼女の好きな和風であるが、どうやら微妙なようだ。
どうも身長が足りないのがお気に召さないらしい。
「マイちゃんなら男塾一号生筆頭とかやりそうだよね」
「あり得るわね」
「いや、確かに先輩も桃太郎だが……」
学ランにサラシ。どちらにせよ体格的に似合わない。
「お、ウワサをすれば…………………………なんで身長が伸びてんだよ」
教室の隅に用意された女子の更衣スペースから出てきた
格好こそ鎧に鉢巻、陣羽織に刀と、基本的な桃太郎の姿ではあるのだが。
普段は自分より頭1つ分は小さいその体格が、今は見上げるような巨躯になっている。
「も、もしや、いや間違いない!」
これには
『
『姉を献上してもかまわぬ! いや私を捧げても良い!』
『武人などという言葉では、物足りぬ!』
『超人にして、軍神!』
神州無敵 桃太郎
「は、
残念ながら
「あ、マイちゃん。あのね、
「え?! 小野寺は岬のこの状態をスルー?!!」
そして
「
そして
何故か目線は真っ直ぐに
「世に“神州無敵の鬼退治”と称される
「うほおお!」
「は、
残念ながら
「マイちゃん様、孤剣での鬼退治。
「……もしかして
「なんと」
そんなお気楽な会話をする
先ほどから気になるキーワードが飛び交っている。
「……鬼退治? ってもしかしてヴァンパイアって……」
視線が自分に向いているのはもしや、とスズメもとい
「さ、さあ、早く行きましょう!? ウチのお化け屋敷は凄いですよ!!」
目的は鬼退治ではなくお化け屋敷だと、それがダメでもせめて自分はただの案内役だと思ってもらわねばと、必死に誘導する。
そんな彼女の頑張りが実を結んだのか、それとも両腕にしがみついている
ちなみにシフトの都合で
◆
薄暗い教室の中。
石畳に下草があるかと思えば、壁に怪しげなお札に赤い手形。
屋外なのか屋内なのかコンセプトの分からない通路が作られている。
まずは定番、糸で吊るしたこんにゃくが左右からいくつも飛来する。
しかし
右腕には
「桃太郎卿、ご無事か!?」
「安泰じゃ」
「綿をつめたぬいぐるみを投げ入れて、
見ればぬいぐるみに糸がからまり、吊るされたこんにゃくはすべて空中に静止している。
今回は無事だったようだが、
「ア゛ァー!!!」
そんな彼らに文字通り次の一手が襲い掛かる。
叫び声と共になんと壁から腕が突き出てきたのだ。
「ご無事か!?」
「押すか引くかしなければ意味は無い。安泰じゃ」
しかし今回も
瞬時にして間合いを見切り、腕の届かない位置に2人を連れて移動している。
とはいえ
ならばと彼は
「桃太郎卿、抜いてくださいまし! 今こそ伝説の
「な、笛とな!?」
ぴょろるるる~~~
周囲に笛の音が木霊すると、獣のような少女が現れる。
「オホ! あれがかの鬼退治
「ねえ、あれってポーラちゃん?」
「はい。耳と手足に尻尾、あとは3本ひげもあります」
るりと共に彼らの後ろについてきている
ちなみにポーラも見た目がいいので、
怖がりなので薄暗い教室の中に居られなかった、というのは関係ないはずである。今も入り口付近で
まあ彼女のカワイイ姿を見て気力を回復した者もいるので、良しとする。
気を取り直して。
お化け屋敷もここからが本番である。
怪物に扮する脅かし役が直接襲い掛かる。
死装束に
「桃太郎卿!?」
「幽体はこちらに物理的な干渉はできぬ」
なるほど、であれば大丈夫かと安堵する。
が、すぐに
「ゾンビは
しかし
「
いつの間にか光り輝く結界が彼を中心に張られており、悪しき魂の侵入を許さない。
それどころか結界の移動に合わせ、彼らは押し退けられてしまう。
「……相変わらず無茶苦茶ですね」
「それがマイちゃんよ、慣れなさい」
あまり
そんなこんなで無事にお化け屋敷を制覇した一行。
ようやく一息ついた
「
「恐れ入り
最後まで
一抹の不安を抱きながら、