「というわけで、やってきました
「…………え?」
3日目の自由行動が始まり、それぞれ宿を出ていく生徒たち。
それに混ざって出発した直後に景色が切り替わり、いつの間にか道路に面した歩道に立っていた。
「…………え?」
「寺はどこだ……って、もしかしてこの階段の上か?」
「うわー……」
「え、何この角度」
慣れている面々は状況把握が早い。
しかし、だからと言ってすべてを受け入れられるわけではない。
「これは、ほとんど垂直では?」
「
「まあ、さすがに目の錯覚だろうけどね」
女性客で賑わう縁結びの神社の入り口が、こんなアグレッシブなはずがない。
そういうわけで垂直に見える階段を登り切った一行を出迎えたのは、立派な鳥居と狛犬に本殿。
「……
「お寺の要素は……?」
何がどう縁結びなのか分からないが、せっかく来たのだからと周囲を見て回る。
そして、こっそりとその輪の中から抜け出る
まあ気付くものは気付いているのだが、気配を感じ取れる距離に居るのならと好きにさせている。
「名前の割には普通だね」
「でも、やけに境内が広くて殺風景ね」
縁結びに興味のない
「あれは何をしようとしているのでしょうか」
「さあ……」
そして彼女は矢をつがえ、足踏みを始める。
そして胴造り、
「やけに堂に入った構えですね」
「
神社の境内で、人に向かって弓を構えるという非常識な行動を取っている
いや、神社の境内でなくとも人に向かって弓を構えるのは非常識だが。
そして
その先には
彼はまだ気づいていない。このままでは確実に当たる。
「もらった!!」
勝利を確信した
「
凄まじい勢いで飛来した鉄球が彼女の真横を通り過ぎる。
そして進路を変えて弧を描いて上昇した後に急降下し、矢を地面に叩き落してしまった。
「さすがはマイちゃん様。弓に対する返礼というわけですか」
「恐るべき伝説の秘技ですね」
まるで
「ちょ、何をするんですか!?」
「それはこっちのセリフなんだけど」
「これは縁結びのアイテムです! 痛いのは一瞬だけで、何も問題ありません!!」
ここ
神主が超強力な縁結びの
「……確かに、そんな《
「でしょう、って、え?」
分かるのかコイツ、とちょっと
今さらである。
「でもさ、じゃあなんで1割に満たないとはいえ失敗してる人が居るんだろうね」
「……え?」
彼女としては9割=スゴイで単純に捉えていたため、そこは疑問に思わなかったのだが。
「そりゃあ、おまじないを理由に弓で射ってくる人はちょっと……」
「しかも無関係な人に当たるかもしれない状況で、ですからねえ」
「それも遠距離から全力でスナイプとか、ケガじゃすまないようなことをするのは……」
「
るりの言葉もそうだが、優しさ代表のような
「伝説の樹の下に呼び出して失敗するって感じだよね」
「…………」
呼び出しに応じた、つまり縁結びの神社に男女で来た時点で成立したも同然だったのに、それでも1割は失敗する。
つまり、その後の行動に問題があって離れていったというわけだ。
「たぶん、あれが正しい使い方なんじゃないかな」
「……え?」
そこには彼女と同じく弓と矢を手にした
ただし両手に持っているものの
「お嬢、カワイイです!」
「真っ赤になって照れながらも、しっかり完遂しているのがポイントですね」
「なんかもう、見てるコッチが恥ずかしいわね」
「
るりと
「………………………………」
「橘さん? ……あ、ダメだこれ、気絶してる」
どうやら現実を直視できず、ブレーカーが落ちたようだ。
「なんかもう、橘さんの
「
「普通なら一途な少女としての魅力になるはずなのに……」
「一条様のことを考慮しないせいで空回りしてますからね……」
もう少し、
もう少し、周りの意見に耳を
「……
事情を知る本田としてはもどかしいものではあるのだが。
助けを必要としていない者を、助けることはできないのだ。
そんなわけで少し想定とは違ったが
「あれ? 橘はどうしたんだ?」
そこに
「じゃあ、改めて食い倒れツアーに出発しようか」
「豆腐のソフトクリーム! 逆さにしても落ちないヤツ!」
「お豆腐なら、とうふまんじゅうも
「湯葉チーズと湯葉クリームコロッケも
「
「本場と言えば、みたらし団子もそうでしたっけ」
「宇治抹茶のわらび餅も食べたいですね」
ごじょうぎぼし
夕食として予約している料亭を含めて、自由行動の時間をフル活用して食べ歩く構えである。
そうなると邪魔になるのが
「じゃあ、こうしよっか」
そう言って
「
念で作られた空間への出入りを可能にする能力である。
オリジナルと違うのは壁や地面を利用する必要はなく、空中に直接穴を開けられるところだろうか。
制約と誓約?
そんなもの、圧倒的な
「この手の能力は、1回見ると大体マネできちまうんだ」
「いや、その1回をどこで見たんだよ」
とりあえずココに
またこの能力は食べ歩きにも便利である。
食べ歩きは『歩きながら食べる』わけではない。店内か、店の前のスペース等を利用するのだ。そのため確実に食べる場所があるとは限らず、この手の能力が非常に役に立つ。皆で手分けして買い込んで、周囲を気にせずゆっくりと食べられるのだ。
お土産を保管しておくのにも使えるし。
「……にしてもこの旅行の間、食べてばっかだな」
帰りの新幹線でも京都駅で買い込んだ特産品をいろいろと食べる予定である。
そりゃあもう分かりやすく、身体をビクッとさせて。
「大丈夫だよ。これからの
別にコストが必須というわけではないのだが、どうせならという感じである。
「だから、いくら食べても問題ないよ」
「マイちゃんっ」
この中で唯一の、普通の少女である。
小野寺は細いんだから、もっと食べたほうがいいんじゃないか。
そんな事を思っていても、
彼は大人しく、