本当にせこい   作:七九六十

63 / 82
12-09 分析

 

 

 

「……まあすでに原因が分かったような気もするけど、続きを見てみようか」

 

 

 

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2位

 

原作:第49話 ホンバン  (単行本6巻)

 

 1年目の文化祭。クラスの出し物で演劇をすることになった(らく)たち。

 しかし主役の小咲(こさき)は本番直前にケガをしてしまう。

 

「冗談じゃない!! 公演中止など考えられるか!!」

「これまでかかった経費にチケットの払い戻し!! どれだけの金が無駄になるか!!」

「しかし、主役の小野寺が亡くなったんだぞ!!」

「なに言っとる!! 元々この舞台でジュリエット役は、桐崎の予定だったんだろう!!

 それを元に戻せばすむことじゃないか」

 

 突然の出来事に混乱する現場。関係者からの怒号が飛び交う。

 

千棘(ちとげ)……」

「できる限りのことをやりましょう」

 

 そんな中、(らく)千棘(ちとげ)に代役を依頼した。

 

「どうです、衣装は? 動きづらくありませんか?」

「いや……」

 

 主役の衣装に身を包んだ千棘(ちとげ)は、衣装係の声に不敵な笑みを浮かべる。

 

「私にピッタリだ」

 

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「るりちゃん、やっぱり私たちが()ったのって……」

「……思ったよりマクベスだったわね」

 

 ロミオとジュリエットである。

 むしろマクベスの方は自分でどうにかしなければと動いた結果なのだから、一緒にしては失礼かもしれない。

 

『どうした桐崎千棘(マクベス)小野寺小咲(わたし)を殺し、シュヤク(王位)を奪ったんだろ?』

『観客に見てもらえ。お前のホンバン(学芸会)を……』

 

「なんだかこれ、終盤の展開でも同じことが言えそうですね」

 

 (つぐみ)もヒロインとして殺された側である。

 ニセコイ本編もロミオとジュリエットを意識して作られたらしいと聞いたが、やはりマクベスのほうがしっくりくるのは気のせいか。

 

「これが千棘(ちとげ)お嬢様の一番人気なエピソード?」

「えー? これはお姉ちゃんが……」

 

 物語的にはターニングポイントとも言えるので、重要なエピソードではあるのだが。

 千棘(ちとげ)がヒロインとして輝いたエピソードという意味では、もっと他に選ぶべきものがあったのではと思ってしまう。

 

「ケンカをしていた2人が、仲直りをして主演を務めて大団円。要素だけ並べると良いエピソードなんだけどね」

 

 そのケンカの理由というのがまた何とも。これでは千棘(ちとげ)が情緒不安定過ぎではないだろうか。

 

 またそのせいでクラスの空気は悪くなるし、そもそも練習には『自分は関係ないから』と参加せず本番の主役だけ盗っていく。しかも千棘(ちとげ)から小咲(こさき)へのフォローは一切なし。

 

 ちょっと見せ方が悪かったせいで、むしろ千棘(ちとげ)に対するマイナスだったような気がしたのだが。

 千棘(ちとげ)が自分から小咲(こさき)のピンチを救うために、とかだと彼女の株も上がっただろうに。

 

 まあその結果、以下のようになったわけで。

 

 

 

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本当にせこい:第6話 エンゲキ

 

 スーパージュリエット大戦Z ~この世(クラス)で一番強いヤツ~

 

  ※尺の都合で上映はカットされました。

 

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「えー?」

「えー?」

 

 これまた現場を見ていなかった1年生組には、理解できない流れである。

 

「いやー、前振りでマクベスやったら満足しちゃって」

 

 マイナーな作品のネタを上手く組み込めて、自己満足ではあるのだがすごく達成感に満ちてしまったのだ。

 なのでこの後は蛇足になると思い、バッサリ切り捨てる判断と相成ったという。

 

「お嬢と一条様の仲が良ければ、何の問題も無く主役を務めて終わりですからね」

 

 事故もなければ乱入も無い、普通の劇だからまあいっか、って。

 

「普通の劇、だったかな?」

「そもそもあれは劇だったのかしら?」

 

 細かいところは気にしてはいけない。

 

 

 

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3位

 

原作:第115話 アンシン  (単行本13巻)

 

 るりと曾祖父のエピソード。

 今年で100を迎える曾祖父から『死ぬ前に一度でいいから彼氏を見たい』と言われ、適当にクラス名簿から選んだ(らく)と、何故かついてきた(しゅう)と共に帰省する。

 最初は適当に恋人のフリをしてお茶を濁そうとしていたが……

 

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「……う~ん、ベタだけど良い話なのに」

「こう、節々で引っ掛かって、入り込めないというか」

 

 1年生組には今一つのようだ。

 

「この話の一条君って、しっかりと主人公してるよね」

 

 小咲(こさき)の言う通り、珍しくラブコメ主人公に相応しい行動を取っているのだ。タイトルである『ニセコイ』を別の人と行うというのも良い演出である。普段からこの調子なら、もっと人気が出たと思われる。

 

 しかしその分、もう一方のヒドさが際立ってしまうのだが。

 

「なんで盗撮キャラって人気あるんだろうね」

「まさか覗きどころか、入浴中に押しかけるとかあり得ないわ」

「主人公が気を利かせて席を外したのに、脇役が最後まで立ち聞きってどうなんですかね?」

 

 こういう事が許され、結婚相手が居ることすら知らない程度の付き合いしかない元担任への恋のエピソードが絶賛される。

 読者からは人気があり、二次創作でも優遇される彼の扱いが悪いのも、ココが不人気な原因の1つなのだろう。

 誰だって、自分の好きなキャラの扱いが悪いのは嫌なのだ。

 

 まあそれはともかく、もう少し見せ方が違えば良いエピソードだったのにという印象であった。

 

 

 

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本当にせこい:第5話 ウソツキ

 

 このイベントは中学生のときに消化済みでした。

 

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「マイちゃんと小咲(こさき)との3人で、中1の夏に遊びに行ったのよね」

 

 仲の良い友達ができたから自慢しに行った、というのもあるが。当時は双子の出産前後で母親が実家に帰っており、るりだけでは家に居ても生活できなかったという理由もある。

 

「そういえばお姉ちゃんたち、夏休みに3人で旅行してたような……」

 

 私も行きたかったのに、と(はる)は抗議するが、中学受験のため塾に通っていたのでどうしようもない。

 

「まあこういう後出しジャンケンは二次創作の特権だよね」

「醍醐味でもありますね」

 

 このイベントは高校2年の夏である必要は無いのだ。

 

「上手く視線を逸らそうとしてるけど、結局カットされた……」

「ポーラちゃん、このお菓子も美味しいよ~?」

 

 余計なことに気付いたポーラの(くち)は、小咲(こさき)によって(ふさ)がれたのだった。

 

 

 

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4位

 

原作:第98話 オハヨウ  (単行本11巻)

 

 中学時代の小野寺小咲(こさき)と一条(らく)の物語。

 珍しく小咲(こさき)視点で語られる、高校受験を舞台にした2人の関係。

 割と人気のキャラ『落書きになった小野寺』が登場する回でもある。

 公立高校の合格発表が行われる3月上旬に大雪が降っていることと、

 寮に居るはずの(はる)が自宅に居ることを除けば、実にまっとうなラブコメ回である。

 

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「え? お姉ちゃんが、一条先輩、え?」

「そーいえば、そんなこともあったねー」

 

 混乱する(はる)とは対照的に、昔を懐かしむ余裕のある小咲(こさき)

 実は彼女、以前は(らく)のことが好きだったのである。

 

「なんでマイちゃん様じゃなくて、一条(らく)だったの?」

「小野寺様、私もそれ気になります」

「え、なんでって…………………………あれ?」

 

 ポーラからしてみれば小咲(こさき)と一番仲が良いと思う異性は舞斗(まいと)である。

 (らく)も仲が良いほうではあるが、はっきりと分かるくらいには差がある。

 

 (つぐみ)にしても、小咲(こさき)(らく)に恋していたというのは理解できないのだ。

 転校してきた高校1年の時点でそんな素振りは欠片も無かったからだ。

 

 なのでこの疑問が湧いてきたのだが、当の本人の様子がおかしい。

 

「………………なんでだっけ?」

「私に聞かれても分からないわよ」

 

 るりも付き合いは長いが、理由までは聞いた事が無いため分かるはずもない。

 

 

 

 とまあ本人にも忘れられているが、これは小さい頃の初恋の影響である。

 初恋の男の子とは似ても似つかない舞斗(まいと)よりも、当時の面影のある(らく)に惹かれたのだ。

 

 それに加えて舞斗(まいと)は絶対に自分から離れないという安心感に甘えて、友人以上の関係に進むことを考えていなかったというのもある。

 

 その考えの危険性を自覚した高校1年の春、彼女は大きく変わってしまったのだが。

 

 

 

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本当にせこい:

 

唐揚「横綱、とりあえず今は小咲(こさき)の事を祝福しましょう」

 

『おお……! あれは清楚系大好き力士の大包平(おおかねひら)関……小咲(こさき)推しだ!』

 

以前(いちご100%)は東城を推してましたね』

 

唐揚「これから彼女には志望校合格という」

 

横綱「第98話オハヨウ(その話)はカットされたぞ」

 

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「え? なんでお相撲さん?」

 

 (はる)の疑問はもっともだが、ラブコメではよくあることである。

 

「良い話だったのに、これもカットされちゃったの?」

小咲(こさき)ちゃんの成績に何の問題も無かったせいで、ドラマ性も無くなっちゃって」

 

 ポーラは学年が違うため知らないが、小咲(こさき)の学力は原作と違って学年で10位以内に入るレベルなのだ。

 

「それもこれも、マイちゃんとるりちゃんのお陰です」

「原作を見る限り、私だけじゃダメだったようだけどね」

「あれは期間の問題じゃないですか? 受験勉強を始めたのがどう見ても3年の秋頃ですよね?」

 

 中学に入ってすぐの中間テストではこれまでの小学校のテストと違い、明確に学年内での順位が付けられる。新しくできた友人2人に比べて文字通り桁が違うほどの差があった小咲(こさき)が危機感を覚え、2人を頼ったのだ。なので基礎からじっくりと時間をかけて指導できたために、結果としてこれだけの差が出たのである。

 

 るりもついでに舞斗(まいと)の指導を受け、あまり力を入れていなかった理系科目でもしっかり点数が取れるようになった結果、成績がさらに良くなっていたりもする。

 

 

 

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5位

 

原作:第57話 キヅイテ  (単行本7巻)

 

 扉絵の小咲(こさき)ちゃんがカワイイ。

 

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「そうじゃないでしょ」

「いや、るりちゃん、これは大事だよ?」

「お姉ちゃんカワイイ!」

 

 本当にカワイイ。

 

「なんで扉絵と本編に関連が無いんだろうね?」

「1コマも登場していないキャラのときもありますからね」

「……あれ? 私ってもしかして、単独の扉絵って無い?」

 

 ポーラは単独どころか、全員集合な見開きのときにも居ない事がある。

 やはりヒロイン枠には入れなかったからであろう。左右対称(シンメトリー)の呪いである。

 おのれ森谷帝二。

 

 

 

 

 

 さて気を取り直してもう一度。

 

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5位

 

原作:第57話 キヅイテ  (単行本7巻)

 

 とある冬の日の千棘(ちとげ)(らく)のやり取り。

 クラスメートに勧められたリップを塗って(らく)にアピールするも、スルーされた千棘(ちとげ)

 ならばと今度はシャンプーを変えて再チャレンジするも、それでもダメ。

 

 それでもめげずに手を変え品を変え、チャレンジを重ねるも(ことごと)く失敗し。

 最終的には(らく)に対して直接変化点を聞くという強硬策に出るが……

 

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千棘(ちとげ)ちゃんカワイイ!」

「お嬢、カワイイです!」

「え、この2人、これで付き合ってないの?」

「どう見てもカップルのやり取りよね」

 

 千棘(ちとげ)の姿にテンションが高い小咲(こさき)(つぐみ)に対して、バカップルの姿に冷静になってしまったポーラとるり。

 

「王道をしっかりとキャラに落とし込めてるし、ホントに良い話だよね」

 

 何だかんだと(らく)にアピールすることに躊躇(ためら)いが無くなった千棘(ちとげ)

 鈍感主人公かと思えば、押さえるところはしっかりと押さえて主人公している(らく)

 そして何より他のキャラを(おとし)めるような表現も無い。

 

 正直、千棘(ちとげ)のエピソードとしては2位のホンバンよりも良い出来なのではなかろうか。

 

「扉絵も含めて、所々に出てくるお姉ちゃんがカワイイんだけど」

 

 この落ち着くというか、癒されるカワイさは何なのか。

 (はる)が注目するのはいつもの所である。

 

 

 

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本当にせこい:

 

 

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「……え? こっちでは何も無いんですか?」

「お相撲さんも触れてないのね」

「これは本当に導入部分も、内容の一部すら何処にも無いんだよね」

 

 話の流れに組み込めるネタも無かったので、完全にスルーしてました。

 

「良いエピソードと言っておきながら、この扱いとか」

「まあ、お嬢以外がヒロインだと拾う意味のないエピソードですからねえ」

「るりちゃんもつぐみちゃんも、何気に1コマも出てないんだよね」

 

 エピソードとして完成し過ぎているため、二次創作で扱う必要が無いとも言う。

 

 

 

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