本当にせこい   作:七九六十

64 / 82
12-10 結論

 

 

 

 というわけで上位5つを確認したのだが。

 

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まとめ:

 

1位 オネガイ:前話までの導入の一部だけで、この話には触れていない

2位 ホンバン:前話までの導入の一部だけで、この話には触れていない

3位 アンシン:要素の極一部だけ、別の話に使用した

4位 オハヨウ:要素の極一部だけ、別の話に使用した

5位 キヅイテ:完全にスルー

 

※ここまでで 3578/5879票(約60%)

 

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「1つもまともに扱ってないじゃないですか」

「やっぱりコレ、『ニセコイ』の二次創作として見られてない可能性が?」

 

 人気が出ないどころか読まれることすらないのも納得の結果である。

 本当にどうしたものか。

 

「マイちゃん様、逆に原作を踏襲しているモノは無いんですか?」

「うーん、8位のオトマリとか?」

「144話の温泉旅館でバイトする話ね」

 

 単行本17巻である。

 

「私とマイちゃんと(はる)の3人で行った……ってあれ? 原作は私と一条君なの?」

「そこまで違うと、踏襲したと言っていいんですかね?」

 

 珍しく連続エピソードを全話押さえているのでセーフなはず。前後編でも全話である。

 

「その次だと13位のヤクソクだね。記念すべき第1話の」

 

 この2つ以外はここまですべてカットしているという恐ろしい事実もある。

 

「見返してみると、第1話はしっかりと原作を踏襲してるのね」

「マイちゃん様の影響をまったく受けていない状態のお嬢が主役なので、ほぼ変化が無かったからですね」

「一条君も他人に対する態度ってあんまり変わってないから、ほとんど原作通りだよね」

 

 主役2人以外は小咲(こさき)も含めて全員が傍観者だったため、何の変化も生まれなかったのだ。

 

「というかココを原作通りにしちゃったせいで、その後のプロットを全部作り直したんだよね」

 

 当初の予定では、調理実習までの『主役たちはそのままで、脇のほうで小咲(こさき)とオリキャラが(たわむ)れている』というノリで行くつもりだったのだ。

 しかしコミック片手にいざ文章に起こしてみると、これがまた辛くて。

 

 読むのが苦痛で読み飛ばしていた部分を、描写したり展開を考えるために読み込まないといけない。

 更にはそれを文章として、自分の手で入力しないといけない。

 

 そんな拷問に耐えきれなかったために、(つぐみ)の立ち位置を変え、千棘(ちとげ)にテコ入れを行ったのだ。

 

「あれ? つぐみちゃんって私たちと同じネタ要員じゃなかったの?」

「当初の予定では橘さんと同じ空回り要員だったんだよ」

「わーお。危ないところだったんですね」

「でも原作の(つぐみ)ちゃんって、そっち寄りよね? 今一つヒロインになれなかった感じで」

 

 ちなみに万里花(まりか)に関しては、まだ読んでいても大丈夫だったりする。

 自分本位なせいで周りに迷惑をかけるところはあるが、『一条(らく)を手に入れるため』という目的がはっきりしていることもあって、分かりやすい悪意だったからであろう。

 

 人を傷つけるための悪意、無自覚の悪意。

 この2つを描写するのは思っていたより精神的に辛かったのだ。

 

「そういう意味では(はる)ちゃんも大きく扱いを変えたんだよ」

「私もですか?」

 

 彼女も原作と同じ感じを出そうと思っていたが、無理だと判断したのだ。あの思考回路のトレースはちょっとできなかった。

 

「初登場時のマイちゃんとの対立が、遊びじゃなくて本気だった感じ?」

「宮本様が一条様に語っていた『小野寺(はる)』という人物像が、冗談では無かった感じですか」

「え、その場合って、私はどうなっていたんですか?」

 

 小咲(こさき)という障害が無い状態で一条(らく)に惚れたら、というのを予定していたのだが。

 『姉のために、いやでも今回だけは』という行動が無くなるので多少マイルドになるが、それでも原作の思い込みが激しい姿を描写するのが嫌になったのだ。

 

「一条先輩を好きになって……って、どうやってですか?」

「それが思いつかなくて。原作はちょっと強引過ぎて理解できなかったから、上手く文章化できなかったんだよね」

 

 ラブコメだから、と言ってしまえばそれまでであるが。

 よく分からなかったから(らく)との恋愛描写はカットしよう、そこまで行くならいっそネタ要員(こちら)に引き込もう、と変遷したのだ。

 

「マイちゃん様、私は?」

「ポーラちゃんは今と同じかな」

 

 彼女は1年生組へのツッコミ役としての配役を考えていた。なので最初のプロットからそれほど変化はしていない。

 とは言え、(はる)とセットでここまで子供っぽくなるとは思っていなかったのだが。

 

 プロットは大事だが、今作はそれ以前の部分で失敗が多かったと反省するところである。

 

「むしろ、こんな状態でよくここまで書けたわね」

「原作だともう19巻の終わりだよね」

「予定ではあと2章でしたっけ? 残りの巻数的に、また大量のカットになりそうですが」

 

 るりが感心よりも(あき)れが多分に含まれた声を上げる。

 完結するだけマシということで許してほしい。

 

「どうしても、ラストを上書きしたかったんだよ」

 

 なぜ今さらニセコイを原作に、二次創作を書いたのか。

 それは読み終えた後のやるせなさを消したかったのだ。だから書き上げる事は必須なのだ。

 

「マイちゃん様がそこまで言うとなると……」

「最後の、だけじゃないけど、小咲(こさき)ちゃんの扱いが気に入らなくて」

「え? お姉ちゃんの?」

 

 第1話の、いやむしろ設定の段階で結末は分かっていた。

 だから小咲(こさき)が結ばれなかったことについては問題ない。

 

 しかし、この扱いは無いだろうと。

 

 

 

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理想:

 

横綱「……きたか、この時が」

 

横綱「小咲(こさき)ちゃん。万里花(まりか)ちゃん。今回は残念だった。

   だがね。出会いもあれば別れもある。恋愛とはそういうものだ」

 

横綱「確かに彼女たちは(らく)君と結ばれる事はなかった。しかし」

 

横綱「この作品を通して一番成長したのは間違いなく彼女たちであったと私は思っている。

   君たちはここで終わりではない。

   (らく)君との『ホンモノのコイ』の経験は、きっと次に繋がってくれる事だろう」

 

横綱「……だから、私は待ってるよ」

 

横綱「『感謝』や『応援』ではない、『本当の嬉し涙』が流れる時をね……」

 

 

 

 

横綱「……さて。少々辛気臭くなってしまったな」

 

 

 

横綱「今私がすべき事は2人が託した『想い』を(ちから)()()()事」

 

横綱「躊躇(ためら)うな。悔やむな。私は力士だ」

 

横綱「流した涙も笑顔も抱きしめて進む!」

 

横綱「それが横綱だ!!」

 

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「なんか当然のようにお相撲さんが……」

「しかも何だかカッコイイのがまた……」

 

 力士がカッコいいのは当然である。

 だからその頂点に立つ横綱がカッコいいのも当然である。

 

「選ばれるのは1人だけ。だからといって選ばれなかった人が不幸になるのは違いますもんね」

「みんなで2人を祝福して終わり、ってなりたいよね」

 

 ラブコメもので万人が納得する終わり方というのは難しい。

 特にヒロインの人気が分散していたり、メインヒロインよりも人気のキャラが居たりした場合は。

 そんな場合はむしろ、結果を出さずにうやむやにして終わった方がまだ傷が浅いのかもしれない。

 

 しかしこの作品(ニセコイ)は、結果をはっきりと示すことで終わりを迎えたのだ。

 その描写が納得できるものでなければ、不満も湧くというものである。

 

「さて、現実を直視しようか……」

「……結果だけみれば理想に近いのに、なんでこうも後味が悪いのかしらね」

 

 全編を通してそうだったのだから、ある意味一貫しているとも言える。

 

 

 

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現実:

 

 私は未知の世界へ旅に出た

 

 私は無限の地でドラゴンを倒す

 

 私は王になり 全ては(ゼロ)になった

 

 私は死を選ぶ 知る限り無限に近い場所で

 

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「……あれ? 私って、最終回でまともに顔が出てこないの?」

「半分だけですね……」

「あとはウェディングケーキのオマケって感じね……」

 

 全3回の人気投票で1位・1位・2位というキャラに対してこの扱いである。

 

「何気に(はる)も? 雑誌の中では描かれてるけど、手抜き感があるわね」

「ポーラさんはハッキリ大きく描かれてるね……」

 

 各キャラのリレー形式で、割り当てがおおよそ1ページだというのは分かる。

 が、それほど人気のあるキャラでもない元担任にページを割いていないで、顔を隠すほどのセリフをもっと分散させるか削ったりして、それぞれの成長した姿をしっかり見せろと。

 最終巻のカバー裏の集合写真も、ヒロイン枠の(ユイ)を差し置いて元担任を中央に配置するのは何故かと。

 原作者にとってそこまでお気に入りのキャラだったのだろうか。

 

 そして問題はまだある。

 

「何気に、小咲(こさき)ちゃんだけ独りなんだよね」

 

 相方だったり子供だったり、職場の人だったり。

 それぞれに合わせた人とセットで描かれている中で、彼女だけが独りなのだ。

 

「……レフラ博士、じゃなくて小咲(こさき)は、すべてを失ったの?」

「るりちゃんとの友情も含めて、ね」

 

 これはどちらが悪いというものではない。

 終盤ではそれぞれ自分の恋に忙しく、お互いを見ていなかったのだ。

 ラブコメの相棒キャラとしては珍しい使われ方だが、サブキャラ同士でくっつくのはよくある流れである。

 

 結果として小咲(こさき)は何も手にする事が無く、ただ失っただけという結末を迎えたのだ。

 

 小咲(こさき)のような良い子がこんな目にあっていいはずがない。

 だからどうしても上書きしたかったのだ。

 

 かつて一条(らく)は絵本に『まほうの』という文字を加えて結末を書き換えた。

 ならば読者が原作に『まほうつかい』というキャラを加えて結末を書き換えてもいいではないか。

 今度こそお姫様がハッピーエンドを迎えるのだ。

 

 

 

 そしてもう一人。

 

「もしかして、初期プロットの話で私に対して言及が無かったのって……」

「この展開を見ちゃうと、るりちゃんも離れていくならいっそ、ってのは初期構想にはあったね」

 

 ただ、それにはどうしても違和感があったのだ。

 

 そこからもう一度原作を読み直して思う。

 これだけ流されやすい子が、中学の3年間ずっと一緒だったのに影響を受けないのは不自然ではないか?

 そんな考えが浮かんだ時に彼女の運命は決まったのだ。

 

 ようこそネタ要員の世界へ。

 

「なるほど。確かに宮本様が原作そのままの可能性は無いですからね」

「え、待って。私ってそんなに流されやすいって思われてるの?」

「そりゃあ……」

「ねえ……」

 

 (つぐみ)どころか1年生組も同意している状況に、るりは少し納得がいかない。

 

「るりちゃん」

 

 そんな彼女を小咲(こさき)は抱きしめる。

 その声は、身体は、少し震えている。

 るりがもし原作のままだったなら、小咲(こさき)は彼女を失っていたのだ。

 

「私は、るりちゃんと一緒に居れて、うれしいよ」

小咲(こさき)……」

 

 それは、るりとて同様である。

 小咲(こさき)を独りにしてまで手に入れたいモノなど無いのだ。

 

 彼女の身体をギュッと抱きしめ返しながら、これからもずっと一緒に居られることを願うのだった。

 

 

 

 

 

(……ねえ、マイちゃん様)

(今のお姉ちゃん、流されやすいって部分を否定してませんよね?)

(むしろ肯定してるけど、るりちゃんに言っちゃダメだからね?)

 

 彼女たちが幸せならば、それでいいのだ。

 

 

 






第168話ツウジタ(クリスマスのやつ) 読了後


 ゴッ ゴッ

『な……何だ?』

『え……小関(おぜき)!?』

 ゴッ


童子「おう。みんなに言うことあるんとちゃうか」

部長「……」

部長「はい……」

部長「昨日はすみませんでした……
   『小咲(こさき)エンドこそがニセコイの千秋楽だ』なんて言って……」



部長「ニセコイ6巻(エピソード人気2位)、読み返してきました……
   俺はやっぱり……千棘(ちとげ)を推すためにこの作品を読んでるんだ……!」



童子「……」

童子「海外行きが確定した千棘(ちとげ)を推す……
   それがどういう意味か……覚悟は出来とるんやろうな」

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