厄介ごとの一部と最大の懸念事項が片付き、ストレスが大幅に軽減された一条
その後も
「こいつがお前の次の任務の
名は、一条
「私ではお嬢を直接お守りすることができない。
だが私が育てた優秀な部下であるお前ならば、あんのクソガキ(以下割愛)の魔の手から、お嬢を救い出すことができるだろう」
新たな試練が迫っていた。
◆
「よーしお前ら、突然だが今日は転校生を紹介するぞー」
「初めまして。
当日になって急に広まった、美男子の転校生が来るというウワサ。
その期待に
目にかかる長さの前髪を左側に流したアシンメトリー具合が、ただの
制服が間に合わなかったのだろう、指定の学ランではなくボタンのないブレザーに短いネクタイ、なぜか太ももにボタンのあるスラックス姿である。
……腰パンにしても下げ過ぎではないだろうか。
「つぐみ!?」
「お久しぶりですお嬢ー!!」
転校生がまさかの身内だったことに驚き、思わず立ち上がって声を出してしまう
そしてその姿を認めるや否や、飛びついて抱きしめてしまう
その姿に教室からは先ほどとは別種の歓声が上がる。
「何何!? どういう展開!?」
「これって一条君にまさかのライバル登場ってこと!?」
「修羅場!? 修羅場なの!?」
「……でもこれって、一条に勝ち目無いんじゃね?」
「うん、完全に顔で負けてるし」
「ああ、勝負にならん」
「バッ、バカ!! 何やってんのよ、みんなの前で!!」
「ああ、お嬢!! お会いしとうございました!!」
引き
その視界に気になるものが映る。
「
ひらひらと手を振る
今日は何の変哲もないセーラー服姿だ。というか毎日セーラー服姿だ。
「あれ? マイちゃん様?」
「え、何よその珍妙な呼び方は」
自分が日本語の細かいニュアンスを分かっていないだけかとも思いつつ、いやそれでもおかしいとツッコむ
「
それだとおもしろくないからって提案してみたら、これが定着しちゃって」
いや、だからって……と
「以前、ちょっとした縁がありまして仲良くなりました。任務でも助けていただいたことがありまして」
ねー、と笑いあう、2人の微笑ましい光景が返ってくるばかりであった。
「そ、そうなの……仲良く、任務でも──────ん?」
微かな頭痛を覚えつつも何とか飲み込もうとする
任務でも? ということはつまり?
「!?!!!」
気付いてからは早かった。
2人の手を取り教室を飛び出る。
その勢いは引かれる
◆
「大丈夫ですか? お嬢」
いつもより体力の消耗が激しいのは精神的な動揺のせいであろうか。
それとも、引っ張っていたのが2人だと思っていたら実は、
「えーっと、その……」
気を取り直して
『
確認したいのはたったそれだけなのだが、この一言で折角できた友人を失うかもしれないのだ。
そう思うと体が
「
「ええ、そうですよ。お嬢のそばにつくことになりました」
「ボディーガード的な?」
「お嬢向けの建前としては『一緒に学校に通うことによって見聞を広める』なんてことになってますが、その役目もありますね」
私の葛藤をどうしてくれるのかと言いたい。
つぐみはそれ私に聞かせちゃっていいのと言いたい。
というかアナタはそんなキャラじゃなかったでしょと言いたい。
すんごく言いたい。
実家の事を知っていてなお受け入れてくれた、嬉しさと安堵で
「桐崎さんの実家の事なら、一条の絡みで2人にも多少は教えてあるよ。
一条のおかげで受け入れやすかったってのもあるだろうから、あんまり彼を責めないであげてね?」
あのバカもやしのせいかと表情に出てしまったのだろう、苦笑されてしまった。
幼馴染である
普段よりも少し大人しくなった
「子供が仲良くなるのに、親の職業ってのはほとんど関係しないんだよ。何年たっても相手の親の事を一切知らない、なんてこともよくあるし」
まあそんな事を言いつつも
自分だけならいざ知らず、普通の女子中学生が自己責任で踏み込むには重い話題だったからだ。
彼女たちを危険から遠ざけるためにも、事前に伝えておく必要があったのだ。
そしてその上で問うた。
この先何があっても2人を守るから、それを踏まえて一条
その時の回答があって、今の関係があるのだ。
「ただ、関係が壊れる原因にはなりうるんだよね。例えば実家の商売敵で、その子と仲良くすると親の機嫌が悪くなる、とかね。
でもそれだって、そんなことより友達のほうが大事だって関係を築けていれば、どうにでもなるよ」
「だから桐崎さんも、2人とそんな関係を築いていこうね?」
彼にとって、桐崎
そんな面倒な人間をわざわざ相手にする義理はないのだが、
であれば説教染みた事を
その結果として
そういった覚悟を持って、彼は
「……うん」
しかしそんな
普段の
これは
そもそも第一印象がマイナスで、何をするにも身構えてしまう
さらに言えば、このとき
『仲良くなったクラスメート』から『実家の事を知っても離れなかったお友達』へ。
そして『
身長だけ見れば、頭上のリボンを含めずとも
よく分からない人間関係になってきたものである。