・林間学校編。何故か男女で同室。
・今回の肝試しのような、
03-01 林間学校 導入
「~♪」
明日から2泊3日で行われる林間学校。
仲のいい友達が出来て充実した学校生活を送り、また彼女たちのアドバイスにより
彼女は今、毎日が楽しくて仕方が無かった。
「他に何持ってこうかな~」
鼻歌交じりにクローゼットを開くと、お約束のように中身があふれ出てきて彼女を襲う。
「いたた……ん?」
その中にひときわ目を引くモノがあった。
それは彼女が5歳の時に書いた日記帳のようであった。
「……でもなんで日本語で書いてあるんだろ」
日本語自体は両親に習っていたため、書くことはできただろう。
しかし、わざわざ日本語を使った理由は?
もしかしたらこの時の自分は日本に居たのだろうか───────
◆
翌土曜日。
「おや?
何か考え事でもしていたのか、集合場所では上の空だった彼女がバスに乗り込み、
そわそわとして落ち着かず、チラチラと
以前とは違い最近の2人の関係は良好で、それどころかふとした拍子に身体が接触すると
その変化があった前日に『
本人たちが
「実は昨日、昔の日記を読み返していたようで……」
「ふむ」
そこから導き出した結論としては、日記を読んで当時の心情がよみがえり、今の気持ちと合わさって整理できていないのでは、というものだった。
「
「
一つ前の座席にいる
思わず『
◆
「よーし、みんなよく聞けよー!」
担任の号令によって最初のイベントである飯盒炊さん、カレー作りが始まる。
料理というキーワードに反応し、すぐさま
「まーまー、慌てない慌てない」
「い、いやでも、桐崎に任せるとトンでもねーめに!」
生命の危機だと騒ぐ彼を、一休み一休みと落ち着いた様子の
「
例えば調理実習の時に薄力粉90gを用意しようとして、計りの上で袋をいきなり逆さまにしていたこと。
これは90gの薄力粉がどのような見た目になるのか、袋の傾きによってどのくらいの勢いで出てくるのかという知識が足りない状態で、『計りの上に粉が山盛りになっていて、針が90gを指している』というゴールに向かった結果だ。
フライパンが火柱を上げたのも、コンロの火力に対する知識、何がどのように燃えるのかという知識が足りない状態で、『確かこんな感じでやっていたはず』という漠然としたイメージに沿って実行した結果である。
だから、視覚的にどうなるのか、手に加える力は実際にはどのくらいなのか、というのを一つ一つ体験して学ぶ必要があるのだ。
「
この手のタイプは一度感覚を掴むと成長が早い。
無論その先にはそれを理屈として落とし込まないと超えられない壁というものが待っているが、そのレベルが必要になるのは極々限られた人間だけである。
「それに、多少の失敗は楽しもうよ。『あのときのカレー、不味かったよな』って笑えるような思い出って、こういうときにしか作れないものだしさ」
「………………そうか。そう、だよな」
心に余裕を持って、何事も楽しむのが吉である。
「よし、じゃあオレたちはこっちをやるか」
「だね」
自分たちは飯盒の準備を始める。
どんなにおいしいカレーが出来ても、ご飯がダメなら台無しになる。
また逆に、多少カレーが不味くとも、ご飯が良ければなんとかなる。少なくとも腹は膨れる。腹が膨れれば心も満たされる。
そんな大事な作業に、自分たちは集中するのだ。
「……………………いろいろと、ありがとな」
「ん?」
「いや、最近、だけじゃないけど、世話になってばっかだなって」
『ラブラブカップル』を演ずるのに、2人きりでいる必要はない。
言われてみれば当たり前だが、まさに目から鱗だった。
世の中にはグループデートというものがあるんだから、
何か言われたら、大勢の中で2人の世界を作れるからこそ、ラブラブカップルなんだと言い返してやればいい。
屁理屈ではあるが、そう言われて随分楽になったのも確かである。
余裕ができたことで落ち着いて桐崎
『いや進めちゃダメじゃん! オレには小野寺がーっ! いやでも
という新しい葛藤が生まれてしまったが。
「問題への対処としては一条の考え方のほうが正しい時もあるから、参考程度にね? 物事に正面から向き合うそのやり方、俺は好きだし」
そういう意味ではないと分かっていても、カワイイ子から好きだといわれて再び鼓動が跳ね上がる。
これ以上悩みを増やさないで欲しい。
「……それにしても、薪から上がる炎って、なんでこんなにカッコいいんだろうな」
「ずっと見てられるよね」
彼らは決して、サボっているわけではない。
◆
「おお~! ここが今日オレたちの泊まる部屋か~!」
「舞子君は違うでしょ」
「帰れ」
「いやぁるりちゃんも誠士郎ちゃんも手厳しー!」
各班ごとに割り当てられた部屋に荷物を運びこむ一同。
林間学校なのだから『○○青少年自然の家』とかいう系列ホテルと思いきや、旅館の立派な和室が用意されていた。
「いや~
「いてーよ、つつくな」
テンション高く
この班は
というのも事前の班決めにおいて、まず
そして表向き『ラブラブカップル』なので一緒じゃないのは不自然だろうと、
ちなみに
そしてそのときに何食わぬ顔をして混ざってきたのが
当初は
「さ~てどうする? まだ自由時間あるし、せっかくだからトランプでもやんない?」
「だから、自分の班に戻りなさいよ」
先ほどるりに仕掛けたイジリが不発だったのは残念だが、彼はそれをおくびにも出さずに続ける。
「普通にやってもつまんねぇし、負けた奴は罰ゲームってのはどーよ? 負けた人は自分のスリーサイッ?!」
「……まあ、
満面の笑みで自分の欲望を
「夕食の直前に目が覚めるよう、調整しておいたから」
「さすがはマイちゃん様です」
パチパチと拍手する
別にセクハラ発言が悪いわけではない。いや社会的には悪いのだが。
それだけなら
ただ違うのは、
まあ要は、同族嫌悪の末に強いほうが生き残った。ただそれだけの話である。
「せっかくだし、トランプやろっか」
「
そんな中で平然とトランプを取り出す
とはいえ彼女としても、みんなで仲良くトランプを楽しむことに異論なぞ欠片も無いのだが。