究極の魔法に至る為!   作:ケツアゴ

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何かを召喚する魔法

「ふむ。これは少々厄介な事になりそうだ」

 

 執務室にてデミウルゴスが眺めているのは古い売買記録。ギーシュが売るだけ売った挙句に竜王らしき鎧にプレイヤーと間違われる事となった指輪のリストなのだが、ヘジンマールが助手になってから付け出した記録の一部が隠し拠点の掃除の際に見付かったからと追加で提出されたのだ。

 

 店舗を構えて売った訳ではないので何処の誰に売ったのか詳細に記されている訳ではないものの、魔法の内容はそれ程懸念する事もない、買った者も趣味で集めたであろう内容なのだが、一つだけ目を止めた項目があった。

 

「憤怒の魔将を召喚した魔法を売るとは……」

 

 それは指輪の材料となった高位の悪魔を運良く召喚出来た魔法。基本的に本人より弱い存在しか召喚不可能であり、格上は超低確率な上にMPの消耗も激しい。

 だが、召喚した対象が死ぬか術者が送り返す以外で消える事は無く、低確率とは起こる可能性がゼロではないという事だ。

 

 既に同じ魔法を込めた指輪は提出されており、魔法で調べた結果、悪魔なら魔将クラスが限界だとは分かったものの、今後の計画において横槍が入る可能性がある以上は警戒をしておく必要はある。

 何かを召喚する魔法である以上、高位の天使が召喚されては相性的に悪い者もナザリックには多い。何故あの頭で売ってはならない物かどうかを理解出来ないのかが理解出来なかった。

 

「指輪の探索と回収も行わなくてはね。幸い、ナザリックの維持費は例の魔法でギリギリ稼げている。あとは強化と彼の魔法に依存しない為の基盤作りだが……」

 

 悪逆非道とされる行為を使えば容易になるものの、アインズから創造主の悪の美学を教えられた事でそれは許されない。

 無辜の民を踏み躙る事なくナザリックの目的を果たす。難易度は高いが士気は高い。何せ至高の四十一人は今まさに戦っている最中であろうからだ。

 

「流石は至高の御方々。この世界に召喚される前から前兆を感じ取って行動していたとは」

 

 時期がバラバラに転移したギルド拠点。単独で転移したであろうプレイヤー。そして姿を消した四十人。転移の日に姿を見せて何処かに去ったヘロヘロ達数名。

 点と点が線で繋がった。全てはナザリック大墳墓を転移させようとする者に対抗する為、一度ギルドを離れてでも各地各時代で埋伏の時を過ごす策だった。

 

 守護者にそれを伝えられなかったのは理外の方法での監視を警戒してであり、モモンガが何も知らないかの言動を行ったのも敵の目を欺く為であり、もしかするとギーシュの様に異常な才能を持ち情報を持つ者の存在さえ把握して自分を誘導したのではないかとすら思えてくる。

 

 それは敵が有する情報収取能力が非常に厄介な規模であり、自分達では力不足だと判断されて伝えられていないという事だ。

 

 故にモモンガに直接確かめる事はせず、アルベドだけに情報共有する際も遠回しに言葉を選んで行った。途中から意図を察した際に酷く狼狽していたのが心配であるが、守護者統括なら大丈夫だろうと信じている。

 

 

「さて、信頼を得る為にも仕事に励まねばなりませんね。しかし……」

 

 アルベドからは動揺以外に後悔や自己嫌悪さえ感じられた。自分以上に自らの無力を責めている姿には仲間として何かするべきだろうと考えつつも会談の時間が迫るのを思い出したデミウルゴスは玉座の間へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

アヒャヒャヒャ! ウププププ! ヒーッヒッヒッヒッ!

 

「ちょっと先生!? ナザリックの方が来ているんですから自重して下さいって!?」

 

 鋭い尻尾(レイザーエッジ)の集落に響く奇声。そしてブリッジ状態で激しく動き回る音。新魔法を思い付いたギーシュの普段の奇行に数度見ているリザードマン達は慣れた様子で普通に過ごし、親は子供の目をそっと覆う。

 それをヘジンマールが追い掛けるもデブとはいえレベルアップを重ねたドラゴンが追い付けない速度に土煙が上がる中、そんな奇行など事前知識無しだったのか何が起きているのか気になったらしくコキュートスの付き添いであるエントマが顔を覗かせた。

 

「何やってるのぉ?」

 

「先生の何時もの発作です。魔法を思い付くとこうなって」

 

「ふぅん……」

 

 ギーシュは二十代後半、金髪のそれなりに顔が整った青年ではあるがエントマにとっては人間は食事。ナザリックへの貢献度が凄いとは聞いているので手を出す気は無いのだが、変な動き程度で動じる事もなく聞いただけで興味は無さそうだ。

 

 仮面の様な顔の両眼で地面をブリッジで駆け回る姿で左右に追っていると何事もなかったかの様に起き上がった。

 

 

「よし。強さの限度と今の強さを調べる魔法が完成だ」

 

「普通魔法の開発って研究と実験を重ねてする物ですよね?」

 

「研究はしているだろう? あとは検証を繰り返して魔法の調査と修正をしなくては」

 

 強さの限度と聞いてエントマの頭を過ったのはレベルだ。どうもこの世界の者達はレベルが低く、そもそもレベルという物を認識していないとプレアデスの会議の途中で聞いたのを何となく覚えている。

 その時は新鮮な男の腕を食べるのに夢中だったから詳しくは覚えていないのだが。

 

「ヘジンマールは……限界値五十で現在は四十だな。まあ、私の作った魔法を覚えればその分限界値が増えるのだが」

 

「うん? ねえ、今凄い事言わなかったぁ? レベルの限界値を底上げするとかぁ」

 

「私のタレントが影響しているのだが……話していなかったか? 話してなかったな。あっ、でもデミウルゴスには伝えていたぞ? 作る魔法に関わるタレントがある事と、私の魔法を覚えれば強くなれると」

 

「それ、ちゃんと伝わってないと思いますぅ……」

 

 取り敢えずデミウルゴスに報告しよう。頭痛を堪えるヘジンマールの姿を見ながら判断するエントマであった。

 

 

『デミウルゴス 100(MAX100)』

 

「む? おかしいな。ヘジンマールやリザードマンの場合は限界値と今の数値が表示されたのだが。『40/50(MAX100)』といった感じで」

 

 長いので相手の強さを調べる魔法に名前を変えて試しに使ってみた結果に首を傾げるギーシュ。エントマからの報告をデミウルゴス伝いに聞いて馳せ参じたアインズも興味深そうに顎に手を当てていた。

 

「ほぅ。やはりNPCとそれ以外の違いか? 興味深いが……」

 

 MAX100という事は自分がこれ以上レベルアップするのは難しいのかと考えつつギーシュへと視線を向ける。地べたに正座させられ、デイバーノックとヘジンマールが膝の上に石を乗せていた。

 

「本当にすいません! この馬鹿、伝えた気になっていただけなんです!」

 

「頭の良い馬鹿なので悪気は本当に御座いません。ただ、マトモな会話能力が無いだけなんです!」

 

「あ、うん。デミウルゴスも自分の過失も大きいと言っていたし、伝えていた事は確かだからな。今までの貢献を考慮したらこの程度で怒ったりはしないから安心しろ」

 

 左右から伸びた手が強引に頭を下げさせるのを見ながらアインズは少し引いていた。

 

 

 

 

 

「それよりもタレントについて詳しく教えてくれるだろうか?」




これで聖王国編も書けるな
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