究極の魔法に至る為!   作:ケツアゴ

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社会に適合する魔法(存在しない)

「配下の中で最強とは聞いていたけれど凄かったな……」

 

 瞬殺、その一言が最も相応しい光景を目にした俺は思わず呟いた。勿論俺やデイバーノックさんや先生だってあの程度の質と量なら倒せるけれど、シャルさんみたいにはいかない。

 怖っ!? 攻撃の範囲と威力と速度が桁違いなんですけれど!?

 

 被害はゼロ、追加の天使が投入される様子もない。召喚した人が遠くに居るなら対応が遅れるんだろうけれど、どうも妙だ。確かに天使を召喚するのには不自然さは無いけれど、聖王国の戦力を考えたら警備に気軽に投入出来ないのも混ざっていた筈。

 それに包囲の仕方だけれど……。

 

「何処かに追い立てる作戦だった?」

 

 そう、あの包囲網には穴があった。召喚モンスターだから臨機応変に動けず命令を聞いていただけの可能性もあるけれど、誘導する作戦だったと考えれば……。

 

「多分そうだろう。そして待ち伏せして殲滅するという作戦では無い」

 

「何でそんな事が分かるでありんす?」

 

「地上に大規模な移動の痕跡が見えたのでな」

 

 えっと、目を凝らして….…。

 

 相変わらず視力の弱い目を凝らして地上を見ればドラゴンの視力が上空からでも地上の様子を捉える。大規模な群れが無秩序に通った、そんな印象だ。転んだ奴を気にせずに踏み越えて兎に角前へ前へと急いだ痕跡。

 確か向かう先には街があった筈。追い立てるにしては……あれ?

 

「確かフォースからの報告で法国には現在戦力の余裕が無いってあった筈じゃ……」

 

 魔法で作られた子達の中では一番幼いけれど初期の能力は最強だ。

 

「聖王国にも然程余裕は無かったな。英雄級は居れども一人は女王、徒に戦線には出られん。あの猪騎士が馬鹿な判断をして馬鹿を晒そうとしても妹が止めるだろうが……さて」

 

 あれは多分亜人が種族問わずに追い立てられたんだろう。でも、それだけの事が可能な規模の戦力の持ち主が何の目的で?

 

「シャルティアさん。ナザリックが聖王国に攻撃を仕掛けるとか聞いてます?」

 

「いえ、聞いてないでありんすね。……失態を起こした私に教えていないだけかも知れないけれど」

 

「あー、でも流石に此処までの規模なら教えるんじゃないですか?」

 

つまりは別の誰かによる大規模な攻撃なのか? 聖王国を滅ぼすとして、その次は? いや、滅ぼす目的とも限らないか。

 

 此処は重要だぞ。先生はレメディオスに腕を斬られた事を虫に刺された程度にしか思ってないけれど、普通は恨むから助けに行っても信用されないし、そもそも理由が無い。

 

 デイバーノックさんはアンデッドだし、俺はこれでもドラゴンだし、先生は先生だし。それでも聖王国が瓦解した場合に周辺に出る被害を考えれば黙ってはいられないのか何やら考えているし。

 

 

 

 

 

 

「フォースって誰だっけか?」

 

「先生の魔法で作ったガゼフと俺の父上の間の娘です。言ってて何回凄く変な気分だな!? あの子、俺の異父妹!? それとも異母妹!?」

 

 どっちもオッサンなんだから凄く嫌な響きだね! フォースは良い子なのに!

 

「ああ、丸投げしたから忘れてた」

 

 本当に先生は先生だな!?

 

 平然と言い切る先生にデイバーノックさんも呆れ顔で、シャルティアさんも少し引いてるよ……。

 

 普段からこんなのかって? はい、こんなのです。

 

 

 

 

 

 

「報酬で貰ってイチャイチャしている吸血鬼のあの子の名前、生まれるのが妹だった場合に付ける予定だった名前にしようとしてたんですが、何でだと思います?」

 

「想いを引き継ぐとかでありんす?」

 

 そう、それが普通なんだ。幼い頃に両親と一緒に考えた妹の名前。それを恋人にした相手の名前にしようとするなんて思い出を背負うとかそんな事を考えるのが普通だ。

 

 問題は先生は普通じゃないって事。

 

「考えるのに使った時間が勿体無いからだそうです」

 

「イチャイチャしてるのに?」

 

「イチャイチャしてるのにです」

 

「うわぁ……」

 

 ほら、こんなに強いアンデッドでさえ引くとかどうなってるのさ、この人の人間性!? ……今更だけれども。

 

 

 

 

 

 

 

 

「取り敢えず放置で良いだろう。別に聖王国の民が何人死んでも構わないし関係無い」

 

 王都までの道中、亜人の大群が迫った割には被害が出なかった。あくまで群れの規模に比べて、だけれども。砦の警備兵も必死に応戦したし、長年亜人と戦って来ただけあって守りの硬さは流石だ。

 流石だった……かな。

 

 天使達に追われて住処も物資も失った先に見つけた仮の住まいとなる場所と取り敢えず腹を満たす為の食糧達。結果、強引に破られた門から入った亜人達によって兵士達はご飯になって、ついでに弱い種族も足りない食糧となった。

 

 俺の一族もドワーフから奪った土地に住んで別の種族を支配下に置いてたし、弱肉強食が世の摂理とは思うんだけれど。他の群れの話みたいな感じで。

 

 

 

 

 

「待て待て。民の生死については同意だが、このまま国が滅びるか指導者が変われば少々厄介な事になるだろう」

 

 意外な事に聖王国を見捨てる事に待ったを掛けたのはデイバーノックさんだった。アンデッドなのに何処か頭痛を堪える様子なのは普段通りだけれど、此処であの猪騎士と関わるリスクを上回るメリットが直ぐには思い付かない。

 まさか人が見捨てられないってのは有り得ないって本人が言っているし……。

 

「忘れたか、ヘジンマール。我と貴様はアンデッドとドラゴン、弱き人間からすれば恐ろしき怪物だ。それが平然と街に出入りするのは信用があるからで、それは定期的に竜王国をビーストマンから守っている事にあるが、聖王国も聖女王から偶に依頼があって令状がギルドや王国経由で渡されるからこそ好き勝手に動けているのだろうが」

 

「あっ!」

 

 交渉の類って基本的にデイバーノックさんがやっていたけれど、普通は従えている人間がやる物であって支配下のアンデッドがしないよな。支配下って設定だけだ。

 

 

 

 

「そういや先生って手の施しようが無い社会不適合者だった。それも能力が高いせいで分かる人には警戒されるタイプの!」

 

「社会に適応出来るのなら冒険者じゃなくて堅気の仕事をしているが? 冒険者なんて目的があって取り敢えずの身分で欲する以外は社会の落伍者か未知への浪漫を追い求める者くらいだろう」

 

 この人、犯罪組織にさえ関わりたくないって思われる人だからな。そんなだからこそ俺やデイバーノックさんと一緒に行動してくれるんだけれど。

 

 

 

 

「そもそも社会に適合する必要ってあるのか?」

 

「あるに決まってるじゃないですか」

 

「あるだろ」

 

「あるに決まってるでありんす」

 

 

 さて、あの猪騎士団長と会わない事を願いつつ街で情報集中しないと。




多分クレマンティーヌの方が社会に適応可能
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