究極の魔法に至る為!   作:ケツアゴ

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回復効果を伝播させる魔法

「あっ……。変じ……ハートレスの皆さん」

 

「変人で良いぞ。此奴にはそれで十分だ」

 

 どうも逼迫した状態だし街で騒ぎを起こさずに聞き込みをするにはどうしたら良いか迷っていたのだが、丁度良いタイミングで一人の少女と出会えた。これはギーシュめの信仰心の賜物か?

 

 ははは、有り得んな。信仰という対価で信仰系魔法を買っている程度の認識の者に神の加護などある筈もなかろうて。

 

 此方を強く睨んでいる様に見える少女の名は確かネイア・バラハ。本人の話術の無さか特定条件を満たしていないのかは分からぬが面白いタレントを持っているから記憶に残っている。

 

 デミウルゴス殿にも伝えたが興味深そうにしていたな。

 

「初対面で睨んで来るなんて喧嘩を売っているという認識で良いでありんすね?」

 

「ひぇ!?」

 

 あっ、懸念事項が起きた。父親とも会ったから分かったが、普通は睨んでいると思われて仕方の無い目付きだからな。この者もある意味では組織に適合出来ぬタイプだ。

 シャルティア殿に睨まれて腰が引けている辺り、殺気には敏感か。

 

 普段なら別に構わないが、此処は助け舟を出すとしようか。

 

「誤解なさらぬ様に。あの目付きは生まれ付きの物だ。それよりも今は話を聞くべきかと提案しよう」

 

「……えっと、その方は新しいメンバーの方ですか?」

 

 少し不満は残るものの矛を収めてくれたシャルティア殿の姿に安心したのか未だ怯えを見せながらもネイアは落ち着いた様子だ。

 しかし、従者の小娘が単独で街の外で行動する辺り斥候として使われているのか?

 

 我が口止めしたが、あのタレントについてギーシュのアホが口を滑らせていた場合、政治的に利用されるか危険視されて消されていただろうから発覚していないのだろう。

 

 此方のそんな思考など知る由もせずにシャルティア殿がアンデッドだとは気が付かずに気にしている様だ。美少女に分類されるのもあって変人とその仲間に加わっているのが気になったか。

 

「残念ながらメンバーではないのだよ。研究に興味を持って自由にさせてくれる出資者が見付かってな。その御方に使える者の一人だ」

 

「ええ!? 変人に自由に研究を……あっ、失礼しました。従者のネイア・バラハと申します。あ、あの! それでもしや今回は助力に来て下さったのですか!」

 

 少し食い気味に詰め寄る勢いのネイアを手で制する。シャルティア殿は人間を見下す上に気位が高く短絡的だ。少し不愉快に思っただけで情報源を殺されては堪らん。

 

「いや、今回は別件で寄らせてもらった時に亜人の群れの移動の痕跡と……天使の姿を確認してな。話を聞かせてもらえるか?」

 

「え? 天使……ですか?」

 

 む? 天使共が動いているのを知らない?

 

「気にするな。ああ、任務の最中だったならば気にせずとも良いぞ。ヘジンマールと共に飛んで来たが周囲に亜人の隠れ潜む様子は無かった。それよりも信仰系魔法の使い手が必要なのではないか?」

 

 ネイアの様子からして亜人の大規模進行に天使が関与しているのは知らない……或いは知らされていないのだろうが、一体何者の仕業なのだ?

 

 戦力不足の法国に世界の均衡を上から目線で保とうとする竜王達、知りうる中で可能そうな連中を頭の中で浮かべてみるが即座に否定して終わる。

 

「あっ! 確かにギーシュさんって高位の回復魔法の使い手でした!」

 

 高位の魔法の使い手、か。確かに第五位階ともなれば超越者に片足を踏み込んだ者の領域だ。法国にさえ多くは居ないであろうが、ナザリックの圧倒的な実力者達の事を知った後ではな。

 

 ギーシュの奴めはそれでも天才の領域にいるが、我も精進せねば。その近道が奴の作った魔法の会得というのは癪ではあるが。

 

 それよりも今は情報を得ねばならず、目の前の少女は此方への敵意は感じられない。それは知り合ったのが怪我した彼女をギーシュが治療した事が切っ掛けであるからだろう。

 故に情報を少しは得たが危険な任務を押し付けられる捨て駒その一程度が持つ情報ではな。

 

 

 

 

 

 ローブル聖王国が首都ホバンズ。本来なら使役されている存在(という建前)でもアンデッドの我が平然と入れる場所ではないのだが、今は少しばかり事情が違う。

 

 アベリオン丘陵と人間の生活圏を隔てる城壁の破壊、それが全ての始まりだった。半ば恐慌状態にさえ見える亜人の大挙に身構えた時に空の彼方から飛来した光の一撃。

 それによって開いた穴から押し寄せた亜人は各地に散らばって北側の戦力だけでは避難誘導も防衛もままならない。

 そもそも城壁の生き残りが発見されたのも奇跡に近く、完全に対応が後手に回ってしまっているのだ。

 

 当然、兵にも民にも怪我人は多い。体の部位を失った者を助けるには下位の魔法ではどうにもならず、かといって騎士団長の妹や聖女王の様な第四位階以上の使い手でも手が足りない。

 次元を越えた強さでなければ個の力など限界があるという事だ。

 

 

「回復効果を伝播させる魔法」

 

 その様な怪我人が集められ、長い布を被せたり糸で結ぶなど一筆書きで結べる状態にした者達の前にギーシュが立ち、何も感じていない目で怪我人を見ながら一つ目の魔法を唱える。

 

大治癒(ヒール)

 

「貴様がそこまで使えるのは本当に理不尽だな」

 

 続けて唱えたのは第六位階、超越者とされる領域の魔法だ。失われた四肢も病気さえも癒し、万全の状態へと戻す魔法。

 それが対象と繋がる部分を通して全体へと伝わっていく。

 

 実質的にたった一度の魔法で大勢を救ったが、普通に信仰心を持つ者からすれば理不尽ではないか? いや、六大神と同類の存在と直接取引をして現在進行形で直属の部下を護衛に付けられているのではあるけれど。

 

「魔法効果広域化とは少し違い、面倒な手間が掛かるけれど範囲の広さは桁違い。本当に人間性と社会適応力以外は凄い奴でありんすね」

 

 それは超越者を超越したナザリックの者でも同じ感想らしい。彼女の場合、第六位階程度ではなく開発した魔法への関心ではあるが。

 

 レメディオスには嫌われているが聖王国での活動中は作った魔法で貢献した為かある程度の信頼は能力に限ってされているらしく、集められた怪我人は数百人に及ぶ。

 当然ながらかなりの広さに集められたが、見る限りでは全員癒したな。

 

 そして惜しい。基本的に計画性も無いし、我と出会った時は屍姦用の死体を運んでいた時だった等と性癖も終わっているぞ。

 

「勿体無いですが、人間として終わってなければ俺達との出会いも無いんですよ、シャ……イニング・ウィザードさん」

 

 尚、髪と仮面以外にも偽装としてシャルティア殿にはアインズ様より偽名が授けられている。

 

 

 

 

 

「今のは第六位階魔法……。既にその領域まで至っていましたか。我が国の民をお救い下さった事、感謝致します」

 

 おや、誰かと思いきや聖女王自らお出ましか。あの姉妹は居ない様だが……。

 

 

 

 

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