究極の魔法に至る為!   作:ケツアゴ

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死体を小さくする魔法

「やれやれ、リザードマンの件が進行中だというのに。こんな時にはアンデッドの睡眠も食事も不要な身体が有難くなるな」

 

 コキュートスと鋭利な尻尾(レイザー・エッジ)との作戦会議が順調に進む中、これで外部からの学びの大切さが少しは伝わるだろうと安堵したアインズの下にデミウルゴスより報告が入る。

 

 例の召喚魔法を込めた指輪が所持者らしき死体と共に見付かったが、既に高位の天使が召喚されているらしい、と。

 

 その報告に内心では少し焦るアインズではあったが表面上は冷静さを演じて冗談めかした言い方まで混ぜる。実際は大男になる魔法で食感を楽しみつつのお茶と茶菓子を味わっている最中であった。

 何故かアルベドが辞退した味覚共有役争奪戦に勝利したマーレがアインズに合わせて紅茶や茶菓子を食べる中、手を止めたアインズは報告書をペラペラと捲る。

 

 文章を書く魔法によって短時間で纏められた聖王国を取り巻く状況について暫し考え、死体についての部分で視線を止める。

 

「この死体は蘇生可能なのだな? 予想ではこの死体こそが天使を使って亜人を動かしたとの事だが、蘇生させて召喚した天使……後から大量に召喚された事からかなり上位の個体だろうが、それを帰還させれば良いのではないか?」

 

「その事についてなのですが実験の過程で敵対したモンスターに召喚させてから蘇生させた所、死んだ時点で繋がりが切れてしまったらしく、送還も命令も不可能なまま最後の命令のまま動き続けたの事です」

 

「ならば死体を蘇生させて情報だけ仕入れるか。……予想通りだとすれば政敵を追い詰める為に民を犠牲にする貴族との事だが心底不愉快な話だ。ギルドの誰もが気に入らんだろうな」

 

 南と北の政治的対立、そして北側に位置するカルカが力を持つ側にのみ被害が出ている事から今回の出来事の裏側を予想したが、再現された母親と言葉を交わしたアインズには非常に不愉快な話であった。

 それを聞いた守護者達もアインズ達が不愉快になる真似をしたらしい貴族に腹を立てる中、アインズの目に止まったのは死体の残りのパーツをどうやって集めたかだが……。

 

 

「例の探し物の魔法で死体のパーツまで見付けるとはな。ユグドラシルにも特定の物を探す魔法はあったが何でも有りか……」

 

 この短期間に色々な意味で驚かされた魔法の製作者に絶句しつつ、今後の方針を考える。聖王国を放置するのも手の内だが、流石に国一つが滅びれば周辺に大きな影響が出る。

 天使を呼び出した貴族の方針として亜人で被害を出した後で天使を引き連れ国を救う、そんな所だと予想しつつ介入した際のメリットデメリットを天秤に掛けた。

 

「竜王との敵対を視野に入れた場合、厄介な要因が多いからな……」

 

 デミウルゴスからの報告で竜王が持つかもしれない評議国以外の戦力についての会話の内容を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

「八欲王の配下が動かない理由か。確かに気になるね」

 

 それは報告の際に交わされた雑談の中、八欲王の拠点では未だ三十人の管理者が内部を守っているという伝承についてだった。ギーシュはこれをナザリックの守護者や六大神の眷属と同じ存在だと分析、その上で今の行動について幾らかの推察をする。

 

「六大神の眷属が暴れ出したのは拠点が崩壊してから。血を引く者が居るにも関わらず自暴自棄の末とは考えられない。つまり……」

 

「拠点の崩壊が理性に干渉したと考えて良いだろうね。拠点を守る為に生み出された存在が拠点を失うことが存在を揺るがす矛盾に繋がったと。だとすれば八欲王の配下が大人しくしているのが気になるが.…」

 

「大人しくせざるを得ないのでは? 流石に拠点を守れと言われたからと主人が死んでも報復にすら出ようとしないのは有り得ないだろう。竜王が始末しに掛からないのも余力の問題か、利用価値があるのか……」

 

 同士討ちもあったとはいえ主人を抹殺した竜王を放置して拠点を守り続けるという行動に対し、デミウルゴスは共感と疑念の二つを抱いていた。復讐を諦めせめて主人が作り出した場所を守ろうとしているのか、それとも主人の血を引く者かギルド武器でも竜王の手の内にあるのか。

 

 前者の場合、ナザリックと竜王の戦いを好機と見て余計な横槍を入れて来るだろうし、後者なら竜王との戦いの最中にナザリックを強襲される可能性もある。

 

 

「ああ、分かっているとも。敵の強さは最悪を想定しNPCは全員レベル百……お前やアルベド並みの知謀の持ち主が居ると想定しなくてはな」

 

 

 当然アインズならこの結論に辿り着いていると判断したデミウルゴスに相談されたアインズは精神抑制が何度も働きながらも冷静さを演じてみせる。

 

 

「確か例の吸血鬼らしき冒険者、エントマやコキュートスにとって厄介な効果を持つ魔法の使い手が関わっているらしい十三英雄はギルド拠点らしき空中都市からアイテムを持ち出せたとか。NPCについて何か知っているかも知れませんね」

 

「つまり八欲王のNPCと繋がっている可能性もあるのか。竜王との繋がりも考えれば下手に此方から接触するよりもギーシュ……達に話を聞き出してもらった方が安全だな」

 

「はっ! デイバーノックかヘジンマールに依頼しておきましょう」

 

 この時、アインズとデミウルゴスの中にギーシュに聞き出してもらうという選択肢は存在しなかった。アインズは言葉を濁したがデミウルゴスは濁さない。

 

 

 

 

 

 

 

「恐らく法国がシャルティアを洗脳したのだろう。経緯は分からぬが確定次第代償は払わせる。だが、ワールドアイテムの使い手が居るなど利用価値は高い。連中は人類の味方になってくれる神が欲しいのだろう? 例えば見ず知らずの村を悪党から守ってくれる様な」

 

「アインズ様、それでは……」

 

「ああ、英雄の真似事でもしてみようじゃないか。至急、亜人と召喚された天使について調査せよ。セバスにもポーションを大量に購入する様に命じておけ。支援物資は必要だからな」

 

 幸いな事にアインズ達が稼いだ金は全て必要経費以外に注ぎ込める。あくまで計画の為と口にしつつも、たっち・みーが憧れていたヒーローの様だと心弾むアインズであった。

 

 

 

 

 

 

 

「我等は書物を読んで来るが程々にな?」

 

「一応人様の家なんですからね?」

 

「今侍らせている個体よりも色気がある様な……くぅ! 絶対に手出しするなと厳命されてさえいなければ!」

 

 アインズが聖王国への介入を決めた日の夜、小さくして連れ込んだ吸血鬼の花嫁(ヴァンパイア・ブライド)と楽しもうとしていた。アンデッドなら数の制限があるけれど元に戻すのは自由だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

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