究極の魔法に至る為!   作:ケツアゴ

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続・ 言葉遣いが丁寧に聞こえる魔法

「我が国への支援をしたいという人物が?」

 

 レメディオス一行が帰還する二日前、ギーシュが面会を求めた事で内心胸が弾む気分なのを必死に顔に出すまいとするカルカ。南の貴族の手により……は真偽不明だが、亜人によって各地の村や砦が占拠され、撃退した所も決して少ないとは言えない被害が出ている今、女王が恋愛に現を抜かすのは如何なものかと教育係だった乳母に嗜められ、何とか清らかな聖王女としての仮面を保つ。

 

 そんな中で告げられたのは困窮する聖王国の現状を見兼ねて援助を持ち出した者が居るとの言葉だった。無論、政治の世界で生きているカルカは手放しで喜び受け入れる事はしない。

 普通に考えて事後に恩を理由に何かを請求するのではと、そう考えていた。

 

「私も是非とも聖王国の為、何よりもカルカ様のお役に立ちたいと思い、支援者に直訴したのです」

 

「わ、私の為に!?」

 

 だが、此処で普段は使わない丁寧な口調(魔法によるもの)と自分を思っての行動との言葉(脚本・デミウルゴス)によってカルカの聖女王としての仮面にヒビが入る。

 

「カルカ様。先ずは受け入れるか会議で決めてからにすべきでは?」

 

 それでも横から部下に嗜められればヒビが広がるのは一時停止だ。一時の感情に流されて国に不利益を齎すべきではないと冷静になり、毅然とした態度を取るべくギーシュを見据える。

 

 

「是非とも私にカルカ様の憂に満ちた顔を晴らすお手伝いをさせては頂けませんか?」

 

「はうっ!?」

 

 会心の一撃! デミウルゴスの脚本と演技指示を完全にこなしたギーシュの言葉はカルカの仮面など簡単に打ち砕く。言葉に合わせて表情の指示をされた彼は平然とその表情を浮かべてみせた。

 

「先ずは此方をお受け取り下さい。断られてもせめてこれだけは、と支援者が用意した物です」

 

 玉座の間への転移がされ、兵達が咄嗟に警戒する中で出て来たデイバーノックの横には巨大な木箱の山。一番上の蓋を外せばポーションが入っている。

 

 

「市場に出回っている物の中で評判が良い物を取り敢えず五百個。其方が支援を引き受けるなら避難民によって起きている食糧不足の支援もするとの事だが、受け入れずともこれは受け取って欲しいとの事だ」

 

 運ばれて来た重症者はギーシュによって治療が行われたが、今後の占領された土地を奪還する為の行軍においてポーションは必要不可欠だ。更に食糧の提供もあるとなれば受け入れないという選択肢は無い

 

 どの道、他国への支援要請も行わなければならず、既に使いの者を出してはいるが向こうの用意も考えれば何時になるか。

 

 

「……その支援者のお名前は?」

 

「アインズ・ウール・ゴウン。遥か遠方の地よりやって来た強大な魔力系の魔法詠唱者です」

 

 そして時は進み、レメディオスが蹴り飛ばされた場面まで時間は進む。

 

 

「おや? 何か揉め事の様だな。これはいけない。家を失い不安に苛まれる民草が更に怯えてしまうな」

 

「アインズ殿。見るからに揉め事の様だが……」

 

 仮面で素顔を隠したアインズらしい男は少々大袈裟な反応を示すのだが、その横に立つ同じく仮面とフードで姿を隠したイビルアイは状況を察して少し呆れ気味……そして気疲れした様子だ。

 

 鎧の一部が壊れた女騎士が悶絶し、その正面にはナース服でドレッドヘアーのシャルティアの姿。その背後にギーシュが居るので何かやらかしたのは彼だと察して溜め息を吐き出す。

 

「イビルアイさん。別にアインズと呼んでも良いのですよ?」

 

「其方は依頼者だからな。それに例の作戦に変人が協力するのも依頼を受ける条件な以上は呼び捨てには出来まい」

 

「それは残念。私としても高名な冒険者とは懇意にしたかったのですが……おや?」

 

 背後にマーレを従え、予め金貨を消費して召喚したドラゴンを従えたアインズは釣れない態度のイビルアイの態度に大袈裟な身振りで肩を竦めて見せていたが、視界の先でレメディオスが剣を抜いて立ち上がった事で言葉を止めた。

 

「この国の騎士団の方ですね? 初めまして。私は……」

 

「何者だ、貴様! 怪しい奴め。連行するから大人しくしろっ!」

 

 名乗ろうとしたのを遮っての怒声にアインズもイビルアイもレメディオスがどの様な人物なのか聞いていても軽く面食らう。亜人が国の各地に散らばって対応に追われている事から余裕を無くすのは理解するものの、これが騎士を纏め上げる者が王都のど真ん中、治療所の直ぐ近くで取るべき態度なのかと驚きを隠せない。

 

 それでも仮面にフードの二人がダークエルフの少女(少年)とドラゴンを引き連れて見慣れぬ魔法で現れた。言い掛かりに近い理由で元凶のギーシュに襲い掛かった所に手酷い反撃を受けたのだから仕方が無いのだが、剣を抜いて一触即発の状況に周囲の民が騒めく中、頭痛を堪えながらレメディオスを嗜める声が掛かった。

 

 

「姉様、事前に使いの者から話があったでしょう。変人……ハートレス殿の支援者が聖王国に援助を申し出たと。信仰の問題で顔を隠していると聞いた筈ですが?」

 

「……あの男がその支援者なのか?」

 

「アダマンタイト級冒険者を一人雇って多くの物資を既に提供して下さってます。ちゃんと特徴だって聞いた筈でしょうに……」

 

「アダマンタイト級といってもチームの中で一人だけなのだろう? ケチだな……」

 

「姉様!? と、取り敢えずカルカ様に報告に行きましょう。……失礼します」

 

 レメディオスは妹に背中を押されながら城へと向かって行くのだが、何やら良い報告が出来るのか少し張り切っている様に見える。レメディオスの言動にアインズ達でさえ唖然として固まる中、副隊長達は胃痛を覚えながらひたすら謝っていた。

 

 

 

 

「お喜び下さい、カルカ様! 亜人に占拠された村を四つほど解放しました。十傑と呼ばれる強者とは遭遇しませんでしたが、必ずや全て討ち取ってみせます!」

 

 レメディオスはカルカの前で誇らしげに戦果を報告し、得意気に横目でアインズ達を見る。何故この様な者達が自分と同時にカルカの前に居るのか、そもそも支援者だろうと聖王女と何処の馬の骨とも分からぬ云々と事前に文句を口にして、これこそが真に国を救うという事だ、と目で語る。

 

「じゃあ残りはバサーだかパザーだかいう奴だけか。一体くらい倒せると思ったのだがな」

 

 そんなドヤ顔は相変わらず空気を読まないギーシュの言葉で固まる。言葉の意味が理解出来ない中、アインズが持ち込んだ包みを広げてみせれば中には亜人の首が三つ。続けて血に汚れてはいるが強い力を持っていそうな装飾品や鎧を異空間から取り出す。

 

「ご安心下さい、騎士団長殿。十傑を新たに三体仕留め、残った亜人は城壁の向こうへと追いやっておきましたので」

 

 

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