「アンデッドを発情させる魔法のエロ下着確保!精力剤準備良し!シーツを新品に交換!」
「何をやってるんだ、あの馬鹿は」
「追加報酬で女性型のアンデッドを貰ったみたいですよ」
ギーシュが使い物にならないからと他のアダマンタイト級冒険者との会合に出向いた後、拠点の一つから戻ったデイバーノックとヘジンマールの前でテンションが上がっていた。
呆れるデイバーノックを前にヘジンマールが机の上の引き渡し契約書を指差せば
死体が性癖になった理由のモンスターである事は熱く語られた事があるので知ってはいたが、遂に手に入れたのかとデイバーノックは頭が痛くなった。
「正しく今さっき会って来た連中と性癖の事で警戒されてるだろうに、アンデッドの女を手に入れたとか悪評が更に広がるぞ、あの馬鹿」
「もう上位の悪魔が所属する組織と契約関係にありますけれどね」
同時に溜め息を吐き出す二体が思い出すのはフィールドワークで別行動時に遭遇した女性ばかりのアダマンタイト級冒険者チーム。危うくデイバーノックがやられそうになったのを止める為に割って入ったギーシュがリーダーのラキュースに『集団の一人の隠したい秘密を暴露する魔法』を使った所、魔剣の呪いを公言しているのが実は格好良いと思って言っているだけの嘘だったと本人の口から喋り続け、それにてデイバーノックの肉体に軽くとラキュースの精神に多大なダメージを与えて終わった。
……のだが、後日の会談でギーシュが性癖を暴露した際に一瞬だけ仮面を付けたイビルアイに視線が向いた事で彼女がアンデッドだとギーシュが見抜いてしまった。
「大丈夫。確かに吸血鬼が初恋だが、永遠のお子様は守備範囲外だ。これっぽっちも興味が無い」
頭は良いのに人の心とか社会常識とか理解せずにペラペラ喋る馬鹿が吸血鬼を手に入れて、今まさに性欲の対象にする気であるのは良いとして、嬉しさのあまりにペラペラと喋ると思うと今からでも心配なデイバーノックであった。
「さて、青の薔薇より王城への招待の話が来ていたがどうしたものか」
「え!? まさか無礼な態度を口実に先生を抹殺する作戦とか!?」
「いや、どうも犯罪組織が関わっているらしい。前に五腕とか名乗る者達から勧誘があっただろう?」
ヘジンマールが思い出すのはその時にギーシュが連れて行かれたという娼館についての話。
どうも女を痛めつけながら犯すのが趣味な者達の為の場所らしいのだが、ギーシュはそれに憤慨していた。
「綺麗な女を瀕死にするのが趣味なんじゃなくって、綺麗な女の死体が好みだというのに。全く分かっておらんな!」
これにはアンデッドのデイバーノックもドン引き、向こうも娼館での会話でヤバい奴と判断したのか後に接触はせず、店の場所を変えてしまっていた。
「姫との会談か。デイバーノック、代表として行ってくれ」
数時間後、流石にもうそろそろ大丈夫だろうとギーシュが入った部屋に向かったデイバーノックは青の薔薇から来た手紙について話したのだが、ギーシュの反応はどうでも良さそうであった。
部屋には濃厚な臭いが充満し、股間と胸の中央部が大きく開いた下着姿の
「いや、何故我なのだ?」
「だってヘジンマールは城になど入れないだろう、大きいんだから。常識で考えろ」
この瞬間、デイバーノックの中で何かがキレた。
「は? お前が? 我に? 常識で考えろと? はははははははははははは! 面白いな、おい! ……殺すぞ」
「お、おう。分かった。私も行こう」
「いや、お前だけで行け」
不機嫌そうに鼻を鳴らしたデイバーノックは乱暴に扉を閉めて出て行く。自然発生してから最も感情が昂った瞬間だった。
「本日はお出でくださり有り難う御座います。ハートレス様」
何か青の薔薇を通して黄金と名高いラナー王女に呼ばれた。生前の姿を見た時点で彼女への異性としての興味は完全に失われた。
死体の状態で初対面なら嬉々として持ち帰るのだろうが、何かこう絶世の美女だと思っていたら化粧の下とプライベートでの酷い生活態度を見て萎えた感じというか……。
「それで私に何をさせたい? いや、どんな魔法を欲している?」
どうせ八本指関連なのだろうが、貴族ともズブズブに繋がっているし関わりたくない。どうせ帝国に滅ぼされる国の王女と繋がりを持っても意味が無いし。
「その事についてなのだけれど私から説明させてもらうわ」
「それは別に良いが設定の話をされても困るからな」
「忘れて! あの話は忘れて!」
「生憎記憶操作の魔法はあるが今回のケースには使えないぞ。それよりイビルアイ、私の魔法が役に立ったなら頼みがある。長く生きているのだ、珍しい魔法を知っているだろう? それを教えてくれ」
取り敢えず面倒事に巻き込んだラキュースを弄くり、次にイビルアイへと視線を向ける。何せ人間社会に適応しているアンデッドだ。それも少なくても英雄クラス。
是非とも新魔法の参考にしたい!
「長く生きてる? イビルアイさんがですか?」
「……気にするな。変人の戯れ言だ」
うわぁ、この王女って……。
初対面の時から違和感があったが、イビルアイが長生きと言った時の反応で何となく理由が判明した。
「ヘジンマールの同類か。探せばいるものだな」
「あら? ヘジンマールってお仲間のドラゴンさんですよね? 私にそっくりなのですか?」
まあ、枠組みから外れた変わり者なんて何処にでも居るものだ。こっちが気が付いている事に気が付いているのに何を言っているのやら。
「どうでも良いか。それより用件を早く言ってくれ。研究の続きがしたい」
滅びる国だが今は滅んでいないのだし、面白い魔法を知っていそうなイビルアイに貸しを作れるから来たが……正直帰りたい。
「探し物をする魔法? あるぞ。探し物を思い浮かべながら使えば範囲内の何処にあるのか教えてくれる」
今回の頼み事だが、最近広まっている麻薬の原材料の栽培場所を探したいとの事だ。さて、試しに使ってみるとしよう。
「では、八本指と繋がっている証拠を探してみようか。無い場合は無いと教えてくれるのだ」
「えっと、流石にお城にいる者にその様な者は……」
『第一王子の部屋にあるよ! 第一王子付きメイドの部屋にあるよ。第三王女付きメイドの……』
次々と魔法によって暴露される裏組織と城に住む者達の繋がり。……うん。
「役に立っただろう? それでは報酬を貰いたいのだが」
「今はそんな場合ではないだろう!?」
イビルアイは怒鳴って来たが、どうせ帝国が損害と支配後の農地について考えなければ既に滅びているのだから根本から腐っていても別に良いだろうに。
この後、虫への特攻効果がある魔法は見せてもらえたのでアイデアが湧いた。実に有益な時間だったな。