究極の魔法に至る為!   作:ケツアゴ

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トイレに転移する魔法

「しかしあのアホの魔法を使っていると奴と出会った時を思い出すな」

 

「とんでもない相手との出会いでしたもんね」

 

 一仕事終えて夜、ベランダで夜景を見ながら盛っている馬鹿を無視しながらデイバーノックは前回の戦いの際に現れた存在について思い出していた

 

 それはビーストマンを一頻り片付けたタイミングで現れた。空を飛んで現れた白銀の鎧は少しばかり警戒を向けながら問い掛けて来た。

 

 

「君が最近妙なアイテムをばら撒いている男だな? 単刀直入に訊こう。君はぷれいやーか?」

 

「人違いだ。私はギーシュ・ハートレス。親戚にもその様な名前の者は居なかった。……うん? 確か六大神や八欲王をその様に呼ぶと法国の者から聞いたな。異世界から来たとの話だが……」

 

「そうだ。六大神も八欲王も世界を歪ませる存在であり……」

 

「そして貴様は竜王だな。その鎧は空っぽだろう? 世界の均衡を気にするんだから強く、そしてぷれいやーと口にする際に怒りを感じたから面識があるな。長寿でありつつ生者への憎悪を持つアンデッドでもない。だから竜王だと判断した。ああ、魔法が広まった経路と経緯が気になっていたが、私を気にした事から八欲王辺りが広めたか? 確か竜王とバチバチにやり合ったと聞く」

 

「ちょ、ちょっと……」

 

「だとすると世界全体に影響を与え続けるアイテムでもあったか。滅びた事を考えれば数か耐久に限りがあると。そもそも外の世界から来たのは何故だ? 欲のままに振る舞う者や秩序的に動く者達だが……百年周期で現れるのは扉が開かない様な物か、もしくは……召喚された? 八欲王と竜王がぶつかったのもそれが理由? 駄目だ、流石にヒントが足りない」

 

「えっと、其処のアンデッドとフロスト・ドラゴン。彼って常にこんな感じ……」

 

「すいません。知能は十分あっても良識は全然足りない人なんです」

 

「僅かな情報からの推察は得意でも他者の心情を慮る能力は欠如している」

 

「いや、数に制限があるとすれば異世界でも貴重な筈。過去の疑わしい存在を考えれば力や集団としての規模に差があり、竜王の仕業と考えるのが自然か? そして忌々しいと思っている以上は簡単には倒せないか、死後も発動を続ける可能性が高いな」

 

 確証するには足りないが、自分に被害が出なければ国が幾つか滅びようが関係無いと一瞬で興味が失せた。

 伝説に語られる道具やアイテムが研究の助けとなる可能性は高いものの、力も価値観も理外の相手。向こうから協力を欲するのなら別だがと、この時は次の転移のタイミングも場所も分からないので元より存在しないのと変わらない。

 

 

「取り敢えず飯にしようか。魚の内臓が食べたい。エグ味の強い野菜もあれば尚良し」

 

 既に鎧の男は興味が失せた相手。向こうも警戒している存在ではないと知ったなら此方に用は無いだろうと判断すると近くのトイレに転移する魔法でその場から姿を消す。

 

 

「……彼、本当に何者?」

 

「「変人」」

 

「そう……。取り敢えず世界の為にもあまり秩序を乱す物は出回らせないで欲しいと伝えてくれるかい?」

 

 どうせ聞きやしねえと思いつつも相手が相手なのでデイバーノック達は了承を伝え、鎧の男は最後にツアーと名乗ると去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして情報を転移して来た存在に伝えると。しかものちに虚偽を疑われない様に精神操作の魔法を自ら申し出て」

 

「道徳で自重を要請する相手と報酬を対価に研究成果の提供を申し出る相手じゃ先生は後者を選びますよね」

 

 理想の女と研究素材と金銭をくれて好きな内容の研究さえしていれば良い出資者などギーシュからすれば理想の相手でしかない。

 仲間である以上は最後まで付き合うしかない二人だが、ヘジンマールは写本を作る魔法で用意したナザリック書庫の本を、デイバーノックは高位の悪魔やアンデッドから魔法について教わっているので文句は出ない。

 

 

 

 

 

「へえ。高位の吸血鬼の討伐か。凄いな、漆黒とやらは」

 

 吸血鬼の花嫁(ヴァンパイア・ブライド)に耳掃除をしてもらいながら不在の間に誕生したアダマンタイト級冒険者チームについての情報を聞いていたギーシュ。

 時折血の気の失せた太腿を撫でる彼に呆れた様子を見せるのはイビルアイだ。

 

「どうも伝説級の魔法を封じ込めた水晶を使っての討伐だそうだが、その後の活躍を聞く限り実力は確かだろうな。….そして遂にアンデッドの嫁を手に入れたか」

 

「未だ正式に結婚はしてないぞ? 結婚指輪も作っていないし。それで何の用だ? この後は人とアンデッドの交配実験として共に水風呂で楽しむ予定なのだが」

 

「……昼間から盛るな」

 

「ああ、第一王子の暗殺でも協力要請に来たか? 確か派閥上位の貴族の娘を嫁に貰っていただろう? 帝国軍人の鎧でも盗んで殺すのが良いと思うぞ? どうせ末期の国だ。あの王も重い腰を上げて戦に挑み、結果帝国に吸収されて無事解決だ」

 

「貴様、自分が何を言っているか分かっているのか?」

 

「事実以外の何だと? お前も貴族の仲間とは別にやって来たのだし、後ろ暗い相談に来たのだろうに。アンデッドの自分は汚れ役に相応しいと」

 

 当たっていたからかイビルアイは面白くなさそうに鼻を鳴らすと前に身を乗り出す。威嚇のつもりなのか魔力を昂らせ、脅すように手を向けた。

 

「ああ、私達も法の裁きを受けさせる等と生温い方法は捨てた。皆殺しだ。そうすれば第一王子やら大貴族の横槍が入っても問題無い。貴様も手を貸せ。取り敢えず八本指について知っている情報を全て吐いてもらおうか」

 

「どうせ帝国が王国を滅ぼせば徹底的に叩き潰されて終わるだろう? 根から腐っている木の害虫駆除とかしても無駄だろうに。寧ろ滅びた方が王国の民の為だろうに、そんなに仲間の貴族の地位を守り……ああ、お仲間はあの王女を守りたいのか」

 

 ラナーの名を出した瞬間にイビルアイは黙り込む。それが肯定だと察したギーシュが体を起こすと腕には冷たい肌がピッタリと密着し、イビルアイの胸部に吸血鬼の花嫁(ヴァンパイア・ブライド)の視線が注がれた。

 

 

 

「……ふっ」

 

「おい、何故私の胸を見て笑った? 馬鹿馬鹿しい。心臓も止まったアンデッドの身で恋だの愛だのは不要だ」

 

「確かに肉体は少女で精神は老婆ならそうなるだろう。知能の高い部類のアンデッドなら多少は性欲も持っているらしいがな」

 

「……今日は一旦帰るが協力は嫌でもしてもらうからな」

 

 最後にイビルアイは懐から封筒を取り出してテーブルに叩き付けると不機嫌さを隠そうともせずに出て行く。暫しの間沈黙が場を支配し、ギーシュはソファーにもたれかかって視線を背後へと向けた。

 

 

 

 

 

「あれがアダマンタイト級冒険者の吸血鬼。義理堅い事に虫特攻の魔法の研究資料を持参したらしいぞ、出資者殿」

 

「成る程。あれが暫定国堕としとやらだね。それと訂正だが君の出資者はあくまでも私の主人だよ。そして主人から君達を晩餐への招待状を預かっているんだ」

 

 まさか断る筈がないだろう? と笑顔で圧力を掛けるデミウルゴスにギーシュはそっと肩をすくめてみせた。

 

 

「私の好物は苦味やエグ味の強い物だが、特に体質や嗜好で食べられない物は無いとだけ伝えておこう」




未だ未確定なのでネット上の噂を引用しました まあ可能性として推論を伝えただけです
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