究極の魔法に至る為!   作:ケツアゴ

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言葉遣いが丁寧に聞こえる魔法

 拝啓、そろそろ二割は勝機がありそうな父上様。現在僕ことへジンマールは充実した日々を送っているので多分帰りません。

 

 先生は頭にネジが最初から無い方ですが、知識を身に付けるという目的の為には同行を選んだ選択は間違っていなかったでしょう。そんな僕ですが現在……。

 

「本当に頼みますよ!? 絶対に無礼の無い様にして下さいね!?」

 

「言葉遣いが丁寧に聞こえる魔法の使用許可は貰っているな!? いい歳して目上相手の喋り方がろくに出来ないとかどうなっているんだ、きさまは!?」

 

 伝説に残る様な人達との同格の存在と思しき新たなスポンサーからの晩餐の招待をされたけれど、この人絶対やらかすから!

 

 今は必死になってデイバーノックさんと言い聞かせているけれど不安だなあ。

 

 

 

 そして晩餐会の当日、魔法によって到着したのは豪華な調度品が飾られた広い客間だった。

 

「この度はご招待有り難う御座います。此方、手土産としては粗末な物ですがビーストマンの死体の内、煙に撒かれたのか比較的損傷の少ない物に死体を小さくする魔法を使った物です。半日程で元の大きさに戻りますのでお受け取り下さい」

 

「おや、これはご丁寧にどうも。先日貸し出した護衛への謝礼として受け取らせてもらった力を分け与える魔法の指輪をアインズ様は随分とお喜びだったよ。ははは、それにしても君の丁寧な喋り方には違和感があるねえ」

 

「まあ、使い慣れていませんので。ですが他と無礼講と言われても最低限の礼儀を払うべき場面はあるのでこの魔法を思いついて幸運でした」

 

 ほら、出迎えてくれたデミウルゴスさんにも言われているし、正直不気味だと思いつつも黙っておく。デイバーノックさんも同じ意見らしく、必死に口を動かさない様にしていた。

 何せこっちを気紛れで潰せる相手の巣窟、ドラゴンとしての目利きが途中会った数人の装備が途轍も無い物だと告げているし、先生の予測は多分当たっているんだろう。

 

 この場所の名はナザリック大墳墓。主人の名はアインズ・ウール・ゴウン。その名を聞いて先生がゴウンが家か国の名でウールは立場を示すのかと質問したけれど、どうもアインズからゴウンまでで特別な意味のある名前だとか。

 

 先生は何かに気が付いたけれど、自分達に質問は控える様にって言って来た。あの先生が? これは多分何かあるんだろうな。

 

 

 

「では、私は此処で一旦失礼させてもらおう。食事の準備が整えばアインズ様も顔をお見せになられるだろうから無礼の無い様にね。それまでは何かあればメイドに言い付けてくれたまえ」

 

 派遣された悪魔やアンデッドを見ても伝説級、初対面で抵抗するだけ無駄だから利益を得る方向に走った先生の判断は間違ってなかったと改めて思った。

 

 

「そういえばイビルアイさんが国堕としって予想は何処から来たんですか?」

 

 わざわざドラゴンでも飲み易い形の容器に入れられた果実水を飲みつつクッションにもたれ掛かって食事の時間を待つ最中、ふと浮かんでいた疑問を口にする。

 凄腕の魔法使いで吸血鬼、確かに珍しい存在だけれども十三英雄に倒されたはずの二百五十年前に国を滅ぼした伝説の存在と結びつけるには、と思ったんだけれど、それに答えたのはデイバーノックさんだった。

 

「確かに荒唐無稽に聞こえるかも知れんが、それを前提とすれば辻褄が合う。先ず滅びた王国だが、古い文献によれば属性に特化させる事を得意とし魔法に優れた人種が居たとされる。あの女も土属性、更に水晶に特化し、随分と豊富な知識。可能性は高く、そうだとすれば少々面白い話だ。悲劇の題材にはなるだろうさ」

 

「悲劇って一体……あっ!」

 

 推察通りの場合、伝承通りなら幼い頃に吸血鬼になって祖国を滅ぼしたって事だけれど、もし国一つに住民をアンデッドに変える魔法が使われて、タレント等の資質やアイテムの力で自我を保っていたら?

 世間が犯人を間違えても当たり前だろう。

 

 素性を知った十三英雄だって同情して討伐した事にしたんだとしたら全部に説明が付く。

 

 

 

「まあ、あくまでも可能性があるというだけに過ぎないですよ。別に私はプレイヤーの情報にはさほど興味があるわけでも無いのだし」

 

 ここまで話をした所で晩餐の準備が出来たと声が掛かる。さてと、先生がやらかさないと良いんだけれど。

 

 それにしても先生が敬語使う姿は違和感が凄いなぁ……。

 

 

 

 

 

 

「……本当に凄いな、コレ」

 

 鏡に映るのは眉も髪も無い姿。大男になる魔法を使った俺の姿だ。口の中は白い健康的な歯が生えていて、舌を動かせば口の中の感触が分かる。

 手元のコップの中身を流し込めば喉の途中まで液体が流れる感覚が。但し味覚は無いし、喉の途中から感覚が消える辺り、本当に肉体を着ている感覚だ。

 

 そして下半身のアレは本来の俺よりも遥かに大きいし、興奮すれば使えるらしい。

 

 そんな事をアルベドに知られたら襲われそうだなあ、と考えつつ解除すれば鏡の前には相変わらずの骨の姿。先程までの姿に加えて発情させる魔法まで加わったらアルベドに手を出しそうで怖いんだよなあ。だってNPC達は皆が残した子供みたいなものだしさ。

 

 もし手を出したなんて知られれば何と思われるか。ああ、何と思われるかといえば……。

 

 

「あくまでも俺の記憶から再現した存在だと分かっているんだけれどな……」

 

 食材なんて手に入れるのに苦労しただろうに好物が出来るくらいにちゃんとした物を食べさせてくれた母の姿を再び魔法で見た事によって頭の片隅に一つの問いかけが残り続ける。

 

 もし今の俺をあの人が見たら何と思うのだろう、と。カルネ村での件もクレマンティーヌも手を汚したが、それでも何らかの言い訳は出来る。

 だが、今後アンデッドの精神で動く中で、母に平然と報告できるのか、其処まで考えて頭に浮かんだのは王国の腐敗に関する情報だ。

 

 既得権益にしがみついて平民を骨までしゃぶる貴族達。麻薬を始めとして多くの悲劇を生む犯罪組織と第一王子が繋がっているという。

 王国を祖国とする彼でさえ根から腐って害虫に巣食われた木と評する程。帝国に滅ぼされた方が民の為だとか。

 

「アインズ様、そろそろお時間で御座います」

 

「ああ、今行こう」

 

 出会ってからナザリックが得た利益の大きさからギーシュを随分と気に入っているデミウルゴスだが、今回の晩餐についても張り切っていた。

 何でも彼が居なければ成果の保証が無い牧場の運営や実験に時間や費用を費やしていた

 そんなデミウルゴスが呼びに来た事で思考を切り替えたが、ふとデミウルゴスを製作した彼について思い出す。

 

 

「ウルベルトさんが知れば絶対に貴族達にブチ切れる案件だな、これは」

 

「失礼致します、アインズ様。ウルベルト様が王国にお怒りになられるとは一体……」

 

 あっ、ヤベ。シャルティアもそうだったけれど、基本的に創造したメンバーが一番だったからな。どう誤魔化す……いや、その必要は無いか。

 

 

「あの人が悪に拘っていたのは知っているな? 敵に対して悪辣な方法を取っていたが、その悪には一種の矜持があってな。権力者が弱き民を力で押さえ付けて保たれる秩序への嫌悪という物があった。まあ、一種の美学だ」

 

「その様な事が……」

 

 流石に貧しい家の出身で親を早くに亡くしたなんて支配者としては口に出来ないからな。まあ、この程度は良いだろう。

 

 デミウルゴスもウルベルトさんの悪のあり方に少し驚いていたけれど悪い反応は示してないし大丈夫だろうし。

 

 

 

「そうそう、先程幼い頃の好物を思い出してな。明日の昼食は景色の良い場所でにしてくれ」

 

 あの体を作る魔法なら食感だって楽しめるし、このくらいは良いだろう。……満腹にさえなれればなあ。

 

 

 

 

 そんな事を考えながら食堂へと向かったのだが、何か騒がしかった。静粛にしろとでも言うべき……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その魔法ならアインズ様の子供が出来るというのは本当なの!?」

 

 聞こえて来たのは普段冷静な筈のユリの声。普段と口調さえ変えて……え? 今、子供が出来るって言った?

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