究極の魔法に至る為!   作:ケツアゴ

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金ダライを落とす魔法

 人類の守護者として在り続けるスレイン法国。人類至上主義を掲げ、人類繁栄の障害となる亜人やアンデッドの殲滅の為に日夜動き続けている。

 

 そんな法国の上層部が一つの議題について話し合っていた。

 

 

「あの変人めが此処最近は指輪を市場に出していないようだ。材料が切れたか才能が枯れたか……もしくは市場以外に回しているか」

 

「あの才能に合わせて本人自体も信仰系魔法詠唱者としてはアダマンタイト級。アンデッドとドラゴンなどとつるむ悪趣味がなく、人間性さえあればな」

 

「もし特定の何者かに回しているとあれば問題ですな」

 

 ギーシュが市場に出して研究費の足しにしていた魔法の指輪だが、法国はアホみたいな内容に混じって使える魔法が人類の敵の手に入る事を懸念していた。

 

 

「本当に人間性を犠牲に才能を伸ばすタレントでも持って生まれたのでは?」

 

「才能といえば頭角を現している少女……確かフォースでしたかな。出自が不明な旅人だったのですが、最近会話の最中に口にしたそうですぞ。……会ったことが無い父親はあの戦士長だとか。全く興味が無いとも言っていたようで」

 

「所詮ガゼフも王国の者だった、そういう事ですか……」

  

 引き続きギーシュ達の行動に注視しつつ今後に備える。法国の者達は山積みの課題に振り回されてばかりであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビーストマンとの戦いで使用した草を生やす魔法。ドルイドにも似た魔法があるが、こっちは文字通り生やすだけで複雑な操作は不可能だ。但し利点としては有る程度熟知している草なら種類を選んで生やせるので茎の太く背の高い草や毒草だって広範囲に出現させられる。

 当然薬草も出せるのだが……。

 

「矢張り無理に生やす手を掛けて育てるとでは差が出るな。では、対価のポーションや保存食を渡しておこう」

 

「うん。いつもたすかる」

 

 湖の周辺に計五つの部族が暮らすリザードマン。その部族の一つ、鋭い尻尾(レイザー・テール)族の族長の名はキュクー・ズーズー。知能を奪う代わりに堅牢さを増す鎧を装着して尚、族長としての責務を全うしている

 そんな彼にギーシュが接近したのは二年程前。デイバーノックとヘジンマールという分かりやすい武力を連れて排他的な部分があるリザードマンと交易を申し出て来たのだが、当時は脅す気かと思ったが、今は頭がおかしいだけだと理解している。

 

 元々キュクーが生まれてから戦いで族長を決めていなかった部族、キュクーが応じると判断すれば部族の者も従い、儀式等に使う為に栽培している薬草や湖の中に生息する植物と外の物を交換しているのだが、今回キュクーが欲したのは薬や保存食……争いの準備であった。

 

 増えすぎた事で発生した深刻な食料不足。それこそ先の部族間抗争の際に用意された肉に頼らねばならない事態に陥る手前の状況でキュクーが選んだのは他の部族の間引き。

 リザードマン全体が全滅する位ならば、と目の前の変人を頼って長丁場になる戦いの支度をしていたのだが……。

 

 

 

「ところでリザードマンを単騎で滅ぼせる実力者集団が出資者になってくれたんだが、他の部族を纏めて自治的な形で配下に下りつつ食料等の支援をしてもらえるってなったら従うか?」

 

「まって。あいかわらず、はなしがきゅう」

 

 遠回しに交渉を始めるとか無駄だろうにとばかりに重大な選択を会話の途中でぶち込まれてキュクーは慌て、考える。

 突飛な発言が多くクスリでもキメていると疑う事もあった相手だが、態々騙して都合良く動かそうなどする筈もない相手だ。

 

 それはそうとして順序だてて説明する事を覚えろ。アンデッドのデイバーノックでさえ精神にダメージ食らってるぞ、と思うのであった

 

 

「ちょっとまって。せんしたち、ことばだけでなっとくしない」

 

「まあ、基本的に強い戦士が族長になるのが基本だからな。幾ら知も力の内と理解する部族でも困るだろう。大丈夫、代表が姿を見せるから力試しの試合に出る代表者の選抜と他の部族への宣戦布告の文でも考えていてくれ」

 

「だから、きゅう! はなしが、きゅう!」

 

「因みに向こうは手土産として三ヶ月分の食料を持ってくると言っていた」

 

 契約成立時に渡された草を生やす魔法によって貴重な薬草を若芽の段階まで発生させ、それを育てる事で高品質の物を大量に確保可能になった。

 それに恩義を感じているし、三ヶ月分の食料と聞かされて心が動く。

 

 

 

 それはそうとして一発くらい入れても良いのではないかと思うキュクーだが、大抵の相手がそう思うのだから仕方が無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルベド。私はナザリックの維持費の確保は重要且つ緊急の課題だと考えていた」

 

「ええ……」

 

「故に解決したのは良き事なのだろう。それは分かっているのだが、この光景は……正直言って不満は口に出すべきでないと分かっているのだが、維持費を必死で稼いだのを思うとな」

 

「……はい」

 

 目の前には金貨の消費無しで自動湧きするモンスター。その中でMPを持つ種族が指輪を嵌めて魔法を使用する事で他のモンスターの頭部に金ダライが落下する。コントの様な光景の後、魔法で出現したタライは次のタライが落ちて来ても残り続けている。

 

 そう、魔法で金ダライの姿をした物を召喚する魔法ではなく、物質を作り出す魔法なのだ。作り出した本人は魔力を物質に変化させる魔法の作り方を思い付いたので作ったと言っており、周囲はそうと受け入れるしかない。

 

 

「MPが切れたら次と交代して、砕いて運びやすくしたあれをエクスチェンジボックスに入れたら結構な金額になるのだよな。……二百個に一個程度の確率で文字通り金のタライが出るし」

 

「金の相場を下げすぎたら商人と貴族が鬱陶しいからと申していましたわね」

 

 二人揃って問題が解決するのには文句が出ないのだが、降り注ぐタライを集めて解決するというのは何とも言えない物がある。

 せめて純金を出すだけの魔法だったならば、流石にその言葉は飲み込んだ。もし目の前の解決法を取り止める事となれば相手に大きな負担が掛かると分かっていたからだ。

 

 

 アインズはタライが落ちるコントなど知識でしか知らないし、アルベドには知識すら無い。それでも目の前の光景が間抜けな物だとは分かっていた。

 

 

「さ、さて、そろそろアウラとマーレとの食事の時間だな。リザードマンとの交渉の結果も終わる頃には少しは結果が出るだろう」

 

 当初、ナザリックの方針ではリザードマンには殲滅をすると宣告する筈だったのだが、アインズの心境やデミウルゴスの価値観の変化もあって方針を変更した。

 ギーシュと繋がりがある部族が在るのならば、それを頭に据えて全ての部族を治めさせれば良いと。

 

 

 

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