未来を変える鬼狩り達   作:yuki_06090570

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未来を知る鬼狩り達

鬼を連れた隊士が居るということで、柱合会議前に裁判をおこなうこととなった。

 

「言っておきますけど、あなたも裁判を受ける立場ですからね。冨岡さん」

 

「……………」

 

那田蜘蛛山から下山している途中、蟲柱・胡蝶しのぶは水柱・冨岡義勇に忠告する。

人を喰ったことがない鬼である竈門禰豆子を守るために、義勇はしのぶに対して刀を振るった。どのような理由があろうとも、それは鬼殺の妨害をしたことに変わりない。加えて柱と呼ばれる、鬼殺隊の中でも特に優秀で一般隊士たちの見本となる存在が、隊律違反を犯してしまっている。

 

しかし義勇はしのぶの忠告に対し、これといった反応を示さないまま、山を下りていった。

 

 

 

 

「鬼を連れた隊員が居るだとォ?」

 

任務が終わり、翌日おこなわれる柱合会議の準備をしていると、鎹鴉からの伝達で禰豆子の情報が届く。そして柱合会議の前に裁判をおこなうということも記載されていた。

 

「なら裁判の前に頸を落としてやるぜ」

 

風柱・不死川実弥は刀を持ち、柱合会議が開かれる場所へと向かった。

 

 

 

 

「鬼を連れた隊士だって?

そりゃ随分とド派手な野郎じゃねぇか!」

 

時を同じくして、鎹鴉からの伝達で音柱・宇髄天元は鬼を連れた隊士がいるという情報を知る。

 

「どれくらい派手派手な奴か楽しみじゃねぇか!!」

 

鬼を連れた隊士がどんな奴なのか、気になる天元は急ぎ足で目的地へと向かった。

 

 

 

 

翌朝、柱合会議が開かれる場所である産屋敷邸で待機している、または向かう途中の出来事である。

 

「…!」

 

産屋敷邸で柱たちが揃うのを待っているとき、義勇は突然未来の記憶と繋がる。

無限列車での任務の際、炎柱・煉獄杏寿郎が上弦の参との戦いで命を落としたこと。

無限城に落ち、沢山の仲間たちが命を落としながらも無惨に勝利したことを。

 

記憶と繋がった義勇は、慌てて他の柱達の方を見る。

今ここにいるのは杏寿郎、天元、しのぶに加えて、霞柱・時透無一郎、恋柱・甘露寺蜜璃、蛇柱・伊黒小芭内、そして岩柱・悲鳴嶼行冥。実弥はまだ来ていないため、義勇を含めてこの場には八人の柱がいる。

しかし、この先の未来で八人のうち六人は命を落とすことになる。

 

そんな未来を受け入れられるはずもない。

自分なんかよりも、柱としての責務を全うしている彼らが死んでいいはずがない。

そんな思いの中、ふと一人の柱に目が留まる。

 

 

「…なんか地味に頭が痛えな……」

 

突然訪れた頭痛に悩まされる天元。しかしその頭痛を切っ掛けに、義勇と同様に未来の記憶と繋がる。

全てを知った天元は目を見開き、ほんの数秒放心状態になる。そして周囲の柱たちに目を向ける。義勇と同じく、ここに居る八人のうち六人が命を落とすことになるという事実に気付く。一人一人に目を向けるが、誰も未来を知った者は居ない。そして最後に義勇の方に目を向けると、同じく義勇は目を見開いて天元の方を見ていた。

 

 

「…おい冨岡……話があるんだが……」

 

「……ああ……俺も同じだ」

 

間違いなく自分と同じ状況にある義勇に、天元は話しかける。義勇もそれに気付き、返答する。

 

「む?冨岡に何か用事でもあったか?」

 

不意に話しかけに行ったことで、杏寿郎は不思議そうに聞いてくる。

 

「いや…ちょっと気になることがあってよ。悪いが一旦席を外させてもらうわ」

 

天元と義勇はその場を離れ、誰にも聞こえないところへと移動した。

 

「なあ冨岡…お前も未来を知ったって感じだよな。いや、繋がったっていう方が正確かもしれねぇけどよ」

 

「ああ……未来では……今あの場にいる全員が死んでいた。生き残った柱は……俺と…宇髄と…不死川……」

 

そこで二人は気が付く。生き残った者だけが、未来の記憶と繋がったのではないかと。もしそうであれば、実弥も二人と同じ状況にあるのかもしれない。

 

「兎も角、まずは柱合会議だ。その後でまた話そう」

 

「ああ、分かった」

 

その後、鬼を連れた隊士の竈門炭治郎の裁判と柱合会議を終える。その裁判中、天元、義勇の二人を除いた誰もが不思議に感じることがあった。

それは、鬼である禰豆子に関して実弥が一言も口出ししなかったことだ。普段の彼であれば、間違いなく禰豆子に敵意を剝き出しにしていただろう。そして裁判の対象である炭治郎も、何やら思い詰めた表情をしていた。

 

「なあ…竈門も不死川も俺たちと同じだよな…?」

 

「ああ…間違いないだろう。生き残った者だけ繋がっている……」

 

「冨岡、ちょっと待ってろ。不死川を呼んでくる」

 

柱合会議を終え、天元は帰ろうとしていた実弥を呼び止める。

 

「なんだァ?宇髄……それに冨岡…テメェもいんのか……」

 

呼び止められた理由、二人が皆に内緒で話をしている理由。実弥は気が付いた。

 

「お前らもか……あのクソみてぇな未来を見たのは…。多分竈門も同じなんだろ……」

 

「おそらく…」

 

三人はどうしたものかと頭を悩ます。

これが自分一人であったなら、ただの気の所為として流していただろう。しかし、少なくとも三人…いや、四人が同じ現象にあるとなれば、ただの気の所為で済ますには無理がある。

 

「とりあえず、竈門は蝶屋敷に居るんだろ。行くぞ」

 

天元がそう言うと、義勇と実弥は頷く。そうして三人は蝶屋敷へと足を運んだ。

 

 

 

「珍しい御三方ですね。宇髄さんと不死川さんは兎も角……冨岡さんが一緒に居るとは」

 

「……俺は…嫌われて……ない……」

 

那田蜘蛛山で言われたことを引き摺っているのか、同じことを言った。しかし未来を見た今、本当はしのぶの言う通り嫌われていたのではないかと考えてしまい、言葉が詰まった。

 

「…はっはは!!心配すんな冨岡!俺らは嫌ってねえって!なあ、不死川」

 

落ち込んでいる様を見た天元は大笑いで義勇の肩を叩く。ちなみに実弥は目を逸らし、無言を貫き通していた。今更嫌ってないとは言えないのだろう。そもそも未来を見ていなければ、変わらず嫌いだったのだから。

 

「ところで、皆さん何用で?」

 

「…竈門に話をしに来たんだよ。邪魔するぜェ」

 

それだけ言って、実弥は二人を置いて屋敷の中へと入っていった。

 

「竈門くんに用…ですか?」

 

初対面だった炭治郎に彼らが何の用なのか。まるで状況が分からないしのぶは玄関に置いて行かれた天元と義勇に理由を聞くが、二人はどう説明をしたら良いのか分からない。

 

「あぁ……まあ、それは色々だよ。なあ冨岡」

 

「………ああ……。…どう説明すれば良いのか……。

兎に角、失礼する」

 

義勇は足早に蝶屋敷へと入っていく。そして天元も実弥と義勇を追って屋敷へと入っていった。

 

「……一体何の用なのかしら………」

 

禰豆子のことが気がかりなしのぶ。炭治郎を蝶屋敷へと招いた理由は、炭治郎に夢を託したいと思ったからではあるが、禰豆子を一旦柱たちから距離を置かせることも含んでいた。

そのため、彼らが禰豆子の頸を狙っているのではないかと不安になる。

いや、義勇に関してはそれはないだろうが、天元と実弥は本当にやりかねない。

 

「………」

 

 


 

 

「邪魔するぜ、竈門」

 

実弥が病室に入ると、そこには炭治郎以外に、我妻善逸、嘴平伊之助が寝台の上に座り、何やら思い詰めた顔をしていた。

 

「不死川さん……。ということは、貴方も……?」

 

本来であれば、今此処に実弥が来ることなどまずありえない。しかし、わざわざ会いに来たということは、何か重大な要件があるということだ。そしてその要件について、炭治郎たちには思い当たるものがあった。

 

「…やっぱりテメェらも同じなんだな」

 

一から説明する必要もなく、炭治郎たちは静かに頭を縦に振る。

その直後に、天元と義勇も病室へとやってくる。

 

「おっす、お前ら」

 

初対面とは思えないような雰囲気の挨拶をする天元。だか三人がそれを不思議がったり気味悪がったりすることはなく、

 

「なんだ。祭の神と半々羽織も俺たちと同じなのか」

 

喉が潰れて掠れ声の伊之助。しかし、自身の弱さに気落ちしている様子はない。

 

「ああ、そうだ。どうやら仮説は正しかったみてぇだな。

無限城での戦いで生き残った奴だけに未来の記憶があるってのは」

 

この場に居る六人の共通点は、それ以外にない。そして未来を見て次に考えることは、おそらくは皆同じだ。

 

「どうやって未来を変える……。というより、皆の未来は同じなのか……?」

 

義勇が全員に聞く。

確かに、未来を見たということだけは分かっているが、その未来に違いがないのかどうかの確認はしていなかった。

 

「なら、まずは全員で共有することから始めるか」

 

天元の提案により、それぞれの記憶に差異がないかどうかを確認していくこととなった。そして、事の流れを天元が主体となって確認していく。

 

「んじゃあ、一つ一つ整理していくぞ。何か違いがあったらその場でも後でも構わねえから訂正してくれ。

 

一…一ヶ月後の、無限列車での任務で下弦の壱を討伐。その後、煉獄が上弦の参と戦い、死亡。

 

二…煉獄が死んでから約四ヶ月後、吉原遊郭で上弦の陸を、俺、竈門兄妹、我妻、嘴平で討伐し、全員生存。そこで俺は左目と左腕を失い、柱を引退。竈門は痣が発現する。

 

三…その二ヶ月半後、刀鍛冶の里で上弦の肆と伍が来襲。伍は時透が単独で討伐。肆は甘露寺、竈門兄妹、不死川弟で討伐。時透と甘露寺に痣が発現。竈門妹が太陽を克服する。

 

四…その後一ヶ月半ほど柱稽古をおこない、鬼殺隊士の全員が無限城に落下。お館様が自爆し死亡。胡蝶、珠世、愈史郎が作った四種の薬を鬼舞辻無惨へ打ち込むことに成功。

  落下後、胡蝶が上弦の弐と単独で戦い、全身を吸収されて死亡。

  我妻が兄弟子であった新上弦の陸と対峙し、討伐。

  竈門と冨岡が上弦の参と遭遇。意識不明になりながらも討伐。

  胡蝶の死亡後、栗花落と嘴平が上弦の弐と戦い、胡蝶の毒により弱ったところを討伐。

  上弦の壱にはまず時透と不死川弟が遭遇。そして不死川と悲鳴嶼の旦那が駆け付けた後に討伐。時透と不死川弟が死亡。

 

五…無限城が崩壊し、市街地に排出される。その後一時間半、一般隊士たちの犠牲を出しつつも無惨を留まらせ続けて討伐。甘露寺、伊黒、悲鳴嶼の旦那が死亡。直後、竈門が鬼化。

 

六…竈門が鬼にされた後、竈門妹が駆け付け、胡蝶の残した『鬼を人間に戻す薬』を栗花落が投与し、竈門が人間に戻った。

 

以上。ざっくりだが、これが俺の知る未来だ。お前らの方はどうだ?」

 

五人の記憶と天元の話した内容に差異はなく、誰も訂正はしなかった。そうなると、次に浮上する疑惑に頭を悩ませる。

 

「そもそも…未来って…変えられるものなの……?」

 

善逸の疑問に対し、言葉を返せる者は居なかった。全員が見た未来が同じなのであれば、これから決まった未来を歩むことになる可能性は十分あり得る。

 

「…今確かめる方法は……無い。あるとすれば……」

 

一ヶ月後の…無限列車での任務となる。ここで実弥たちが同行したとして、もし杏寿郎が死亡するのであれば、未来は変えられないということになる。

 

「……ぶっつけ本番しかねェのか…」

 

しかし、これ以外に確認する術はない。ならば、今できる最善の選択を取ることだけに尽力するべきだ。

 

「お前ら。怪我が治ったら俺たち三人が稽古をつける。全員、特に我妻と冨岡…無理とは言わせねェぞ」

 

稽古を受ける側、つける側、両者に対して実弥はこれからの動きについて話す。実弥の提案に誰も異議を唱えることはなく、全員の意識は同じ方向を向くこととなった。

 

 

…………………

 

 

「……一年以内に……死ぬ……」

 

壁を隔てた向こう側で聴いていた者は、誰にも気付かれないようにその場を立ち去った。




【あとがき】

お読みいただきありがとうございます。

『もし未来の記憶があるのなら』という二次創作は幾つか見かけますが、生存した者だけがというのは見たことなかったので書いてみました。

記憶を持つ彼らに未来を変えることはできるのでしょうか…?

今後の展開は考えていないので、流れは全て未定です。

誤字・脱字があればコメントしていただけると幸いです。
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