未来を変える鬼狩り達   作:yuki_06090570

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進化する鬼狩り達の武器

刀鍛冶の里での戦いが終わってから早四日。

死闘を繰り広げた四人の柱と一人の鬼狩りは目を覚まし、彼らは柱合会議を行うこととなった。

 

「お待たせいたしました。本日の柱合会議、産屋敷耀哉に代わり、産屋敷輝利哉が務めさせていただきます」

 

輝利哉は行冥の正面に座り、斜め後ろにかなたとくいなが座る。

そして頭を軽く下げると、会議の参加者は続けて頭を下げる。

 

「現在、鬼殺隊はかなり特殊な状態にありますので、異例ながら柱の皆様以外の方にもご参加頂いております」

 

柱以外の参加者は、炭治郎、善逸、伊之助、カナヲの四人である。理由は勿論、未来で上弦の鬼、ひいては無惨と戦った記憶があるためである。

 

「今現在の鬼たちの動きについては概ね未来(想定)と同じで、彼らによる被害は極端に減少しております。無惨の思惑は一貫して、私たち産屋敷一族および鬼殺隊の殲滅。更に竈門禰豆子氏の奪取であると考えて問題ないでしょう。

そしてここからが本題になりますが……不死川実弥様、胡蝶しのぶ様。御二方が今回戦った上弦の"参"について、お聞かせ願えますでしょうか」

 

輝利哉の言葉で声を上げたのは実弥でもしのぶでもない。

 

「上弦の参ってことは……まさか猗窩座が……!?」

 

義勇、杏寿郎は目を見開き、思わず声を出してしまう。そして実弥としのぶに目を向けると、二人は静かに首を横に振る。

 

「違います。聞く限りの特徴は何処にもありませんでした。寧ろ、私の姉…胡蝶カナエが今際の際で話した上弦の"弐"の特徴と合致していました」

 

それを聞いて、カナヲは絶句する。自分が呑気に雑魚鬼を狩っている間、しのぶは命懸けで戦っていたのだ。実弥が万が一を想定して同行していなかったら、今この場に姉は居なくなっていた。そう思うと身体中に悪寒が走る。

 

「カナヲ。過程はどうあれ私は今生きているから、自分を責めないでね。

それで上弦の参に関して、奴の自分語りから分かったことですが、元上弦の参…現上弦の弐である猗窩座は"至高の領域"、私たちの言う"透き通る世界"を会得しているようです」

 

炭治郎と義勇が戦った猗窩座。カナヲと伊之助が戦った童磨。勿論何方も想像を超える強さであったのは間違いないが、強さで言えば猗窩座が童磨に勝てる見込みはないと分かるほどの違いがあった。猗窩座が童磨に勝つには"透き通る世界"を会得する以外に方法はない。

 

「上弦の壱に匹敵する強さとなると……かなり厳しい戦いになりそうですね。少なくとも俺と義勇さんだけでは勝ち目は薄そうです」

 

「そもそも俺たちは奴を倒していない」

 

突然の義勇の言葉に、未来を知る者たちは首を傾げる。

鎹鴉は確かに"炭治郎、義勇。上弦ノ参撃破!"と言っていた。それなのに倒していないとはどういうことなのか。言葉の足りない義勇は、またしても周囲を困惑させる。

 

「義勇さん…言葉が足りてないです……。

確かに猗窩座の頸は落としました。ですが直後弱点を克服したんです。理由は分かりませんが、何か生きることに強い執念のようなものがあると頸が弱点でなくなるのかもしれません。

その後も戦い続けましたが、何かが切っ掛けになったのか、猗窩座は自分で自分を攻撃したんです。なので猗窩座は自滅したというのが正しいかもしれません」

 

自分で言いながら、未来(あのとき)の猗窩座が何故自滅したのかを考えていた。あれ程までに不快感と殺意を丸出しにしていたというのに、自身に"滅式"を放つ瞬間笑顔と共に感謝の匂いを全身から発していた。

どうして笑ったのか、人間時代の猗窩座と何か関係があるのか。何にせよ、今の炭治郎には分かるはずもない。

 

「…本題は猗窩座じゃねえ。上弦の参…確か童磨とか言ったか。多分だが、先の戦いであいつも未来を見た。だから元の作戦は完全に頓挫しちまったってことになる。…まあ今の胡蝶は毒を摂取しちゃいねえが」

 

逃亡する直前の童磨は猗窩座と同様、知らぬはずの名を呼んでいた。そして"無限城で待っている"という言葉。まるで近い内に鬼狩りが落とされることを分かっているかのような台詞だ。

自分の死ぬ要因がしのぶを吸収したことだと知ったなら、間違いなく吸収せずに始末しに来る。

 

「そうなると、あの塵屑の頸を飛ばすのは相当きついぞ。しのぶの毒が無かったら、俺もカナヲも絶対死んでた」

 

いつもの騒がしい伊之助からは想像できないくらい冷静に話す。母の仇ということが分かっている今、何としてでも童磨の頸を刎ねなければならない。しかしそれが簡単なことではないのは嫌でも理解している。

 

「現上弦の参の血鬼術は自身の血液を凍らせて霧状にし、扇で散布します。吸えば肺胞は壊死し、呼吸すらもままならなくなる……鬼狩りの天敵とも言うべき能力。そして本体と同等の強さを持つ氷の人形が複数で襲い掛かってくるので、四方八方から来る攻撃を捌きながら呼吸にも気を付けないといけない。

あのとき姉さん……蟲柱様に生きて欲しいとは言ったけれど、正直私は童磨()をどう倒せば良いのか分かりません……」

 

上弦の鬼は一体につき少なくとも柱が三人必要だと言われている。しかし童磨が無尽蔵に"御子"を生み出せるのであれば、人数など何の意味も成さなくなる。彼が隠れて"御子"を生み出し続けるだけで、鬼狩りはいとも容易く滅びるのだから。

 

仮に本体を探そうとしても、無限城は気の遠くなるほどに広大な世界。加えて城の中に居る鬼は鳴女が琵琶を鳴らすだけで移動できる。童磨に身を隠されてしまうと倒すどころか探すことすらも不可能になる。

 

「居場所については問題ありません。此処に居られる方には愈史郎さんの"目"をお渡しいたしますので、鬼の城に落とされた際にはそちらを額に着けてください。それで各上弦の鬼の居所は把握できるようになるはずです。

氷の血鬼術についても、こちらで対策法を考案しております」

 

輝利哉の言葉と同時にくいなは立ち上がり、部屋から退出する。だが少しして愈史郎を連れて部屋へと戻ってきた。

そしてくいなは小さな機械を持ち、愈史郎は"目"と瓶に入った血液を持って部屋へ入ってきた。

 

「この一ヵ月で得られた研究結果も踏まえて、対策法についてお話させていただきます。

まず、くいながお持ちの物ですが、こちらは疑似的に太陽光を発生させる機械です」

 

輝利哉は太陽光の説明をしながら、くいなから機械を受け取る。そしてそのまま愈史郎に向かって(・・・・・・・・)疑似太陽光を照射する。

微弱な光に当たった"目"はすぐさま灼けて塵に始めるが、血液の方は少し遅れて塵になり始める。だが愈史郎本人には何の影響も起きていなかった。

その様子を皆静かに見ていたが、彼らにとって…特に未来を知らぬ者たちにとっては想像を超えるもので、何度も何度も瞬きを繰り返していた。

 

「このように、これらは僅かな陽の光で容易く消滅し、血鬼術により生み出されたものは血液よりも早く燃焼反応が起きます。そしてこの程度の微弱な光であれば、鬼の肉体を灼くことはありません。

この微弱な光であれば半日ほど照射し続けられますので、氷の血鬼術は滞留させることなく消滅させることが可能となります。恐らく上弦の壱の斬撃に含まれる"不定型の刃"も血鬼術の類かと思われますので、そちらの対策も期待できます。

現在刀鍛冶の皆様にこの機械を組み込んだ柄と鍔を作製いただいております。仔細は私にはよく分かりませんが、抜刀と同時に照射されるよう設計するとのことなので、それほど戦いの邪魔にはならないかと思います」

 

実演を終えると、輝利哉は機械を部屋の隅に置く。その後実弥に近付き、スプレー缶を渡す。

 

「こちらは不死川玄弥様にお渡しください。

鬼喰いで身体が鬼化した際、万一疑似太陽光に巻き込まれてしまっては本末転倒ですので、それを防ぐための物です。

城に落とされた際、身体に吹き付けるようお伝えください」

 

「御意。弟のために…わざわざありがとうございます」

 

そうして刀鍛冶の里での一件から変化した状況の整理・共有を行った後、今後の展望を全員で話し合うこととなった。

 


 

実弥たちが柱合会議をしていた頃、不死川邸にある刀鍛冶師がやって来る。

 

「玄弥くん」

 

玄弥が声のする方に目を向けると、そこには鉄穴森が何やら箱を持って立っていた。

 

「あんたは確か…鉄穴森さん。兄貴なら今柱合会議で出払ってるぜ」

 

「いえ、今日は君に用があって来たんですよ。本当は君の刀鍛冶師が来る予定でしたが、先の戦いで氷の血鬼術を少し吸い込んでしまったようで、長旅は辛そうでしたので私が代わりに」

 

そう言って鉄穴森は、持っていた箱を玄弥に渡す。

玄弥は少々困惑しながら受け取り、縁側に置いて箱をゆっくりと開く。

中には片手で持てるほどの黒い品物が入っていた。持ち手であろう部分の上側、つまり人差し指が来る近くの辺りには、普段使用している南蛮銃と同じ"引き金"のようなものがある。

 

「……これは…」

 

「拳銃。君専用の武器です。使い方は南蛮銃と同じで、引き金を引くと弾が発射されます。衝撃が強いのでまずは両手で持って、肘を伸ばして使ってみてください」

 

丁度射撃の練度を磨く鍛練を行なっていた玄弥は、箱に入っていた拳銃を手に取り、両手で構えて銃口を的へと向ける。

 

「…軽いな」

 

倍以上軽いのに衝撃が強いのだろうか。

そんなことを思いながら、玄弥はいつものように引き金を引く。引いた瞬間、強烈な発砲音と共にこれまで南蛮銃を撃った時とは比較にならないほどの衝撃が腕全体に走る。当然ながら銃弾は的に当たらず、地面から砂埃が少し舞う。

 

「吃驚した……」

 

両手で肘を伸ばしていなければ、下手をすると脱臼になっていたかもしれない。それほどまでの威力を誇っていた。散弾ではないため完璧に照準を合わせなければならないが、合わせることができればこれまで使用していたものよりも鬼に有効かもしれない。

 

「散弾と違って頸を破壊することは叶いませんが、貫通力が高いので上弦の壱に効く可能性も高いかと思います。

それから弾の装填方法ですが……」

 

鉄穴森は玄弥から拳銃を受け取り、実演して見せる。

拳銃の種類は回転式で、装填方法は玄弥がこれまで使っていた南蛮銃とそれほど大差はない。そして装填数は六発で、散弾ではない代わりに連続で射撃できる回数は三倍に増加した。

 

「と、このような感じで装填します。

弾丸は勿論"猩々緋砂鉄"と"猩々緋鉱石"から作られていますので、鬼には有効なはずです。

では、私は時透殿に屋敷に来るよう呼ばれておりますので、来て早々ながらお暇させていただきますね。

……必ず…時透殿と一緒に生きて帰って来てください…」

 

鉄穴森は玄弥に頭を下げ、不死川邸から去って行った。

玄弥は鉄穴森の姿が見えなくなった後で少し頭を下げ、拳銃に慣れるために鍛練を再開した。

 


 

柱合会議が終わって皆が各々の屋敷へと帰ろうとしていた頃、カナヲは小芭内に話し掛けに行っていた。いや、厳密には小芭内ではなく……

 

「鏑丸くん」

 

鏑丸は聞き馴染みのある声のする方に振り向く。そしてカナヲが手を伸ばすと、小芭内の首からするするとカナヲの腕に移る。

 

「…甘露寺以外の女性に懐くとは………」

 

小芭内は仲良さ気な鏑丸とカナヲの姿を見て困惑する。というか、蜜璃に対してよりも懐いているように見える。

しかしやはり小芭内の方が好きなようで、暫くした後小芭内の首周りに戻って行った。

 

「あっ…急にすみません、蛇柱様」

 

「いや…良い……気にするな」

 

相変わらず蜜璃以外の女性は苦手な小芭内は、カナヲに頭を下げられて顔を背けてしまう。

 

「……俺が死んだ後…鏑丸はお前と一緒に暮らしたんだな」

 

「はい。不死川さん…風柱様が私に預けてくれたんです。戦いの後、私は視力が弱くなってしまっていたので」

 

「そうか……」

 

自分と蜜璃は無惨を倒した後で息絶えたと聞いた。それを聞いたとき、唯一気掛かりだったのは幼い頃から気を許せた親友の鏑丸だった。

だが自分が死んだ後でも孤独になることはなく、誰かの目の代わりになって生涯を終えたのだと分かり、小芭内は包帯の下にある裂けた口角が僅かに上がる。

 

「だが残念だったな。お前たちの見た未来になどなりはしない。鏑丸は最期まで俺の隣で生きて行く。お前の隣は鏑丸ではない」

 

嫌味のようで、全くそうではない言葉。そんな捨て台詞を吐きながら、小芭内は自身の屋敷へと帰って行った。

残されたカナヲは、小芭内の言う"自分の隣に立つ人物"のことを考えていた。勿論それは炭治郎ではない。小芭内は自分と炭治郎が未来で夫婦になったことなど知るはずがないのだから。つまり、彼の言う隣の人物は……

 

「姉さんしか居ない」

 

未来を知っているからこそできることがある。

カナヲは一緒に帰るために自分を待っているしのぶの方へと向かう。

 

「用事は終わった?

カナヲが伊黒さんに話があるなんて意外だったわ」

 

「蛇柱様というより、鏑丸くんだけどね。

それより姉さん…いえ、師範。私に調合方法を教えてください」

 

カナヲはしのぶを師範と呼び、彼女に頭を下げる。

しのぶは突然のことで何が何やら分かっておらず、困ったように首を傾げる。

 

「ええ…と……。調合って…どれの…?」

 

しのぶに質問されたカナヲは下げた頭を上げ、しのぶが腰に携えている"刀"を指差した。

 


 

刀鍛冶の里襲撃の後、刀匠たちは里を元の状態へと復興し、その上で空里への移転を終えていた。

 

「単純な動作なのが問題かな……」

 

襲撃時は蝶屋敷で輝利哉、愈史郎と共に無惨対策をしていたため被害に遭っていない小鉄。里へと帰ってきてから縁壱零式の話を刀匠たちから聞き、どうしたものかと思考を巡らせていた。

そこで、輝利哉と愈史郎が話していたことを思い出す。

 

---------------

 

「大分形にはなったけど…やっぱり配線が嵩張って邪魔になるね」

 

雑魚鬼用ではなく、無惨用の疑似太陽光源装置(ソーラーシミュレータ)を作製している最中、小鉄は何重にも嵩張る配線を見て頭を悩ませる。

厳密に言えば、配線が嵩張ること自体に問題があるわけではない。戦闘開始の合図となる機械なので、本体は屋敷の外から見えない位置に置いて、照射部分だけを勘付かれないように設置すれば良いだけのこと。

問題なのは起動方法である。屋敷の中に隠れて起動しようにも、無惨が人の気配に勘付かない訳がない。

 

「リモコンを使えば良いだろ」

 

「あっ…そっか……」

 

愈史郎の呆れたような指摘に、小鉄は自分の馬鹿さに苦笑してしまう。

遠隔操作装置(リモートコントローラ)が普及したのは小鉄がかなり歳を重ねた頃。それまでは全て有線だったため、機械製作にリモコンを取り入れた回数は少なかった。その加減で、完全に頭から抜けていた。

 

「阿呆ほど中継機を張り巡らせて、無惨の索敵範囲外から電源入れればそれで良いだろう。中継機は俺の"目"で……って、電源押す奴が俺の"目"を着ければ、わざわざ無線にする必要なんてなかったな」

 

「…なら、縁壱零式をリモコン操作にしてしまえば良いんじゃないかな?」

 

輝利哉は良い提案をしたと思ったが、愈史郎と小鉄は眉を顰めて頭を横に振る。

 

「仮にリモコン操作にしたとして、誰が操作するのって話になるよ。俺も輝利哉くんも、上弦や無惨の攻撃なんてまるで見えないし、愈史郎さんは城から脱出手段を作れる唯一の人だ。

操作できる人が居ないんじゃ、結局すぐに壊されて終いだ」

 

「…いや、居る。引退して前線では戦えないけど、十二鬼月の動きを見切ることのできる人たちが」

 

---------------

 

「リモコン…そもそも異空間で届くのかな……」

 

無限城は地上の光すらも届かない。そんな世界で無線通信ができるとは到底思えない。やはり上弦の鬼は前線で戦う柱や炭治郎たちに任せるしかない。だが地上に出てからは話が変わる。愈史郎次第にはなってしまうが、目標地点丁度に脱出させることができれば、数十体の縁壱零式で奇襲を仕掛けることも可能になる。そして零式を元柱の者たちが扱えば、炭治郎たちの負担を大幅に低減させることができる。

 

「ついでに赫刀にできないかも実験してみるかな」

 

そうして刀匠たちが無惨対策を進めている中、小鉄は縁壱零式の更なる改良を進め始める。

まずは実弥と義勇からの情報である、"刀同士を強くぶつけ合う"というもの。

 

「これをこうして……」

 

縁壱零式の中身を少し弄って、六本の刀をぶつけ合うような動きをするよう調整する。そしてその状態で電源を入れると、縁壱零式は思い切り刀をぶつけ合う。

しかしぶつけ方に問題があったためか、いとも容易く刀は破損してしまう。

 

「あっ…折れちゃった……」

 

六本とも刃毀れ、または折損。鋼鐵塚製だったら、小鉄の命はここで終わっていた。だがこれは他の刀匠たちが練習で作った粗悪品の刀のため、特に折ってしまっても問題はない。粗悪品と言っても、鬼を狩るには十分ではあるが。

 

「…これは相当難しそうだ……」

 

ぶつけるときの力、角度、時間、摺動。あらゆる点で神憑り的に一致しなければ、刃を破損させずに赫くすることはできない。少なくとも今の縁壱零式の性能では不可能だ。

 

「リモコン操作もできるようにしつつ、精度を上げていこうかな」

 


 

場所は少し変わり、里長である鉄珍の元に一羽の鎹鴉が手紙を持ってやって来た。

 

「おや。しのぶちゃんの鴉やね。どうしたん?」

 

鉄珍はしのぶの鎹鴉"艶"から手紙を受け取り、内容を確認する。

 

------

 

急啓  鉄地河原鉄珍 様

 

 

里の復興で忙しない中で申し訳ございませんが、毒の調合ができる刀を一本打って頂けますでしょうか。使用者は私の継子である栗花落カナヲです。

これまで打って頂いていた刀と違って、よくある普通の刀の形状で構いません。

急を要する事柄でご迷惑かと思いますが、何卒宜しくお願い申し上げます。

 

 

匆々  胡蝶しのぶ 

 

------

 

冒頭が急啓且つ送り主に挨拶の一文も無い辺り、本当に急ぎの用なのだということが分かる。確かに未来と同じであるのなら、剣士たちが無限城に落とされるまで一ヵ月と少ししか無い。今すぐ作業に取り掛からなければ、最悪間に合わなくなってしまう。

 

「全く……こんな老体に無茶をさせるとは……。決戦後には一緒にお茶でも行ってもらおうかねぇ」

 

鉄珍は冗談を言いながら立ち上がり、自分専用の作業場へと足を運ぶ。そして作業に入る前に、今一度手紙を確認する。

 

「普通の刀か…。思えば、久しく打ってないのぉ」

 

鉄珍は蜜璃やしのぶの日輪刀といった特殊な刀を打つことが多く、一般的な刀を打つのは滅多になくなっていた。

とはいえ、今回打つ刀も普通なのは形状だけで、中身は全く普通ではないのだが。

 

「毒を注入できる量は減るやろうけど、あの子はそれも承知のはずやんな」

 

鉄珍が少し心配だったために付いて来ていた艶に確認を取ると、艶は静かに頭を縦に振る。

 

「了解した。自慢の逸品を打ったるで」

 

物腰柔らかな雰囲気から一変、鉄珍は真剣な面持ちで刀の作製に取り掛かり始めた。




【あとがき】

お読みいただきありがとうございます。

今回は誰がメインとかではなく、皆の刀や銃の改良が中心のお話でした。鉄球くんは完成され過ぎているので改良の余地無しです。

玄弥専用の武器になった拳銃はリボルバー式のものになります。弾の装填方法が南蛮銃と近いので、そちらの方が扱いやすいと刀鍛冶師が判断しました。輪廻転生?後は実弘の同僚として警察官になっていますし、設定的には悪くはないかと。

光るDX日輪刀ですが、懐中電灯の照射部分から刀身が伸びてるイメージだと分かりやすいと思います。勿論光は微弱なもので、仮に持ち主本人が直で見ても目潰しされません。至近距離で見たら流石に目潰しされますが……。


さて…ここで改めて、原作には無いオリジナルの技を使うか否かを決めなければならないのですが、どうしましょうかね。
オリジナルの技を追加するとなった場合、まずはしのぶの技が増えます。
ハーメルンにはアンケート機能があるみたいなので、試しに使ってみます。アリかナシか、回答してやっても良いという方は回答していただけると幸いです。
とはいっても結局書くのは投稿主なので、結果はあくまで参考程度に留めておきます。そもそも投票される保証もありませんし。


下記に以前別作品で使ったオリジナル呼吸・技を載せておきます。アリかナシかの判断材料にしてください。

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雪の呼吸
 使用者:胡蝶しのぶ

水の呼吸から派生して、風の呼吸と合わさった。


壱ノ型 垂り雪(しずりゆき)
『蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ』のように高速で横切ると同時に攻撃する。
状況によって突きと斬撃を使い分ける。突きの方が速度は上。

弐ノ型 細吹雪(ささめふぶき)
刀を素早く振り上げ、続けて振り下ろす連撃技。
一瞬で二度斬るため、反応が遅いと一度で二度斬られたように感じる。振り上げで風を起こし、振り下げで『風の呼吸 弐ノ型 爪々・科戸風』のように風の斬撃を複数飛ばすことができる。

参ノ型 風花(かざばな)
相手の隙を斬り込む連撃技。
隙が多ければ多いほど斬撃の数は多くなり、隙が大きければ大きい程強い斬撃になる。

肆ノ型 銀華白風(ぎんかしらかぜ)
『水の呼吸 陸ノ型 ねじれ渦』のように体を捻り、自身の周囲に強力な斬撃を放つ。
防御技としても使える。

伍ノ型 天華六角(てんげろっかく)
目にも止まらぬ速度で六連続の突きまたは斬撃を放つ。
『蟲の呼吸 蜻蛉ノ舞 複眼六角』 を雪の呼吸に合わせて作り変えた。

陸ノ型 霧雪煙(きりゆきけむり)
体全体を使って途轍もない速度で四方八方に動き、相手の目を攪乱させる技。
『蟲の呼吸 蜈蚣ノ舞 百足蛇腹』の応用。
『霞の呼吸 漆ノ型 朧』のような効果を持つ。

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しのぶの短気な性格と"風の呼吸"の荒々しさがイメージと合致してる。
蟲の呼吸の派生元は"水の呼吸"。
花や華といった"花の呼吸"を彷彿とさせる技名が多い。
風の呼吸の派生先である"霞の呼吸"と似た技がある。
技数は六つで、雪の結晶は六角形状。

完全に自画自賛ですが、このオリジナル呼吸・技はかなり良くできてると思います。


当然ながら此方のしのぶは『○○ノ舞 ○○』の形になります。
というか、結構前から幾つか案はあって、既に作ってたりします。(使うか否かは別ですが)
意外とオリジナルの技を作るのは楽しいんですよ。大半がゴミのような技になって御蔵入りになってますが。



誤字脱字があれば報告していただけると幸いです。


【余談】

正直なところ前回のお話は投稿するかどうかかなり悩んでおりました。何せ自分の専門分野とは大きくかけ離れた内容でしたので。
とはいえ前回のお話の目的はそこではなく、無惨を倒しても状態は良くならないという点が重要なので、特に大きく修正せず放置しておきます。

決して面倒だからではありません。決して

オリジナル呼吸・技は……

  • 何個でもアリ
  • 1〜2個ならアリ
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