炭治郎とカナヲがしのぶの説得に成功した後、三人は蝶屋敷へと戻った。
「おっ、戻ってきたぞ」
天元が気付いて声を上げると、皆が玄関の方に顔を向ける。
どうやら実弥と義勇が木刀で稽古をしていたらしく、そこから学びを得るために善逸と伊之助は縁側に座って見ているという状態だった。
「…………」
先程皆に怒鳴ってしまったしのぶは、気不味さのあまり言葉が出なくなり俯いてしまう。
「胡蝶よォ…悪かったな…。確かにお前の苦悩が分かるやつなんて居ないよな……」
実弥の言葉にしのぶは一瞬顔を上げるが、直ぐ様頭を深く下げる。
「いえ……私の方こそ…すみませんでした…。
確かに…何もかもを諦めて、一つの道だけに拘るのは間違いですよね…」
「そうだぞしのぶ!!今度はしのぶも柱稽古してくれよぉ!!」
座っていた伊之助が飛び跳ねながら近寄ってくる。しかししのぶは未来の記憶を持っていないので、当然ながら伊之助のことをよく知らない。
「ええっ……と……」
「嘴平伊之助。俺やカナヲと同期です。少し変わってますけど、根は優しくて凄く良い奴ですよ」
炭治郎に”優しくて良い奴”と紹介された瞬間、伊之助はその場に立ち止まり、ホワホワし始める。しのぶはその姿を見て、笑みが溢れる。
「…そのようですね。
……ごめんなさいね、伊之助くん。私は未来を知りませんから…もし未来で仲良くしていたのなら、また仲良くしてくれると嬉しいです」
「……お…おう!!ツヤツヤのどんぐりもいっぱい持ってくるぞ!!」
ホワホワから戻ってきた伊之助は認識の違いに困惑しながらも、いつもの調子に戻った。
そうしてしのぶの一件は片付き、改めて今後の構想を練ることとなる。
「それで…炭治郎くん。”透き通る世界”というのは…何ですか?」
しのぶが質問すると、この場にいた全員が炭治郎の方を向く。
透き通る世界を会得できたのは、炭治郎、無一郎、行冥、小芭内でたった四人しか居ない。そしてその中で生き残ったのは炭治郎だけ。だから炭治郎にしか分からないこと…なのだが……。
「そういやお前…教えるのが絶望的に下手くそだったよなァ……」
炭治郎は他人に教えることが壊滅的である。それを思い出した実弥は早々に諦めてしまいそうになる。
「いや…父に教わったことをそのまま言えば、多少はマシではないかと………」
炭治郎は申し訳なさそうに苦笑して、父である炭十郎から聞いた言葉をそのまま話す。
正しい呼吸と正しい動きをおこなうと、次第に頭の中が透明になってくる。頭の中が透明になると、視界が透き通る。そして、最小限の動作で最大限の力を出すことができる。ここで言う透き通るとは、文字通り人体が透き通り、筋肉や臓器、血管が視える様になる。血管や筋肉が視えると、相手の動きを予測することも可能なのだ。
「…あらゆる無駄を削ぎ落とし、必要な動作だけを残す。例えば…音を聴こうとするとき、人は無意識に目を閉じますよね。それと同じように、回避するなら回避の動作だけを残し、それ以外をすべて”閉じる”。俺はそうやって”透き通る世界”に入ることができました。視えると言っても目で視えているのか、それとも感じているのかは分かりませんが、盲目の悲鳴嶼さんでも視えていたみたいなので、視覚によるものではないと思います」
ひとまず大雑把に説明を終える炭治郎。
思いの外説明が上手かったため、皆漠然と理解できたようだ。
「それは…痣が発現していないと不可能なんですか?」
「…分かりません。ですが、透き通る世界に入った人は全員…父も含めて、痣が発現していました」
不確定な情報だが、痣者だけが会得しているという情報だけは確定している。であれば、痣の発現を優先的におこなうべきだろう。
「しのぶさんは、まず身体から毒を減らしていくことだけにしましょう。身体に怠さを持ったまま鍛練しても、毒が抜けてきた頃に身体の動かし方が変わってしまうかもしれませんから」
「そこまで気にしなくても……」
「しのぶさん。ほんの僅かでも無駄な動きがあれば、透き通る世界に入ることはできません。今の状態で透き通る世界を会得しても、体調が戻ったときにできなくなるかもしれないんですよ」
炭治郎の提案と忠告にしのぶは難色を示すが、他に聞いていた者たちは炭治郎の提案に賛同していた。
「…分かりました……。大人しく従いますよ…師範」
「し…師範…!?」
「おう!頼むぜ師範!」
しのぶに師範と呼ばれて、炭治郎は鸚鵡返しをする。しのぶは至って真面目に言っているのだが、その場に居た者たち…特に天元は悪巫山戯で炭治郎のことを師範と呼ぶ。
「師範とか…そんな器じゃないんですけど……」
「いいからとっとと始めんぞ。時間がねぇんだよ」
実弥は皆の悪巫山戯をばっさり切り捨て、早々に稽古を始めることとなる。
「死んだ連中も呼んで強化しなきゃならねえが、無限列車の一件が最優先だ。
一分一秒が勿体無ェ」
「…それもそうですね。とりあえず、俺たちは全集中の常中を身体に馴染ませておきます」
炭治郎、善逸、伊之助は稽古場へと向かい、寺内きよ、中原すみ、高田なほの蝶屋敷三人娘とアオイに協力を仰ぎ、全集中・常中に加えて機能回復と基礎体力向上訓練をおこなう。
残りの面子は中庭に残り、一対一の勝負をおこなう。そして義勇と実弥は透き通る世界の会得に、天元としのぶは痣の発現を目指す。
負傷のない者は任務をこなし、空き時間には稽古。
そうして十日ほど経過し、炭治郎たちは全集中・常中ができるようになると、実弥たちの稽古に参加し始める。
「……………」
「どうした?善逸」
休憩中思い悩む善逸に天元が気付き、声を掛ける。
「宇髄さん。俺が無限城で倒した鬼…知ってますよね」
話を切り出した善逸に、天元は真剣な面持ちで頷く。
「ああ…聞いてる。お前の兄弟子だってな」
獪岳…それが善逸の兄弟子の名前。獪岳は柱稽古の期間中か少し前かに上弦の壱と遭遇し命乞いをした結果、上弦の陸として無限城で善逸と対峙することとなった。
「…正直獪岳のことは嫌いです。でも、あいつが特別な奴だってことは理解してる。俺なんかよりも凄い奴だって。
…育ててくれた爺ちゃんのこともあるし、あいつが鬼になってしまわないようにしたいんです」
天元にとって、善逸の兄弟子など微塵も興味はない。しかし音の呼吸は雷の呼吸の派生だ。そういった意味では、天元も無視する訳にはいかないだろう。
「…獪岳が鬼になった理由は…?」
「…あいつは無限城で、『正しく俺を評価する者につく』って…言ってました。
爺ちゃん…師範は、俺と獪岳を二人合わせて自分の後継にすると言ったけど、獪岳にはそれが耐えられなかったんだと思います。俺は壱ノ型しか使えなかったし、獪岳は壱ノ型だけできなかったから…」
当時は愚図りに愚図りまくっていた善逸。そんな奴と同列に扱われる獪岳の気持ちは、確かに同情してしまう。とはいえ、鬼になる選択をしたのはあくまで獪岳だ。善逸には何処にも非はない。
しかし、もっと最初から話していれば、そうはならなかったんじゃないか…。そう考えてしまう。
「…なら、俺が直接出向いてやる。前鳴柱のことは知らねえが、腹斬って死なれるのは面白くねえからな」
「……ありがとうございます」
天元と善逸は外出の準備をして、皆に事情を話した後に出発した。
泥水を啜りながらも…盗みを働いてまでも…他人を犠牲にしてまでも…生き長らえてきた人生。そんな人生にも転機が訪れた。それが鬼狩りだった。元柱の下で指南を受け、何れは師範の意思を継ぐ柱となることを夢見て、厳しい修行にも耐えてきた。いつか努力を認めてもらえる日が来ると信じて。しかしある日を境に全てが変わってしまった。それは、師範が一人の少年を連れてきた日。
「…………」
我妻善逸。事あるごとに泣きべそをかき、師範の手を煩わせる。そして師範は、事もあろうに自分と善逸、二人を共同で後継にすると言った。
その瞬間、何もかもがどうでもよくなってしまった。これまでの努力は全て無駄だったのだと、そう思ってしまった。
「…………」
「お前が獪岳って奴か?」
先刻まで気配は無かった。音もなく背後を取られたのだ。慌てて距離を取って後ろを振り返る。
そこには天元が立っていた。
「……俺に…何のよう…ですか……」
一瞬、敬語を忘れそうになる。しかし善逸にいつも言っていた”先輩や師範に対する口の利き方”を、自分がしないのはお門違いであるため、寸前で敬語を使った。
「ちょいと小耳に挟んでよ。元鳴柱の下で指南を受けていた奴が居るって」
「…誰から聞いたんです……?」
獪岳は途轍もなく嫌な予感がした。雷の呼吸を指南している育手は幾らでも居る。だから誰から聞いたのか、普通は分からない。しかし、今回ばかりは分かってしまった。
「…やあ…獪岳……」
「……失礼する……」
善逸の姿が見えた途端、獪岳は背を向けて歩き出そうとする。しかし天元は一瞬で獪岳の前に立ちはだかる。
「まあまあ、ちょいと面貸しなって」
天元は獪岳の腕を掴み、ニヤリとほくそ笑む。
逃げ場を失った獪岳は、大きな溜め息を吐きながらついて行く事となった。
そうして到着した場所は宇髄邸。現在は天元の妻たちが吉原遊郭に潜入しているため閑散としている。
善逸は縁側に座り、二人の様子を眺める。少々気に入らなかったが、獪岳は一旦善逸のことを頭から離す。
「それで…俺に何をさせようと…?」
「俺と戦ってもらう」
天元は木刀を獪岳に投げる。獪岳は投げられた木刀を咄嗟に取るが、状況が全く理解出来ず、天元と木刀に何度も目線を動かす。
「俺、雷の呼吸は壱ノ型しか見たことねえんだわ。だからお前の技を見せてくれっつう話だ」
状況をある程度把握した獪岳は、木刀を構える。
「怪我しても文句言うんじゃねえぞ…音柱…!」
-雷の呼吸 肆ノ型 遠雷-
獪岳は素早く天元の間合いに入り、斬り込む。天元はその斬撃を容易くいなし、反撃に竹刀を振り下ろす。
-雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷-
天元の反撃を回避し、獪岳は四方八方から斬撃を叩き込む。
「ほお!やるじゃねぇか!!」
-音の呼吸 壱ノ型 轟き-
天元が竹刀を地面に叩きつけると、石礫や砂埃がかなりの速度で周囲に飛び散る。獪岳はそれらに接触しないように、距離を取る。
「…竹刀だぞ……なんで地面が抉れるんだ…!?」
天元が竹刀を叩きつけた場所には人が入れそうなほどの穴が開いていた。しかし天元の持つ竹刀は傷一つない。
「ぶつけ方次第で何もかも変わんのさ。それより…まだ技はあんだろ?」
「……分かったよ…!やりゃあ良いんだろ!!」
-雷の呼吸 弐ノ型 稲魂-
獪岳は間合いを詰め、素早く五連撃を放つ。
-雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟-
更に続けて、広範囲に多数の斬撃を繰り出す。瞬間、ほんの僅かではあったが天元に隙が生まれる。
-雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷-
獪岳はその隙を見逃さず、下から上へと木刀を振り上げる。天元は竹刀で獪岳の攻撃を受け止めるが、反動で少しばかり身体が宙に浮く。
「……お前、ド派手に凄えじゃねえか!!
一瞬マジで食らうかと思ったぜ!」
天元は声を上げて笑い、獪岳の肩を叩く。その衝撃は中々に強く、獪岳は肩を縮める。しかしこうして柱から称賛されると嬉しくなる反面、柱が如何に秀でた存在なのかを改めて理解した。
「あんた…全然本気じゃなかっただろ…」
「そう見えるか?
悪いが、俺の技は専用の刀じゃねえと殆ど使えねえからよ」
天元は竹刀を壁に立て掛け、縁側に座り込む。そして獪岳にも座るように促すと、獪岳も少々困惑しながら隣に座る。
「なあ…お前。どういう腹積もりで俺のことを話したんだ?」
獪岳は善逸に睨みを利かせ、声色を落とす。その様子を見て天元は獪岳の肩に手を置く。
「それは俺から話す」
天元はこれまでの経緯を包み隠さず話す。
鬼を連れた鬼殺隊士の竈門炭治郎。彼に裁判をおこなう日、特定の人物に未来の記憶が流れ込んだ。その特定の人物というのは、未来で無惨討伐後に生き残った者たちだった。
未来を知った自分たちは、仲間が死なない未来を作ろうとしている。
「そんで、お前に会いに来た理由だがな。お前、未来で鬼になっちまってんのさ」
まさかここまで赤裸々に話すとは思わず、善逸は目を見開く。
獪岳は困惑しながらも、何処か納得のいく表情をしていた。
「大方想像つきました。俺は鬼に命乞いでもしたんでしょう。俺は…死ぬまでは負けじゃないって考えが根底にある。死なないために…負けないために、俺は鬼に頭を垂れたってとこですかね」
「その辺の経緯は知らねえが。まあそういうことだ。そんで、桑島の爺さんが腹切ってしまったもんで、そこの黄色い頭の奴がブチ切れたって訳だ」
獪岳は善逸に目をやる。善逸は獪岳の目線に少々怯えつつも、天元の言葉を否定しない。
「俺は負けたんですね…。コイツに」
「ああ。善逸が自分だけの型を作って、お前の頸を斬ったって聞いてる。俺は決戦時には既に引退してたからな。詳しいことは分かんねえ」
"自分だけの型"と聞いて、獪岳は眉を歪ませる。不快に思うのも無理はない。何せ、善逸は泣きべそばかりで技も壱ノ型しかできない落ちこぼれだったのだから。
「それで、俺が鬼にならねえように手を回したってわけか? あぁ?」
「そ…そういう…こと……」
凄む獪岳に、善逸は声を震わせながら肯定する。
獪岳は舌打ちし、立ち上がる。そして、善逸に木刀を渡す。
「その"自分だけの型"を見せろ。できねえとは言わせねえからな」
善逸は獪岳から木刀を受け取り、訓練用の打ち込み台に構える。
シィィィ……
という呼吸音を鳴らし、腰に充てがった木刀を構える。
-雷の呼吸 漆ノ型 火雷神-
一瞬善逸が消えたかのように見えた。直後、落雷のような強烈な音とともに、打ち込み台は粉々に砕ける。
「これが…俺が考えた"漆ノ型 火雷神"。壱ノ型は次の攻撃に備えて納刀するけど、これは納刀しない。代わりに速度を最大まで伸ばしたんだ。壱ノ型しか使えない俺にとっては、最後の切り札って感じになるかな」
「…………はぁ……」
獪岳はため息を吐きながら再度縁側に座る。
「分かったよ…。確かに…先生の言ったことは間違っちゃいなかったな。……俺もお前も、一人じゃ絶対柱になれねえ。残念なくらい落ちこぼれの後継だ」
雷の呼吸の基礎である壱ノ型が使えない自分。
壱ノ型しか使えなかった善逸。新たに編み出した漆ノ型は、先を考えない捨て身の一撃。
天元と戦ったからこそ、何方も柱には程遠いと嫌でも理解できる。師範の言ったことは間違っていなかったと理解した獪岳は、ずっと険しかった表情を和らげる。
「音柱。お節介焼きのアンタには聞いてもらうぜ、俺の話を」
獪岳は元鳴柱の下での修行などを淡々と話し始める。
「俺は元鳴柱・桑島滋悟郎の下で修行していた。当時は俺一人だったし、次期鳴柱になるため必死に努力したよ。いつか先生に後継として認めてもらえるように…。
そんな時、先生はコイツを連れてきた。その日からは最悪な暮らしだったよ。毎日毎日朝から晩まで泣き喚くコイツに、俺は心底嫌気がさしてた。コイツが喚く度に、俺が先生から学ぶ時間が無くなるんだからな。
そんであろうことか、先生は俺とコイツを共同で後継にしたんだ。俺は壱ノ型だけ使えないし、コイツは壱ノ型しか使えない。後継に恵まれねえ先生が気の毒さ。でも当時の俺はそんなこと微塵も思わなかった。なんでこんなカスが俺と同列なんだって思ったよ。さっきの漆ノ型を見たら、先生は間違ってなかったって思うけどな」
当時の話を包み隠さず話していく獪岳。自分でも何故話そうと思ったのかは分からない。おそらく、先程の立ち合いで己を正しく評価してくれたからなのだろう。
そして天元は、口を挟まず話を聞いていく。それと同時に、獪岳に対する認識が変わる。
(全然普通な奴じゃねえか。認めてもらうために必死で努力する…。地味だが嫌いじゃねえ)
天元がそう思うのは、炭治郎の存在があったからだ。性格は違えど、努力を惜しまない姿は何方も同じに見える。
「獪岳。お前さえ良いんなら、俺の継子にならねえか」
突然の提案に、獪岳は驚きを隠せない。何故その考えに至ったのかを聞きたそうにしていると、天元は話し始める。
「お前の太刀筋は相当良い。加えてまだ伸び代もある。
それに俺の使う音の呼吸は、雷の呼吸の派生だからな。色々教えられるはずだ。
一番の理由は…努力する奴は嫌いじゃないってことだ。努力は地味も地味だがな」
「……少し…考えさせてもらって良いか……」
獪岳はその提案を受けるか否かを決めかねていた。柱に近付くということは、他の柱とも顔を合わせる機会があるということ。そしてその柱の内の一人には合わせる顔がないのだ。
「おう。是非とも前向きに考えてくれよ」
天元はそんなことを当然知らないので、特に気にする様子もない。
ひとまず考えるために、獪岳は宇髄邸から出ていった。
「なんで獪岳を継子にしようと思ったんですか?」
獪岳が居なくなったところで、善逸は気になっていたことを聞く。まさか自分の師範を助けるためだとは思っていないが、そうなると継子にする理由が善逸には分からなかった。
「別に。顔合わせた当初は継子にするなんて考えはなかったさ。だがな…あの雷の呼吸は相当伸びる。周りの連中は"基礎である壱ノ型ができないのなら意味がない"なんて言うだろうが、そんなもんはどうでも良い。強い鬼を殺せる強さを持つなら基礎も応用も関係ねえ。……お前にも当てはまってるからな。
今の技量を持っていながら伸び代だらけ…加えて竈門と同じくかなりの努力家。継子にしない方が勿体ないって思っただけさ」
「そう…。
…でもなんか…思ってたよりあっさり解決しちゃったな……」
もっと悶着すると思っていた善逸は苦笑いする。
「お前が変わったからじゃねえの?
今のお前は薬湯以外で泣きべそかかねえし」
「おい!あの薬湯を馬鹿にするなよ!!
逆流した胃液を飲み込む方がまだマシなんだからな!!」
大声で薬湯の恐ろしさを語る善逸。あまりにうるさい声のため、天元は指で耳を塞ぐが、それでも響くほどの大声だ。
「……やっぱアイツ変わんねえわ…。
…でもまあ……意外と悪くねえのかもな……」
外で聞いていた獪岳は笑みが零れながらも、そのまま去っていった。
音柱に二人の継子ができるまで、そう遠くはないのかもしれない。
【あとがき】
駄文をお読みいただきありがとうございます。
獪岳に対する知識が浅すぎて、キャラがブレブレな気がします…。ただ、獪岳が善逸を嫌ってる理由が"泣きべそかいて逃げ続ける"ところだと思うので、それが無くなったのなら多少は善逸に対する不快感が消えるのではないかと解釈しました。
そして天元は良くも悪くも公平に、忖度せずに人を評価するタイプだと思ったので、案外獪岳とは相性良いんじゃないかなぁ…って。雷の呼吸と音の呼吸は関連性もありますし。
誤字脱字があれば報告していただけると幸いです。