〜TS転生コキリ族ハイラルを往く〜 ゼルダの伝説 FAIRY OF THE MAGIC   作:ジュミ・ベラウ

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 初めてやったゼルダは神々のトライフォース2。小学生だった時分、攻略サイトで調べることもできず、結局クリアできないまま手放した。
 その次は時のオカリナ3D。弟のものを借りて遊んだ。ダイゴロン刀はロマン。
 そして初めて自分で買ったムジュラの仮面3D。うさぎずきんが可愛くて優秀。

 そしてブレスオブザワイルドにティアーズオブザキングダム、間に厄災の黙示録を挟みつつこの世界観とフィールドにワクワクして。

 そんなゼルダ熱が再燃してきたので書きました。厄災の黙示録みたいな生存IFハッピーエンドを目指します。ただし厄災の黙示録世界の隣の世界です。未来からテラコが遡ってはきてくれません。



森林の章
コキリ族のティリア


 

 ハイラル王国城下町から見て北にあるハイラル大森林。その奥に隠された精霊コログ達の住まう森。

 そのコログの森で、新しい命が産まれようとしていた。

 コログ達は森の中心に聳える巨木の大精霊『デクの樹』から産まれてくる。今代のデクの樹が桜の姿をしているからか、コログ達が産まれてくる木の実は、巨大なさくらんぼの形をしていた。

 デクの樹はそのさくらんぼが黄金に輝いていることに気がついた。暖かく、それでいて神々しい光であった。デクの樹はそれが悪しき力ではないと直感していたが、しかしまた妖精や精霊の持つ力とも違っているように感じた。何より、コログの木の実が光ったことなどなく、また先代、先先代と続くデクの樹の記憶を辿ってもそのようなことはなかった。

 

「女神ハイリアの思し召しか……何かが変わろうとしているのやもしれん。……む?」

 

 デクの樹の眼下に存在する石の台座。そこに突き刺さった青い剣、退魔の剣マスターソードが、その剣身を淡く輝かせていた。そしてデクの樹に実った木の実もまた呼応するように輝く。

 

「なんと。マスターソードが……」

 

 さくらんぼが独りでに枝から千切れ、そしてデクの葉をパラシュートにしてゆっくりと落ちて行く。

 落ちた果実は、マスターソードの横に着地した。

 森のコログ達がテコテコかけより、さくらんぼが割れて行く様子を静かに見守る。

 

「アレェッ!」

 

 最も近くにいたコログが驚愕の声を上げる。

 

「なんと……!」

 

 上から見ていたデクの樹もまた驚きを隠せない。

 木の実から姿を現したのは、どう見ても人間の赤子にしか見えない存在だった。

 樹の表面ではなく、白くきめ細やかな皮膚。葉っぱの仮面ではなく、黄緑色の髪。耳は横に長く尖ったハイリア人の耳だが、他のハイリア人に比べてさらに少し長いように見えた。

 外見こそハイリア人そのものだが、しかしその内側から感じられる力はコログや妖精のそれと一致した。ゆえに人の形をした妖精というのが正確なところなのだろう。

 

「静かに、森の子らよ。この子も間違いなくこの森の仲間。少し姿は違うが、それだけだ。」

 

 デクの樹はこの赤子が『コキリ族』であると森の木々が遺した記憶を読み解くことでたどり着いた。

 はるか大昔、現在のハイラル王家ができるよりもさらに昔に存在したコログ族の祖先であり、戦火を逃れて森へと逃れたハイリア人が変質した存在でもある。

 森の中にいる限り歳を取らず、死ぬこともない。コログと同じくデクの樹より生まれる存在だった。

 コログの長スダジィが群がる同胞達を掻き分け、赤子を取り上げる。人間の子供と違い産声を上げることもなく、すやすやと眠っている。

 

「もじゃ⁉︎ デクの樹サマ、女の子じゃも!」

「ほう。女の子とな。」

「名前はどうするじゃも?」

「それが、マスターソードがこう名付けるべきというておる。コログの命名則より外れておるが『ティリア』とな。」

 

 かくして、ティリアと名付けられた少女はデクの樹のヘソの中の部屋で、葉っぱと枝で作られたベビーベッドで、スダジィはじめとしたコログ族達に育てられることとなったのである。

 

 *

 sideティリア

 

 気がついたら女の子でした。それもどうやら人間じゃないらしい。

 その上ゲームの世界とくればワクワクもするけれど、ただ、この手のあるあるで、バタフライエフェクトが恐ろしい。そんな、どこにでもあるようなテンプレTS転生者が、ボクことコキリ族のティリアだ。

 前世の記憶を取り戻したのは物心つくと同時。大体2歳くらいの頃、1年ほど前だったと思う。水面を鏡がわりにして顔を見れば、これが可愛らしい女の子。瞳は大きくて青色で、髪色は黄緑。ゼルダの伝説シリーズでいえば、〈時オカ(ゼルダの伝説時のオカリナ)〉の『サリア』と同じ色合いだネ。名前もどこか似てる。

 それと、特筆すべきは耳の大きさ。比率的にかなり長い。普通のハイリア人より1.2倍くらいあると思う。

 服装はといえば布を作る人がいないので〈時オカ〉の緑の衣というわけにはいかず、葉っぱを縫い合わせた服。橙と緑の2色で、靴と帽子はとんがってる。『スタルキッド』の服装といえばわかる人にはわかると思うヨ。

 

 コキリ族というので時系列としては時のオカリナの前後ら辺かと思ったんだケド……どーもボク以外にいないんだよねェ、コキリ族。周りにいるのはコログ族ばかり。コログと言えば〈風タク(ゼルダの伝説風のタクト)〉で初登場したコキリ族の子孫。姿形はまるで違うけれども、長い年月で姿を変えた種族だったはず。

 ボクの生みの親、デクの樹サマが云うには特殊な先祖返りのようなものらしい。

 そのデクの樹サマ、年中桜の花を咲かせた大木なんだケド、この特徴は〈ブレワイ(ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド)〉の特徴。他の作品との繋がりは判明していないけれど、時系列の下から2番目であることだけは確定してる。

 ブレワイから〈ティアキン(ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム)〉にかけての知識であれば、他の作品より詳しい。なんとか役立てられたら、原作死亡キャラ生存を目指せるかもしれない。この時系列で1番の大団円は〈厄黙(厄災の黙示録)〉なんだろうけれど、あれは正史世界の犠牲ありきの分岐世界だからボクの今いるここが運良くそうなるかは分からない。ボクがテラコの代わりを務められるとも思えないしネ。

 

 ただ、色々考えてもサ「取らぬ狸の皮算用」……ハイラルにタヌキはいないケド。ボクはまだ3歳かそこらの幼児。剣も魔法もない子供に何ができようってハナシだ。

 一応今現在が原作開始前なのは確かだヨ。マスターソードは台座に刺さったままだし、白龍に抱かれて修復された際の微妙に色の違うところもない。

 最後に引き抜かれたのは大体9900年前くらいって言ってたカナ……

 うん。ボクはマスターソードの、その中に宿った精霊『ファイ』の言葉が分かる。コキリ族のデフォルト能力ってわけじゃないだろうし、多分異質な魂ゆえだろーネ。

 そのファイが9900年前にシーカー族のからくり兵士と一緒に厄災ガノンを封じたって言ってたってことは、次に引き抜かれるのは100年後くらいだネ。原作で前回の厄災討伐は四神獣とガーディアン達と共に戦ったのは1万年前と言っていたし。

 

 100年かぁ。コキリ族は大体10歳くらいの肉体年齢で成長がストップする。その後は森を出ない限り歳を取らない。

 中身一般ピープルなボクが100年以上の年月を耐えられるかわからない。100年間も厄災に備えた修行ができると見れば悪くないんだけどネ。

 

 まぁ、でも、鍛えるのも後数年経ってからかなぁ。

 幼児のボクは直ぐ眠くなってくるし、成熟してない脳みそで色々考えすぎるからよく知恵熱を出してしまう。

 子供が子供らしくいれる時間は大事だって前世の経験でわかってるし、今しばらくは、コログの森の普通?の子供でいさせてもらおうかな。

 ボクの出自についてファイは察しているみたいだケド、デクの樹サマには何も言えてない。なんだか騙してるようで気が引けるなァ。中身男の子だし、前世と足したら20歳超えるし。ボクのせいじゃないンだけどサ。

 





 プロローグなので短め。
 コキリ族とコログ族がデクの樹から生まれてくるのは公式設定のハズ。木の実になるのは捏造設定。コログはともかくコキリが幹や枝から直接にゅって生えるのはナンカ怖い。
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