〜TS転生コキリ族ハイラルを往く〜 ゼルダの伝説 FAIRY OF THE MAGIC 作:ジュミ・ベラウ
とりあえずリンクくんは喋るけども口数は多くなく、体の動きとかで感情を出すタイプのやんちゃ坊主にしようかと。
声のイメージは……時オカムジュラの子供リンクをさらに幼くしたイメージで書いてます。4歳なので、歴代リンクでここまで若いキャラはいないからちょうどいい声の例えが中々……
sideティリア
遺物の発掘事業が始まり、各地で和服を着たシーカー族の技師たちが兵士と共に作業にあたってるのを見かけるようになった。
どうやら王国に仕える占い師は、きちんと厄災復活の予兆をキャッチできたらしい。ボクが預言者役をしなくて済んでよかったヨ。
「グンディ〜ロ〜、ヨ〜イガ〜ナ〜……ヨメヌ!」
「何してんだ?」
「占いの真似事ジャラ……」
「だから水晶玉の前でヘンな呪文を……なんか映ったか?」
「さっぱりだヨ。」
「だから『詠めぬ』つったのか。」
今ボクはムジュラの仮面を買ったお店に魔法の楽器の売上をとりに来た。
「売れ行きはまぁまぁだな。一回兵士に怪しい品だって取り調べを受けそうになったんだが、森の賢者の品だって言ったら引き下がってもらえたよ。」
「ボクのネームバリューってスゴい?」
「そりゃそうだろ。退魔の剣が眠る森の使いの妖精。実力も確かで各地の困りごとを解決していく。何よりハイリア王妃の友人だぞ。」
「出会った当時は王妃じゃなかったんだけどネ。結婚したとは聞いたケド、相手がローム王だとは全くもって予想だにしなかったネ。」
森を出たら年をとり始めちゃうから結婚式、見にいけなかったんだよネ……あと本編の時代がいつかはゼルちゃんが生まれるまで正確に分かんなかったてのもある。
肉体的全盛期であろう肉体年齢10代後半に厄災を合わせたかったんだケド、森の中で12歳くらいだから10年しか外で事前準備ができない。それだと準備が足りるどうか不安だったんダ。何より王家に取り次いでもらえるだけの名声と実績を稼ぐ算段だったんだしネ……
あの子がハイラル王妃だったから王家とはもう顔見知りなんだけどサ。
顔パスだよ顔パス。ゼルちゃんに子守歌を吹いてあげたこともあるんだヨ。信用されすぎじゃない? 流石にお城に行く時はムジュラの仮面は外すケド、イーガ団が化けてたらどーするの? まァ、『ゼルダの子守歌』のメロディを知らないと入れてもらえないんだケド。
とはいえ当時は知らなかったから、ゼルダという姫が生まれたってコログに教えてもらって直ぐ飛び出してきたワケで。
それなのに……森を出て4年近く経つのに外見年齢は13歳くらい。どうも成長スピードは4年で1歳くらい? 遅すぎない? これだとボクはあと300年近い寿命がある可能性も出てきたヨ⁉︎
原作通りなら厄災復活まであと13年弱。13年後にボクの肉体年齢は16歳。ウーン、リンクに成長を追い越されたミファーと同じ立場になるのかも。ただ肉体年齢的にはかなり良い。1番脂が乗ってる時期というか。計算したわけじゃないけど悪くないネ。
「それで、またすぐ出てくのかい?」
「ウン。ローム王に頼まれてネ。明日ゾーラの里に表敬団を向かわせるから一緒について来て欲しいみたい。」
頼み……命令じゃないんだよネ。どうもハイラル王はボクを目上の人と思ってるフシがある。ボクはジャブー様と同列?
流石に敬語は使われてないケド……王様は国1番エラい人だからおいそれと他者に敬語を使うべきじゃないからネ。
それでも部下に向けるよりも言葉が柔らかい。……ボクの方が畏れ多いジャラ。年を重ねるだけでエラくなれるワケじゃないし、ゾーラ族みたいに100歳で成人みたいな種族もいるから……どうして目上扱いなのかわっかんないなァ。デクの樹サマ相手ならわかるんだケド……
「あんたはゾーラ族にも顔がきくのか?」
「いや。ゾーラの里はあんまり行ってないんだ。ちょうど行こうと思ってたからナイスタイミングなんだヨ。」
そう、『ゾーラの里』に行くのは最後だと決めてた。時期が合えばリンクとミファーと同時に知り合いになれるからだ。
で、それがリンクが4歳の時だとは覚えてた。ミファーの日記に書いてあったヤツだヨ。
つまり明日ボクが加わる表敬団には幼き日のリンクがいるってことだネ。
リンクの家族構成はどんな感じなのかな。
……どのくらい強いのか楽しみだヨ。
ともかく、ボクはお店を後にして、それで明日からお世話になる表敬団の皆さんのところに合流したんだケド……
「リンクのやつ、ありゃバケモンだな。まだ4歳だろ……」
「相手の男も弱くはねぇ……確か小隊長クラスだろ……こりゃ将来はとんでもねぇ剣士になるぞ。」
ちょうど少年が兵士との模擬戦に興じていた。あの金髪……青い目、中性的な顔付き……長めなまつげ……
「あは……!」
あれが勇者の魂を持つ者……なんて、練られた身体だろう。思わず舌なめずりしちゃった。
側から見るとどっかの
ウーン、強い相手を見て興奮するのはなんか修羅に染まっていってる気がする……ライネル先生と戦いすぎたかもネ。彼らも強敵を前に高ぶる武人マインドの持ち主が多いし。
しかしアレだネ。リンクくんってば満足してなさそーなカオしてる。
互角に戦える相手がいないんだろーなァ。
ヨシ!
*
「ボクが相手をしよーか、少年?」
いつの間に、リンクの隣に恐ろしい仮面をつけた人物が立っていた。
「!」
すわ魔物の襲撃かと剣を構えつつバックステップで距離を取る。いきなり斬りかからなかったのはその相手が人の言葉を放ったからだ。
「ウフフ、いきなりお邪魔してごめんネ。ボクはティリア。森の小鬼なんて呼ばれ方もしてるけど、この顔はお面ジャラ。ほんとは妖精だヨ。」
「何をしにきたの?」
「いやー最近噂の天才児に会いに来たんだヨ。……同じ剣士として、ネ。」
ブワッと、強風を叩きつけられたと錯覚するほどの闘志がリンクへと浴びせかけられた。
リンクは知らず知らずのうちにかいていた冷や汗を袖で拭う。
周りの大人達は彼女の放った威圧にまるで気づいていない。ただ、あの噂の妖精の剣技をこの目で観れるとはしゃいでいる。
「挑戦、受けてくれル?」
「──わかった。」
リンクは構えをとった。ハイラル騎士の正統の構えだ。
「抜かないの?」
「いいんだ、これがボクの構え。」
ティリアは背中の鞘にコキリの白刃剣を納め、盾も背負ったまま、足を肩幅に開き、両手を体の横で軽く浮かせて立っているだけだ。その目線もリンクに向けられてはいるが、鋭さがまるでない。
油断か慢心か。剣を振るえば答えは自ずとわかるはずだ、とリンクは思い切りよく斬りかかった。
ギィン、と金属をぶつけ合わせた音が響く。
「リンクの攻撃を防いだ!」
ギャラリーの1人がそう言うが、それが正しくないことをリンクは認識していた。
「『居合い斬り』だヨ。」
剣を握っていないからとて油断せず、意識を彼女の背負った剣に向けていたからこそ神速の抜刀に対応できた。攻撃を中断して剣で剣を受け止める選択をしたからこそ、審判はリンクの負けを宣言していない。
「抜刀の瞬間、見えたか?」
「いいや。速すぎる。あれが森の賢者様の力なのか……」
鍔迫り合いでは身長の劣るリンクは不利だ。パワーでも負けている。
飛び退って距離を取り、リンクは仕切り直しを図る。
「!」
そこを狙い澄ましたかの如く、鋭い突きが飛んでくる。それを横っ飛びで躱せば、リンクの視界は、瞬間スローモーションのように流れて行く。
一気に距離を詰め、ティリアの脇腹に剣を振るう。もちろん寸止めで止めるつもりだったが、しかし彼女はあろうことかリンクの超スピードに対応してきた。リンクの横振りを体を丸めて転がるように回避する。
予想外の動きにリンクは対応できず、一瞬ティリアを見失う。試合においてそれは十分に致命的な隙だった。
次の瞬間には、リンクの首筋に白刃剣が添わされていた。ティリアは『
「……無茶をしたものだネ。でも、ヒヤッとさせられたジャラ。」
「無茶でもしないと勝てないかなって。」
「負けず嫌いなんだネ。でも出来上がってない体で『回避ジャスト』からの『ラッシュ』をしようとしたんダ。明日は筋肉痛間違いなしだヨ。」
「どうやったらラッシュに回避を合わせられる?」
「鍛錬あるのみだネ。ボクはこれでもけっこー長い間鍛えたんだヨ。キミが追い抜かそうなんて10年は早いジャラ。」
それは最大の賛辞であった。ティリアの100年に、リンクは10年で追い付けると言っているのだ。
とはいえ、ティリアもティリアで成長途上ではある。技術は一端の完成と言えるが、肉体的な成熟と最盛期を迎えるにはまだかかる。
「お世辞?」
「本気だヨ。もし今のキミが左手に盾を持ってたら結果も変わってたかもネ。負ける気はないけどサ。」
「どちらにしても貴女は本気じゃなかった。」
「いーや、本気ではあったヨ。
リンクは盾を持たず、剣1本で戦うのが騎士の伝統だから、とそのように鍛えていた。だが伝統があるからといって魔物は手心を加えてくれたりはしない。
「?」
「ちょっとムズかしい? じゃ、構えてごらんヨ。」
突如としてリンクの足元の地面が隆起した。リンクはバランスを崩し、そしてその隙に首筋へ剣が突きつけられる。
「!」
「魔法『ディンの
「魔法……」
リンクとて魔法を見た事はある。『ウィズローブ』という魔物は杖から属性のエネルギー弾を放ってくる。しかし、ティリアの魔法はそんなチャチなものでは断じてなかった。全くのノーモーション。一切の予備動作のない、それでいて範囲の広い攻撃。今回彼女は地面を激しく揺らす程度で済ましたが、やろうと思えばリンクを空に打ち上げられただろう。
「もう1回!」
「ナニか思いついた? じゃ、掛かっておいで。予告はしないヨ。」
リンクは剣を手に走る。どのタイミングで来るかは分からない。だが『来る』ことだけは確実なのだ。だから見てから避ければいい。
地面が爆ぜる。彼は横っ飛びで躱す。スローになった世界の中、ティリアの首筋目掛けて剣を突きつけようとする。
「『フロルの風』。テレポートの魔法ジャラ。」
しかしまたもやリンクは一本取られていた。テレポートで真後ろに回り込まれたのだ。
「……目で追ったネ。気配はバッチリ読めてたケド、カラダがついてこれなかったカンジ……今はもどかしーだろーケド、成長するにつれどんどん改善するジャラ。」
「経験論?」
「大正解。ボクってばゾーラ族より成長が遅くっテ。……まァ、見えるなら避けれるのはおかしくもないジャラ。」
周りで見ていた兵士たちは思った。いや、おかしい、と。
だがそんなことはお構いなしにティリアのインストラクトは続く。
「コレならどーぉ?」
リンクの足元に雷が落ちた。やはりノーモーションであり、リンクは見てから動く事はしなかった。ティリアの言いたい事がわかっているからだ。
雷はほぼほぼ光速だ。そして『見る』ということは光が目に届いているということ。どうやっても見てから回避は不可能だ。見えた時には着弾しているのだから。
これがエレキウィズローブの放った電気の魔弾なら回避は簡単だっただろう。少なくともリンクやティリアにとっては。
「『フロルの
「避けられない……だから盾はあったほうがいい?」
「キミは近衛の家系でしョ。要人護衛のお仕事なんだから盾を持って守りも固めたほうがいいと思うヨ。……何より、手数が増えるジャラ!」
「?」
「その顔は疑ってるネ。……実例をお見せしよっか?」
「是非。」
「じゃ、構えテ。」
また2人は迎えあって構える。今度はティリアの左腕にウロコの盾が握られていた。
「かかっておいで。」
「ッ!」
リンクは真っ直ぐ彼女へ向かっていく。
「わ!」
そして目の前から飛んできた飛来物を避けようとしてバランスを崩す。結果またもや一本取られていた。
「盾を……投げた?」
「盾は投げるものサ。」
「そうかな?」
「そうだヨ!」
周りの兵士は思った。絶対違う、と。
「敵の意表をつくには最適だヨ。縁で相手の喉を突くように投げるのもアリだし、面で投げて大きく目眩しにもなるジャラ。そもそも盾ってば木製でも金属製でもかなり硬くできてるからネ。」
完敗だ、とリンクは思わされた。手札があまりにも多い。そして今見せたこれはリンクに合わせて威力を落としたもの。これが実際の戦いであれば今の自分では剣を抜く前に倒されてしまう。
その上、試合のルールに則って剣1本で戦っても今のリンクより強いのだ。
「10年早いって言ったよね。……だったら10年以内に全力の貴女に勝つ。」
その宣言は、とても子供らしい負けず嫌い。負けっぱなしを許せない無邪気な心持ちからであった。
「言ってくれるネ。ふふっ……ソレを成し遂げたら、この仮面の下のカオを見せてあげよっかな?」
その言葉に、ギャラリーがわっと湧く。森の妖精の素顔は謎に包まれているのだ。無理やり顔を見ようとした不届者は『フロルの風』でどこかへ飛ばされて迷子になった者もいる。
そのため彼女の素顔を知るには彼女自身に見せてもらうしかないのである。なお彼女の意思で見せようとしていないのに、つい見れてしまった相手は数日のうちに彼女の顔を忘れてしまう。ただ「可愛らしい」という情報だけしか残らず具体性を失うのだった。
「どうして?」
「……恥ずかしーから。照れ屋なんだ、ボク。」
事実である。家族同然のコログ達相手ならば気にならない。森を出て最初に行ったハイラル鍛治ギルドでも、どちらかというと剣士として見られていたので気にならなかった。
しかしその後素材集めの途中で立ち寄った村や町では、ことあるごとに可愛い可愛いと言われて、ソレに慣れていなかった彼女は大いなる羞恥とちょっぴりの罪悪感から帽子を深く被って前髪で顔を隠すようになった。
そのためムジュラの仮面を売った店主も、実はティリアの素顔を口元以外詳しくは知らないのであった。
「だからネ、ボクの顔を知ってるヒトはトクベツなんだ。……まァ、カオなんか知らなくてもサ、この服とか、剣とか、ボクを示す記号はたくさんあるジャラ。……この仮面だって、もうボクの顔と言っても差し支えないヨ。」
そう言ってティリアは少し屈んでリンクと目線を合わせた。
「仮面の下のカオは素顔って言うけどサ、じゃあソレって、ホントのカオ、なのかな?」
「?」
『森の小鬼』と聞かれれば、皆が皆『ムジュラの仮面』を顔として思い浮かべることだろう。ゆえに彼女が仮面を外して服を変えてしまえば、恐らくは森の小鬼とは気が付かないだろう。ティリアとしての本当の顔は仮面の下でも、森の小鬼は仮面も含めての呼び名であるのだ。
「世の中にはネ、仮面をつけるのがスッゴク上手なヒトもいるんだ。お面も何もなくても、顔を隠せちゃうんだヨ。……リンク……キミもいつかは仮面を被っちゃうのかな。そしたら、キミの本当のカオはどれになるのかな?」
大人になるということは、仮面をかぶるということだ、と彼女は考えていた。
なんのことはない。ただの感傷である。おおよそ4歳の少年に聞くべきことではない。
ティリアは咳払いをして目を背けると、照れ隠しも兼ねてリンクの頭をわしゃわしゃ撫でた。そうして今度はリンクの方が照れて赤面した。
*
その後、ティリアは他の大人達とも手合わせを行った。リンクでさえ勝てない相手に……と弱気になっている者に対しては「腰抜けばかりだって王妃サマに報告だ」と煽ったりもした。
それでも1対1では訓練にならないので、3対1の模擬戦を行うことになった。
リンクはティリアの戦いを穴が開くほどに見つめていた。
3対1ということでティリアは本格的に盾を解禁していた。そして3人を相手にしても『盾アタック』のような体幹崩しの奥義や、単なる足払いで姿勢を崩したりしながら、瞬間瞬間では1対1になるよう立ち回っていた。顔に風を吹きつけて目を瞑らせるという小技もまた豊富だった。
リンクはそれを見て貪欲に学んだ。対人ならともかく魔物、特に最もポピュラーなボコブリンなどは基本群れで動く。多対1は鍛えて損はないだろう。彼女の見せた技の数々を頭の中で自分ならばこう使うと戦術を組み上げていく。
「!」
特に彼の目を強く惹いたのは『大回転斬り』という奥義であった。
彼女がそれを放つ時、剣の軌跡は金色の光を放った。美しい花が開いたように、見る者の目を奪い魅了する妖精の剣、その真髄がそこにあった。
リンクはソワソワとした。あの技を物にしたくてどうしようもなかった。
すでに無理をし過ぎたとして今日はこれ以上剣を振ることは禁じられてしまったのが、もどかしくて仕方なく。
いくら彼がやんちゃ坊主でも、叱られるのは嫌だった。
「きれい、だな。オニには見えないや。」
確かに恐ろしげな仮面をつけているのに、ソレでもリンクは小鬼よりも、賢者よりも、『妖精』こそが彼女に1番似合うと思ったのである。
ウルボザ戦でも使った盾投げ。着想は某『機動戦士』の白い悪魔のそれ。
次回はミファーに会いに行って……この頃シドって生まれてましたっけ?
ミファーの次はゼルちゃんあたり。シーカー族の皆さんは結構あとですかね。
毎度感想ありがとうございます。大変励みになります!