〜TS転生コキリ族ハイラルを往く〜 ゼルダの伝説 FAIRY OF THE MAGIC   作:ジュミ・ベラウ

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 ちょっと時間が空いちゃいましたが、かけました。

 それと主人公のイラストが描けたので置いておきます。お目目がお気に入りです。

 
【挿絵表示】



妖精は家庭教師①

 

 sideティリア

 

 昨日の戦いはボクの中で最悪の部類になった。金色ライネル如きに手こずる様では厄災ガノンにすら苦戦しかねない。

 ボクは大量の雑魚を蹴散らすのには自信があるんだケド、強敵相手の長期戦だと体が仕上がってないのがネックだヨ。

 12歳ってここまで幼かったっけ? すぐ眠くなるし……コレはボク個人の体質かな? 『夜更かしのお面』が欲しいネ。

 

 ともかく、下手をすればミファちゃんが死んじゃってたのはボクの失態だ……再発防止に努めるためにも、あのライネルが何に操られてたのかを考えなくっちゃ。

 ヒントは昨日の嵐だ。雨は降ってなかったケド、風と雷が響いてた。そしてあの風。怨念の瘴気を運んできた風だヨ。あれは風の専門家の仕業だネ。いくらボクが器用貧乏でも生半可な魔法使いにパワー負けするとは思えない。雷ならウルボザ、護りならダルケルといった上位互換はいるケド、それはつまり英傑クラスでもないとそーいう異能の持ち主はいないんじゃないかな、って指標にもなってる。

 

 闇堕ちしたリト族……だとしてもリーバルクラスだ。そーいうリト族がいるなら噂にならないはずがない。だとするとハイラルの外から来た存在の可能性がある?

 

 誰だ? 知らない……こんなのボクのデータにないぞ⁉︎

 

 まー、こんなのは転生者あるあるでしょうや。自分という存在が異物なのに他に異物がないなんて傲慢がすぎるってもんヨ。

 

 実際ゾーラの里はハイラルの外にも別の里が存在するのは知ってる。〈ティアキン〉シドの許嫁のヨナさんが外国出身で嫁入りしてきたからネ。

 この世界だと生まれてるのかどうかは知らない。下手をすればバタフライエフェクトで消えないよネ?

 

 バタフライエフェクト……よく考えればキングラジークといいメガマグロックといい、出現が10年くらい早くない? あれ元々神獣の繰り手に課された試練の存在だったよーな……

 

 ともかく、ボクはゾーラの調査団を連れ立って雷獣山の山頂に訪れていた。風向きから怨念の発生源がここであることはなんとなく判ってるから、あとは痕跡が見つかれば……と調べてみたケド、怨念らしきものはさっぱりだ。でもここを根城にしてる雷獣ライネルはいなくなってた。

 お面が赤ライネルの顔だから、やっぱりかと思ったケド、あのライネルはここの主だった赤が金に変貌したものらしい。

 そして何者かの命令を受けて行動していた。でもなければライネル種はわざわざ人里に近寄らない。厄災ガノンか、魔王ガノンドロフか……

 

 それとも『邪』にアクセスできるのがガノンドロフだけだというナイーブな考えは捨てるべきなのかな? そもそも歴代ゼルダでガノン系がラスボスなのは圧倒的に多いケド、全部じゃないもんネ。

 

「キミもラスボスだったしねェ……」

 

 『ムジュラの仮面』を外して見つめる。〈ムジュラ〉においてはこの仮面こそがラスボスだった。異世界を丸ごと創造できる凄まじい魔力を誇っていたケド……下手をすればガノンドロフより強くない?

 

「ティリア様。これを見てほしいゾラ。」

「これは?」

「ゾーラの里を見下ろすあたりに落ちていたゾラ。」

 

 ゾーラ族の兵士サンが丁寧に布で包んで差し出してくれたのは朽ちてボロボロの金属片。かろうじて原型を留めている部位からして、『ライネルの剣』『ライネルの弓』『ライネルの盾』の残骸であろうと推測できるジャラ。

 何よりその朽ち方……黒く、渦を巻くような模様になってる……瘴気を浴びたのと同じ状態……

 〈ティアキン〉の武器と違うのは武器としての原型も留めていないことと、弓と盾も朽ちていること。

 よっぽど濃密な瘴気を間近で浴びたと推察できる。そしてそれがライネルを一気に最強種へと変貌させつつも、本来と違う赤い目となった要因。

 

 なんにせよ敵の目的をある程度推測してみよっか。仮定は……ガノンでなくガノンドロフの手のものがゾーラの里を狙ったってことにしよっか。

 とすれば答えはズバリ「水の賢者排除」だろーサ。

 そもそもミファちゃんに賢者の力について話したのはこの山のふもとだし……誰かが聴いてたかもしれない……その場合はボク相手に気配を隠せる≒ボクより強い相手ってことになるケド……ボクと同格以上の魔物を生み出せるんだから、おおよそそのとーりだろうヨ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だろーケド、その場合はその()()()()()()()だヨ。それこそ『ムジュラの仮面』のように使い手に見える方が道具として扱われてたとかもあり得るし……

 

 敵は一体なんだろネ? とりあえずガノンドロフ本人は除外しとくとして……憑依して操る『アグニム』タイプかな。魔王か厄災のどっちが操ってるかはわかんないケド……〈厄黙〉の『黒いガーディアン』がかなり時を遡って暗躍してるとか?

 あるいは〈スカウォ〉の『ギラヒム』みたいに魔王のシンパが生き残っていて、魔王のために暗躍してるとか……

 両方ってのもなくはなさそうだし。

 

 『イーガ団』は……どうだろ? 今の所はまだ大きな動きは見せてないヤ。

 こいつらに関しては隠れ家がボクの原作知識のせいで隠れてない家になってるから、もし動きを見せたら壊滅させに行こっと。

 ナンデまだやってないかって言えば、そこまで大きな動きを見せてないって トコがネ……

 疑わしきは罰せず……罪を犯してもいないのに攻撃するのは悪党のすることだヨ。

 あとは、ボク1人だと絶対結構な人数を取り逃がすだろーな、と。やるなら準備を整えてだネ。完全包囲しても瞬間移動で逃げられるかもしれないし……個人的にイーガ団の面倒なところは頭を吹っ飛ばしても下っ端が積極的に敵討ちにきやがるとこだネ。やるなら一網打尽にしないとだ。棟梁の『コーガ様』がコミカルだから忘れがちだケド、あの組織人質とか抜け人の家族を殺したりとかヘーキでするからネ。

 しかもあの組織、ある程度なら魔物を誘導したり呼び出したりはできるだけの技術があったはず。

 ……よくよく考えれば、風にしたって道具に頼った可能性もあるものネ……可能性は一番高いかも。

 

「ま、とにかくミファちゃんにはこれから特訓をしてもらいます。」

「?」

「それはお父様からきいたけど、どうしてリンクがここにいるの?」

 

 そうそう。もう表敬団の皆サンは帰ったんだよネ。じゃ、なーんでリンクくんがここに残ってるかと言うとだ……えー、この度、不祥ティリア……弟子を取ることになりました!

 リンクくんの方から弟子にして欲しいと頼み込んできてネ。渡りに船ってのはこのコト。ボクの100年を、これまで得た剣の全てを伝えられるなら、未来の勇者たる彼をさらに強くできるかもしれない。〈厄黙〉、〈ブレワイ〉と見てると、彼の剣は割と力任せな感じがするし、ここで『技』を教えておけるのはいいことかもしれないって、一も二もなく受け入れた。

 

 これまでにも何人か、何かしらを教えた相手はいるケド、弟子ってほどじゃなかった。精々がアドバイスだね。あとは共同研究。ゴロン族のトゲ転がりとか、ボク自身はできないから、考察して伝えるくらいしかしてないしネ。

 そもそもボクの技を使いこなせるとしたら剣と盾を持つ戦闘スタイルで、なおかつ回避ジャストからの超集中(スロー)状態でラッシュ叩き込めるだけの思考力と肉体強度を備えてないといけない……それこそ今だとウルボザくらいしかいないヨ。

 そのウルボザでも得物は曲刀だから、『とどめ』をはじめとしたいくつかの奥義は使えないしネ。

 

 リンクはこうも簡単に受け入れられると思ってなかったのか、ちょっとびっくりしてた。「秘伝の技じゃないの?」って。

 そもそもボクの奥義の大元は〈トワプリ〉の古の勇者、つまりは〈時オカ〉リンクくんが編み出して、それで後世に残したいって願ったものだからネ。

 だからこの技を後世に残すのはぜひそうするべきだと思ってるしネ。とはいえ使い手を選ぶ技だから、それこそリンクくらいにしか伝授できないケド。

 

 ただ、今はミファちゃんの特訓を優先しなくちゃいけない。まだ幼いのに賢者の力が覚醒しちゃったからネ。ボクはゾーラのように水は操れないケド、魔力やフォースの扱いにおいては長けているという自負がある。今日からの特訓は力を使うためのものでなく、制御する訓練だヨ。出来上がってない身体で威力の大きい技を使って故障しちゃったら大変だ。

 これはドレファン王から直々に依頼されたことなんだ。何せ、今のミファちゃんのチカラは王を超えちゃってるからネ。

 別に頼まれなくてもやるつもりだったヨ。橋を壊しちゃったりもしたしネ。そのお代替わりっていうんじゃないけどサ。

 それで半月くらいは滞在する予定だから、その間リンクも一緒に教えとこうと思ってネ。彼だけ残ってこっちで勉強することになったんだ。

 

 *

 

 ティリアに案内されてミファー達が連れて来られたのは、東の貯水湖のダム上部である。

 彼女がしばらく家庭教師として力の制御方を伝授してくれる、というのは父ドレファンから伝わってはいたが、しかしなぜリンクがいるのか。

 そう聞けば、彼はティリアの弟子になったらしい。確かに彼の戦い方を見れば、最も理想系に近しいのは彼女だろうと思えた。

 

 しかし、そこでミファーの心のうちには、何か、何か、それこそ魚の小骨のような引っ掛かりがあった。

 当たり前である。好きな男の子のそばに別な女性がいるのだから。

 とはいえ幼い彼女は未だ無自覚であったが。それでもリンクがしばらく里に滞在するというのは嬉しかったし、森の賢者から直々に教えを授けられるというのも、また名誉なことであった。

 

「さて、それじゃあ基礎中の基礎、瞑想から始めよっかァ。」

「おれもするの?」

「そだヨ。」

「やらなきゃダメ?」

「これやってたら剣からビーム出るヨ。」

「やる!」

「それじゃ……ミファちゃんの方から行こっか。」

 

 ティリアはミファーの手を取ると、自身のフォースを込めた。ミファーの両手を包む白い指から金色の光が迸る。

 

「あたたかい。とっても。」

「あらゆる生命や自然のチカラの源。これがフォースだヨ。」

「これが……そう、これがフォースって言うんだ。」

「ま、ナマエを知らずとも知ってるよネ。」

 

 フォースとは生命エネルギーそのもの。癒しの力を持つミファーが触れたことのないはずは無かった。

 

「リンクもおいで。」

 

 そうしてリンクの手をぎゅっと両手で包み込むように握る。リンクはその光を目をキラキラさせながら見つめていたが、ずっと手を握られていることに頬を染めて、スッと手を引っ込めた。

 

「ありゃ、チカラ込めすぎた? 痛くない?」

「別に。」

「ならいいんだケド……よし。それじゃァこれで感覚の端っこは掴めたネ。そだよ? 端っこも端っこサ。フォースに1つとして同じものはないからネ。ボクのフォースを手掛かりにして、自分のフォースの感覚を掴む。そのための瞑想だヨ。」

 

 ミファーの癒しの力は魔力もあるが、それ以上にフォースに比重の偏った力であった。そして水を操る力は100%フォースの産物でもある。そもそも魔力は持って生まれることは稀であるのだ。ゾーラ族の水を操る力は、全員が持っていて、だからこそ泳ぎが抜群に巧い。フォースは生きとし生けるもの全てが持つエネルギー。それだけでなく大地や海、大空という世界の根幹エネルギーでもある。世界全体が一つの生き物とも言えるだろう。

 

「魔法は道具に頼ればいくらでも再現できるヨ。でもフォースは生き物にしか使えない。」

 

 骸骨の魔物は決してフォースを使わない。持たない訳ではないのだ。万物にフォースが宿っている以上、骨の形が残っているのならそこにフォースはある。ではなぜ使えないか。使えるほども豊富に存在せず、使えたところで生き物のように回復しない使い切りのエネルギーになってしまうからだ。

 

「フォースがなくなったらどうなるの?」

「生き物が極端にフォースを失うと石になる。でも石にもフォースは残ってる。生き物より遥かに少ないケド。」

 

 それが完全に空になるとどうなるか。答えは「形を失う」だ。この世から完全に消え失せる。

 

「昨日のライネルの遺骸が残らなかったのはフォースを使い切っちゃったから。魔法や呪術で生み出された魔物は自然の魔物と違ってフォースが不安定だから、死んじゃうとすぐ消えるんだ。」

 

 それでもツノや爪、肝といったフォースが豊富な部位は残ることがある。しかしそれぞれの魔物の最下位は肝が残ることはほぼ無い。なぜならそこまでのフォースがないから。

 

「とにかくだヨ。フォースのチカラはミファちゃんの癒しのチカラととっても相性がいいんだ。」

 

 ティリアともなれば自分だけでなく、他者のフォースを感じ取ることで索敵も可能であり、また敵味方ともに誰がどのくらいのダメージを負っているかも認識できる。これをミファーが応用すれば対厄災において素晴らしく心強い仲間となることだろう。

 

「まァ、ここまでできるまで十数年かかったし、厄災復活までそこまで猶予はないだろうから、とにかく自分のフォースを万全に使いこなせるようにしようネ。」

 

 というわけでいつの間に用意されていた座布団に座り、目を閉じて瞑想を開始するが、ミファーは直ぐに自身のフォースを掴むことに成功した。元々癒しの力を使ってきて基礎は十分できていたのと、昨日使った水のバリアの感覚が少し残っていたのも大きいだろう。

 一方でリンクは中々苦戦していた。「剣からビームが出せる」と聞いてはしゃいでいる分には、瞑想は心を落ち着けなければならないのであまり良くない。

 かといって落ち着きすぎれば眠くなって寝てしまう。まだ4歳なので仕方がないことではあるのだが。

 

「ひゃっ……え……!」

「あらまー。」

 

 何度目かの寝落ちで、リンクは体をこてん、と横に倒し、隣に座っていたミファーの膝を枕にする形の姿勢になった。

 

「あ、あ、これ、どうしよう……」

「んー、そのままで。」

「え?」

「せっかくだからこのままで心を落ち着けられる訓練しよっか。」

「……きゅう。」

「ありャ……」

 

 ミファーはみるみるうちに頬をリンゴよりも真っ赤に染めあげ、そのまま気を失った。

 少し無理のある姿勢で寝落ちてしまったので、ティリアはポーチからタオルケットと特製の『コログをダメにするクッション』を取り出した。そしてミファーの背中からタオルケットを被せ、後ろに置いたクッションに体重を預けさせる。

 リンクにもタオルケットをかけ、そしてにこにこしながらすやすやと可愛らしい寝息を漏らす2人を見つめた。

 

「新鮮なリンミファはいずれガンにも効くようになるヨ。」

 

 独り言ちて『ウツシエの箱』でパシャリ。記念に1枚とっておく。後でドレファン王に送るつもりであった。

 

「ふあ〜ァ……ボクも寝ようかな。」

 

 そして彼女もまたミファーの隣、リンクの後ろ側でクッションに上半身を預け、その後すぐに小さな寝息を立て始めた。

 のどかな昼下がりの一幕である。

 この先待ち受ける厄災があろうと、今この時の子供の時間だけは誰も侵せはしないのである。

 

 その後夕方になって迎えに来た王の側近『ムズリ』翁によって起こされるまで3人はすやすやと寝ていたのだが、真っ先に起きたリンクは女の子2人に囲まれて寝ていた事に恥ずかしがって頬を染め、タオルケットと頭の後ろから香るいい匂いにドギマギすることになったのであった。

 なおムズリはどこか複雑な表情をしていた。

 





 リンクの性壁をどんどん捩れさせて行こうねぇ。これからまだ金髪太眉お姫様も増えるヨ。

『コログをダメにするクッション』
 いい匂いがする。森の葉っぱを編んで、小鳥の木の実を砕いて防腐措置を施したものを包んだクッション。もうダメになって、全然動けなくてェ……
 やろうと思えば量産できるが、再起不能になる人が発生するのを恐れて販売はしていない。なお最初の犠牲者はスダジイ。次にペパパとボックリン。
 ティリアがダメになっていないのはより性能の高い某『人をダメにするクッション』を前世で愛用していたたため。そのためこのクッションはせいぜい及第点。まだ上を目指せる。
 が、それは魔王討伐後でないと兵力が減るので自重するしかないのであった。

『ウツシエの箱』
 いわゆる写真機。外見は〈ムジュラ〉のそれ。とった瞬間に現像できる便利すぎる代物。ただし白黒でしか撮れない。


 ティリアのデザインは色々小ネタ仕込んでみたので描いててスッゴク楽しかったでス。
 でもまだ殆ど誰もこの顔を知らないんですヨ。
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