〜TS転生コキリ族ハイラルを往く〜 ゼルダの伝説 FAIRY OF THE MAGIC   作:ジュミ・ベラウ

22 / 28

 時系列的には家庭教師③の途中あたりです。

 本編はかなり長苦なりそうで、すでに4話分になってます。一区切りついたら順次投稿します。おそらく今年中に一回は更新できるかと。



閑話;妖精の菜園と菜園と聖夜祭

 

 sideティリア

 

 それは、リンクの家庭教師を始めてから初めての冬のコトだった。

 ハイラルには分かりやすい四季はない。ただ、場所によっては気温がそれなりに変わったりもする。流石にハテノ村が雪に包まれるってほどのコトハないケド。冬になればけっこー寒い風が吹くもんダ。

 

 さて、リンクは言わずもがなイイ子だ。この時期、イイ子はプレゼントを貰うものだよネェ、ってなんとはなしに言ってみたら、首を傾げられた。

 

 そりゃそうだヨ。

 

 だって、当然のコトながら、ハイラルにクリスマスはないし、聖ニコラウス(サンタクロース)のおじちゃんもいないし、赤鼻のルドルフもいない。

 そもそもハイラルにはヘラジカ(タバンタヘラジカ)はいてもトナカイはいないネ。

 

 それはそれとしてハイラルにもイロイロお祭りはある。基本はハイリア様関連だケド、季節のお祭り……収穫祭とか、地域によっても様々だ。

 

 で、冬の一番寒い日を冬至祭って言ったりとかするみたいだ。

 なので、このお祭りに便乗するコトにした。

 サンタクロースの伝承だとか、プレゼントだとかの文化を広める気はないケド、ケーキとかご馳走を食べる機会は多くてもいいじゃん?

 

 いや、別になんでもない日にだってケーキ食べてもいいんだケド。こないだなンか、ゼルちゃんってば大好物のフルーツケーキを2回もおかわりしてたし……太るヨ? 口には出さんケド。ちなみにボクはあれくらいじゃァ太りません。日々の運動量がケタ違いなのでネ。

 

 マァ、よーするに食文化革命サ。クリスマスディナーをネ、作ろうかと。

 なんでかって? ボクが食べたいからだヨ!

 

 ボクの趣味は料理だしサ、作るのも食べるのも食べてもらうのも大スキなんだァ。

 

 なのでまずは『フロルの風』でハイラル大森林へ!

 ここにはボクの菜園があるジャラ。いつだったか、イワロックに遭遇した広場を丸っと耕して、魔除けを張って、霧で覆ったボクだけの聖域。『サリアの歌』を奏でなければ開かない迷いの森の霧だヨ。つまりはボクの信頼するヒトしか入れない。

 

 ゼルちゃんが生まれるまでの100年ばかしは剣の修行だけじゃァなくて、ここで作物の品種改良にも躍起になってたんダ。

 ボク自身は森から出らンないから、コログ達に集めてもらったタネとか苗を植えて、魔法で環境を整えて……その繰り返し。

 

 あとは、ボクの森の妖精……つまりは植物系種族としての特性から、植物やキノコに触れるとその生育条件とかがなんとなく分かったりするし、甘くなって欲しかったり、辛くなって欲しかったり、みずみずしくなって欲しかったりとかを念じながらフォースを流し込んだら、そんなカンジの変異を促せたりもする……魔法のマメも、もとはただのマメだったし。そんな風にして生み出した作物は他にもあるケド、流石にあれほどトンチキな植物は他にもないヨ。

 

 『マックスラディッシュ』から変異させた『マックスダイコンモドキ』……マックスラディッシュと生育コストは同じだケド、栄養価は落ちちャう。味はホントにダイコンだヨ。おでんにするとうみゃい。

 『ヒンヤリメロン』から変異させた『ヒンヤリキュウリモドキ』……生育コストは下がったケド、栄養価はほとんどない。フツーのキュウリと一緒。体温を下げるヒンヤリ効果はそこそこ。

 『リンゴ』から変異させた『ハイラルナシモドキ』……和ナシに近いナシで、シャリっとして美味しい。ここから更に変異させたら『ハイラルヨウナシモドキ』になるジャラ。

 

 こんな風に、ある程度『科』が同じでないと狙った変異はさせられない。ラディッシュとダイコンは『アブラナ科』、メロンとキュウリは『ウリ科』、『リンゴ』と『ナシ』は『バラ科』なんだヨ。ちなみにボクはさくらんぼから生まれたのでバラ科かな?

 ちなみに『イチゴ』もバラ科だから、ガンバればあれからナシに持ってくコトもできなくはナイ。それをするならリンゴからのがずっと速く済むケド。

 これらは1回で完成するワケじゃなく、何回か世代を跨がないといけないヨ。マァ、ボクのフォースを注ぎ込めば成長も早まるケド……相応に疲れる。

 

 ちなみに、アブラナ科とバラ科はけっこー多いから色々作れた。ワサビもアブラナ科だしネ。お蕎麦はだめだったケド。……米と魚はあるから、今度スシを補給しようか……。

 

 そんな菜園だケド、ボクは月に1回くらいしか来なくて、普段の維持管理はコログ達に任せきりだネ。ボクが変異させた作物はお世話が比較的カンタンになるんダ。……その代わり、ボクの菜園以外では育てるコトは不可能になンだヨ。だから流通してなイ。……将来的にはボクじゃなくても育てられる品種を作れたらなァ、とは思ってるけど、本腰入れるのはガノンドロフ討伐後だネ、コリャあ……。

 

 ふんふん……ガンバリ草も萎びてない。何本かもらっていこうネ。ガンバリ草は今はまだ空島に行かないと、地上では絶滅してるから、手に入ったのは割と最近。ネギに近いカンジだケド、どうなんだろ?

 あと、他の空島でしか生き残ってない植物は、『火炎の実』、『冷気の実』、『電気の実』、『水の実』、『カガヤキの実』、『アカリバナ』とか……コッチも入手は最近で、しかも生育環境が中々極端だから数を揃えるのは不便だヨ。あとコイツらは料理するにはあんまり向かない。できないワケでも美味しくないワケでもなく、他にもっと美味しくて手軽なのがあるからネ。だって、破裂したら属性を伴って破裂する木の実なんかアブナ過ぎるヨ。『バクダン花』もその類……。

 

 閑話休題!

 

 本命はコッチ。『ハイラルトマト』。この子は別に空島に生えてたワケじゃない。それはそれとしてタネが残ってたケド、発芽条件が揃わなかったりして地面の中に眠ってたりしたのを、何十年も前にコログが持ち帰ってくれたんだ。ちなみにトマトは『ナス科』だからおナスとジャガイモのモドキもそれぞれ作れた。ジャガイモが手に入ったのはメッチャ嬉しいから、育てるのに成功したときはフォース使い果たす勢いで増やしまくって、ミンナでジャガイモパーティした。その後ボクだけ太った。炭水化物に気をつけようネ!

 あとは、トウガラシ系統とかもナス科らしい。……ケド、コッチは『ポカポカ草の実』を変異させてモドキつくちゃってたンだよネェ。

 

 そんなワケだからトマトに関しては品種改良がそれなりに進んでる。大きいヤツに、ミニトマトやプチトマトサイズ。そして何よりあま〜くネ。

 マァ、今回出番なのは甘さ控えめの原種に近いヤツだヨ。トマトソースが欲しいから。バジルはないケド、他にも色々ハイラル産のハーブはあるし、試してみようネ。

 

 ハーブと言えばハイラル草がネ、スッゴイ便利。テンプラにしても美味しいし、甘いスイーツとも相性が良い。『メーべスフレ』とか絶品だヨ。

 

 そんなこんなで、トマトにピーマン、ジャガイモとかをたっぷり収穫してポーチにぶち込んだら、お次は買い物!

 

 タバンタ小麦は原産地まで買いに行く!

 

 それからトリ肉! 奮発して極上モノの丸ドリローストを作ろーネ。

 

 ウシのお肉も、きめ細かいアブラのを『メーべ牧場』まで買いに行こう。ローストビーフだローストビーフ!

 

 牛乳やチーズはハテノの特産だからコッチの牧場だ。

 

 あとはケーキだケーキ! でっかいケーキを作ろう!

 

 ……カロリーは気にしない……今日はチートディだヨ。

 

 *

 

 その日は朝、昼とティリアの姿を見ていなかったリンク。

 冬至ということもあって気温はかなり低く、彼もまたウールのマフラーと手袋を身につけていた。

 妹の手を引き、なんとはなしに道をゆく。当然ながらトレーニングは休みであり、畑もとっくに収穫が終わっているので特段手伝うこともなく、有体に言えば暇を持て余しているのだった。

 

 日が陰り、そろそろ暗くなろうかという頃、香ばしく、食欲をそそる香りが煙に乗ってやって来た。

 どこかでご馳走でも作っているのか、と思いつつ帰路につけば、自宅に近づくほどに匂いは強くなる。

 

 それもそのはず。匂いの源はリンクの家の庭に、いつの間にやら設置された石窯からだったのだから。

 そしてその横のテーブルで巨大なトリ肉のローストを皿に飾り付けているのはいつの間にか帰って来ていたティリアだった。

 

「その格好は?」

「イイでしョ。似合う?」

「似合う。」

 

 戻ってきた彼女はいつものスタルキッドの服装ではなく、赤地に白いふわふわのついた服を着ていた。とんがり帽子の先端には白いポンポンが付いている。

 仮面もムジュラの仮面ではなく、ぬいぐるみのシカのようなお面をしていた。何故か鼻が赤く発光する塗料で塗られている。

 

「リンクも着る? 緑色。」

「どうしてティリアはおれに緑を勧めてくるの?」

「そりゃあ似合うからだヨ。青もイイケド緑もいいもんジャラ。」

 

 そうして手渡されたのは、裏起毛がふわふわであったかい服ととんがり帽子のセットだった。

 

「妹ちゃんはコッチ。赤色のスカート付き。さ、着替えておいで。今晩はご馳走だヨ!」

 

 2人が着替えを終えて戻ってくると、ちょうどリンクのおじさんも戻って来ており、庭のテーブルに料理を並べていた。

 

「さーさーできたよご馳走がッ! 座った座った、冷めないうちに食べちャいな!」

 

 食べちゃいな食べちゃいな、食べたくなったら食べちゃいな、とご機嫌な鼻歌を歌う彼女の手には、ローストビーフの皿が握られていた。

 

「本日のお品書きはネ〜、『極上トリ肉のロースト』でしょ。『具沢山のホワイトシチュー』に、『メーべ産牛のローストビーフ』! それから『たっぷりハテノチーズピザ』だヨ! デザートには王家直伝の『フルーツケーキ』もあるからネ!」

 

 肉を手ずから切り分けて皿によそう。

 色とりどりの野菜と肉が山盛りの皿を受け取ったリンクは頬を綻ばせた。

 

「エンリョしちゃヤダヨ?」

「しないよ。」

「んふふ。ピザももう焼けるよん。お食べお食べ。」

 

 リンクはまず、ローストビーフに口をつけた。とろける脂身と旨みの強い赤身のバランスがちょうど良い。

 

「美味しい!」

「そりゃよかった。高いお肉を買った甲斐があるヨ。おじさんもエンリョはいらないヨ。」

 

 言われておじさんもまた、子供たちに続いて料理を口に運ぶと、舌鼓を打つ。

 

「これは、温まりますな。」

「ハテノ牛のミルクを使ったシチューだヨ。『ガッツニンジン』も入れたから滋養強壮にイイはずダ。」

 

 それを聞いてリンクもまたシチューのボウルに口をつけた。

 ホクホクのジャガイモとニンジン、ラディッシュの入ったシチューは体を芯から温めてくれた。

 続いてローストチキンは香ばしく焼き上げられており、付け合わせの野菜にも肉の旨みがたっぷり染み込んでいるのだった。

 

 そうしている間に、ティリアは石窯の中から、しっかりと焼けたピザを取り出していた。

 器用に切り分け、またそれぞれの皿へと分けられる。

 

 たっぷりのチーズとトマトソース。シンプルな組み合わせゆえに、王道外れなしの出来栄えと言えよう。

 火傷に気をつけて頬張れば、とろりとしたチーズの風味とトマトソースの酸味が見事な調和を持って口の中いっぱいに広がってゆく。

 

 3人がほとんど無心になって食らい行く様を、ティリアはただただニコニコとしながら見ていた。

 

 そうして、その年のハイラルで一番寒い夜は更けていったのである。

 





 メトロイドやったりポケモンやったりエアライダーやったり、封印戦記のアップデートされたりと、今年の冬は豊作すぎて……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。