〜TS転生コキリ族ハイラルを往く〜 ゼルダの伝説 FAIRY OF THE MAGIC   作:ジュミ・ベラウ

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 お待たせいたしました。歴戦のガーディアン編です。
 前話のラストの魔剣士のシーンより少し前からスタートです。

 またまた独自解釈マシマシでお送りします。



〈絡繰古強者〉歴戦のガーディアン①

 

sideティリア

 

 イーガ団関連の対策の必要がなくなったので、ようやく発掘作業のペースを進めることができた。

 そのおかげで半年ほどの間に幾つもの遺物が見つかったヨ。……シーカーストーンはまだだケド……。

 

 まいったネ。このまま見つかんなかったら市民避難用のプランAはおじゃんジャラ。

 ワープがネ……ないのヨ。

 とは言え、プランBとしての魔法音楽隊の『大翼の歌』はカタチになって来てル。有事の際は一度の演奏で数十人単位で避難を進められるようになって来た。飛べる場所が限られちゃってるケドも。

 

 でネ、この楽団の見習いにシーカー族の男の子がいるンだケド、なかなかどうして彼が優秀でネ。そしてまた彼ってばゼルちゃんにお熱なカンジが……『カッシーワ』の師匠であるシーカー族は彼のことなのかなァ。ケッコー良い声で歌うんだよねぇ彼。その恋が成就するかは神のみぞ知る……。

 

 そんな彼のあだ名は『バド』……主人公の幼馴染に横恋慕してそーな名前だネ。これもゼル伝の運命(さだめ)か……。

 元々は『ソングバード』……すずめくんってカンジだったンだ。子供達の中で相手を動物に例えるニックネームが流行って、その後長いからってんで縮んだ結果バドになったノ。ソングどこ行った? やっぱり運命?

 

 ちなみにリンクのあだ名は『バッタくん』だヨ。彼に緑の服を着せてそー呼んだら、それを見てた街の子がネ……つまりブームの元凶はボクです……。子供の流行り好みはおばあちゃん分からんジャラ……。

 ちなみにバッタくんはバッタくんでも魔物をバッタバッタと薙ぎ倒すからだヨ、ってゼルちゃんに言ったら「物騒すぎます!」って突っ込まれたヨ。そうかな? でもそれくらいできないと厄災直後の数千もの魔物は蹴散らせんヨ。

 

 フォースの感覚もうまく掴めたみたいで、近頃は剣ビームを飛ばせるようになってご満悦。どややとした顔がカワイイネ。それを見てお目々キラキラのゼルちゃんもカワイイネ。

 最近の訓練では前の剣じゃなく、訓練用に新たに特注した剣を使ってもらってるジャラ。並みの剣だと直ぐ壊れるのでネ、ハイリアの盾の金属を使ってもらったヨ。耐久性に振り切って、攻撃力は度外視してもらったジャラ。

 それでも並みの剣より切れ味良いんだけどネ。ダボラさんの技術の賜物ヨ。と言うか、「武器職人にワザと切れ味落とせってのか!」って怒鳴られちゃったヤ。

 

 今日も今日とて古代研究所に来てると、スータさんが神妙な面持ちでバインダーを手に報告にやって来タ。

 

「魔物の死骸?」

「はい。いずれも鋭い爪で掻き切られたか、熱線で焼かれたような外傷が認められました。解剖の結果、歩行型ガーディアンによって排除されたものと思われます。」

「暴走した個体かな?」

 

 厄災に乗っ取られてなくても、機械である以上老朽化して機械頭脳の判断力が落ちると言うのは仕方ない。だからこそ研究所では発掘した個体が暴走しないかどうかをオーバーホールしたりするンだ。ちなみにロイヤルガードは特に質の良い内部パーツに電子頭脳、外装甲を共食い整備で組み上げた機体に白龍コーティングを施してるル。それと白龍素材の希少性もあって中々数は増やせないわけで……。

 

「暴走だとしても現在ハイラルが掌握しているガーディアンが暴走したわけではないでしょう。稼働可能な機体は全て問題なく数が揃っています。」

「とすると、野良?」

「でしょうか。未発掘の個体が何らかの要因で起動し、自己判断で周囲の魔物を狩って回っているというのは、あり得なくもないですが。」

「でもその場合は暴走じゃなくて正常な挙動ジャラ。」

「とはいえガーディアンは人にとって強大な兵器です。軍の管理下を離れて自立していると言うのは好ましくはないですね。」

「そりゃァ同感だ。一応各部族に注意するよう報告上げとこっかァ。」

 

 その日の報告はそれくらいで、あとの時間は発掘作業の進捗を聞きつつ、空いた時間でクローショットの開発に取り組んダ。

 例のガーディアンについての続報がもたらされたのは、半月後のコトだった。

 

「例の野良ガーディアンですが、目撃情報があがりました。リト族兵士の1人が警邏中にヘブラ山の麓で見かけたそうです。」

「前回魔物の死骸が残ってたのは?」

「終焉の谷の発掘拠点の近くです。」

 

 結構移動してるなァ……。歩行型ガーディアンは足先に鋭い爪があるとはいえ、崖や壁を張り付いて登るのは流石に……垂直はムリかなってカンジ。自分と同じくらいの高さの段差なら乗り越えられるンだケド。古代のパーツ一つ一つは水に浮くくらい軽くて、質感的にはセラミックが近いかなってトコだケド、ガーディアンそのものは流石に沈むくらい重かったハズ。

 だから谷を上がってヘブラ地方に行くにはかなり大回りしなくちゃァいけない。ま、半月あれば不可能じゃないネ。ヒトと違って不眠不休で進軍できるし。

 

「報告では、白髪ライネルと思われる個体と戦闘。勝利した後にまた移動を始めたそうです。ですが、当時は吹雪いていたため、それ以上の追跡は断念したとか。しかし特徴は覚えていらしたため、絵に起こしてみました。」

 

 実はスータさんは絵が描けるヨ。こう、写実的なタイプじゃなく、温かみのあるイラストってカンジの。特徴を捉えてデフォルメするのは上手だから、件のガーディアンは一目見て分かるよーな特徴があったに違いない。でもないとわざわざ絵に起こさないモン。

 

「こちらです。」

「こりゃあ……⁈」

 

 基本は一般的な歩行型ガーディアンと変わらないように見える。違うのは頭の耳飾りのような部分が一部欠けているトコ。全体的に装甲は土や砂でくすんでいるように見え、特に動体部には苔まで生えている。その苔むしたボディへ突き刺さったいくつかの武具。アレは『達人のオノ』? なにぶんボロボロなので判別はつけ辛イ。

 でもこれだけの情報があれば、ボクには正体が直ぐ分かっタ。

 

「『歴戦のガーディアン』……。」

「歴戦、ですか。言い得て妙ですね。確かに幾つもの戦いを乗り越えた古強者という雰囲気が。」

 

 スータさんは勘違いしたみたいだケド、歴戦のガーディアンというのは一応正式名称で良いハズだ。初出は〈厄黙〉の有料DLCで、追加キャラ。

 並外れて強いガーディアンで。見てくれこそ古ぼけた歩行型ガーディアンだけど、通常の機体が持ってない機能なんかも搭載されてたりして、単に歴戦というよりは特殊な個体だったのでは、と言われてタ。設定的な部分でテラコと似てると言えなくもない。

 ボクの考察では、この歴戦のガーディアンは他のガーディアン達のプロトタイプだったンだと思う。ただ、その強さは製造コストだとかの面で過剰だとされて、量産に耐えうるまでナーフしたのが他の歩行型ガーディアン達。

 某機動戦士(RX-78)量産型(RGM-79)の関係性が近いかな?

 

「ボクの予想が正しいなら、この子は最強の古代兵士(ガーディアン)サ。近づけば、ボクらがチカラを貸すに値するかを試してくる。半ば本気で殺しに掛かってくるんじゃないかなァ。」

「そんなに、ですか。」

「本気でやり合ったらボクでも勝てるか怪しいネ。」

 

 ボクは自分がハイラルの中で5本の指に入る強者という自負はある。これは傲慢ではなく、認めておくべき自信にして誇りであり、純然たる事実でもある。それでも、あのガーディアンは間違いなく強敵になると確信しているヨ。強いガーディアンといえばテラコもいるケド、現状は戦闘モード起動できないしネ。そのテラコの戦闘モードと比べても純粋な戦闘力では上回るだろうってカンジ。総合的に見たらテラコの方が器用なんだけどネ。こればかりは純粋に戦いの為に生み出されたかどうかってところの差ジャラ。

 

 エネルギーのバリアを叩きつけて、そのバリアの破片でビームを乱反射させるとか、ガードジャストで弾き返したビームをガードジャストで反射してくる等々……。

 

 しかも、この辺り敵のモーションはうろ覚えなんだなァ。転生特典かなんかは分かんないケド、ボクのゼル伝知識は年月を経ても色褪せずに覚えてる。それ以外の前世の記憶はこの100年で擦り切れかけてるンだけどネ。

 ただ、色褪せはしないケド、元々うろ覚えだったモノをそれ以上鮮明に思い出すコトもないノ。原作で王妃サマが亡くなるのはいつだったか覚えてないのはそれが原因。

 〈厄黙〉は一応、有料DLCも含めて一通り遊んだハズだケド、忘れ去られた神殿の奥でまつ彼には多分1回しか挑んでないし、それ以降プレイアブルで解禁されたらそれで満足してあんまり使わなかったっけ。DLC解禁までにメインストーリーは終わっちゃってタから、そのキャラの使い所がなかったのもある。

 まぁ、2回目以降挑まなかったのは、かつてのボクの性格を考えると、強すぎて2度と相手したくないとかそんなんだろうジャラ。

 

 負けそうになったら『フロルの風』で離脱するのもできるだろーケド、その場合ボクはそれ以降この試練に挑戦する資格を失う可能性がないと言えなイ。試練から尻尾巻いたンだからネ。

 そして多分、1対1(サシ)での戦いしか受けてくれないだろうし。

 

 その上、このガーディアンは敵の時より味方になってからの方が強かったハズ。技の種類が増えるし、シーカーアイテムやロッドを使えるし、焼きリンゴで回復できるし……ナンデ⁉︎

 テラコにも言えるケド、機械が食べ物で回復……いい機会だし、専門家に聞いとこ。

 

「古代の機械の中にはあらゆる物質をエネルギーに変換する炉があったと聞きますが。」

「だとすると歴戦のガーディアンには組み込まれている可能性高しかなァ。」

 

 そういやそうか。スータさんが言っているのはマスターバイクの燃料タンクと同じテクノロジーだネ。基本何を入れても古代エネルギーに変換される。だとすれば焼きリンゴをエネルギーにして自己修復してもおかしくない、か。

 

「しかし、ティリア様が勝てないというのは、俄かには信じ難いですね。」

「ウーン……こう、倒すってビジョンが見えないのヨ。」

 

 流石のボクもガーディアンの装甲を切断することはできない。脚なら部位破壊できるケド、斬るというより、砕くってのが近いジャラ。

 この世界でガーディアンを倒すには、何度も衝撃を加えて内部機構にダメージを蓄積させて機能不全に追い込むか、古代エネルギーを逆流させて駆動系を焼き切るかだ。

 前者だと、〈厄黙〉のハイラル城脱出の際に、ローム王がガーディアンに背後から一太刀浴びせて動きを止めてたアレが該当するジャラ。充分内部破壊できたか傍目にはわかんないから、実はとどめさせてなくて再起動する可能性もあル。〈厄黙〉でも、それだけで倒せてはなかったし。

 後者の場合は、ビームをガードジャストでカウンターして目に当てると効率的に引き起こせるジャラ。古代兵装・矢も古代エネルギーの産物だから効率的にダメージを与えられる。下手をすればそのまま爆発四散しちゃうのは、内部に残ったエネルギーに引火するワケで。

 

 ただ、歴戦のガーディアンはゲーム的な都合もあるだろーケド、脚の部位破壊はできなかった記憶があるし、討伐後爆発四散もしない。仲間になるンだから当然ジャラ。逆説的には、仲間にするためには爆発四散させちゃダメってコトで……。手加減して勝てる相手とは思えない。

 そもそも疲れ知らずの機械と、肉体的には幼いので長期戦ができないボクとじゃァドッチが有利かってハナシ。

 

「見た目は同じでも、内部機構とかそれなりに違うハズだから、早めに仲間になって欲しいケド。」

 

 そしたら多分古代研究が数段前倒しで進むハズだ。

 ただ、歴戦のガーディアンの目撃情報は〈厄黙〉本編の時代、つまりは厄災復活の1年前かそこらのタイミングで出てきたハナシじゃァなかろうか。とすると大体10年ぐらいフライングしてるコトになるジャラ。

 キングラジークとかメガマグロックのこともあるし、ボクが生まれてから、あっちこっちにコログを派遣して情報収集してたことを思えば、そのバタフライエフェクトなのかもしれない。怖いのは、厄災復活そのものも原作より早くなることだ。あと10年あるって余裕ぶっこくのはやめた方がイイな。善は急げ。早いうちにどうにかできるコトは早めにやってしまわなくては、ダ。

 

 ウーン……魔王案件にも手を伸ばしたかったケド、余裕はなさそうだ。今を乗り越えるのにまず注力すべきだネ。

 そもそも魔王覚醒の要因は封印の要石たるハイラル城が厄災で大ダメージを負って、その後ゼルちゃんの仮封印の100年の間に少しづつ動けるようになっていったハズだから、大厄災を被害少なく乗り越えられたなら、あと数百年は封印が持つかもしれない。魔王案件はその辺り陛下達と協議して、次世代の勇者に任せるという択もあるンだ。

 先延ばしでしかないとも言えるケド、単独でハイラルを滅ぼしかねない存在をわざわざ自分たちで復活させてやる理由はないヨ。復活してから倒すまでは戦争になるだろうし、その間の民には苦しい生活を強いちゃうし。まぁ、次世代に任せるのだとしても、知恵とアイテムを沢山遺しておくつもりサ。それに、今はまだ魔王関連は陛下に話してないし。無用な混乱は避けるべきだ。モチロン、色々落ち着いて余裕ができたら話すつもりだヨ。

 

「とりあえずこの個体については危険個体として手配して、近づかないように周知しとかないとネ。」

「名称は歴戦のガーディアンのままでよろしいですね。」

「そうだネ。動向は探っておいて欲しいかな? どっかに拠点を持ってるかもだ。」

 

 前世知識で、それは忘れ去られた神殿の奥だと知ってるケド、今世においてはあの神殿も重要調査地点になってる。女神像の後ろの『賢者の間』を見つけられたらなァって狙いだヨ。それもあるから、あのガーディアンと戦う場所が別な地点になっている可能性もある。

 とりあえず、ボクがもう少し長期戦をこなせるようになったら挑んでみようか。ボクがダメでも、ウルボザやダルケルに頼むのアリだしネ。

 

 *

 

 それから3ヶ月の間、ティリアはリンクを鍛えるのと並行しつつ、己の研鑽を積むことを欠かさなかった。今までティリアは対魔物を想定して技を磨いてきたが、今回は対ガーディアンに重きを置いた動きをこなすための特訓といえよう。

 

 ガーディアンを一台借り受け、スータに頼んで覚えている限りの歴戦のガーディアンのモーションをプログラミングして実装してもらい、模擬戦に臨んだ。

 のだが、やはり内部機構の差が大きいのか、覚えていたとしても物理的に実現不可能な動きも多く、満足いく訓練ができたとは言い難い。シーカー忍びの使う瞑想によるイメージトレーニングも試してみるが、元々がうろ覚えの不完全な記憶を頼りにしているのでなかなかどうして難しい。

 

「普通のガーディアンなら解体するのに1分かからないのに。」

「ネー。」

 

 リンクも最近ではティリアの特訓に加わっては、ガーディアンの脚による薙ぎ払いを器用に躱すようになった。

 研究者達は思った。それは異常である、と。ガーディアンは兵器である。つまりは純粋に戦いのための存在としてはヒトより優れているのが売りなのだ。それを剣1本で解体してしまうのは超人の域をも超えてはいないだろうか。100年以上修行したらしいティリアはともかく、6歳の少年がなぜできてしまうのか。

 

「陛下やダルケルならならパワーでノックアウトしちゃうンだケド……。」

「ダルケル?」

「機会があったら紹介したいネ。ゴロン族の豪傑でネ、剛力頑強なパワーファイターなんだ。」

 

 研究者達は戦慄した。自分達の王が、近頃は政務の間を縫って兵士やティリアと共に汗を流しているのは知っていたが、ゴロン族と比肩するほどにパワーがあったのか、と。

 

「ウルボザなら雷で足止めできるかな。」

「ガーディアンは電気を通さないよ?」

「装甲の隙間から中身を狙うのサ。古代エネルギーと干渉してしばらく機能不全を起こすジャラ。」

「ティリアもできる?」

「やろうと思えばできるケド、倒し切るには電圧が足りないから、大道芸の域を出ないかなァ。」

 

 研究者達はため息をついた。そんなおっかない大道芸があってたまるか、と。そして電圧不足というティリアの『フロルの雷』は充分溜めて放てば、ボコブリンを一撃で黒焦げにする電圧がある。それで不足するという耐久性を、ウルボザという人物は突破するほどの雷を操るのか、と。

 

 訓練は毎回、分解されたガーディアンを組み直すところからやり直しだ。破壊ではなく分解というのは、修理可能なばらし方をするからこそそう言っている。流石に訓練のたびに破壊しているのでは、貴重な戦力を浪費するにほかならないためであるが、壊さないよう気をつけなければならないからこそ、全力の訓練ができないでいるのだった。

 

「ウーン。通常ガーディアンの耐久性は大体分かったケド、歴戦のガーディアンがこれに比べてどのくらい上か……。」

 

 決して破壊したいわけではない。少なくとも装甲や脚部はマスターソード始めとした強力な武器で攻撃しようとも部位破壊を起こす事はないと考察できるが、中身がどれだけの耐久を持つのかが未知数であった。

 歴戦のガーディアンは純粋な機体性能も高いが、やはりその名が示す通りに歴戦の経験値があってこそだ。中の機械頭脳が完全にお釈迦となれば、機体そのものを手に入れられたとしても、得られたものは少ないと言わざるを得なくなる。

 

「ただ、コレはボクがあのガーディアンを倒せるという前提でのハナシだヨ。」

 

 通常のガーディアンも一撃で倒すような真似はできていない。それができていればいよいよ怪物である。そしてまた痛みを感じない機械兵士を怯ませるにはそれなりの威力の技を当てる必要がある。剣技であれば奥義クラス。魔法であれば、例えば『ディンの炎』を圧縮して放つ熱線などだ。それらの技はえてして隙が大きい。歴戦のガーディアンの猛攻を掻い潜って当てるのは、容易ではないだろう。そもそも普通のガーディアンが怯んだからといって、歴戦のガーディアンが怯むとは限らない。中身の衝撃耐性も間違いなく上であろうからして、だ。

 

「ウーン。特効アイテムを作るかァ。」

 

 そうしてティリアの前世知識から提供された『古代兵装・矢』は急所である目などに命中させれば一撃でガーディアンを葬れる兵器だ。それを再現しようとして作られた『試作古代兵装・矢』は敵を一撃で葬ることこそできないまでも、かなり強力な古代エネルギー属性のダメージを与える逸品であった。具体的な挙動としては古代エネルギー版のバクダン矢といったところか。

 

 そのほかは『妖精のブーメラン』の製造である。ハイラル大森林で拾った木の枝の中でも、特に硬度が高かったものを削り、磨き、魔宝玉を嵌め込んで仕上げた魔法のブーメランだ。『リザルブーメラン』系統や『ビッグブーメラン』などと違い、斬撃属性ではなく打撃属性である。『フロルの風』の力が宿され、旋風を纏って飛ぶほか、ティリアが念じた通りに軌道を変える性質を持つ。ぶつかった時の物理衝撃はかなりのもので、通常のガーディアンは一撃でよろめかせることができた。

 

 そうしてもう一つ。といってもこちらは既存のもの、龍鱗の鏡盾を改良したもので、ガーディアンのビームを反射できるようにしたものである。ハイリアの盾と同じ金属で作ったフレームに、鏡面に磨き上げた白龍の鱗を嵌め込み、そこからさらに『ネールの愛』と『ネールの哀』を重ね掛けして宿し、強度を高めた盾である。その防御力はハイリアの盾を上回るものの、耐久性は流石にそこまでではない。しかし、この盾には大きな特殊性があった。

 

 それらの準備と時を同じくして、ティリアは歴戦のガーディアン攻略についての話を、ウルボザとダルケルにも持っていった。基本は1対1で戦うが、もしも自分が敗れて、その上再挑戦の機会を失った場合は代わりに戦ってほしい、と。

 2人とも快く引き受けてくれたばかりか、むしろ自分が一番手になりたいくらいだ、と頼もしい軽口を叩いたものであった。

 





『妖精のブーメラン』
 フロルの風で飛ぶブーメラン。思念を通じて起動変更も可能。ロックオンまでできる。早い話が〈風タク〉のブーメランです。
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