〜TS転生コキリ族ハイラルを往く〜 ゼルダの伝説 FAIRY OF THE MAGIC   作:ジュミ・ベラウ

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 大変長らくお待たせしました。体調不良やらなんやかんやで筆が進まない状況で。息抜きとか学校の課題とか、ありとあらゆる文章が作れない状態で。ブレインフォグとか言うんですかね?
 次回更新は未定です。……そろそろ次の章に行きたいんだけどなぁ……プロットはあるんです頭の中に……。

 それはそうと時オカリメイク楽しみですね。……リメイクのコキリの服を知ってたらティリアの服装そっちにしてましたってくらいあの服、葉っぱ感が強くて好きです。

 ○

〈前回までのあらすじ〉
 ハイラル王夫妻の第二子ラウレス王子生誕より3年、ゼルダは10歳となり、それは厄災復活まで7年を切ったことを意味していた。
 その間、「黒い風」が人前に現れることはなく、ティリアはそれを嵐の前の静けさではないかと恐れる。

 そんなティリア達がカカリコ村に訪れていたある日、突如として見慣れぬ悪霊が村を襲う。
 そして黒い風の嵐が吹き荒れ、悪霊は泥を纏った人形『リーデット』となった。
 本来このハイラルに生息していないリーデットが現れたことに、ティリアは戦慄する。



逢魔の影②

 

 リーデット、それはゼルダシリーズにおいて、『みんなのトラウマ』の1つにしてその筆頭といっても良い魔物である。

 単純に外見が怖ろしいことに留まらず、その能力や攻撃手段、体力の多さも相まって純粋な難敵でもある故だ。

 

 しかし、その魔物は〈ブレワイ〉にも〈ティアキン〉にも登場しない、影も形もないはずだった。

 『ギブド』が最初はそれではないかと言われたが、やはり異なる。何より〈ティアキン〉のギブドはリーデットの近縁種として登場した時のような能力とは違っていた。

 

 ティリアは頭に考えを巡らせる。雨は既に止みはした。ならば魔法の曲『太陽の歌』を奏でることで、リーデットの足止めができるのでは、と。〈時オカ〉においては発動すると付近のリーデットが硬直し、一方的に倒すことができた。

 ティリアの『太陽の歌』は発動さえできれば、陽光と同じ力を持った明かりが彼女の周辺に広がる。流石に昼夜を逆転こそできないが、発動地点の周囲20mほどが昼間のように明るくなる。この範囲内ではスタル系の魔物は即座に消滅する。

 

 だが、その障害となるものがリーデットの絶叫だ。聞いた者の身体の自由を奪う甲高い悲鳴は、楽器を奏でる身体の動きを阻害し、曲の完成を阻害する。

 

 だがそれも『ネールの愛』を展開すれば防ぐことが叶った。

 

「♩♩♩ ♩♩♩〜……」

 

 眩い輝きがティリアから放たれ、族長屋敷前広場を昼間の如く照らすと、リーデットは動きを止めた。

 

「全員下がって! この光の中で戦うジャラ!」

 

 光に照らされたリーデットは動きが極端に緩慢となる。

 泥が固まって作られたリーデットの身体は、実際脆い。しかし、破壊しても破壊しても、「邪」さえ無事なら足元の泥を吸収して再生してしまう。

 だがその邪も光の中では動きが鈍り、元々物理攻撃は有効なのもあってカカリコの精鋭を持ってすれば打ち倒せない相手ではない。

 

 戦線の立て直しには成功した。

 

 ティリアの読みどおり、陽光はリーデットや悪霊の弱点らしい。ならば夜明けまで耐え凌ぐか、援軍の到着まで防衛し続けることが今回の勝利条件。

 

 ティリアはせっせと作って溜め込んだ妖精の力水を使い切ることも視野に入れた。

 『太陽の歌』で生み出した昼のごときフィールドは永続ではない。本来であれば奏でた直後にしか効果がないものを、魔力をさらに注ぎ込むことで維持しているに過ぎないのだ。

 

 ○

 

 戦況が安定して数十分が経過した。

 戦士たちは交代で身を休める余裕もあった。とはいえ、防衛ライン自体は屋敷の手前である以上油断は許されないが。

 

「な、なんだコイツは‼︎」

 

 兵士の1人が叫ぶ。少し緩んでいた空気へ直ちに緊張が走る。

 

 多くには、その兵士が独りでに空中へと浮かび上がっているように見えただろう。

 ティリアはライネルのお面の奥で血相を変え、すぐさま駆け出していた。

 

 奥義『居合い斬り』で見えざるソレを切り捨てると、捕まっていた兵士は投げ出されるように落下する。

 

「……冗談じゃないヨ!」

 

 ティリアと、一部の心眼を持つ者だけが、新たな敵の姿を正確に捉えていた。

 

 *

 Side ティリア

 

 なぁンだこの襲撃!

 リーデットはまだ分からンでもないヨ、相方のギブドが出てたンだからサ‼︎

 

 でもおんなじ「みんなのトラウマ」仲間だからって、『デドハンド』オマエまで出てこなくともいいじゃないのサ‼︎

 

 ボクは助けた兵士サンをキャッチして後ろに下がらせてから叫ぶ。

 

「あの白くて赤いまだら模様の腕が見えないヒトは下がっテ‼︎」

 

 残ったヒトは……ボク含めて3人だけ。

 

 そのヒト達には引き続きリーデットを相手してもらうケド、デドハンド……コイツをどうする……!

 

 奴の腕が数本地面から突き出してる。問題はその全てが『太陽の歌』の範囲内だってコト。ヤツは陽光を好まなそーな風貌の癖して平気ではあるのか、それとも腕だけだからか……。

 

 ぐるっとあたりを見渡しても本体が見当たらない。地下に潜っているみたいだケド、どうやっテ引き摺り出す……?

 

 さっき腕1本斬り捨てた割には反応がないジャラ。

 

 ただ、斬った時のあの感触……たぶんコイツも泥人形だ。粘土質の白い泥に、あの悪霊の赤が滲み出してるンだけど、パッと見は水死体みたいな青白いブヨブヨの肌に血が滲んでるようにしか見えない。キモチワルいしグロテスク!

 ゼルちゃんが見てなくて良かったヨ……!

 

 もう2、3本腕を切り裂いて見れば、断面からなんとなく『太陽の歌』が平気な手品が分かっタ。

 

 単純に皮が分厚いんだ。

 ベースの悪霊が染み付いた黒い土の泥を芯材にして、粘土質の白い泥でコーティングしてる感じだった。

 

「退避ーッ!!」

 

 腕を全て切り捨てると同時に、ボクの真下の地面が盛り上がっタ。周囲の味方と一緒に飛び退ると、見たくなかったアイツが姿を現す。

 

 瓢箪みたいな形状の胴体から生えた2本の腕は先端が鎌状になってル。細長く伸びた首の先端には、大きな口の不気味な頭部。眼窩の中に目玉がなくテ、黒い穴が開いてるだけ。意思や自我は全く感じられない。

 地面から上に出てる分だけでも、まっすぐ伸ばせば5m以上はありそうな巨体。

 

 こんな気持ちの悪いヤツはそっこーで片付けるに限るッ‼︎

 

 そう思って一太刀浴びせても、開いたがすぐ塞がって、堪えた気配は全くなイ。

 

 ボクが斬ったのは外側の粘土層。怨念が染み付いて動かしてる骨格の部分まで刃が届いてないンだ。

 

 じゃあ首はっテ思ったケド、首を落としても再生するだけで、操ってる悪霊はでて来なイ……。

 

 ただ、本体の動きは緩慢で、その場に根を張ったように動かない。

 厄介なのはむしろ地面から唐突に生えてくる腕の方。見た感じ殺傷力は低そうだケド、拘束してくるのがうっとーしィタイプ。

 

 いや、リーデットの方もか。

 

 コレがたとえば同じ数のボコブリンやスタルボコブリンだったら怪我人は出てたろうケド、今頃は倒し終えてたハズだヨ。

 

 強いというよりメンドくさい。

 

「……時間稼ぎ? 本命はコイツらじゃなイ?」

 

 ある程度バラバラに切り刻んだデドハンドが地面に逃げ込もうとしたので追撃。沈黙させた。

 

 ところがしばらくの内にまた生えてくるデドハンド!

 

「根っこまで枯ラさにゃダメかッ!」

 

 幸いなことには、おそらくデドハンドを構成する白い泥は1体分しかないンだろう。だから他の場所からは生えてこなイ……。

 いや、楽観的な見方は辞めた方がいいネ。

 

 そもそもいきなり地面から生えてきたンだ。地下にトンネルを作ってやって来たハズ。そこを通って後続がやって来ない保証はない。

 

 しかもこの存在しているであろうトンネルの規模が分からないのも恐ろしいヨ。ドロドロにぬかるンだ地面がいつ陥没するか分からンない。

 

 なんとか宿ってる悪霊を引きずり出さないと、すぐ再生して復活すル。

 多分核に当たる部分は地下深いところに居る……ボクの刃が届かないくらイ。

 

「全員退避! ちょっとメチャクチャするヨ!」

 

 『ディンの巌』は硬い岩盤や土にしか上手く使えない。水分量の多いコイツらは直接やるには難しい。

 

 今回は地下のまだ水が染みてない地盤を持ち上げた。深いし、範囲も広めだしでかなりの魔力を注ぎ込む。

 小石や土と一緒に打ち上げられてきた白い泥の巨体を、スローになったボクの視界がとらえル。自分でした攻撃の結果飛んできた小石を『回避ジャスト』して、自作自演の過集中状態に持ち込んだ。

 

 ラッシュでバラバラに切り刻むと、ようやく本体の悪霊がお出ましだヨ。

 

 マァ、コイツはそこまでなのでさっくり処理をしテ、『太陽の歌』でまた領域を張り直せばこれ以上復活することもないハズ!

 

 *

 

 デドハンドの撃破後、リーデット達の数は目に見えて少なくなっていく。

 

「ふむ。アレを退けるか……?」

 

 黒い風の魔剣士は空に浮かび、ティリア達を見ていた。およそ上空100m。ティリアの感知範囲外からだ。

 

「……やはり、かの妖精は我ら《(・)b(・)》(・)魔(・)族(・)《(・)/(・)b(・)》と同じか?」

 

 リーデットを退ける歌に、デドハンドの本体が地下から飛び出すことを予見していたかのような動き。

 

「知っている、か?」

 

 魔剣士は黒い剣を見やる。蓄えた力はまだある。

 

「小出しにしても仕方があるまい。これで確かめることにしよう。あまり使いすぎると大地のがうるさいからな……!」

 

 魔剣から吹き出した瘴気が、不可視の巨体を形作る。

 

「少しでも多くかの賢者の手札を暴け。良いな、《(・)b(・)》(・)暗(・)黒(・)幻(・)影(・)獣(・)《(・)/(・)b(・)》……!」

 

 命令への返事はない。代わりに、ドン、と鼓を打つような音が響いた。

 





〈独自設定〉
・リーデット
 表記揺れがあるが、本作では「リーデッド」がゾンビ系で「リーデット」が泥人形という説を採用。
 泥と邪を操る術さえあれば量産が効くが、日光に弱い。

・デドハンド
 みんなのトラウマ。
 本作ではリーデットの強化個体みたいなもの。なので泥人形。デトハンドという新種にしようか迷った。
 特殊な粘土層で日光をシャットアウト。ただし中の怨念も深く潜っているので、金縛りの絶叫は出せない。

・暗黒幻影獣
 リメイク楽しみですね。
 PVでは村のシーンでコイツがわかりやすくなってましたね。
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