ポケットモンスター チームオブブルース 作:局務事通交ピルア
グレンタウン行きの船がある港町を目指している道中、警察側がなにかの公開ショーをしていた。
安全を促す感じなのかそれとも自衛隊の様な訓練を公開しているのかは分からないものの面白そうだからとエンザンは見にきていた。
「さぁさぁ!腕自慢なトレーナーの皆様!あの的を当てることは可能でしょうか!」
180度にゆらゆらと揺れ動く複数の的に対してポケモンの技を当てる、ジュンサーさんが自身のポケモンを使って当てた。それを見ていた観客達は流石はジュンサーさんだなと拍手を送り今度は挑んでみたいトレーナーは居ないのかを聞いた。誤射が1つもない正確な的当てをされたので出ていけば恥をかくのじゃないかと思われている中でエンザンは挙手した。
「いけ、イーブイ」
「ブイ!」
「では、開始!」
「イーブイ、的に向かって、いきいきバブル!」
ブザー音が鳴り響くと同時に的が動き出した。イーブイにいきいきバブルを指示すればイーブイはいきいきバブルを当てる。派手な技や強力な技じゃなくて基本的な感じの技でいい。1発、2発、3発と当て……エンザンのイーブイは1つも外すことなく的を当てた。これには見ていた人達も拍手を送った。イーブイはこの程度は当たり前だと特に威張ることをしなかった。
最初の人が全弾命中は凄いのだがそれはそれで困る。次の人が色々とプレッシャーがかかるかもしれないのだがそんなのは知ったことではない。
「びりびりエレキ」
「ブイ!」
「いきいきバブル」
「ブイ!」
「めらめらバーン」
「ブイ!」
「どばどばオーラ」
「ブイ!」
「わるわるゾーン」
「ブイッ!」
「すくすくボンバー」
「ブイッ!」
「こちこちフロスト」
「ブイ!!」
「きらきらストーム」
「ブイブイ!」
一通り会得したな。
エンザンはイーブイに相棒技を最後の1つを除いて覚えさせた。最後の確認だと一通りの技を使った。どれかの技が練度が低いという事は無い。どれも練度が高い技で実戦レベルにまで持っていくことが出来る。ただ1つ問題があるとするのならばイーブイがイーブイのままであるという事だ。そろそろ頃合いだなと思いながらもイーブイに向かってかみなりのいしを当てる。するとイーブイは眩い光に身を包み、サンダースへと進化した。
「ダーッス!!」
あのレポート通りだな。
エンザンはポケモン図鑑を片手にサンダースのデータを確認する。サンダースに進化すればびりびりエレキ以外の相棒技を忘れる可能性が高いがこのイーブイは8つの相棒技を会得可能で進化後も忘れることはない。びりびりエレキ以外の7つの相棒技をしっかりと引き継いでいる。一応は気になるので先ほどやった様にびりびりエレキからきらきらストームまでの8つの相棒技を使う。
ぶっ壊れているな
サンダースの足の速さと特攻からの相棒技、大抵のポケモンが倒される。こんなイーブイが量産されて闇ルートや市場に出回ったのならばどうなるのか分からない。今さらながらとんでもないイーブイをゲットしてしまったと感じたが後悔はしていない。サンダースが欲しいと思っていたからイーブイをゲットし進化させた。ただそれだけの話だ。
「リザードン、サンダース、スターミー、ドリュウズ、ゲンガー、ポリゴンZか……」
現在の手持ちをボソリとエンザンは口にする。6体以外にバタフリーとクロバットとロズレイドがいる。ずがいのカセキを持っているので将来的にはラムパルドをゲットする予定だ……しかしまだ持っていないタイプのポケモンがいる。
カントーで強いポケモンと言えばのリザードン、スターミー、サンダース、ゲンガー……シンオウだが進化元はカントーのポリゴンZ、そしてイッシュのドリュウズだ。
他にも目ぼしいポケモンは何体か居るが、カントーでは見かけないな。
エンザンはまだまだ戦力が心許ないと感じていて今必要な戦力について考える。どうしてもジョウト以降のポケモンが頭に浮かんでしまう。カントーでは見かけないから粘ればゲット出来るかもしれないレベル。アローラに行く予定があるのでアローラのポケモンがゲット出来るが、その為には8個のジムバッジを集めないといけない。
「ポケモン検定試験?」
そんなこんなでグレンタウン行きの船がある港町を目指していればポケモン検定試験会場に辿り着いた。
ポケモン検定試験、その名の通りポケモンに関する豊富な知識と確かな実績を持っているかどうかを検定する試験である合格した場合はカントーリーグ・セキエイ大会の出場権を貰える。ジムバッジを8個集める暇が無い人向けの救済措置だ。こんな物もあるのだなと覗き見に来ている。
「君も受験者?ヤベえよ、オレ全然勉強してねえわ」
絶対に勉強しているだろう。
目にクマを作っている男が自分も受験者かどうかを聞いてきたのだが勉強してる感じがあった。
右を見ればポケモンに関する単語帳を見ていたり左を見れば持っていないポケモンが出てきた場合はどうするのかを考えていた。皆、この試験に必死なんだなと思いながらもエンザンは試験を受けることにした。どうもロケット団の介入で1回試験が無かったことにされたらしい。年に1回の貴重な試験の2回目とは奇妙な事だが自分がポケモントレーナーとしてどれだけのレベルなのかが気になったのでエンザンは参加した。
問1 特性 マジックミラーで跳ね返せないのは?
A くろいまなざし B フラフラダンス C メロメロ
問2 通常状態を100%とし、めいそうを3回使った場合、とくこうととくぼうは何%になる?
A 190% B 280% C 250%
問3 進化先が複数に分かれているのは
A ピカチュウ B ニョロゾ C リザードン
問4 現在未発見の複合タイプは
A ほのお・みずタイプ B ノーマル・はがねタイプ C くさ・こおりタイプ
問5 次のうち一番遅く出せるのは
A トリックルーム B ドラゴンテール C ゆきなだれ
思ったよりもしっかりとしている問題だな……問3は……リージョンフォームとメガシンカはカウントしない感じだな。
記述式でなく選択式の問題だ。◯✕クイズは下手したら運だけで突破される可能性があるので3つの選択肢があった。
コレはちゃんとした知識を持った上で挑まなければならない……中には明らかに廃人仕様の問題がある。カンニング防止の為に答えの位置は一緒だが問題の内容は変えてある。しかしエンザンは何事もなく淡々とマークシートを埋めていく。
問50 4h+1に対する正しい解説を選べ
A HPの最大値を10分の1に出来ないこと B HPをちょうど4分の1に出来ること C 攻撃を4回受けても耐えれること
ガチだな……これ、ホントに大丈夫な問題か?
俺は一応は分かるものの、普通の人に4h+1を出したら数学の方の4h+1を連想するだろ。
まさか……俺以外に居るのか?……いや、居たら既に知名度はある筈だろう。
明らかに廃人しか知らない問題ばかりが出てきている。一部はゲームをしていれば身に付くものだが後半や最後の問題はポケモン廃人ならば知っているレベルの知識を求められた。明らかにレベルが違うのでエンザンは自分以外にも居るんじゃないのかと疑惑の念を抱くのだが居るのならば既に知名度はあるはず。エンザンなりに調べたが、自分以外に転生している奴は居なさそう……そうなると自分自身を送り込んだ存在が知識を与えたと言うのが妥当なところだろう。
なにをしたいかは知らないが、基礎的な知識ならば問題は無い。
エンザンは迷うことはなくマークシートを埋めた。記入ミスや勘違い等をしていないのかを再確認し筆記試験が終了した。手応えはあったし久しぶりに頭を使ったと少しだけ頭がポワポワしているエンザン。最近はあまり頭を使っていない証拠だなと思いながらも実技試験を行う。実技試験の内容はレンタルポケモンでのバトル、どんなポケモンか分からない上に普段遣いのポケモンではないのでポケモントレーナーとしての真の実力を試される。
「私もレンタルポケモン!君もレンタルポケモン!さぁ、先ずは1体目からだ!」
試験官がモンスターボールを手に取った。エンザンもモンスターボールを手に取った。試験官も普段遣いのポケモンではない、同じ状況なので不利ではない。なにが入っているかはわからないが試験に使うのに必要なポケモンなのは確かだろうと試験官と同時にモンスターボールを投げた。
「コーン!」
「ディ!」
これは少しまずいか?
試験官が出したポケモンはキュウコン、自分がレンタルしたモンスターボールに入っていた1体目はウインディだった。
キュウコンの特性がひでりならば日差しが暑くなる。しかし暑くならないのでもらいび個体は確定だ。ウインディはキュウコンを睨めばキュウコンになにかが起きるのかと思ったが特になにも起きない。互いに特性がもらいびの個体同士と考えた。
「色々と考えていても仕方がない!キュウコン、かえんほうしゃ!」
試験官もウインディがもらいびかどうかは分からない。もしかしたらせいぎのこころ個体かもしれない。こっちがもらいび個体なのが知られている。色々と考えている中で試験官はキュウコンに対してかえんほうしゃを指示した。キュウコンはかえんほうしゃを放つがエンザンはウインディになにも指示を出さない。ウインディにかえんほうしゃは当たったのだがかえんほうしゃのほのおがウインディに吸収された。
「ウインディ、しんそくだ!」
ウインディももらいびの可能性がある、かもしれない。
そんな状況でかえんほうしゃ、ウインディに当たっても大したダメージにならない……ウインディがもらいびだと賭けた以上は文句は言えない。コレでもらいびだと判明したが次の手で倒す。キュウコンの方が変化技が豊富なのでこれしかない。
ウインディにしんそくを指示すれば目にも止まらない速度でウインディは激突した。キュウコンは弾き飛ばされるが戦闘不能にはならない。コレでキュウコンの技の枠は1つ消費されたものの、使ったのはかえんほうしゃなので油断は出来ない。
「キュウコン、じんつうりき」
「もう1度しんそくだ!」
もらいびでほのおタイプの技が通じない以上は他のタイプの技を使わないといけない。キュウコンにじんつうりきを指示するのだが再びしんそくが襲った。キュウコンのじんつうりきの発動よりも更に速く、発動前に何もさせない。しんそくで突撃しキュウコンを突き飛ばした。
「コーン……」
「キュウコン、戦闘不能!ウインディの勝ち!」
「戻れ……次は2体目のポケモン!出てこい!」
「リリリ!」
試験官の2体目のポケモンはレアコイル、これは中々に嬉しい展開だ。試験官も少し眉を動かした。先ほどキュウコンのかえんほうしゃでウインディはもらいびの効果を発揮しておりほのおタイプの技の威力が上がっている。技の枠はまだ残っておりますほのおタイプの技を使える。
「ウインディ、しんそくだ」
「なに?」
はがねタイプのポケモンであるレアコイルにしんそくを使った。確かにウインディはパワーがあるポケモンだが、はがねタイプのレアコイルにしんそくを使うとはどういうことか?レアコイルになにか指示を出す前にウインディがレアコイルにしんそくで攻撃し、ウインディは直ぐに間合いを開いた。
「フレアドライブ!」
「っ、しまった!」
自身のレアコイルががんじょうの特性を持っているかもしれない。フレアドライブは強力な技でウインディにピッタリな技ではあるが、反動ダメージがある。もらいびのおかげでほのおタイプの技の威力がパワーアップしているのでがんじょうの効果が発揮する。ならば、先に1回攻撃をしてからのフレアドライブで的確に沈める。
試験官がレアコイルになにかを指示する前にウインディがフレアドライブで突撃した。レアコイルは試験官の足元まで飛ばされれば起き上がる事は無かった。
「レアコイル、戦闘不能!ウインディの勝ち!」
「まさか連敗とは……ウインディを持っているのかい?」
「いえ、持ってません」
ウインディを巧みに扱うエンザンを見て試験官は普段からウインディを扱っているんじゃないかと推察し、ウインディを持っているのかをエンザンに聞いた。エンザンはウインディを持っていないと正直に返答すれば試験官は言葉を失う。ウインディを上手に使っている感じがしたのだが持っていない。レアコイルに対する攻略法をあっさりと思い浮かんだ、実際にレアコイルやウインディを持っていないと分からないこともあるのにエンザンは持っていない。
「しんそくからのフレアドライブは直ぐに思い浮かぶ」
自分の手持ちが分からない以上はこれしかない。
残り2つの技の枠をただ無駄に消費をする、それが1番あってはならないことだ
「なるほど。この前の試験では色々と偏っていた少年が居たが君は中々だね……出てこい!3体目のポケモン!」
「シェン!」
この前はサトシを相手にして色々と無茶苦茶なところがあるがサトシはサトシなりの強さを持っていた。それとは方向性が違うがそれでも強いトレーナーだと感じた試験官は3体目のポケモンを出した。3体目のポケモンはパルシェンだった。
「ふっ、硬い殻が自慢でみずタイプのパルシェン。快進撃もここまでだ!パルシェン、ハイドロポンプ!」
ウインディに対してとても有利なポケモンが出てきたと試験官は喜んだ。パルシェンにハイドロポンプを指示した。
「ウインディ、こうそくいどうで避けろ」
「パルシェン、速くてもタイミングさえ合わせれば問題は無い」
ここで3つ目の技であるこうそくいどうを出した。こうそくいどうで素早さを上げ撹乱する。パルシェンはどうすればいいのかと慌ててはいるが試験官は素早いだけでタイミングは掴みやすい。タイミングを見計らってハイドロポンプを当てるように指示をしてこうそくいどうで素早さを上げていくウインディにハイドロポンプを当てた。
「ウインディ、フレアドライブ!」
「パルシェン、受けるんだ!」
ハイドロポンプが命中したがウインディは倒れない。エンザンはフレアドライブを指示すれば試験官はパルシェンに受けるように指示を出した。こうそくいどうで素早さが上がったウインディのフレアドライブは回避は出来ない。だが、パルシェンには圧倒的な防御力がある。ウインディはパルシェンにフレアドライブを当てた……が、ダメージらしいダメージが無く逆に反動ダメージに苦しんだ。
「コレで終わりだ!ハイドロポンプ!」
「ウインディ、きしかいせい!」
「っ、しまった!」
ハイドロポンプを使って終わらせようとする中でウインディがきしかいせいを使った。
ここで試験官は全て納得がいった。こうそくいどうで素早さを上げたのも、物理攻撃に強いパルシェンにフレアドライブで突撃したのも全ては間合いを詰める。起死回生の一手であるきしかいせいを確実に叩き込む為に。パルシェンはウインディのきしかいせいをくらい、戦闘不能になった。
「まさか……1体だけにやられるとは……」
「残りの2体が何だったか確認していいですか?」
「あ、ああ」
キュウコン、レアコイル、パルシェンを3タテしたウインディとエンザンに言葉を失う試験官。エンザンは残りの2体が何だったかとモンスターボールに入っているポケモンを出した。1体はナッシー、1体はギャラドスだった。最初に出たポケモン次第では自分が負けていたなと運に救われたとエンザンはホッとした。
「おめでとうございます!マサラタウンのエンザンくん!貴方は見事ポケモン検定試験に合格致しました!」
実技、筆記、両者ともに最高得点を叩き出したエンザンは見事にポケモン検定試験を合格した。
コレでジムバッジを8個集めなくともカントーリーグに出場することが可能だ。しかし、ジムバッジは8個集めておかなければ気が済まないのでエンザンはグレンジムを目指して歩く。