ポケットモンスター チームオブブルース   作:局務事通交ピルア

17 / 41
第17話

 

 ポケモンは生き物であり、メンテナンスをしコンディションを維持しておかなければならない。そっち系の技術を極めたものがポケモンブリーダーやポケモンコーディネーターである。しかしその2つだけがポケモンに関するメンテナンスをしっかりとしているわけではない。

 

 ポケモントレーナーであるエンザンも当然、持っているポケモンの育成だけでなくメンテナンスもしっかりしている。メディカルチェックと肉体面に疲労が無いのか等はジョーイさんがある程度はしてくれる。しかし、それだけでポケモンをメンテナンスしたとは言えない。

 

「もう少し研いた方がいいか?」

 

「グォウ」

 

 グレンタウンがある港町の1つ手前の街に辿り着いたエンザンはポケモン達のメンテナンスをしている。オーキド博士に預けているポケモン達も含めてだ。ドリュウズは体毛は無いが爪を磨かないといけない。ロズレイドは栄養価の高い水を与えないといけない。サンダースはミサイルばりにもなる毛の硬さを維持しないといけない。ゲンガーは体からガスが発生しているので体に悪いガスを出させない、もしくは体に溜め込んでいるガスを追い出す。スターミーは真ん中の宝石を綺麗に磨かないといけない。ポリゴンZは電子の肉体に余計なデータが入っていないか確認し無駄なデータを削除し処理落ちを防がないといけない。クロバットは歯の手入れが必要だ。

 

 オーキド博士に預けているポケモンを含めてのポケモンのメンテナンス、最後はお前だとリザードンの爪をやすりで磨く。普通はこういうのは専用の業者に頼んだりするのだがエンザンは自分のポケモンなので自分でしなければ気が済まないのだとポケモンのメンテナンスをなるべく自分でしている。

 

「こんなところか」

 

 先に送り返されたロズレイド、クロバット、バタフリーは気持ちよさそうにしていた。手持ちに居るリザードン、ドリュウズ、サンダース、スターミー、ゲンガー、ポリゴンZも心地良さそうにしている。メンテナンスをする前よりもコンディションが上がっている。ポケモン達はエンザンにありがとうとお礼を言ったり頬ずりをしている。

 

 エンザンは撫でたりして応えればポケモンをモンスターボールに戻した。

 

「色々と買い足さないといけないか」

 

 自分の食料やきのみ、回復アイテムに底が見えかけていた。変なルートを通らずに旅をしているつもりだが道中に出会ったポケモントレーナーとのポケモンバトルとかで色々と回復アイテムを使わないといけなかったり、一緒に食事をしたり、道を聞くのにきのみを使ったりなどで思っていた以上のアイテムを使っていた。しかしエンザンは慌てない。

 

「……フレンドリィショップがないのか」

 

 街の地図を見てポケモントレーナー御用達のお店であるフレンドリィショップを探したのだがこの街にはフレンドリィショップはありませんと小さく書かれていた。しかし薬屋、食料品店、工具販売店と大型のショッピングモールならば大抵は置いてある店があった。

 

 食料品店で食料を買う。工具販売店でポケモンに必要なワックスを買う。後は薬を買うだけだと薬屋に向かった。

 

「いらっしゃい」

 

「…………」

 

「なにかお探しかい?」

 

「なんでもなおしといいキズぐすりを、見たことがない薬が多いな」

 

「うちは量産品以外に自家製の漢方薬も扱ってるからね」

 

 なんでもなおしといいキズぐすりを買いに来たのだが思った以上に薬が豊富だった。フレンドリィショップで見たことがあるが買ったことはない薬は勿論のこと今まで見たことが無かった薬も置いてある。一般的なメジャーなポケモンの薬の知識と睡眠薬の知識はあるのだが漢方薬にまでは手を出していない。

 

「持っていればオススメな漢方薬は?」

 

「漢方薬はエリクサーみたいな万能薬じゃないよ、漢方薬っていうのはスゴくざっくりと言えば体の機能を高める薬で抗生物質と違って直接ウイルスを倒すとかそういうのじゃないから」

 

 漢方薬も売っているのならばオススメの薬を買おう。しかしエンザンは体調が悪いわけでもない、ポケモン達もつい先程までエンザンがメンテナンスをしている。なにかオススメの薬はないのかを聞いたが漢方薬は体の弱っている部分を強める感じの薬であり病気を治す力を強める物で飲めばどんな病気でも治るエリクサー的なのは無いのだと店長のオヤジに言われる。

 

「お客さん、冒険のトレーナー?」

 

「ああ。だから薬は少しだけ欲しいんだ」

 

「手のひら、見せてごらんよ」

 

「あまり見せたくないんだがな」

 

「ほぉ……頑張ってるな」

 

 手のひらを見せてくれと言われたので手のひらを見せるエンザン。エンザンの手のひらはボロボロだった。

 

 ゲームならば簡単にポケモンをゲットできるがこの世界ではちゃんとモンスターボールを当てないといけない。ポケモン達のメンテナンスも自分でしないと気が済まない。料理や裁縫なども出来るようにならないといけない。

 

 最近では色々と便利なアイテムがあるとは言え、トレーナーになる上でポケモンバトル以外の特訓をエンザンはしている。毎日繰り返すことで身に付くタイプの能力でありエンザンの手には豆があったり潰れていたりしている。それを見て、エンザンはその辺のトレーナーとは根気が違うのだと薬屋の店主のオヤジが見抜く。

 

「ちょっと待ってろ、今薬膳茶を出してやるから」

 

「俺は茶よりもコーヒー派なんだが」

 

「寝不足、皮膚に汚れが溜まっている、便が詰まってる……トレーナーにありがちな症状だな」

 

 特に注文もしていないのに茶を淹れると言ってくる店主のオヤジ。奢りだが自分はお茶よりもコーヒーの方が好きだと主張すればエンザンを店主は見抜いた。ポケモン達に負荷をかけない様にメンテナンスをしっかりとしている。コンディションも悪くないとポケモン達も言っているのだが、エンザン自身は気付いていないだけで体調が悪い。

 

 それは仕方がない事だ。冒険の都合上、夜になればそこで目的地に向かう足は止まる。野宿はする。だからポケモンセンターでお風呂に入って念入りに体を洗ったり、街の無料な温泉に立ち寄ったりしたりする。食事は栄養を気にしているが、数日以上歩くの前提なのでどうしても保存の観点で食料が偏り食事が偏る。そしてエンザンはコーヒーが好物であり結構飲んでいる。

 

「ほら、飲むんだ」

 

「美味いな」

 

 漢方薬のお茶を飲んだエンザン、お茶は普段飲んでいるが漢方薬のお茶は飲んだのははじめてだ。漢方薬と言うとどうしても苦かったり妙な味があったり根本的に合わない体質とかそういう印象があったりするのだが思った以上に美味しかった。そしてお腹が鳴った。

 

「トイレはそっちだよ」

 

 お腹の音を聞きつけた店主は特に驚くことはせずにトイレの場所を指さした。エンザンはトイレに駆け込めば出すものを出す。

 

 

体の中にある物が排出されている……出ていくのは理解出来るが、効果が早すぎないか?

 

 

 薬膳茶の効果が予想以上に早くに発揮されている。こういうのは毎日飲む物でそれで元気になる。いきなりの成分で効果があるのは分かるものの効果がありすぎている。しかし体にある余計な毒素とも言うべきものが便として出ているなと感じていると手の皮が捲れ、涙が流れた。

 

 

おい、コレは!

 

 

 涙なんて流す理由が無いのに流れている。手の皮以外にも体中の皮が垢になって捲れていった。

 

 知っている!エンザンはコレを知っているぞ!そう……異常なまでに効果がある薬膳料理だ!エンザンは足のつま先から額までの体の汚れがペリペリと1枚の皮になって捲れる。目から涙が流れていき目がスッキリ。

 

「……嬉しいしありがたいんがだなにを」

 

「薬膳効果だ」

 

「いや、そのレベルは越えているだろう?」

 

 出すものを出したのでスッキリした。体に溜まっていた垢も1枚の皮として捲れて肌がツヤツヤになった。エンザン自身も最高のコンディションになったのだがコレは明らかに異常だ。効果がありすぎるのでは?と最もらしい疑問をぶつけてみるのだが店主のオヤジは薬膳料理であると言い張る。

 

「ゴルダック、みやぶる!」

 

 そしてゴルダックを出した。みやぶるってそういう風に使えるのか?と自分を診断しているかと思ったのだがゴルダックは別の物を見ていた。なんだと思っていればゴルダックは見つめていた物を手に取った。

 

「……カメラだな。ただ」

 

 ゴルダックが手に取ったのはカメラだった。エンザンはそれを見ておかしいと気付く。全員がイメージしているタイプのカメラではない、それにカメラが搭載されていたのか?と思えるような物であり明らかにおかしい。

 

「ったく、無駄だってわからんのか」

 

 おかしいカメラを睨んでいる薬屋のオヤジ。

 

「コレは明らかに盗撮目的だが何故?」

 

「うちの漢方薬の秘密を入手しようとしてるんだよ」

 

 明らかに盗撮目的のカメラについて聞けば小さな生薬会社が薬屋のオヤジの秘伝の薬のレシピを盗もうとしている。

 

「薬なんだから特許を……いや、ダメか」

 

 薬にも色々と特許が存在している。それさえ取得すればこんな産業スパイみたいな輩は出てこない……なんて都合のいい話は無い。特許を取得すれば逆に秘伝のレシピを公開しなければならない。そのレシピを悪用する者は確実にいる。なんだったら特許を取っていてもパクる奴は普通にいる。

 

「お前に飲ませたのは完全に売らないって決めてるんだ。文字通り一品物、少しでも配合をミスすれば大変な物でな……1回、専属の薬剤師になってくれなんて言われたがどう頑張っても量産そのものが不可能って言えば手のひら返したのに」

 

「とりあえず、それは悪質な事だと思いますので………………」

 

 

なんか妙な方向で運命力が働いているな。コレはアレを言わなければならない感じか。

 

 

「プラグイン!ポリゴンZ!トランスミッション!」

 

 ポリゴンZが入っているモンスターボールを小型カメラに向けて赤色の光線を放った。バーチャルポケモンであるポリゴンZは電子の世界に入った。ポリゴンZがモンスターボールから出たのを確認したのでカメラを手にする。

 

「そのカメラは映像を記録するだけのカメラじゃない、何処かに映像を届かせる機能が搭載されている。逆探知をしろ」

 

「お、おぉ、ハイテクだな」

 

「この手の犯罪はキッチリと決めないといけない……ジュンサーさんに届ける」

 

 ポリゴンZを使い何処の企業スパイなのか洗い出した。

 

 薬屋のオヤジが独自の技術で調剤した漢方薬を狙っている。パールジャムと同様の効果を発揮するレベルの漢方薬、それが大量生産されて売られる事になれば巨万の富を得ることが出来る。ジュンサーさんに何処の誰が隠しカメラを置いて盗撮している事が分かれば警察が立ち入った。特許を取っていない技術を盗もうとする、隠しカメラで悪質な証拠を入手したので捕まった。

 

「ふむ、君は……死神体質なのか?」

 

「なんとも言えないです」

 

 事情聴取を受けているとスーツを着ている偉い人が現れた。エンザンは身分を証明する物などを見せており偉い人はエンザンが死神体質なのかと言ってくるのでどういう風に返事をすればいいのかが分からない。

 

「ニビ博物館でロケット団を逮捕、サントアンヌ号でロケット団を撃退、タマムシシティでロケット団の研究施設の1つ見つけ出す。そして今回、産業スパイの隠しカメラに即座にポリゴンZを使う、いや、使えるのを知っていたとは。どうだね、国際警察にならないか?」

 

「また随分と奇妙な誘いですね。子供に警察にならないかと誘うだなんて正気ですか?」

 

「正気だよ……君がポケモントレーナーとしてやっていきたいと言う思いは無駄にはしない……これはあくまでも予想だが、君は事件に巻き込まれやすいんじゃないのか?」

 

「だから国際警察になれと?」

 

「国際警察の1人がポケモンバトルが物凄く強い、一種の抑止力になるから出来ればなってほしい」

 

「俺はポケモントレーナーです。国際警察の訓練とか仕事を回されても困りますよ?」

 

「ああ、大丈夫だ。君のように事件に巻き込まれやすいトレーナーは無視しても勝手に事件が起きるから」

 

 権力を手にする事が出来るのは嬉しいのだが、訓練しろとか仕事をしろとか回されても自分はポケモンバトルをしたいと主張する。しかしエンザンは事件に巻き込まれやすいタイプの人間だ。自然と事件が寄ってくる。それを利用するのならばサトシが一番と思ったのだが、仕事に対して冷静に対応出来ないタイプのサトシには向いていないだろう。

 

 エンザンは国際警察の長官にスカウトされた。コードネーム、ブルースを手に入れた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。