ポケットモンスター チームオブブルース   作:局務事通交ピルア

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第32話

 

 

やはりまだまだだったか。

 

 

 エンザンはサトシとの対戦の感想を述べる。

 

 サトシは世界でもトップクラスの実力者になれる可能性を秘めているが、まだ自分と同じで駆け出しのトレーナーだ。持っているポケモンも少なければ育てが圧倒的に足りない。

 

 サトシの事を勿体無いとは思いながらも、リザードンが言うことを聞くようにしただけ。自らと一緒に修行しようとは誘っていない。おそらくだがサトシを誘ってもなんの経験も得られないだろうし、サトシに向いていないやり方だから。

 

「ヒロシ……ごめん」

 

「いいよ……おかげで理解出来たから」

 

 一方のサトシはヒロシに謝罪をした。お前の分まで頑張ってみせる!とお決まりの約束をしたのはいいのだが、結果を見ればポリゴンZを1体のみ倒しての圧倒的な大差での敗北だった。

 

 サトシは謝る以外はなにも出なかった。オレが本気を出せば!なんて言っても意味が無いぐらいの圧倒的な大差での敗北、それほどまでにエンザンとの間に力の差があった。

 

 ヒロシもサトシのリザードンやポケモン達があそこまでこてんぱんにやられるとは思っていなかった。だからこそ思い知らされる、自分やサトシがこのカントーリーグ・セキエイ大会ではまだまだなポケモントレーナーなのを。

 

「……次の対戦相手は、シゲルか」

 

 

こっちは尻を叩けばしっかりと成果を出したな。

 

 

 本来ならば4回戦で負けているシゲルだったが、エンザンと言うイレギュラーな存在のおかげで準決勝にまで駒を進めることが出来ている。シゲルとサトシではタイプが異なり、自分というイレギュラーが背後から迫ってくると分かればシゲルはしっかりと努力をした。

 

「お預かりになったポケモンは皆、元気になりました!」

 

「ありがとうございます」

 

 ポリゴンZ達が回復したとジョーイさんからモンスターボールが渡される。

 

 次の対戦相手はシゲル、サトシが余裕だったからシゲルも同じぐらいだろうとはならない。むしろシゲルの方が優れている。サトシは土壇場での力は強いがそれ以外の殆どの能力はシゲルが上だ。持っているポケモンの基礎的なスペックから何までもが。

 

「エンザン、サトシはどうだった?」

 

「正直に言えばガッカリしたな……2ヶ月前となにも変わっていない」

 

 試合を終えたシゲルがポケモンの回復をさせにポケモンセンターにやって来た。

 

 コーヒーを飲んでいるエンザンと鉢合わせをするのでシゲルはエンザンにサトシと戦った感想を聞いた。感想はガッカリした。2ヶ月前となんら変わっていない。

 

「まぁ、あいつはあいつの好きにやればいい…………ただし、確実に壁にぶつかる時は生まれる」

 

 サトシにはサトシのやり方がある。だから頭ごなしに否定はしない。

 

 ただしエンザンの見立てではサトシのやり方には限界がある、その限界の主な理由はサトシが色々と甘えた考えを持っていたり普通のトレーナーとは違うことをしているから、先ずは基本を押さえてこそ意味がある。

 

「エンザン、シゲル」

 

「やぁ、君のセキエイ大会もここまでの様だ。君にしては上出来じゃないかな?」

 

「……」

 

 なんだと!と何時もならばシゲルの挑発に乗るサトシだったが、今回は違った。

 

 エンザンを相手に大差をつけられての敗北が余程心に来て応えたのだろう。なにせこのカントーリーグはサトシにとって負けてはいけない最初の晴れ舞台だから。

 

「……俺は俺の為にポケモンバトルをしている。だからお前の思いは背負わないつもりだ」

 

 オレに勝ったからオレの分まで頑張ってくれ、優勝してくれよなんて言われてもエンザンはそんな思いは背負わない。エンザンは誰かの為でなく自分自身の為に戦っている、全ては優勝する為にだ。

 

 サトシは頑張れやオレの分までと言おうとするつもりだったのか、なにも言えなかった。

 

『さぁ、再び最高な対戦カードがやって参りました!同い年でマサラタウン出身のトレーナー同士の戦い!準々決勝で圧倒的な大差を見せつけ勝利したエンザン選手!対するはオーキド博士の孫でここまで順調に勝ち進んでいたシゲル選手です!』

 

「これよりカントーリーグ・セキエイ大会準決勝を行います!使用ポケモンは6体のシングルバトル、メガシンカ、Zワザ、テラスタルは何れか1つのみ!」

 

 そんなこんなで準決勝が始まった。

 

 再び熱い展開が巻き起こったのだと会場が盛り上がっている、同胞の同期同士の対決のカードは早々に見れない。オーキド博士の孫と前の試合で同期を圧倒した男、中々の好カードである。

 

「先攻はエンザン選手です」

 

 先攻後攻を決めるルーレットが回り、先攻はエンザンに決まった。

 

 エンザンはモンスターボールを手に取った。シゲルはなにが出てきても大丈夫だと既にモンスターボールを握っている。

 

「サンダース、バトルスタート!」

 

「ダス!」

 

「サンダース、ならばこいつはちょうどいい。いけ、ニドキング!」

 

「ニド!!」

 

 エンザンの1体目のポケモンはサンダース、それに対して出てきたのはニドキングだ。

 

 技のデパートの異名を持っているニドキングならばなにが出てきても問題は無い。そしてサンダースが出てきたのでサンダースの旨味であるでんきタイプが通じない。

 

「ニドキング、じしんだ!」

 

「サンダース、こちこちフロスト!」

 

 試合が開始と同時にニドキングはじしんで攻める。

 

 じしんか10まんばりきのどちらかで攻めてくる、それは読めていたとサンダースはこちこちフロストを使った。素早さはポケモンの中でも上位に入っているサンダース、こちこちフロストはニドキングがじしんを使う前に命中しニドキングのじしんを不発に終わらせた。

 

「そのサンダース……変わっているね」

 

「本来は覚えない技を覚えていることか?……流石に知っているか」

 

 サトシならば相棒技を知らないがシゲルは知っている。本来であればこちこちフロストはサンダースは覚えない。正確に言えばイーブイの時点で覚えるが進化後には忘れてしまう。その常識を覆すのがエンザンのサンダースだ。

 

「力押しならばどうだ!ニドキング、10まんばりき!」

 

「サンダース、かげぶんしんだ!」

 

 普通にじしんを使わせてくれないのだと分かったシゲルは技を切り替える。

 

 衝撃波を放つじしんでなく直接ぶつかりに行く10まんばりきを採用し、圧倒的なパワーで突撃をするのだがサンダースは勝負に出ない。この状態でこちこちフロストを当てたとしてもニドキングは止まらないとかげぶんしんを使って回避。

 

「こちこちフロスト」

 

『エンザン選手、シゲル選手のニドキングに対してヒット・アンド・アウェイの基本的な戦闘!しかしこれは……とても練習しているのが分かる感じです』

 

 

サトシは文字通りなにが飛び出るか分からない相手だが、シゲルは既存ならばなにが出てもおかしくはない相手だ。ある意味で油断が出来ない。

 

 

 シゲルのニドキングにこちこちフロストを当てることに成功したがまだニドキングは落ちない。

 

「本物を見つけたぞ!10まんばりき!」

 

「サンダース、こちこちフロスト!」

 

 

こっちはこちこちフロスト一択……いきいきバブルの方が良かったか?

 

 

 こちこちフロストを当てた事でかげぶんしんの中に居る本物のサンダースがバレた。ニドキングにそれに向かって10まんばりきで突撃していけばサンダースはこちこちフロストを飛ばしてくる。ニドキングにこちこちフロストは当たるがニドキングは足を止めず、10まんばりきでサンダースを突き飛ばした。

 

「ダス……」

 

「サンダース」

 

「待ってください!僕のニドキングもです!」

 

 10まんばりきで突き飛ばされたサンダースは倒れた。

 

 戦闘不能だと審判が判定を下そうとするのだが、シゲルが待ったをかけた。自分のニドキングもと言っているのでニドキングを見つめればニドキングは倒れた。

 

「サンダース、ニドキング、両者共に戦闘不能!」

 

「……流石はシゲルだな」

 

「それは僕の台詞だよ」

 

 

相性云々があるとはいえ、10まんばりきで一撃で倒すのはシゲルのポケモンのレベルの高さが分かる。ここまで勝ち抜いたのは伊達じゃないか。

 

 

 ほんの少しの攻防でシゲルのレベルの高さを思い知らされたエンザン。

 

 これで少しはポケモンバトルを楽しむ事が出来ると心の中で笑みを浮かべながらもサンダースをボールに戻し2体目のポケモンを出した。

 

「ゲンガー、バトルスタート!」

 

「ゲン!!」

 

「ゲンガーにはお前だ!いけ、フーディン!」

 

「ディン!」

 

 エンザンの2体目のポケモンはゲンガー、それに対して出てきたのはフーディンだった。共に強力な技を持っていて足の速いポケモン。睨み合いが数秒の間続くのだが先に動いたのはシゲルだった。

 

「フーディン、サイコキネシスだ!」

 

「ゲンガー、ミラータイプ」

 

「っ!」

 

『おっと、自身のタイプを相手と同じタイプに切り替えるミラータイプ!これでゲンガーもフーディンと同様にエスパータイプに変化!強力なサイコキネシスもこれではダメージが効きにくい!』

 

 サイコキネシスに対してミラータイプで対抗した。エスパータイプになったことで弱点であるサイコキネシスを余裕で受け切るゲンガー。

 

「だったら」

 

「アンコールだ!」

 

 フーディンの技はなにもサイコキネシスだけじゃない、今のゲンガーの弱点を突ける技は他にもあると動こうとすればその前にアンコールを使われる。

 

 アンコールがどういう技なのか知らないわけではないシゲルはアンコールを受けてしまったと頭の中がパニック状態になっており冷静な判断が出来なくなっている。

 

「シャドーボール」

 

 そんな中でエンザンはシャドーボールを指示した。

 

 フーディンはゲンガーのシャドーボールが命中し飛ばされる。こうかはばつぐんのシャドーボールを受けたフーディンだったがなんとか起き上がる。

 

「ゲンガーはまだ1つ、技を」

 

「ゲンガー、シャドーボールだ!」

 

「っ……」

 

「ディン……」

 

「フーディン、戦闘不能!ゲンガーの勝ち!」

 

 フーディンを戻すのもありと言えばありな状況だったがゲンガーにはまだ1つ技が残されていた。みちづれやどくどく等の強力な技をエンザンが覚えさせていないわけないと思っており、交代するかどうかの判断に悩まされているとその隙にゲンガーは再びシャドーボールを使った。

 

「もし仮にサトシならサイコキネシスでシャドーボールを押し返せと言うだろうな」

 

「そんな滅茶苦茶な戦法が出来るのはサトシだけさ……いけ、ピジョット!」

 

「ピジョッ!!」

 

 サトシならばの話を出すが、自分にはそんな事は出来ないと否定的なシゲル。

 

 3体目に出てきたのはピジョット、色々と厄介なポケモンが出てきた。

 

 

今のゲンガーはミラータイプでエスパータイプになっている。その上で使える技はミラータイプ、アンコール、シャドーボール……4つ目の技を無理矢理炙り出すつもりか。

 

 

「ゲンガー、このままいけるな?」

 

「ンガ!」

 

「今のゲンガーは最もピジョットと相性が悪い!ピジョット、つばめがえし!」

 

「ゲンガー、シャドーボール!」

 

 ピジョットがつばめがえしで攻撃をしにきたのでゲンガーはシャドーボールを放つ。

 

 それを見てシゲルは笑みを浮かべた。笑みを浮かべたのだとエンザンも直ぐに気付いてやっぱりかと納得しゲンガーが放ったシャドーボールがピジョットを通過した。

 

『こ、これはいったいどういうことでしょう!?シャドーボールは確かにピジョットに当たった筈なのにピジョットを通過した!!』

 

「ピジョットはひこうタイプのポケモン、でもそれと同時にノーマルタイプのポケモンでもあるのさ!!」

 

 

アニメだとそんな描写が全然無くて普通にゴーストタイプの技が当たるのだがな。

 

 

 ピジョットのつばめがえしが炸裂しダメージを受けるゲンガー。

 

 エンザンはアニメだとノーマルタイプの要素が無いも同然な扱いでゴーストタイプの技がなんかノーマルタイプに効いている描写があるのだが普通に通じなかった。

 

「続けていくぞ!すてみタックル!」

 

「ゲンガー……みちづれだ」

 

 10まんボルトやサイコキネシス等他にも色々と技がある中でエンザンはみちづれを選んだ。ピジョットのすてみタックルは止まらない。ゲンガーに向かって激突しゲンガーは飛ばされて戦闘不能になる……と同時にゲンガーから黒い靄が出てきた。黒い靄はピジョットに纏わりついてピジョットを倒す。

 

「ゲンガー、ピジョット、両者共に戦闘不能!!」

 

『これはゲンガー、まさかのみちづれ!フーディンとピジョットを見事撃退、ここまで引き分けに持ち込む戦闘が多い。それはつまりエンザン選手とシゲル選手の力が同等という証か!!』

 

「戻れ……これでいい筈……」

 

 ゲンガーで10まんボルトを使って倒そうと思えば倒せたのだがあえてのみちづれを選んだ。シゲルを相手に妥協は出来ない、出来る限りの事はやっている。10まんボルトを使えば倒せたかもしれないと心の何処かで思っている自分が居るが、みちづれでしっかりと引き分けにまで持ち込む事に成功したのだと自分に言い聞かせた。

 

『シゲル選手のポケモンが3体倒されたのでこれより5分間のインターバルです!』

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