ポケットモンスター チームオブブルース   作:局務事通交ピルア

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第33話

「ダメだな……」

 

 

どうしても後悔してしまう。

 

 

 シゲルとのフルバトル、なんとか優勢のままインターバルに入ったがエンザンはモヤモヤしている。あの時にこの手を使っておけば良かった、その振り返りが今になって起きる。もっと上手くバトルする事が出来たのにと後になって自分の選択を後悔してしまう。

 

「エンザン選手、間もなくです」

 

「反省会は全部が終わってからか」

 

 審判が間もなくインターバルを終えると言ってくるのでバトルフィールドに戻る。

 

 エンザンの手持ちは4体、シゲルの手持ちは3体。数の上ではエンザンが有利なものの、何かしらのキッカケがあれば一発逆転は普通にありえることだ。

 

「勝負に出るか……出てこい!僕のファーストポケモン!」

 

「ガメェ!」

 

「カメックス……ジャラランガ、バトルスタート!」

 

「ジャァ!」

 

『シゲル選手のカメックスに対しエンザン選手はジャラランガ、これはヘビーファイトが見れるか!』

 

「カメックス、からをやぶる!」

 

「ジャラランガ、りゅうのまい!」

 

 先に動いたのはシゲルだった。ジャラランガを見ても特に慌てることはせずにカメックスにからをやぶるを指示し、エンザンも動かないのであればこちらも好きに動いてもいいだろうとりゅうのまいを使う。

 

 

これでジャラランガの欠点は補ったが……シゲルのカメックスは遠いな。

 

 

 りゅうのまいを使いジャラランガの足が遅いをどうにかしたが、それでもシゲルのカメックスの方が上だとエンザンは感じている。

 

「ジャラランガ、はどうだん!」

 

「カメックス、れいとうビームだ!」

 

 ジャラランガがはどうだんを放つ、それに対してカメックスは2つのランチャーかられいとうビームを出してはどうだんに当ててはどうだんをカチンコチンに凍らせてはどうだんは爆散、ジャラランガのパワーをカメックスが上回っている、それを理解させられる一連のやり取りだったがエンザンは次の手に移行する。

 

「ジャラランガ、インファイトだ!」

 

 

とにかく削れるだけ削るしかない。

 

 

 ジャラランガはカメックスに急接近し、ラッシュを叩き込む。りゅうのまいと違いからをやぶるはパワー増加は上なものの逆に防御力を下げるデメリットがある。そこを起点に突いて攻撃したらいいとインファイトのラッシュを叩き込めばカメックスは苦しそうな顔をしている。だがシゲルは揺るがない。

 

「カメックス、掴め」

 

「ガメ」

 

「ジャ!?」

 

「れいとうビームだ!」

 

「っ……」

 

『な、なんと!からをやぶるで防御力が低下しているのにジャラランガのインファイトを耐えきった!そこから超至近距離でのれいとうビーム!』

 

 ジャラランガのインファイトのラッシュは確かに入った、入ったがそれでもまだカメックスには届いていない。インファイトのラッシュが終わりを迎える頃にカメックスはジャラランガの腕を掴んで拘束、そこからの至近距離のれいとうビームを当てられジャラランガは倒れた。

 

「ジャァ……」

 

「ジャラランガ、戦闘不能!カメックスの勝ち!」

 

「戻れ。流石はシゲルの最初のポケモン……」

 

「君を倒すには少し変わった手を使わないといけないからね、あえてここで出したよ」

 

 シゲルの最初のポケモンであり、レベルが特に高い。

 

 普通だったら6体目、最後の砦として待ち構えている可能性もあるのだがシゲルはあえて後半戦の1番手にカメックスを選んだ。こっちのペースを無理矢理崩す為に、あのまま普通にバトルをしていたら自分が負けるのだと察して違う動きをした。

 

「スターミー、バトルスタート!」

 

「ヘァッ!」

 

 

とにかく今はカメックスを削るしかない!

 

 

 残りの手持ち的にも色々と厳しい中でエンザンはスターミーを出す。シゲルはカメックスを入れ替えるかと思ったが入れ替えることはしない。

 

「スターミー、10まんボルト!」

 

「ヘァッ!」

 

「カメックス、アクアジェットだ!」

 

「ガメ!!」

 

 スターミーで相性のいい攻撃をするがカメックスはアクアジェットで回避しながらスターミーを突き飛ばす。幸いにも同じみずタイプの技でこうかはいまひとつ、とは言え何度も受けていては流石に厳しい。

 

「…………スターミー、かげぶんしんだ!」

 

「ヘッ!」

 

 色々と考えた結果、スターミーにかげぶんしんを使わせる。

 

 スターミーは無数の分身を生み出した……それを見てシゲルは僅かに表情を動かす。シゲルのカメックスが使ったのはからをやぶる、れいとうビーム、アクアジェットの3つ、4つ目の技の枠が残っている。シゲルのことだからハイドロカノンかハイドロポンプを覚えさせておりそれを使うつもりか?

 

「カメックス、飛ぶぞ!ハイドロポンプだ!」

 

「なっ……スターミー、でんじはだ!」

 

 ポケスペのブルーがやった様にカメックスがハイドロポンプを利用してのジェット噴射で空を飛んだ。上から水が降り注ぐ状態となれば本物のスターミーに水しぶきがかかる。それを予測したエンザンはでんじはをカメックスに浴びせればカメックスはジェット噴射での空中移動を止めた。

 

「スターミー、10まんボルト!」

 

「本体がどれかわかればこっちのものだ!カメックス、アクアジェット!」

 

 10まんボルトを再び当てに行くスターミー、10まんボルトをカメックスは命中するがそれでもカメックスは止まらず逆に電撃を纏わせた雷のアクアジェットでスターミーを突き飛ばした。

 

「ヘァッ……」

 

「スターミー、戦闘不能!カメックスの勝ち!」

 

「よくやった……大分追い詰められてるな」

 

 

でんじはでまひ状態にしたし1回は10まんボルトを浴びた。

それでも倒れないのは流石に予想外だが、もう倒れるか倒れないかぐらいのところには来ている筈だ。

 

 

「ドリュウズ、バトルスタート!」

 

「ドゥ!」

 

「戻れ、カメックス」

 

 エンザンの5体目はドリュウズ、それを見たシゲルはカメックスをボールに戻す。

 

 これ以上はカメックスで粘ってもただ倒されるだけ、一旦引くことで体力の回復等も出来る。

 

「頼んだぞ、ウインディ!」

 

「ディ!」

 

『シゲル選手の5体目はウインディ、タイプの上ではどちらも有利な状況!』

 

「ドリュウズ、じしんだ!」

 

「ウインディ、飛ぶんだ!」

 

 どちらも有利な状況の中でバトルは始まる。

 

 ドリュウズはじしんを使えばウインディは跳んだ。圧倒的な跳躍力で完全にじしんを回避した。この足がある限りはウインディにじしんを当てるのは難しい。

 

「ウインディ、かえんほうしゃだ!」

 

「ドリュウズ、いわなだれで壁を作れ!」

 

「なに!?」

 

 

中距離以上の飛び道具系の対策はしっかりとしている!

 

 

 ウインディは猛烈なかえんほうしゃをドリュウズに浴びせようとするがドリュウズの前に大量の岩が雪崩落ちる。かえんほうしゃは岩に当たった。

 

「ドリュウズ、つるぎのまい」

 

 技が失敗に終わる中でエンザンは動く。ドリュウズにつるぎのまいを使わせてパワーアップさせた。シゲルはまずいと感じたのか攻めに急ぐ。

 

「ウインディ、フレアドライブだ!」

 

「今だ!じしん!」

 

 

かえんほうしゃが通じない以上はフレアドライブが来る可能性が高い。

それならばカウンターでじしんを叩き込むことが出来る!

 

 

 エンザンの読み通りカウンターでじしんを叩き込めた。

 

 じしんの衝撃波に弾き飛ばされたウインディは起き上がることはなく倒れたまま。それを見た審判は旗をあげる。

 

「ウインディ、戦闘不能!ドリュウズの勝ち!」

 

「っく……これは少しまずいな……」

 

 シゲルの5体目のウインディを倒せばシゲルは焦りを見せた。1体はまひ状態でそれなりにダメージを受けているカメックス、もう1体は分からない。しかしシゲルがバランスが悪いパーティ編成で自身に挑んでくることはない。

 

 今までの傾向からして足りないパーツを補うポケモン、シゲルはやるしかないと6体目のポケモンを出した。

 

「いけ、エレブー!」

 

「ブゥ!」

 

「……」

 

 

6体目はエレブーか。

ニドキング、ウインディ、エレブー、フーディン、カメックス、ピジョット。

バランスがいい感じのパーティ……シゲルの場合はバランス良く小まめに育成しているがその分、尖った性能は無い。メガシンカやテラスタルがあれば話は別……伸びしろは大きいな。

 

 

「悪いがタイプ云々の運も実力の内だ。ドリュウズ、じしんだ!」

 

「カウンターだ!」

 

「っ!?」

 

「ふふふ……やはりそう来るだろうと思ったよ」

 

 

嵌められた?……いや、これは俺のミスだな。

 

 

「ドリュウズ、戦闘不能!」

 

 

 ドリュウズのじしんの衝撃波を倍にしてエレブーは弾き返した。

 

 ドリュウズはそれは回避することが出来ずに直撃すれば弾き飛ばされてドリュウズは倒れる。戦闘不能だと審判が判定を下し……エンザンはいよいよ追い詰められた。

 

「この段階ではシゲル……いや、違うか」

 

 サトシの時と異なり一進一退の攻防を繰り広げているエンザンとシゲル。

 

 まだサトシは未熟なトレーナーだからセキエイ大会での結果は当然の結果だ。だが、それ以降のサトシと戦った場合は、その段階のサトシならばシゲルより強いが今の段階ではシゲルが上かと考察したがそもそもで違う。

 

 

純粋な平均値ではシゲルの方が上だが、ここぞという時に出る大きな数字ではサトシの方が強い。2人は方向性が違うだけ。

 

 

「まったく、これだから……リザードン、バトルスタート!」

 

「グォウ!」

 

『さぁ、エンザン選手!残すところは最後のポケモン!リザードン!対するシゲル選手は無傷のエレブー、ダメージを負っているカメックス!勝利の女神はどちらが微笑むのか!』

 

「ここまで温存して正解か」

 

「エレブー、あまごいだ!」

 

「リザードン、Yにメガシンカだ!」

 

 確実にリザードンを倒すために動くシゲル。エンザンはここまでメガシンカを温存する事が出来てよかったのだとメガバックルを翳す。今まで温存していたメガリザードンYにメガシンカすることでエレブーが先に使ったあまごいのあめ状態を特性のひでりではれ状態に変えた。

 

「っ!」

 

「ねっさのだいち!」

 

 リザードンがメガリザードンYに進化しフィールドが変わった。

 

 その事でシゲルが動揺し、思考停止した隙をエンザンは逃さない。ねっさのだいちをエレブーにぶつければエレブーは倒れた。

 

「エレブー、戦闘不能!リザードンの勝ち!」

 

「戻れ……いよいよ最後だ!頼んだぞ!カメックス!」

 

「ガメェ!」

 

「……少し、欲張りすぎた。いや、パーティ編成を間違えたな?」

 

「なに?」

 

「お前の最初のポケモンだけあって、一番レベルが高い。だからこそ、エースとして活かしきれていない」

 

 状況変化のきっかけの役割を果たしたカメックスは既にボロボロだった。

 

 いやしのねがいを使えるラッキー辺りを入れることで状況変化のきっかけになるカメックス、そしてここ最後の砦として絶対に倒れないエースのカメックスが出来た。

 

 既にシゲルのカメックスはボロボロだ。そしてエンザンのリザードンはメガリザードンYで技を3つ残しておりフィールドははれ状態だ。

 

「カメックス、アクアジェット!」

 

「リザードン、掴め」

 

 圧倒的に不利な状況の中でもシゲルはまだ諦めない。シゲルが諦めないことぐらいはエンザンも理解している。アクアジェットで突撃してくるカメックスをメガリザードンYは真正面から受け止めた。大きく後ずさったもののそれでもキッチリと受け止めた。

 

「ソーラービーム」

 

 トドメだとメガリザードンYはソーラービームをカメックスに放った。カメックスは弾き飛ばされ戦闘不能になった。

 

「カメックス、戦闘不能!リザードンの勝ち!よって勝者!マサラタウンのエンザン選手!」

 

『試合終了!!激闘を制覇したのはエンザン選手!シゲル選手も後一歩のところだったが惜しい!!』

 

「……はぁ」

 

 

勝てたがメガリザードンYのおかげ、シゲルがカメックスをメガカメックスにメガシンカ出来ていたら、テラスタルが使えていたら、Zワザが使えていたら大きく変わっていた。

持っているものに差があったおかげでなんとか勝てた……そしてシゲルは敗北を経験した。ここから立ち上がる力をシゲルは持っている。問題は俺の方だ。

 

「負けたよ」

 

「まだだ」

 

「え?」

 

「まだ、トレーナーとして旅をしたりするんだろ?だったら1回の決着ですべてが決まらない」

 

 

今回勝てたのはメガシンカの有無、同等の条件ならば負けていた。

オーキド博士の孫扱いはシゲルが嫌がるだろうが、流石はオーキド博士の孫。トレーナーとしての能力がシゲルに負けているところが多い。

 

 

 1回限りで勝負は決まらないと言えばシゲルは納得した。

 

 負けたことを引き摺るかと思ったが直ぐに気持ちを切り替えた。

 

「この次は勝つ」

 

「この次も勝つ」

 

 エンザンはカントーリーグ・セキエイ大会の決勝戦に駒を進めた

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