ポケットモンスター チームオブブルース   作:局務事通交ピルア

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第35話

「エレブー、カイロス、キュウコン、ナッシーか……」

 

 

今回はエースに全てを託す、そういう風にしている。

俺のエースは言うまでもなくリザードン、そしてリザードンがエースとして生かせるアイテム、メガストーンは持っている。

だが、エースは最初から最後まで戦い抜くのが仕事じゃない。時にはクローザーな部分もある。

 

 

「…………楽しいな」

 

 表情には出ないタイプだがエンザンはこの状況を楽しんでいた。

 

 別に今までの試合が悪いというわけではないが、やはり相手は強ければ強いほどに燃えるというのが挑戦者というものだろう。

 

『さぁ、5分間のインターバルを終えた!遂に!遂にです!これを最後に頂点が決まる!』

 

「スターミー、バトルスタート!」

 

「ヘァッ!」

 

「エレブー、頼んだわよ!」

 

「レブゥ!」

 

 5分間のインターバルを終えて迎えた最終決戦。

 

 エンザンの4体目のポケモンはスターミー。相性の良いエレブーを出す。

 

「スターミー、かげぶんしん!」

 

「それは通じないわ!でんげきは!」

 

「っく……」

 

 

スターミーのかげぶんしん、みがわり、じこさいせい、どくどくのコンボで行こうとしたが無理か。ジョーイさんはホントにタイミングが良すぎるししっかりと技を覚えさせている。

 

「そのスターミーからなにが飛び出るか分からないわ。貴方にはZワザがあるのは知っているから……こっちも遠慮なくいくわよ!!」

 

「それは……Zリング!」

 

「エレブー!私たちのゼンリョク!スパーキングギガボルト!!」

 

 ここで一気に勝負を進めるとジョーイさんはZリングを見せる。

 

 ZリングにはデンキZが装着されており、ジョーイさんはスターミーからなにか変なのが飛び出ないように、エンザンの試合の流れを一切作らせないのだとスパーキングギガボルトでエンザンのスターミーを倒した。

 

「…………」

 

 

Zワザは予想の範囲内だが予想外だ……だが、これで向こうはなにも出せない。

問題は1つ……そこに持ち込めるか持ち込めないかの世界だ。

 

 

 エンザンはスターミーをボールに戻し一旦頭を冷やす。

 

 残りの手持ちは2体、今回はエースが強い!を売りにしようとしている。だから1体はエースを強化する為のポケモンだ。

 

「バタフリー、バトルスタート!」

 

「フリィ!」

 

「バタフリー?……最後がリザードンだとしてもジャラランガとかポリゴンZとか……」

 

「まだ終わっていない……バタフリー、ねむりごなだ!」

 

「っ!」

 

 エンザンの5体目のバタフリーを見て少しだけジョーイさんは違和感を感じた。

 

 それがなんなのかは分からないものの、バタフリーはねむりごなを使ってくる。エレブーがなにかをする前にねむりごなを吸ってしまいエレブーは眠った。

 

「バタフリー、みがわり!」

 

「戻って!頼んだわよ、キュウコン!」

 

「ねむりごな!」

 

「っ……大丈夫……バタフリーは……」

 

「ちょうのまい!」

 

『おおっと!エンザン選手、眠ったことで動けなくなったキュウコンに攻撃をしない!これはおそらくは大技への準備か!』

 

 キュウコンも眠らせる事に成功すればエンザンはバタフリーにちょうのまいを使わせる。ここでのちょうのまいを実況は大技への準備だと読んだ。

 

「ちょうのまい!」

 

「キュウコン、目を覚まして!かえんほうしゃよ!」

 

「ちょうのまい!」

 

『エンザン選手、動こうとしない!なにが狙いか!』

 

「ちょうのまい!」

 

「……コン!」

 

「キュウコン、かえんほうしゃよ!」

 

 3回目のちょうのまいでキュウコンが目を覚ました。

 

 バタフリーに向かってかえんほうしゃを使うがみがわり状態なのでみがわりが消える。

 

「バトンタッチ!」

 

「フリャ!」

 

「なっ……まさか!最初からそれが狙いなの!」

 

「ああ……バタフリーは仕立てる為に居る……今回はエースを存分に使う!いけ、リザードン!」

 

「グォオオオウ!!」

 

 3回ちょうのまいを積んだ分のバトンをリザードンは受け取った。

 

 赤色のオーラをリザードンは纏っておりパワーアップをしたぞと叫んでおりエンザンはメガバックルに触れる。

 

「メガシンカ!」

 

 リザードンをメガリザードンYにメガシンカさせる。

 

「リザードン、ねっさのだいち!」

 

 メガリザードンYになったリザードンはねっさのだいちを使う。

 

 バトンタッチでパワーだけでなく素早さも上がったリザードン、ねっさのだいちをキュウコンに叩き込んだ。

 

「キュウコン、戦闘不能!リザードンの勝ち!」

 

「…………読み通りだな」

 

 

とにかくパワーアップさせまくったエースで相手を圧倒する。

 

 

 メガシンカの圧倒的なパワーで蹂躙する、メガシンカが使えた頃によくある戦法を見せる。ちょうのまいでパワーアップしたメガリザードンYのねっさのだいちを見てこの作戦で挑んで正解だったとエンザンは感じ、ジョーイさんは次のポケモンを出した。

 

「頼んだわよ!カイロス!」

 

「カイカイ!」

 

「リザードン、かえんほうしゃ!」

 

「避けて!」

 

「追いかけろ!」

 

「なっ!……は、速い!」

 

 ジョーイさんのカイロスはメガリザードンYのかえんほうしゃを回避した。そして次の動きに入ろうとする前にメガリザードンYはカイロスの目の前に現れた。これならば逃げることは出来ないだろうとかえんほうしゃをぶつければカイロスは倒れた。

 

「カイロス、戦闘不能!リザードンの勝ち!」

 

『つ、強い!速い!圧倒的なパワー、そして素早さを兼ね備えている!!エンザン選手、バタフリーのバトンタッチを極限まで使いこなしている!ここからの逆転劇は巻き起こるのか!』

 

「この感じだと、ナッシーは一撃だな……」

 

 メガリザードンYの圧倒的なまでのパワー、スピード。それを前にまともに太刀打ちする事が出来るポケモンがいない。既にジョーイさんのポケモンは割れている。エレブーは眠っている。ナッシーはほのおタイプが弱点だ。かえんほうしゃとねっさのだいちを当てれば勝てる。

 

 薄皮が1枚ずつ捲れていくかのように追い詰められていたエンザンだったが作戦が通じた。

 

「頼んだわよ、ナッシー!」

 

「ナッシ!」

 

「リザードン、かえんほうしゃだ!」

 

「ナッシー、だいばくはつ!」

 

「っ!!」

 

 リザードンがかえんほうしゃを浴びせればナッシーが光を放った。

 

 動かなくてもリザードンに対して大ダメージを与えることが出来る大技、だいばくはつ。リザードンはかえんほうしゃを浴びせることが出来たがそれと同時にナッシーはだいばくはつを起こして爆発に飲み込んだ。

 

「………っ……」

 

「リザードン、ナッシー、戦闘不能……お互い最後の手持ちを!」

 

『ナッシー!大金星を上げた!自らを犠牲にメガリザードンYの快進撃を止めた!そしてお互い最後の手持ち!エンザン選手はバタフリー!ジョーイさんはエレブー!しかしエンザン選手のバタフリーは既にねむりごな、みがわり、ちょうのまい、バトンタッチを使った!』

 

「まだだ!!ルール上、この技も使えるはずだ!」

 

 技の枠を4つ消費しているので他の技はもう使えない。

 

 エレブーは眠っているが、目を覚ませばでんげきはやれいとうパンチがある。ここまでかと言う空気が流れている中でエンザンは希望を捨てなかった。

 

「わるあがき!!」

 

 ポケモンが使える最後の技であり唯一認められている第5の技、わるあがき。

 

 エンザンは使える手はもうないのだと指示を出せばバタフリーはわるあがきを使う。エレブーはまだ眠っている。

 

「わるあがき!」

 

「ブゥ……ブゥ!!」

 

「エレブーが目を覚ました……エレブー、かみなりパンチ!」

 

「バタフリー、わるあがき!!」

 

 エレブーのかみなりパンチとバタフリーのわるあがきがぶつかった。

 

 互いにぶつかり合い……両者共に倒れた。

 

『こ……これは……バタフリーもエレブーも両者共に』

 

「……審判、この勝負……俺の負けだ」

 

 バタフリーもエレブーも両者共に倒れて起き上がる気配が無い。

 

 決勝戦でこの状況は中々に無いのでざわめく会場、審判は判定を下そうとするのだがエンザンが先に割って入った。わるあがきを使って引き分けたのならば自分は負けたと認める。

 

「エンザン選手、よろしいのですか?この場合ですと7体目の試合になりますが」

 

「俺の考えた作戦が失敗に終わった。俺の戦術が通じなかった……」

 

 

バタフリーにわるあがきを使わせたが、ホントならばメガリザードンYで終わらせていた。それが出来ずにバタフリーのわるあがきでエレブーを倒しきれなかったのだから俺の戦術が通じなかった。

 

「……エンザン選手が負けを認めたため、この試合!フェンネル谷のジョーイさんの勝利!」

 

『エンザン選手、自らの作戦が届かなかったと敗北を認めた!これは早々に出来ることがないこと!今年のカントーリーグ・セキエイ大会の優勝者は!フェンネル谷のジョーイさんだ!!』

 

 決勝戦が終わり、セキエイスタジアムに歓声が包まれた。

 

 ジョーイさんは浮かない顔をしている。本来ならば7体目でのバトルだが、エンザンはそれを拒んだ。もしそれを受け入れていたら負けていたのは自分かもしれない。

 

 

これでいい……俺の戦術が通じなかった。まだまだ高いところに届いていなかった。

 

 

「…………これが敗北か……」

 

 

ホントのホントに負けてはいけない状況での敗北、思ったよりも心に来るな。

 

 

 エンザンはここでしっかりとした敗北を味わった。

 

 なにがダメだったのか反省しながらもセキエイスタジアムを後にしセントラルのポケモンセンターにやってきてポケモン達を回復させる。

 

「エンザン、その」

 

「喋るな」

 

「え?」

 

「俺のことをホントに思っているのならなにも喋るな」

 

 セントラルのポケモンセンターでポケモンの回復を待っているとエンザンのもとにサトシがやってきた。負けたけれどもいい試合だったと言おうとするのだがエンザンは喋るなと言った。負けたという実感を噛み締めているのもあるが、負けたのにいい試合だったと言われても嬉しくない。

 

「サトシ、エンザンは負けたんだ……なにを言っても意味は無い」

 

「サトシをあんなにコテンパンにしたエンザンでも……届かないのね……」

 

 タケシが言葉はかけたらいけないことをサトシに言う。カスミはエンザンでも優勝は無理だった、非情すぎるポケモンリーグの現実を突きつけられて言葉が出なかった。

 

「最後のわるあがきは文字通りの悪足掻きじゃったの」

 

「オーキド博士……そう、ですね……ホントに醜いわるあがきでした」

 

 オーキド博士が試合の感想を述べる。

 

 いい試合だったが最後のわるあがきは文字通り醜いわるあがきだった。使えるはずだと出したが本来であれば出せない技だったりする。

 

「わるあがきを使わず、メガリザードンYで最後までキッチリと戦い抜ければ優勝も可能だった試合じゃ……エンザンよ、これからどうする?」

 

「1回の敗北の味は知りました……コレを糧にします。壁にぶち当たって、その壁を越える方法を模索しても無理で壁を越えられないと知っても……諦めたくないです」

 

「うむうむ!どうやらしっかりと成長しているようじゃの」

 

 

あの時、こうしておけばよかった。このポケモンにすればよかったとかは色々とある。

でも、全部俺が選んだことだ。だからそれをああだこうだ言っても仕方がない。

 

 

 オーキド博士は敗北でエンザンがどう変わるか気になり言葉をかけたが、エンザンは立ち上がり前に進もうとする。自分で選んだ行いなのだからと後悔はせずに受け入れた。

 

 

  こうしてエンザンの最初のポケモンリーグが終わった




ここで連続更新終了で話溜め込みますね
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