ポケットモンスター チームオブブルース   作:局務事通交ピルア

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第37話

 

 

まずいな……いや、まずくないのか?……いや、まずいか。

 

 

 エンザンが目星をつけているもう1体のポケモンが生息している島にオレンジ諸島から向かうには幾つか島を経由しなければならないのだが問題が発生した。

 

「ごめん!」

 

「いえ、大丈夫です」

 

 海が突如として荒れ出した、船の操縦者の女性ことみっちゃんが謝ってくる。

 

 エンザンはこの展開を知っている……そう、劇場版である。ミュウツーのくだりをガン無視したのだがエンザンはサトシに代わって劇場版、ルギア爆誕に巻き込まれたのである。

 

 

よりによってコレにか……いや、問題は無い。

 

 

 エンザンはぼんやりとだがルギア爆誕の内容を覚えている。

 

 島の護り神であるサンダー、ファイヤー、フリーザーを捕らえて無理矢理ルギアを叩き起こしゲットしようと企んでいた質の悪い成金と言うか金を持ってるが故に色々と捻れ曲がっている悪い大人が居る。色々とあるがそいつさえ叩けばなんとかなる。

 

 

しかし、劇場版が来るとはな。

 

 

 ミュウツーの逆襲以外の劇場版、どうにも時系列が分からなかったりするものだ。

 

 ドラゴンボールの破壊神ビルスが出てこない映画は全てパラレルと言う設定でありポケモンの映画も詳しい時期はポケモンから考察できているもののパラレルで済まさないといけない要素が多々ある。なんならパラレルだと認めてる作品が幾つかある。本編としっかり繋がっているミュウツーの逆襲ならばなと思っていると船が1つの島に辿り着いた。

 

「あちゃ〜……よりによってここか」

 

「知っているのですか?」

 

「まぁ、知ってると言えば知っているかな……タイミング的に一番来たら厄介な時だけど」

 

 劇場版の内容をぼんやりとだが覚えているエンザンだがあくまでも素知らぬ顔、犯人達の事件簿の如く素知らぬ顔を貫く。船を操縦していた女性の知ってる場所ぜ厄介と言えば、何処のアフリカかシャーマン系の民族かと思わせるような出で立ちの仮装をした面々が現れた。

 

「おぉ、優れたる操り人が現れた!!」

 

「……この島の儀式かなにかで?」

 

「左様!我らは優れたる操り人を待ち構えていた!!」

 

「なるほど」

 

 

この世界のこういうの冗談抜きでバカに出来ないからな。

 

 

 エンザンはオカルト的存在に対して既存の科学技術でどうにも出来ない物と認知している。将来的には魔法科高校の劣等生みたいに◯◯は科学的に見ればこうだったとかそういうのを期待している感じである。

 

 この世界にはポケモンと言う超常的な力を持った生物が居る。時間移動、魂の物質化、並行世界移動と型月作品で魔法だとカウントされている事を平然と成し遂げるポケモンが居る。その手の存在が当たり前の様に存在しているのだから何処ぞの社長の様に非化学的!とは言えない。

 

「俺はなにをすればいい?流石に悪いが人身供養とかの生贄ならば断るが」

 

 この世界は割とそういうオカルトというか神秘が残りまくっている。と言うかポケモンと言う超常的な存在が残っている時点でアレなのだが。

 

 エンザンは自分が何をすればいいのかを聞いた。外から来た人なのに意外とノリがいいんだなと若い人達は見ており、島の代表である長がエンザンの役割を教える。

 

 炎の島、氷の島、雷の島、3つの島にあるお宝を祭壇に持っていく。そして巫女に祈り唄を……なんともまぁ、よくある話だ。まぁ、双子が呪われているとか御神体がガチであるとかコミケを開催するとかそういうトンチキな夏のイベントよりはマシだろう。

 

「……意外とイケるな」

 

 エンザンが優れたる操り人として動くこととなり島は宴会を開いている。

 

 ザボン諸島のザボンの身を砂糖漬けにしたものをエンザンは食べるのだがコレが意外と美味しいのである。肉系は無いが果物とかそういうのは豊富でありフルーツ牛乳が美味しい。

 

「……頼んでおいてなんだけど、よく受ける気になったね」

 

「別に構わないことだ……この手の事を無視すると後で痛い目に遭うのは自分達だ」

 

「自分達って、古臭いだけの伝統よ?」

 

「……なら、一緒に来るか?」

 

「え?」

 

 アーシア島の巫女ことフルーラがエンザンによくこんな古臭いだけの伝統行事に参加したなと呆れながらも疑問を抱いている。エンザンはこの手のことはバカには出来ない物と認知しているのだがフルーラは古臭いだけの伝統行事、今時こういうのは無いだろうと呆れているのでエンザンはそれは真剣に取り込まないといけない事だと誘った。

 

「ホントになんでもない古臭い伝統行事だったら、参加しなければいい。だが、この手の行事は何かしらの超常的存在と繋がりがある。そういうのを見てから考えてくれ」

 

「……いいわ。どうせ私が行かないといけないし……優れた操り人なんだから守ってね」

 

「俺は騎士(ナイト)じゃないんだがな」

 

 

まぁ、ここで経験しておけば色々と真面目になる可能性はあるだろう。

 

 

 宴会が幕を引いたのだが曇天は一向に変わらない。

 

 天気予報を見るが、各地でありえない天気になっていると報じられている。それを聞いてやはりこの手の存在はロクでもないし厄ネタ案件だなと思いながらもみっちゃんに船を出してもらう。

 

「ねぇ、引き返さない?流石にコレは危険よ」

 

 曇天の中でも任せなさいとみっちゃんは船を出した。みっちゃんは海流を読むのだが海流を読みきれなかった。台風が起きているわけでもなんでもないのに海は大きく荒れている。

 

「おかしいわね…………こんな事、今まで一度も無かったわ」

 

「フルーラ、この辺りの気候はこんな感じか?」

 

「今まで天気が悪い日はあったけど、こんなのは……嵐の時期なんて」

 

 女船長ことみっちゃんはこの海の流れはおかしいと感じる。

 

 エンザンはフルーラにこの辺りの気候、海流はこんな感じなのかを聞いたがこんなのははじめてである。それを聞いたエンザンは無言になり考える。

 

 

なにかの拍子で悪者が悪事をしなかったりとかのオチは無いか。

 

 

 自分と言うイレギュラーが居るのだから、なにかしらのバタフライエフェクトが起きないのかを少しだけ期待していたものの、特にそんな事は無かった。しかし最初からそうであるという事なので諦めは割と簡単に出来る。

 

「つ、ついた……コレを後3回。ごめんだけど宝を取りに行くのは2人で頑張って」

 

「ありがとうございます」

 

「……なにかしら……なんて言えばいいのかしら?」

 

 そんなこんなで炎の島に辿り着いた。

 

 炎の島と言う名前だが自然豊かな場所であると同時に明らかに人の手が加わって作られた文明の跡地の様な物が見える。

 

 

シゲルの探究心は納得出来るな。

 

 

 ポケモンのことを知りたいからトレーナーからポケモン研究者を目指す道に切り替えたシゲル。こんな物が世界中に色々と点在している。それに対してエンザンは知的好奇心が少しだけ沸いているが抑え込む。自分がしたいのはポケモン研究でなくポケモンバトルだ。

 

「ゾワッとする、スゴくゾワッとするわ!」

 

「……感じるのか?」

 

「ゾワッとするって言葉が正しいかは知らないけど、アーシア島と全然違う……」

 

「なら、島の人達に感謝しておいた方がいい……その文明を残しそれを感じれるのはスゴいことだ」

 

 神様に捧げる妙な神事は世界中にある。宗教が根深い国家で唯一神な宗教の場合だとその国の英雄を讃える祭りがあるぐらいだ。ただ近代化が進んでいき文明が豊かになり発展したが為に失った神事は割と多い。

 

 エンザンは特に何も感じない、霊感が無いのだろう。対するフルーラはここになにかが起こっているのだと感じ取っている。それがなんなのか分かるフローラをエンザンは少し羨ましいと思っている。

 

「……大丈夫か?」

 

「ごめん……ちょっとキツい」

 

 フルーラはゾワッとなにかを感じている。巫女だからか霊感が強いのからなのかは分からない。エンザンは特に感じない。神職の人間でもないし霊感とかそっち系のセンスは無い。

 

 ゾワッとなにかを感じ取っているフルーラは足を震わせている。具体的にどんな感じなのかはエンザンが知る由もないのだがフルーラを連れ出したのは紛れもなくエンザンだ。だったらフルーラを守り抜くし、一緒に行かないといけない。

 

「俺に力は無いが、これぐらいなら出来る」

 

「あ……ありがとぅ……」

 

 エンザンはフルーラの手を握った。それになんの効果があるかは分からないがエンザンに手を握られたフルーラは気持ちが落ち着いた。怖いなにかをゾワッと感じ取ったとしてもここには優れたる操り人が側に居てくれるのだと気を持ち直し2人で歩み、炎の島のお宝を手に入れた。

 

「ギュルゥァアアアア!!」

 

「っ!!」

 

 炎の島のお宝を手に入れたので次は雷の島を目指そうと来た道を戻ればサンダーが飛び回る。

 

 

コレが伝説、いや、準伝説のポケモン……………格が違う!

 

 

 伝説のポケモンであるサンダーを見たエンザンに衝撃が走る。

 

 自分の持っているポケモン達のレベルにはそれなりに自信があったのだが、それが傲慢と言われても認めれる程にサンダーのインパクトが強かった、違いを知らされた。

 

 ゲームでは種族値が高くてゲットが何かと困難なポケモンだったりするのだが、この世界では違う。民間の伝承や神話などで伝説を残しており、普通のトレーナーがゲットする事が出来るポケモンと何段階も異なっている。生で伝説のポケモンを見るのがコレが初。

 

「って、来てるわ!」

 

「サンダース、頼んだ!」

 

「ダース!」

 

 暴れているサンダーを見てエンザンはサンダースを出した。

 

 サンダーはサンダースを見ればかみなりを落とすがエンザンのサンダースはその電撃を溜め込む。

 

「次の島に向かうぞ!」

 

「いいの?明らかに」

 

「なにかが起きているのならば、それをどうにかするのが俺達の仕事だろう?」

 

「あっ」

 

 古臭い伝統行事だと思っていた事だがホントになにか特別な行事だとフルーラはここで意識を変える。エンザンはみっちゃんに頼み雷の島に向かい宝玉を手にし、氷の島に向えばサンダーとファイヤーが喧嘩をしている。その隙を狙い3つ目の宝玉を手に入れたエンザンはフルーラと共に祭壇に向かった。

 

「世界、大変なことになってる……お前達、優れたる操り人と巫女か?」

 

「ポケモンが喋った!?」

 

 

このヤドキング、どういう理屈で喋っているんだ?

 

 

 祭壇がある島に向えばヤドキングが大変なことになっていると言った。

 

 喋るポケモンなんて奇妙なものを見るのははじめてだとフルーラは驚いた。エンザンもテレパシーとかそういうのじゃなくて自力で喋っているヤドキングに対して疑問を持った。

 

「島の護り神達、居なくなった……誰かが無理矢理連れてって均衡が崩れた」

 

「……どういうこと?」

 

「……さっきサンダーとファイヤーに出会った。3つの島の名前やこの2体から察するにフリーザーも居る。だが、誰かがゲットして持っていったところか?」

 

「……お前達、優れたる操り人と巫女か?だったら島のお宝を」

 

 ヤドキングがなんで喋っているのかはさておいて、ヤドキングの言葉の内容を推理するエンザン。それを聞いたヤドキングは島のお宝を持ってこいと言うのでエンザンは手に入れた3つの宝玉を見せればヤドキングはそうかと頷き奥に案内し、宝玉がちょうどいい感じに入る穴が3つある祭壇に連れてこられた。

 

 ここまで来ればなにをするのかはわかっているのだとエンザンは3つの島で手に入れた宝玉を置いた。しかしなにも起こらない。ヤドキングはフルーラの方を見た。

 

「海の神様の唄、唄わないと起きない」

 

「唄……アレね!」

 

 唄と聞いてなんのこと?と一瞬考えるフルーラだったが直ぐに心当たりがあったと貝殻で出来た変わった形のオカリナを取り出し、オカリナを吹いた。

 

 エンザン達の前にある海がブクブクと言っている。

 

 なにかが来る!エンザンはなにが来るのかを事前に知っているが、それでもなにかが来る!と強い気配感じ取り……海の神、ルギアが出てきた。

 

「ほぅ、何時ぶりだ?……呼ばれたのは」

 

「海の神よ、出てきて早々に申し訳無いのだが異常気象や異常事態が色々と起きている。原因は凡そ分かったからエアロブラストで原因を叩いてくれないか?」

 

「ああ、わかった」

 

 ルギアが出てきたので今回の諸悪の根源である悪役を倒してほしいと頼む。

 

 ルギアは分かったと言えばサイコキネシスでフルーラとエンザンを動かして背中に乗せて羽ばたき、今回の原因を生み出した悪役の空飛ぶ要塞に向かって突撃し、謎の装置が出てくる。

 

「サンダース、かみなりだ!」

 

 謎の装置がルギアを捕獲する装置なのは分かっているのでサンダースを出してかみなりで攻撃する。先ほど受けたサンダーのかみなりのおかげでサンダースのでんきタイプの威力が上がっており装置を軽々と壊し、ルギアはエアロブラストを相手の空飛ぶ要塞に向かって放ち空飛ぶ要塞を破壊した。

 

「さて……この場合は特定神職ポケモン密猟罪だな」

 

 

まさかこの罪状の逮捕を早々にするとはな。

 

 

 特定神職ポケモン密猟罪とはそのまんまの意味である。

 

 ざっくりと言えば神様と扱われており実際にそれ相応の能力を持っているポケモンを正規の手段、つまりはポケモンバトル等をせずに怪しげな機械や古代のオカルトグッズ等で勝手にゲットしようとする場合に適用される罪である。

 

 触らぬ神に祟りなし。この世界は人とポケモンが共存している世界なので共存を崩壊させる事をした奴は問答無用で豚箱送りである。

 

「優れたり操り人よ、感謝する……まさか狙われるとは」

 

「人間の悪いところも信じてほしい……この一件、コレで終わりの認識で構わないか?」

 

「ああ、もう世界中で巻き起こっている異常気象等は終わった。世界は終末の危機から救われた!」

 

 

大分、危険なことだったな。

サトシは毎回コレを処理している…………………主人公に転生してなくて良かったな。

 

 

「優れたる操り人よ、望みはないか?」

 

「望み?世界をもとに戻すのに力を貸してくれと望んだが」

 

「それは私の仕事だ……私を呼び出した者にそれ相応の望みを、褒美をやろう」

 

「……だったらぎんいろのはねでも貰おうか」

 

「ふむ、ならばコレでどうだろうか」

 

 

くれると言うのならば遠慮なく貰う。

ここで金銭を要求したら後で痛い目に遭うのでここはルギアだから出来ることであるぎんいろのはねを貰おう。

 

「……白髪?」

 

「それの意味が分かる時、さらなる成長と力を手に入れれる」

 

 ぎんいろのはねをくれと言えばエンザンは何本かぎんいろのはねを貰うのだが1本だけ真っ白な羽根が入っていた。ぎんいろのはねでもなんでもないので白髪かと聞けばルギアは意味深な笑みを浮かべ海に帰っていった。

 

「フルーラ、巫女としてしっかりと仕事を成し遂げた証だ」

 

「……エンザン、不思議ね……あんな事があったのに、スゴく綺麗」

 

 ぎんいろのはねを数本手に入れたので1つは一緒に来てくれたフルーラに渡すがフルーラは固まっていた。先ほどまでものすごい激闘を繰り広げていたのだが、それを忘れさせるかのように綺麗な景色が広がっている。エンザンもそれを見た。

 

 

まぁ、こういうのも悪くないか。

 

 

 とても豊かな自然の景色にエンザンは心を奪われる。

 

 劇場版をサトシの代わりに巻き込まれたものの、無事に終わった。

 

「エンザン、コレは巫女としてのお礼よ」

 

 フルーラはそう言うとエンザンにキスをした。

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