ポケットモンスター チームオブブルース   作:局務事通交ピルア

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第38話

 

「ロトト!」

 

「この個体か」

 

 オレンジ諸島で劇場版案件に巻き込まれても淡々と終わらせ悪役を逮捕したエンザンはデコロラ諸島にやってきた。何故にデコロラ諸島?と聞かれれば理由はシンプルに目当てのポケモンをゲットしに来た。

 

 

廃止されていない以上、これがベストの筈だ

 

 

 デコロラ諸島にあるロトムが物凄く出てくるロトムの島があり、エンザンはそこに向かった。原作知識通りそこかしこにロトムが出てくるので、エンザンは厳選を行った。

 

 ロトムは進化をしないが自由自在にフォルムチェンジが可能だ。ポケモンコンテストが大好きな個体が居るかもしれない、その上でエンザンは探した。めざめるパワーがこおりタイプのロトムを。

 

 ベタと言えばそこまでだろうがウォッシュロトム狙いのエンザンはウォッシュロトムでやってく意思があるかの確認をした後にサンダースに覚えさせているめざめるパワーをロトム達に伝授した。その中でこおりタイプのめざめるパワーを持っているロトムを厳選することに成功した。

 

「…………」

 

 クリスタルのイワークとロトムをゲットした。

 

 他にも欲しいポケモンはそれなりにいるのだがエンザンはふと考えていた。

 

 

壁にぶち当たっているな。

 

 

 ガッチガチの廃人ではないとは言えポケモンを真面目にやっていたら自然と身に付く知識をエンザンは持っている。

 

 サトシのママさんや初期のサトシやハルカを見るから分かることに……この世界はポケモンに対して興味が無い人であればポケモンに関する知識が殆ど無い。そして興味があってもポケモンが大好きとかそういうのであり真面目に上を目指す為に必要な知識を会得する特訓をしていないトレーナーが結構多い。

 

 ゲームのポケモンバトルとアニメのポケモンバトルは異なっている。しかしそれでもエンザンの持っている知識はサトシ達から見れば圧倒的な情報アドバンテージだ。ゲームとアニメのポケモンバトルの誤差をエンザンはエンザンなりに埋めた。その結果が準優勝だがエンザンは感じていた。壁にぶち当たっているのを。

 

 

最初に自分なりのやり方で挑む。それで成功すればそれで良いが、俺は負けた。

負けたという事は自分のやり方で失敗したという事で優勝を出来なかった。負けて失敗したという事実の受け入れは出来た。じゃあ、次だ。

 

 

 自分は負けた。優勝という結果を残せなかった。

 

 地方リーグで優勝することはかなり過酷なのだが、エンザンは挑戦者である以上は1番を目指す。エンジョイでのポケモンバトルの世界は知っているが、エンザンは本気で勝ちを求めている。

 

 自分なりのやり方でエンザンは失敗した。準優勝はスゴいことかもしれないが負けは負けだと受け入れており、問題は次の1歩だ。エンザンは自分自身が停滞しているのを自覚している。

 

 リザードン達は鍛えればまだまだ伸びる。戦術のバリエーションはまだまだ増えるし、これから新しいポケモンという目に見えて分かる戦力増加がある。

 

 スポーツ物とかで入部1年目で全国大会に出れるとか殆どフィクションの領域だ。世の中にはじっくりと時間をかけなければ解決しない問題もある。

 

 エンザンはそれを理解している。理解した上で壁にぶち当たっている。当然だが、その壁は殆どのトレーナーがぶち当たるものだ。そしてその壁を越えれない者が大半で、越える事が出来た者がチャンピオンリーグ常連の実力者になれる。

 

「……歯痒いな」

 

 

自分の思うやり方で挑み、敗北した。

それで次に挑む場合はなにをすればいいのかを考えるのでなく、自分のなにが悪かったのかを考える。悪いところを消して自分のやり方で育んだ長所を伸ばす。

俺の中にある長所と言えば簡単に手に入らない1000種類以上のポケモンのデータだ。なにが出来てなにが出来ないかを熟知する……それは逆を言えば可能性を狭める。

サトシはポケモンに関する知識が無い。無いからこそ些細なミスが目立つ。だが、時に知識が無いからこそ先入観に捕まらず自由な発想で相手を翻弄する。その自由な発想で翻弄された相手は負ける。俺にはそれが出来ない。

カントーリーグでサトシの勝てたのはシンプルにサトシが弱いから。ポケモンの素質だけで言えばサトシのポケモンも充分だったが、それを動かすサトシが弱い。

サトシは実戦で多くを一気に学ぶタイプだ。通常の人が2から4だとすればサトシは一気に10以上を学ぶ。

だが、その逆。教科書で学んだり、事前に情報を入手し傾向と対策をする文字通り頭を使うタイプの事は苦手としている。

そこでポケモン達を信じてるぜ!の精神論を使う。それで勝ったりするからサトシは短所を消すことの特訓が出来ていない。実力だけを言えば地方リーグに安定して出れるどころか優勝も可能だが、その辺が原因で安定した強さを持てていない。勝てる試合で勝てないのはそこにある。

 

 

「焦ってはいけないのは分かっているが、どうしたものか」

 

 壁にぶち当たってその壁を乗り越える方法をエンザンは考えるが思い浮かばない。

 

 なにか他にはない突拍子のない発想をすればいいものではない。エンザンはマサラタウンに帰った。シゲルは既に修行の旅に出ているがエンザンはあえてマサラタウンに残った。過酷な環境下で修行だ!とポケモンバトルはまた違う。勿論、そこで学べるものもあるが、今は地味な絵面の特訓だ。

 

「お、頑張ってるな」

 

「タケシか……ウチキド博士のところに居たんじゃないか?」

 

「聞かないでくれ……」

 

 ポケモンの育成に励んでいればある日、タケシがやってきた。

 

 ウチキド博士に例によって一目惚れし、口説いたのだが見事玉砕しマサラタウンに帰っていた……え、コイツの実家はニビジムじゃないかって?それはそう。

 

 エンザンはウチキド博士に玉砕したのを知っているのだが少しだけ煽れば目に見えて落ち込み膝を抱える。恋愛勝負において1勝もしていないが、それでもめげないのがタケシである。

 

「エンザンは外に出ないのか?」

 

「次に挑む地方リーグは既に決めている、それまでの間は特訓だ……外に行って得る経験値も大事だがこういう地道な基礎トレーニングの方が、特にあの結果だったのだから基礎を大きく鍛え上げないといけない」

 

 シゲルは何処かで修行している。サトシは独立リーグのオレンジリーグに挑んでいる。次を見据えているのならばマサラタウンに残って修行ではなく、過酷な環境で修行をとタケシは考えていたがエンザンはそれをお見通しで基礎トレをしているという。

 

「なるほど……こりゃあんなに大差つけられて負ける筈だ」

 

「俺とサトシの間に大きな実力差があると感じたのなら、それはトレーナーとしての基本的なスペックが違うからだ……俺もサトシもカントーリーグで優勝する事が出来なかった。優勝する事が出来なかった以上は敗北者だ」

 

「敗北者って、お前は準優勝だぞ?」

 

「だからこそ、だからこそなんだ……ホントに敗北してはいけない状況で敗北をした。そこからどういう風に立ち上がるか、どういう風に自分と向き合うか。今の自分のやり方を貫くのはいいが、それだけじゃ先にスタートした奴には勝てない」

 

 ゴールが無いマラソンがあったとしよう。

 

 最初にスタートした者は当然、前を走っている。後に走った者は後ろを走っている。

 

 マラソンなので途中で停滞する者は多い。停滞すれば停滞してない順調な者が後ろから追い抜くだけだ。そしてその状況は時に自分にもやってくる。自分が追い抜かれることもある。

 

「そして俺は特別な事や他人の成功談ばかりを意識しない。毎日の地道なトレーニングじゃないと埋まらないものもある……ただ悔しいことに、何処ぞの誰かさんはその埋まらないものをポンッと越えてくる」

 

 

俺は努力で埋めれる部分を埋めているだけ、価値観等が他とは違うから知識を持っている。サトシは本来は埋めるのに時間がかかるものをポンッとあっという間に埋める事が出来る。才能がある奴は羨ましいとしか言えないな。

 

 

「次からは……レベルが違うぞ」

 

「ああ、理解している」

 

 エンザンは既にバッジを8個ゲットしカントーリーグと言う地方リーグに挑んだ。

 

 そうなれば次の地方リーグに挑む為のジム戦はジムリーダーがジムバッジ8個以上のトレーナーに合わせての高レベルのポケモンを使う。中には正真正銘のガチバトル用に育成しているポケモンも扱う。

 

 1年目は順調だが2年目から大幅にコンディションを落とすトレーナーをタケシはそれなりに見ている。エンザンならば負けることは早々に無いだろうが、それでも悪戦苦闘するのは目に見えている。

 

「あ、エンザン……帰ってたのか?」

 

「目当てのポケモンのゲットを終えればマサラタウンでずっと修行していた……お前は少しはマシになったみたいだな」

 

 そんなこんなで時間が経過し、サトシ一行が帰ってきた。

 

 サトシは無事にオレンジリーグ・名誉トレーナーに認定されており、オレンジリーグを制覇したトロフィー、そして本来の目的であるGSボールを手にしている。

 

「マシって……オレはあの時のオレとは違うぜ。今戦えばカントーリーグの試合の時と逆の結果になるぜ!」

 

「ちょっと、威張りすぎよ。相手はエンザンなのよ?」

 

 多少はマシ発言を受けてサトシは怒る。

 

 あの時よりも大幅にレベルアップをしていると威張るがカスミがエンザン相手に無理を言うなと呆れている。

 

 サトシは多少はパワーアップをしている。しかし、まだ足りない。やっと普通のトレーナーとしてのスタートラインを歩み出したと言ったところだろう。

 

「オーキド博士、俺は次の地方に挑みます……次の地方はジョウト地方のジョウトリーグです」

 

「うむ!では、この全国図鑑をお前に託そう」

 

「え、ジョウトリーグ?」

 

「ここから西にある地方の地方リーグじゃ」

 

 サトシが帰ってきたから頃合いだと次に挑む地方、ジョウト地方のジョウトリーグに挑戦すると言った。サトシはジョウトリーグ?と言われても特にピンと来ていないのでオーキド博士はジョウト地方について説明をする。そしてエンザンに黒色の第3世代の全国図鑑を渡す。

 

「シゲルも次を見ている。オレンジリーグは独立リーグ、勝ってもチャンピオンリーグに出場する権利は手に入らない。お前がパワーアップしたと言うのならば、ジョウトリーグを勝ち抜いて俺に挑んでこい」

 

「ここでバトルしないのか?」

 

「今のお前を相手にしても同じ結果になるだけだ」

 

 サトシとしてはオレンジリーグ・名誉トレーナーになった自分の力を見せたいと思っていたのだが、エンザンは相手にしない。やっとトレーナーとして駆け出したのだからここから1つの地方リーグに出る為のジム戦等に挑んで成長し、その成長したサトシを喰う。

 

 今ここで確実に勝てるサトシに勝ったとしてもなんの経験値にもならない。エンザンはオーキド博士の研究所を後にし、ジョウト地方に旅立つ準備を始めた。

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