ポケットモンスター チームオブブルース   作:局務事通交ピルア

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第39話

 

「マサラタウンのエンザンくんね」

 

 マサラタウンを出てやってきたのはジョウト地方のワカバタウン。

 

 はじまりの風を告げる町と言われるだけあってか風が心地良い町であり、ゲームには登場しないポケモンセンターがあった。エンザンはポケモンセンターに立ち寄ればジョウトリーグの出場登録を申し込む。

 

 この地方リーグへの出場登録は割と大事な手続きである。

 

 具体的に言えばこれをしなかったらこれをする前にバッジを8個集めても、地方リーグへの出場登録を認められない。この手続きをしてからバッジを8個集めないといけない。

 

 そしてこの登録を終えれば、その地方のジムにしか挑んではいけない等の決まりがある。まぁ、何処かの地方から何処かの地方に移動してジムチャレンジするなんて早々に無い。ポケモンリーグに出る為のバッジ8個以上なので他所の地方に行く暇は基本的には無い。

 

 エンザンはジョウトリーグの出場登録を申し込めばポケモンセンターを後にする。

 

 ウツギ博士の研究所に行く?お使いを頼まれているわけでもないので行く理由が無い。図鑑完成度は自慢出来るものでもないし、図鑑のアップデートはしなくてもいい。最新型を貰ったばかりだ。

 

「……まずいな」

 

 例によってゲーム通りにジム巡りをしようと考えているエンザン。

 

 最初に向かうのはキキョウシティのキキョウジムだ。それに合わせての育成云々や新しいポケモンのゲット等を視野に入れている。そんなエンザンだったが、天気が急に荒れ出した事に気付く。

 

 

この世界、天気予報があまり期待出来ないからな。

 

 

 天気予報では晴れとしっかり明記されていてもポケモンの天候を変えるタイプの技で気流等を無理矢理弄くるので天気がコロッと変わることは多々ある。

 

 伊達にマサラタウンと言う田舎で育っているわけではない。天気の変わり目は空を見ればなんとなくで分かる。エンザンはオレンジ諸島の一件の報酬で手に入れた最新式のポケギアを取り出す。

 

「まずいな」

 

 

この辺、町とか村が無い。

 

 

 ポケギアのタウンマップを確認するが、近くにポケモンセンター等が無かった。

 

 間もなく雨が降るのはなんとなくで分かるのでどうにかしないといけない。一応は傘とかは持っているがそれは非常事態、雨の時は下手に行動しないのが旅をする者としての常識である。

 

 近くにポケモンセンター等が無いとなれば洞窟とかで晴れるまで待つしかない。

 

「…………デカい」

 

 どうにかして雨宿りする事が出来る場所が無いのかを探していればエンザンは巨大な屋敷に辿り着いた。ポケギアはGoogleマップ程高性能ではないし、マジで田舎とかそういうとこでもなんでもない自然な場所にポツンと巨大な屋敷があったのでポケギアはここにはなにもないだなんだと出ている。

 

「雨宿りさせてくれ、と頼むしかないか」

 

 エンザンの頬がポツリと濡れた。

 

 ポツポツとだが雨が降ってきた。空はとても曇天であり、このまま雨が強くなっていくのはなんとなくで分かる。ここに人が居るかどうかは分からないが、雨宿りをさせてくれと頼もうと考えていれば、巨大な屋敷の門が開いた。

 

「!」

 

 

なにもしてない、監視カメラの位置からして俺は見えない。

ポケモンの仕業?……相変わらずよくわからないな。

 

 

 エンザンは雨宿りの許可を貰おうと思っていたのだが、思っていただけでまだなにもしていない。それなのに巨大な屋敷の門が開いた。幽霊屋敷でゴースト系のポケモンがいたずらで門を開いた等を考えるのだが不思議と悪い感覚はしない。

 

「これは入れ、と認識してもいいか……いいならもう1回門を閉じてくれ」

 

 

一応は確認しておこう。

 

 

 不自然に門が開いた可能性は普通にあるのでエンザンは確認をしておく。

 

 門は勝手に閉まって、また開いた。偶然ではなく誰かが人為的に行なっているのだとエンザンは理解し、コツコツとゆっくりと歩み巨大な屋敷の門の前にやってきた。

 

「旅の中、ご足労様です……雨脚が徐々に強くなりますのでどうぞ」

 

「!」

 

 巨大な屋敷の中に入る為のドアが開いた。

 

 中に居る執事、そう、バトルキャッスルのフロンティアブレーンのコクランが歓迎してくれた。エンザンはコクランが居るのを見て驚いた。

 

「おや、私をご存じで?」

 

「シンオウのバトルフロンティアのフロンティアブレーンだと……」

 

「これは光栄にあります」

 

「今更ながら、少し雨宿りをしたいのですがよろしいですか?」

 

「ええ、家主であるお嬢様が貴方を歓迎しております」

 

 コクランを見て驚いたエンザン。コクランは自分を知っているのかと聞けば知っていると答え、少し雨宿りをしてもいいのかと聞けば家主が歓迎していると答えた。

 家主が歓迎しているのならばよかったとエンザンは思うのだが、それと同時に何故に歓迎されているのかが気になった。

 

 

確か……制御不能だったか?

 

 

 コクランの言うお嬢様はカトレアのことだと直ぐにエンザンは理解する。

 

 イッシュ四天王の1人で大金持ちのお嬢様のカトレアだが、そのカトレアは第五世代でなく第四世代で一応は出ている。バトルキャッスルのお嬢様として。ただ……その頃のカトレアは超能力の制御が上手く出来ていない。興奮したり感情を昂らせれば超能力が暴走する。

 

 

この世界のその手の存在はホントに危ない側面もあるからな……怒らせたら終わりだ。

 

 

 カトレアに挨拶をとコクランに言われれば入ってきたドアが閉まり、パカッと屋敷内のドアが開いた。こっちに来いと言っているのだろうなとエンザンは覚悟を決めてカトレアのもとに向かった。

 

「……入れば?」

 

「女性の部屋に無闇に入るのは気不味いんだが……」

 

「入りなさい」

 

「あ、っちょ!」

 

 カトレアの寝室が見れる絶妙な位置で立っていたエンザン。

 

 寝ている女性の部屋に入るのは普通に気まずいなと思っていたらカトレアと目が合った。入ることが気まずいと言えばカトレアはサイコキネシスを使ってエンザンの体を浮かせて無理矢理エンザンを自分の部屋に入れた。

 

「先に言っておくがテレパシーで頭は読まないでくれ」

 

「……なにか面白い話はないかしら?」

 

「俺や俺の周りの冒険話ならば多少は出来るが」

 

「じゃあそれを」

 

「…………」

 

 

雨宿りさせてもらうのだから、多少は代価を支払わないといけないか。

 

 

 エンザンはカントーでの冒険の話をする。

 

 最初に貰ったポケモンはヒトカゲだ。当初の予定ではフシギダネだったがヒトカゲになったとまぁ、色々と話をする。カトレアはボーッとしている感じで眠いのならばと思ったがエンザンが話を止めようとすれば待ったをかけ喋らせる。

 

「申し訳ありません。お嬢様が少々強引でして」

 

「いえ、雨宿りの代金だと思えば安いものです」

 

 ノンストップで喋らされたので夕飯に入る。

 

 夕飯はお高い魚を調理したものとかでエンザンとは縁遠いものであるが一応はテーブルマナー等も知っているのでエンザンは問題無く食べている。

 

 コクランがお嬢様ことカトレアが強引に引っ張った事に対して謝罪をする。エンザンとしては無料で豪華な食事を頂くのも気が引けるのでそれで良しとしている。

 

「お話の続きを聞かせて」

 

 食事を終えればお話の続きを聞かせてと頼まれる。

 

 宿代がそれなのは分かっているのでエンザンは嫌な顔を1つもせずに冒険を語る。カトレアは嬉しそうに聞いているのだが何処か悲しそうな顔をしている。

 

「…………外に出たいのか?」

 

「ええ」

 

 冒険の話をとても楽しく聞いているのでエンザンは素朴な疑問をぶつける。

 

 外に出たいのかを聞けば特に深く考えるわけでもなく、素直に頷いた。カトレアはベッドから起き上がってテクテクと歩いていけば、屋敷内にあるポケモンバトル用のバトルフィールドに向かった。

 

「ポケモンバトル、嫌いかしら?」

 

「いや、むしろ好物だ……」

 

 

まずいな、負ける可能性が高いぞ。

 

 

 今のカトレアの要素は第五世代でなく第四世代のカトレアだ。しかし紛れもなくイッシュ四天王の1人に数えられるカトレアである事には変わりはない。

 

 四天王というのはチャンピオンリーグ優勝者と同等以上の実力者、エンザンは地方リーグで準優勝するのがやっとのレベル。まだまだ伸びしろはあるがエンザンにとってカトレアは勝てなくて当然の実力者の可能性が高い。

 

「いきなさい、メタグロス」

 

「メタァ!!」

 

「っ!!」

 

 エンザンは心の何処かでこのカトレアはまだ四天王になる前のカトレアと認識していたがメタグロスが出た瞬間にエンザンはその認識を改めた。

 

 

コレが上澄みか。

 

 

 オレンジ諸島で出会ったルギア達を除けば明らかに別格のポケモン。

 

 四天王やチャンピオンクラスのポケモンを生で見るのははじめてだ。だからこそ、エンザンは思い知らされる。コイツはレベルが違う。このレベルのポケモンを平均的に揃えているのが四天王なのを。

 

「あら、どうかしましたか?」

 

「……いや、少しな。メガシンカはありか?」

 

「ええ、お好きなように」

 

 四天王のメタグロスのインパクトに飲み込まれかけたエンザンだが直ぐに冷静になる。

 

 カトレアのメタグロスはカトレアの絶対的エースじゃない、エースじゃないがこのレベル……まだまだ上は遠いなと感じながらもエンザンはモンスターボールを手にした。

 

「リザードン、バトルスタート!」

 

「グォウ!!」

 

 

何処までなのかを見るのにはこれしかない。

 

 

 エンザンは最初のポケモンで頼れるエースであるリザードンを出した。

 

 エンザンのポケモンで最もレベルが高いのがリザードン、そのリザードンで四天王クラスのポケモン相手にバトルに挑み何処まで成果を上げることが出来るのかの確認だ。

 

「出し惜しみはしない!リザードン、メガシンカだ!!」

 

 

基本的な全てのスペックが劣っているのならばメガシンカでカバーするしかない。

今回のメガシンカはY、瞬間的な火力ならばYの方が確実性が高い。

 

 

 エンザンはリザードンをメガリザードンYにメガシンカさせた。

 

「あら、随分と珍しいものを」

 

「トレーナーとして感じている。お前のメタグロスが桁違い、これだけやって対等なのが。リザードン、かえんほうしゃ!」

 

 まだまだマイナーだったりするメガシンカを見て驚くカトレア。

 

 リザードンはメガリザードンYになってパワーアップしたがそれでもまだ一部の能力がメタグロスに追いついていないとエンザンは自覚する

 

 メガリザードンYはメタグロスにかえんほうしゃを浴びせる。かえんほうしゃを受けたメタグロスだったがピンピンとしている。

 

 

大きなレベル差や能力差が無いと無理だ。600族と言えどもこれは限度があるぞ!

 

 

 伝説級の威力の筈のメガリザードンYのかえんほうしゃをメタグロスは平然と耐えた。

 

 相性の上で大分有利でパワーも増しているのだが、それでもメタグロスは強かった。エンザンはありえないと否定したかったが、これもまた事実だと直ぐに飲み込み作戦を考えるがその前にカトレアが動いた。

 

「コメットパンチ」

 

「っ、避けろ!」

 

 メタグロスはコメットパンチを使ってきた。

 

 メタグロスとバトルをするのははじめてだが、物凄く速い。ただ幸いにも一直線、平面での攻撃だったのでリザードンの武器である飛行能力で回避をする。とは言えそれが通じるのは1回だけ。カトレアの目が変わった。次からは追いかけてくるだろう。

 

 

どうする?下手にブラストバーンを撃てば今のでやられる。

だいもんじやれんごくは一応は覚えさせているが、ひでり+メガリザードンY+かえんほうしゃで大したダメージを受けていないとなれば少し威力が上の技は期待は薄い。ねっさのだいちの様な弱点のタイプの技で攻めても意味は無い。

 

 

 エンザンは思考を加速させる。

 

 どうすればメタグロスを倒せるか?と。表情は変えないのだが、エンザンは燃えている。ここ最近は無かった熱いポケモンバトルが出来ているのを。やはり人生、多少難易度が高いほうがいい。

 

「リザードン、おにびだ!」

 

 

王道がダメな以上は少し変則的に挑む……本来ならXの方がいいんだが、目先の欲望に囚われたな。

 

 

 メガリザードンYはメタグロスにおにびを当てた。

 

 状態異常のやけど状態にすることに成功したがエンザンはあまりいい顔をしない。やけど状態のメタグロスは自分にとってありがたいのだが、メインウェポンであるかえんほうしゃが大して通じていない。やけど状態でジワジワと体力を削るのがなんだかんだでベストなのだろうが、その場合だと短期決戦のメガリザードンYよりも長期戦に向いているメガリザードンXの方が有利だ。Xにメガシンカさせなかった事を悔やむ。

 

「メタグロス、サイコキネシス!」

 

「リザードン、高速で飛び回れ!」

 

 コメットパンチが通じないとなれば第二の矢が飛んでくる。

 

 サイコキネシス、強力な技だが相手をしっかりと念動力で捕獲しないと力技で破られる。メガリザードンYはメタグロスのサイコキネシスに捕まることなく高速で飛び回る。

 

「かえんほうしゃ」

 

 そしてかえんほうしゃを浴びせる。

 

 ひでりによるはれは具体的にどれくらいまで続くかは分からない。その恩恵を得られる内にある程度はダメージを与えたい。メガリザードンYのかえんほうしゃを浴びるメタグロスだが苦痛の表情は浮かべない。

 

 

こういう時にこの仏頂面は役立つな

 

 

 自分の表情筋が全然動かないタイプなのをエンザンはよかったと思う。メガリザードンYのひでり+かえんほうしゃを耐えるメタグロスなんて普通に考えればおかしい。それを顔に出せば終わりだ。

 

 

効果はある筈だが……そこまでレベル差があるのか?

こういう時にY型は不便だ。げんしのちから以外でとくこうを上げる手段は無く、げんしのちからも確定じゃない。相手が格上だから地力が出てくる長期戦は不利だと判断してXでなくYにしたが

 

 

「メタ……」

 

「メタグロス、サイコファング!」

 

「メタ!!」

 

 それは一瞬だった。ほんの一瞬だったがエンザンは理解した。メタグロスが苦しいと声を上げているのを。カトレアはそれは見せないのだとメタグロスに即座にサイコファングを使うように指示を出し、メタグロスはメガリザードンYにサイコファングを使った。

 

「大丈夫か!」

 

「グォウ!!……グゥ」

 

 

やけど状態に救われたな。

 

 

 メタグロスのサイコファングが直撃すればリザードンは倒れる、がなんとか立ち上がる。一撃をまともに受けて大きなダメージが入っている。やけど状態で物理攻撃の威力が半減するのにこれである。エンザンはおにびがここで救われたのだと理解した。そしてメタグロスが苦しそうにしているのを見て顔に出していないだけで少しずつ確かなダメージを蓄積していることを理解する。

 

「リザードン、ブラストバーンだ!」

 

「メタグロス、サイコファングで砕いて!」

 

 

感覚的に分かる。そろそろひでりのはれ状態が終わるのを。

今でさえダメージが微弱なレベルなのだから、手を変えるしかない。一か八かの博打、ブラストバーンに。

 

 

 メガリザードンYはブラストバーンを使う。それに対抗し、メタグロスはサイコファングで噛みに来る。ブラストバーンの炎をメタグロスのサイコファングが噛みついた。

 

「メタ……」

 

 その瞬間、メタグロスが燃えた。やけど状態のダメージが入りメタグロスは緩む。そしてブラストバーンの炎に飲み込まれた。

 

「どうだ……」

 

ブラストバーンを使い、はれ状態が消えた。

メガリザードンYはもう動けない。普通の攻撃を受ければそれで負けが確定……!

 

「メタァ……」

 

「……勝てた……か……」

 

 ブラストバーンの爆炎が晴れればメタグロスは倒れていた。

 

 ギリギリだった。ホントにエンザンにとって有利な盤面を敷いた上で相性を突いてなんとか勝てた。

 

 

コレが力の差か……まだまだ俺も未熟と言うことか。

 

 

「負けた…………アテクシが負けた?」

 

「コレを勝ちとは言えない」

 

 

メガシンカのブーストやはれ状態のフィールドなんかがカバーしてくれた。

普通のリザードンじゃ負けていた、リザードンは俺のエースだがまだまだ伸ばさないといけない……そうなると、絶対にあそこに立ち寄らないといけない。リザードンを強くする上ではあそこほどいい場所は無い。

 

 

 エンザンは勝つには勝てたが大きく喜べない。

 

 ホントの上澄みの強さというものを知った。全力のジムリーダーはチャンピオンリーグクラス、そこは頑張れば倒せるが、四天王クラスは文字通りの別格だ。この強さになにをどういう風にすれば追いつくことが出来るのか、自主トレだけでは限界を感じている。

 

「次よ。フーディン」

 

「待て、待ってくれ!エースのリザードンですらこんなになんだからこれ以上は無理だ!」

 

 メガリザードンYを用いてなんとかカトレアのポケモンを倒せた。

 

 カトレアは2体目のポケモンを出そうとするがエンザンが待ったをかける。自身の手持ちで一番レベルが高いリザードンでやっとなのだからこれ以上のバトルは出来ない。そう言えばカトレアはプスッとむくれた。と言うか空気が凍った。

 

「それはつまり、勝ち逃げをすると?……アテクシがそんな事を認めるとでも?」

 

 ゴゴゴと擬音がついてもおかしくはない雰囲気をカトレアが放つ。

 

 BWのカトレアは超能力を制御することが出来るがそれより前は制御出来ていない。何故なのか?となれば至ってシンプルに負けず嫌いだから。負けず嫌いで負けを受け入れられなくて感情で超能力が暴走してしまう。要するに中身がまだ子供だったりする。

 

 

これはまずいが…………………この場合はどうすれば……負けとかそういうのを意識しなくすればいいか。

 

 

 このままいけば超能力で暴動を起こすのは目に見えている。しかしポケモンをボコられるのは普通に嫌だ。今のカトレアは負けたという事を受け入れてたまるか!と言う負けず嫌いな思いが出ている。それがトリガーになって超能力が発動しているとエンザンは考察し、カトレアのもとに歩み寄り……キスをした。

 

「……!?……」

 

 キスをされたという事実に気付くのにカトレアは数秒かかった。

 

 キスをしたという事実に気付けばカトレアは超能力が消えた。それを確認したエンザンはキスを終わらせた。

 

「なななばばな、なにを!?」

 

「うるさいことをする前にその口を黙らせた」

 

 顔を真っ赤にして戸惑うカトレアにエンザンは特に何もなしに答える。

 

 ここで自分がそういうことをされたのだとカトレアは理解し顔を真っ赤にして気絶した。

 

 

強引なのは理解してるがこういうことをしなきゃあの暴走止まらないんだ。

 

 

 カトレアが意識を失っているので仕方がないなとお姫様抱っこでカトレアの寝室に運び、客間の寝室で一晩過ごす。

 

「エンザン様、少しよろしいですか?」

 

「どうしました?」

 

 翌日、雨も上がった。これで旅を続けることが出来ると思えばコクランが話を申し込む。なにかあるのかと思えば、冒険に必要な物を背負っているカトレアが居た。

 

「薄々お気づきだとは思いますが、お嬢様は超能力者なのです……かなりの超能力者でして負けず嫌いの性格が災いして感情の昂りで超能力を発動してしまう事が多々あるのです」

 

「それで?」

 

「お嬢様は外の世界に行きたいのですが、如何せん超能力が暴走してしまって……エンザン様は暴走するお嬢様を止めることが出来る様なので……お嬢様を貴方の冒険に連れて行ってはくれませんか?」

 

「……俺はジムを巡ってジョウトリーグを目指しています。稀にガス抜きの為の名所の観光等はしますが、基本的にはバトル重視です。ポケモンコンテスト等には出ませんがそんな旅でいいのならば構いませんが」

 

 

お嬢様を度に連れて行ってくれは予想外だ。

昨日、あんな事をしたから心境が大きく変わって当然だろうが……俺の冒険はホントにバトル重視でカトレアの超能力制御は知らない。

 

 

 カトレアを連れて行くことに関しては別に嫌ではない。

 だけどエンザンの旅はポケモンリーグに出る為のジム巡りの旅だ。稀にガス抜きはするが、その旅についてきて途中でルート変更を言われたらエンザンとしては普通に困る。

 

 カトレアが超能力を完璧にコントロール出来るようにしてくれとか言われてもエンザンはなにかの能力者ではない。そっち系の才能は無くてあるのは知識ぐらいだ。

 だから、自分の旅はジム巡りの旅だとしっかりと線引きをした。

 

「構わないわ」

 

「だそうです」

 

 旅のルートは自分が決めるつもりである事などの忠告をしそれでもカトレアは構わないと言った。ならば拒む理由は無い……と言うよりはむしろエンザンにとってはありがたかった。

 

 

壁を感じていたからな……1人では限界が見えている。

 

 

 自分なりに修行をしているがエンザンは壁を感じていた。

 時間が勝手に問題を解決してくれて越えることが出来ることが出来る壁じゃない。努力をし工夫をしなければ絶対に越えられない壁だ。

 

 エンザンは自分なりに色々と試している。

 しかしそれでも足りない要素があるのは感じていて、そこにカトレアと言う四天王クラスのトレーナーと一緒に旅をする。当然、自分の旅に付き合うのだから特訓にも付き合ってもらう。そうなれば四天王格のポケモンとバトルをする事が出来る。

 

 1人での特訓にエンザンは限界は感じていないが停滞は感じていたのでコレはチャンスだなと心の中で喜んだ。

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