ポケットモンスター チームオブブルース 作:局務事通交ピルア
「……感じる……感じるわ!!」
キキョウジムを突破し、2つ目のジムがあるヒワダジムを目指す。
その道中にエンザンとカトレアはアルフのいせきに立ち寄った。カトレアが感じる!と感情が暴走をしているわけでもないのに、超能力を発動して周りの物を浮かせている。
「落ち着け」
なにを感じているのかは大体は予想がつく。
だからエンザンは落ち着くようにカトレアの手を握ればカトレアは髪の毛をフワッと逆立てるだけで落ち着いた。
ここに色々とアンノーンとかが居るのは分かっているが……関わる理由が無い。
アルフのいせきと言えばパズルを解いてアンノーンを発生させる。
しかしアンノーンはめざめるパワーしか覚えないのでコレクション要素としては使えるがそれ以外では使うのが難しいポケモンだ。
こういうのって下手に関わると厄介……カトレアが居るからどうにかなるはカトレアに失礼だ。
アルフの遺跡になにかがあるのはなんとなくで分かっている。
ポケモン関係のオカルトだろう。ただオカルト関係の案件は正しいやり方やオカルト対策の技術を覚えたり持っていないと酷い目に遭う。
カトレアと言う物凄い超能力者が居るのは分かっている。オカルト案件の厄介な事は彼女に押し付けようなんて考えはしない。むしろ力があるから何とかなるは一番の厄介な事だ。
「こっちね!」
「……まぁ、仕方ないか」
遺跡から謎の力を感じ取っている。
見なかったことにしたいが一応は国際警察である。ポケモン関係の犯罪を行う奴等を逮捕したりするわけで、ポケモン関係のお宝やなにかが出てきてロケット団とかが動いたら厄介だ。場合によっては破壊や管理とかをしないといけない。
カトレアは一般人が入ってもいい遺跡内を歩いていく。
なにかが出そうだなとエンザンは感じるが特になにかが出てくるという事は無い。あくまでもそういう感じの場所なんだなと思っていると1つの石碑を見つける。
「……」
「アンノーン文字だな」
石碑に刻まれているのはアンノーン文字だった。
所々が削れていたりするので具体的になにが書いているのかが分からない。だが、カトレアはジッと石碑を見つめている。
「……なにを感じるんだ?」
「スゴいパワーを感じるわ……この石碑が何処かに繋がっているみたい」
特別な力を持っているわけじゃないので石碑に宿っているなにかを感じることは出来ない。しかしカトレアはその石碑に不思議な力を感じる。この遺跡にある学術的価値のある物とは少し違う感じの物であり、石碑に手を翳す。
「エンザン、テレポートが出来るわ。行くわよ」
「え、おい!?」
まだなにも決めていないんだぞ!?
カトレアは石碑に宿っている不思議なパワーを感じ取った。
そのパワーは何処かに繋がっていると感じたのでエンザンを巻き込んでその繋がった場所へとテレポートをした。エンザンに意思を無視してだ。
「…………何処だここは?」
気付けば全く知らない場所に居た。
隣にカトレアがいるのでテレポートそのものが失敗したわけじゃないのは確かだが、空気から感じて明らかにアルフのいせきじゃない場所に来てしまったのだと感じた。
「……うっ!」
「大丈夫か!?」
「自分以外をテレポートしたから……ちょっと休みたいわ」
自分以外のテレポートが思った以上に力を使ったのか立ち眩みが起きるカトレア。
こんな事になるならばそもそもで関わるなよと一瞬だけ思ったがそれよりもカトレアを休ませないといけないと直ぐ近くにあった山小屋に入った。
「うぅ……」
「大丈夫じゃないな……水か?甘い物か?」
「力が強すぎる……」
持っている常備薬でカトレアの容体が回復しないと判断したエンザン。
水を飲んで水分補給するかそれとも甘い物を食べてリラックするのかを聞けば力が強すぎると言った。
「ここ、とんでもない場所…………スー……」
「寝るのか…………まぁ、寝たほうがいいか」
テレポートした先が物凄い力を感じ、敏感になっているカトレアは眠りについた。
エンザンはカトレアが感じている物がなんなのかは分からないが、ここにはとんでもない力なんかがあるのは分かっている。
「…………まさか行けるとはな」
ポケギアを取り出して自分が今何処にいるのかの確認をした。
ポケギアは現在ジョウト地方に居ると表記した。現在シンオウ地方に居るとも表記した。山小屋の外から見える景色は雪景色だ。アルフのいせきには雪なんて1つも降っていないこととこの状況からここが何処か気付いた。
シント遺跡か……まぁ、存在はしていてもなにもおかしいことはないが。
色々と考えた末にシント遺跡に辿り着いたのだとエンザンは気付いた。
シンオウでもありシンオウでもない、ジョウトでもありジョウトでもない、そんな絶妙なまでの異界とも言える世界、それがシント遺跡だ。
ゲームでは特定の方法でしか行けない。この世界で行くのは難しいだろうと考えていて旅のルートには入れていない。
「…………スゴいパワーを感じる……………」
悪いな、書き置きはしておく。
カトレアは物凄いパワーを感じてその力に酔っている。
その力の正体がなんなのかなんとなく読めたのでエンザンはそれを確かめに行く。寝ているカトレアの容体を確認しないといけないが、それでも確かめたい事がある。
「ヒノ!」
「よし!ポケモンがいたぞ!いけ、モンスターボール!」
ここがシント遺跡なのは分かったが何処に何があるのかが全く分からない。
ヒノアラシを偶然にも見つけたのでモンスターボールを投げた。ヒノアラシはあっさりとゲットされた。ヒノアラシにこの辺りの事を知っているのかと聞けば知っていると頷いた。
「遺跡は何処にある?」
シント遺跡の大事な部分は何処にあるのかを聞けばヒノアラシは道案内をしてくれる。
如何にも古代の人工物だと思える様な場所に入り1歩また1歩と歩いていく。
「っ……」
コレを常時感じているのか?恐ろしいな。
シント遺跡の奥へ奥へと進んでいけばなにかを感じる。
言葉に出来ないがなにか不思議な物を感覚として感じ取っており、それは気の所為じゃないのだとエンザンは理解し、カトレアはコレを感じていたのだと気付いた。
英雄でもなんでもない人が足を踏み入れていい領域じゃないな……
転生者ではあるものの、エンザン自身は特別な人間じゃない。
自分が踏み入れている場所は霊能力者の様な超常的な物を認知し使役し感じ取れる人間が踏み入れれる世界だと考えた。
プレッシャーにはどちらかと言えば強い方だ。だがそれでも威圧を感じる。
「……ここか……」
「ヒノ!」
ヒノアラシは特に威圧感等を感じずシント遺跡の奥に案内をしてくれた。
これ以上先はもうなにもないよ!とヒノアラシは教えてくれた。見た感じなにも無いと思っていると眩い光が出現し、ただでさえ感じていた威圧感が何段階も上昇した。
「………………ふぅ……………………落ち着け……………………」
ここに来れたのはラッキーだ。カトレアが寝ているのもラッキーだ。
このポケモンは他のポケモンと比べて遭遇する確率が桁違いに低い。祀る場所は探せるが実際に会えるかどうかは別。だからここでキッチリと精算をしないといけない。
「人の子か。珍しいな」
「はじめまして、アルセウス様。私めはエンザンと申します」
「そう畏まらなくてもいい。本来の自分で構わない」
現れたポケモンはアルセウス、創造神と言われていてポケモンの中で最も上位に君臨する存在だ。そいつをゲットして無双するぜ!とかではない。
アルセウスが放つ独特の威圧感、そして圧倒的な力を持っているので頭を垂れるエンザン。素の状態で話しても構わないと言われたのでエンザンは両手で頬を叩いて意識を引き締め直す。
「実は俺には誰にも話せない秘密があるんです」
「ほぅ……」
「それは俺がこの世界の住人ではないことです」
「異界の住人か……それならば南国で時折見られている」
「はい。ですが、この世界で見かけられる異界の住人と少し異なります。俺はこの世界を第四の壁を通して見ていた世界の住人です」
「第四の壁?なんだそれは?」
「分かりやすく言えば、この世界をおとぎ話や作り話と聞いたり見たりすることが出来る世界です」
「……ほぉ、それはまた随分と奇妙な世界……」
「俺は自分のことをその世界で生きていた人間として認識していて、ある日突然今の自分になりました。俺自身は貴方のような神に仕えるわけでもなんでもないただの人間です。俺自身から不思議な事等を起こすことが出来ません……ポケモン界いや、この世で最も上位に君臨するアルセウス、貴方ならなにかを知っているんじゃありませんか?」
エンザンはこの世界で生きていこうと決意をしたが後続の憂いが全て消えたわけではない。友達は居た。家族も居た。勉強も真面目にやっていて将来の事も考えていた。それなのにある日突然、エンザンになった。
自分自身が超常的な力を使えるわけでもなんでもない。
転生モノでよくある自分のことを日本人と認識しているくせに自身を構成するエピソード記憶のみがピンポイントで抜けている転生者でもない。
割り切ってはいる。割り切ってはいるが、それでも気にはなる。
エンザンは1つの命としてこの世界で生きる覚悟は出来た。
だが、なにも思わないわけじゃなく、吹っ切れるのに今一つ足りない。ならば、この世界で最も上位に君臨しているアルセウスの口からなにかを聞けば分かるかもしれない。
「この世界がおとぎ話や作り話として存在し、それを見ていたか……」
「はい……この世界も命ある1つの世界と認識はして生き抜こうとは思っています。でも、誰かが仕組んだものならば?明日を迎えた瞬間に今度は別の誰かになっていたら?その別の誰かには本来の人格が宿っていたら?……考えないように割り切ってますが、どうしても割り切れない」
ハッキリと言えば怖い。
本来のエンザンが居たかもしれないし、もしかしたら明日には藤丸立香と同じ一般人枠のマスター候補となり人理焼却に立ち向かわないといけないかもしれない。
まだこの世界がポケモンだからいいが、鬼滅の刃やまどマギみたいな過酷な世界ならば生き抜くことが出来る自信が無い。場合によっては相手を殺さないといけない世界になる。
俺自身はなにか特別じゃない。努力で壁を突破した人間だ。
「結論から言えば、私はなにもしていないし心当たりも無い」
「っ……そう、ですか……」
アルセウスが犯人じゃない。
自分が求めていた答えが返ってこなかった。そんなわけがないと否定したいが辛い現実でも受け入れないといけない。
「この世界を作り話として見る事が可能な世界にも神が居るかもしれない。神が気紛れにこの世界に干渉した……エンザンよ、お前はどういう風に生きたい?」
「…………分かりません……」
この世界がアニメのポケモンの世界だった。
だったらトレーナーとして生きるかと決めたけれども、それはホントに己の意思なのか?と聞かれれば怪しい。
周りで流行っているしそれが当たり前だ。その当たり前を疑問に思わなかった。
「多分、俺は周りの人達と考え方や感じ方が大きく異なります……今はその感覚に苦しんでいません。でも、何処かで感覚のズレで苦しむと思います……俺は、この世界の人間として生きる権利はあるんでしょうか?」
「……生きる権利は誰にだってある」
「ですが、それと同時に死ぬ義務もあります」
終わりと始まりがあるから意味がある。終わりという物が無いものには意味が無い。
アルセウスはエンザンに生きる権利はありこの世界で生きようとしているのならばと言うつもりだったがエンザンは死ぬ義務もあるのだと返した。
「死を望むのか?」
「死は受け入れます……だからこそ生を謳歌したい。でも、生死を自在に操られていたら……俺はおかしくなってしまう……終わりのない旅の旅人にはなりたくない」
「そうか……私には何故お前がお前になったか分からない。心当たりもない。だが、お前は確かに1つの命としてこのシント遺跡に足を踏み入れている。ならば生きよ。そして謳歌せよ……お前がお前になって刻んだ時間や場所は紛れもなく本物だ」
「…………ありがとうございます」
結局ただの精神論で根本的な解決にはなっていない。
でも、これでいい。アルセウスが分からないし心当たりがなにもないというのであればそれでいいんだ。アルセウスの様な存在でも分からないのであれば自分はもっと分からない。
エンザンはアルセウスに問いかけをし気持ちが吹っ切れた。
ついでにシント遺跡からアルフの遺跡への戻り方を教えてもらい、寝込んでいたカトレアが元気になったのでシント遺跡に住んでいるケーシィの力を借りてアルフの遺跡へと戻った。