ポケットモンスター チームオブブルース 作:局務事通交ピルア
「いけ、モンスターボール!」
「ヘァッ!?」
ある程度は粘る覚悟はあったが2日かかるとは思わなかったな。
サムライとのポケモンバトル後に釣りを再開し2日後、遂にお目当てのポケモンであるヒトデマンが釣れた。ある程度は日数がかかるのを覚悟はしていたが2日経過したのは流石に予想外だった……が、出会えたら嬉しいポケモンの中で一番嬉しいヒトデマンに出会えた。逃げられれば困るので初手にモンスターボールを投げた。
「みずでっぽう、こうそくスピン、あやしいひかり……みずでっぽうがあるからコレを軸にか」
ポケモン図鑑を取り出してヒトデマンが覚えている技や特性を確認した。ヒトデマンの特性がはっこう、昔は使えない特性扱いだったが最新では回避率を無視することが出来る回避特化の害悪パーティならば相性が良い。
しぜんかいふくも悪くはないが、かげぶんしんを使ってくる奴を相手にすることが出来る。コイツはコイツでありだなとモンスターボールを小さくし、ベルトに装着する。
「フリー!フリー!」
そしてトランセルはバタフリーに進化をした……淡白すぎる?おかしいのはどちらかと言えばサトシ一行の方である。なんか壮絶な人間ドラマが起きてゲットされるのがサトシのポケモンだが、ゴウは淡々とゲットをしている。進化の瞬間もメインじゃないポケモンはスゴくあっさりとしている。
「予想通りだな」
バタフリーは進化をしはじめて戦力になる、そういうポケモンだ。
ポケモン図鑑を手にし、バタフリーのデータをチェックするエンザン。バタフリーに進化したことで、ねんりき、かぜおこし、しびれごな、どくのこな、ねむりごな、ちょうおんぱの6つの技を一気に覚えた。最終進化系になることではじめて戦力として使えるポケモンだなと実感する。
「流石にまずいか」
持っている食料がそろそろ底を尽きそうにな感じだ。トキワの森で停滞をしているから当然と言えば当然だろう。しかし焦ることはしない。サムライからどのルートを通ればニビシティに行くことが出来るのかは聞いている。
「……ついたな」
サトシは何故に迷子になっているんだ?
トキワの森を抜けてあっさりとニビシティに辿り着いた。なんかサトシが物凄く時間をかけてトキワの森に抜け出ていた。何故にサトシがこんなに遅れているのか……事あるごとに迷子になっているサトシのルートが謎である……GPS的なのが付いているタウンマップですら迷子になるのだから方向音痴は凄まじい。
「ここは石の町、ニビシティ」
「……石の町?灰色の町じゃなくて?」
「いや、石の町だ……と言ってもお前さんが欲しい石は無いだろうが」
ニビシティを遠目に見ていると1人のおじさんが話しかけてきた。このおじさんが何者なのかは知っている。しかしそれに関しては深くは言わず、このニビシティが石の街と言われてピンと来ない。
おじさんは見抜いている、エンザンがニビジムを目指しているトレーナーなのを。ポケモントレーナーならば進化に必要な石を求めるのは極々普通のことであり、その進化の石はニビシティでは取り扱っていないと認める。
「ニビシティで取り扱っているのは稀少な鉱石、あのお月見山の炭鉱で採れる……確かに何処かの地方の宇宙船のパーツにもなっていたか」
「それはまた、随分とスゴいですね……失礼します……」
石の上に乗っていないのでお金を払えとは言われない。エンザンはトキワの森を完全に抜け出た後にニビシティのポケモンセンターに向かい、ジョーイさんにポケモンを預ける。ポケモントレーナーになってから最初のポケモンセンターの利用だ。ジョーイさんはホントにジョーイさんなんだなと思いながらもこの後にどうするのかを考える。
ニビジムに挑む、と言う真似はしない。今の自分では勝てないので育成に励む。が、時間制限はある。先ほど声をかけてきたおじさんはニビジムのジムリーダーのタケシの父親で、サトシがニビジムに挑めばサトシについていく。それからタケシの父から弟であるジローに代替わりをする。勿論、ジム用に育成しているポケモンとプライベートのポケモンは使い分けされてるので問題は無いだろうが。
親父さんに代わられたら情報のアドバンテージを失う可能性も高い……1回挑んで学習する?…………いや、ダメだ。
負けから得られる経験があるのは知っている。そこは否定しない。だが、ジム戦の様な負けたらいけない場面で負けたらホントに大事なところで敗北をしてしまう。ジム戦の様な大事な場面では勝ち続けなければならない……カントーリーグ・セキエイ大会は8連勝しないといけない。
「………少し根を詰めすぎたな……」
カントーリーグ・セキエイ大会までまだまだある。始まったばかりで色々と出来るがそれがいけない。
起業した人が色々な事業に手を出して失敗した。大金を得て1つの事業に金を出さずに色々と手を出しすぎて失敗するのを何度も見た。
それと同じで今の俺はなんでも出来る、いや、なにかが出来る筈だと思い込んで色々なことに手を出し過ぎて中途半端になる。
エンザンは自分自身の事が嫌でも分かっている。だから、今必要な事は何なのかと目を閉じて考える。
「息抜きだな……」
根を詰め過ぎている……限界を越えろと日頃から火事場の馬鹿力頼りは身を滅ぼすだけだ。
ニビシティにやってきたのだから息抜きをする……ニビシティと言えばニビ博物館がある……今なら楽しめる。
博物館とか美術館は子供にとっては退屈だ。しかし今の俺ならば博物館の何処が面白いのか、考古学や神智学に対してそれなりに知識があり楽しむことが出来る。ニビ博物館に足を運び、ポケモンの化石を見る。化石ポケモンの化石、ではなく化石化したポケモンだ。
何百年も地層の中に入っている……それを掘り起こすのは罰当たりだろうか?考古学は一歩間違えれば墓荒らしだな……。
化石化したポケモンの化石だけでなく古代のポケモンと人間が共存していた文明から掘り起こされた物もある。古代のモンスターボールなんかもある。ポケモンと人が共存している時代、この世界での神権政治の時代……神秘的だなと思ったものの、セレビィやディアルガは勿論のこと、おそらくは時間関係のポケモンが持っている神秘的な力を除いて科学技術だけでタイムマシンが作れる世界だ。科学の力ってスゲー!
「……うん、悪くない」
思い切ってニビ博物館にやってきて正解だ。焦っている気持ちを抑えれた。
エンザンはニビ博物館にやってきて展示されている物を見て心を落ち着かせた。ニビ博物館にやってきたのは正解だったと頷く。
ニビ博物館には名物のニビあられが売られている。コレは買い得だと思ったが直ぐに手を伸ばすのだが止める。完全に観光に来ている。自分は旅のトレーナーだから、セキエイ高原で取れたおいしい水で出来た蕎麦を食べようかと考えていると非常ベルが鳴り響いた。
「何事だ!?」
「直ぐに解除しろ!」
あまりにも突然の出来事に驚く周りに居る面々。エンザンも厄介な事に巻き込まれたなと思いながらもバタフリーが入っているモンスターボールを手にする。野生のポケモンが襲ってきた、イタズラで警報ベルが押した……そのどちらかが良い……しかし、3つ目は出来れば無い方がいいなと思うが万が一を想定しバタフリーが入っているモンスターボールを手にしている。
「!」
ブレーカーが落ちた。警報ベルが鳴り響いている事からブレーカーと非常ベルの電源は違う。
警報ベルが鳴った事とブレーカーが落ちたことから誰かが意図的にこの博物館の電源を落としている。エンザンはフラッシュを覚えているポケモンを持っていない。暗視ゴーグルの様な便利なアイテムも持っていない。どうしたものかと一先ずはバタフリーを出しておく……非常ベルのせいで不自然な足音なんかは聞こえても掻き消される。
「元に戻った、か…………」
時間としては2分程度だったが暗闇の中で警報ベルが鳴り響いた。何かしらの目的があっての犯行だろう。
ポケモンが襲ってきたわけでもなければイタズラで起こされたわけでもない。なにか異変は起きていないのかと気にしていると1人の職員が騒いだ。
「た、大変だぁ!」
「光る石が!!」
「……黒色だな……」
職員がなにか異変が起きていないかなどのチェックをした結果、光る石が黒色になっていると悲鳴を上げていた。
光る石はさっき見たので覚えている。コレを材料にすれば色違いに遭遇する可能性が高まる光るお守りを作る事が出来る。水色の十字星の形をしているひかるおまもりの原材料である石が……コレは盗まれたのだろうか?
直ぐに異変が起きたので出入り口が閉鎖をされる……普通に博物館にやって来たのだがこんな事件に巻き込まれるとは思いもしなかった。
ジュンサーさんやジュンサーさん以外の警察も駆けつけた。何処でどういう事件を起こされたのかなどの検証をしている……が、既にひかるおまもりの原材料である石を盗まれたと言う事しか分からない。
「…………妙だな」
「え?」
「いえ、少し疑問な事がありまして」
博物館に来ていたお客達は持ち物検査をされる。ひかるおまもり、ではなくひかるおまもりの原材料である石を盗まれた。
それならばまだ分かる。しかし何故かひかるおまもりの原材料である石と形は似ているが色は似ていない色の石を置いている。
ルパン三世みたいなキザな怪盗ならばメッセージカードでも残している。
文字通り完全犯罪を行いたいのならば足跡の1つも残さない。
どちらにせよ悪いことをしているのだから一度は連行される。
「クソッ!よくも光る石を」
「館長、こんなわけ分からない石は捨てましょう!!」
「…………成る程……シンプルだが、良い手だ」
ひかるおまもりの原材料の光る石を盗んで怒っている博物館のスタッフ。
重要なアイテムである石を捨てようと言い出した……それを見て、シンプルだが良い手だと答えが分かった。
「ひかるおまもりの原材料の光る石は最初から盗まれていない……盗まれたと思わせたんだ!」
「どういうこと?」
「コレがその証拠だ」
光る石の代わりに置かれていた石に触れて石を引っ張った。ビリビリとビニールの様な物が破れた。そしてビニールな様な物が破れたと思えば光る石が中に入っていた。
「光る石は最初から奪われていない、光る石の上に特殊な遮光ビニールシートを被せた。そうすることで光る石を盗ませたれたと思わせ……素知らぬ顔でスタッフが光る石を捨てる。そうすることで後で別の誰かが光る石を回収する」
「…………っちぃ!!ムサシやコジロウよりもいい作戦を思いついたってのに、なんでバレるんだい!」
「だから普通に盗んだ方がいいって言ったじゃないか!」
謎は至ってシンプルだ!と答えを導き出せば、光る石を捨てようと言っていた女性スタッフが舌打ちをした。
何処かで聞いたことがある声だ……が、それはどうでもいいことだ。
「貴女達、何者なの!」
「なんだかんだと」
「バタフリー、ねむりごなだ!」
「バタフリー、ねむりごなと、こたえ……ふぁ……かぁー……」
「……ロケット団か」
ロケット団の前口上を言おうとしている2人組の男女。
確かヤマトとコサンジだったか?
「コサブロウだ!」
「……」
寝ているよなコイツ?
バタフリーのねむりごなでヤマトとコサブロウを眠らせることに成功した。こいつらは見た覚えがあるなと考えていればコサブロウが反応した。眠っているはずなのに反応したとはどういう事だと思いながらもバタフリーにいとをはくを指示し、2人は拘束された。
まさかロケット団とこんなところで遭遇するとはな……だがまぁ、あの3人組と違って捕まる時はキッチリと捕まるから問題無いか。
エンザンはしっかりと警察車両にヤマトとコサブロウが入り2人が持っているポケモンを取り上げられるのを見た。
コレで逃げられたり釈放されたりすればこの世界は終わりだろう。と言うかロケット団だけは滅びない組織だからなこの世界は。
「……ポケモンバトルがしたくなったな」
思わぬ事件に巻き込まれたが秒で解決した。息抜きをすることが出来た……そしてポケモンバトルをしたいという欲求に駆られた。
日はまだまだ登っている、警察から感謝状を貰えるなんて言われたがそんな物は嵩張るので不要だと断った。幸いにもポケモンセンターに隣接しているバトルフィールドがある。今の自分にはバトルの経験が圧倒的に足りないのだからやるしかない。
この日はポケモンバトルをした。翌日はバタフリーの技の特訓だ。最初からすいとるを覚えているスボミーからすいとるを教わる。勿論、バタフリーはすいとるを覚えない。しかしすいとるよりも更に強いメガドレインを覚えた。
3日目もまたポケモンバトル、今度はニビジムを想定した戦術を試してみて思ったよりも上手くいった感じだ。