ポケットモンスター チームオブブルース   作:局務事通交ピルア

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第7話

 

 二ビジムを制覇しグレーバッジを獲得したエンザン。次に向かうのはハナダジムがあるハナダシティだ。

 

「ヒトカゲ、やきつくす!」

 

「カゲ!」

 

 ジムの都合上、描写が少ないヒトカゲだがバトルの方は割と出ている。タケシに挑もう!と考えているトレーナーはみずタイプかくさタイプを持っている。稀にかくとうタイプを持っているトレーナーもいるが、みずタイプとくさタイプが多い。

 

 苦手なみずタイプは相手にしないが、くさタイプは相手にしている。ひのこをやきつくすにパワーアップさせたおかげで弱点のタイプ以外は特に怖くはない。現に今もコラッタを相手にやきつくすを当てる。コラッタは立ち上がろうとするが立ち上がることは出来なかった。

 

「っく……負けか……」

 

「俺の勝ちだ……よくやった、ヒトカゲ」

 

 

今のところはポケモンの負けはあっても俺自身の負けは無い。順調と言えば順調だが、勝つことが出来て当然な相手ばかり。

他の地方のポケモンリーグに挑んでからカントーリーグに挑もう!と言うトレーナーには運良く当たっていないが……今は勝つという経験をするべきか。

 

 

 ジムリーダーというポケモンバトルで仕事をしている人を相手にし、その辺の野良バトルが物足りないとエンザンは感じていた。

 

 この時期はポケモンを貰い旅立つ時期、だからそこかしこに新人トレーナーが居る。ポケモンリーグに挑み敗北し、ポケモントレーナーの道を挫折する者がかなり多いから複数の地方を巡っている奴は強い。と言うよりは地方リーグに出れるだけでも充分に強い。

 

 ただ忘れがちな設定かもしれないが、アニメで出てくるリーグは地方予選である。地方予選を勝ち抜いた者が全国大会であるチャンピオンリーグに、チャンピオンリーグで優勝すれば挑みたい四天王との総当たり戦、総当たり戦で一番成績の良い奴がチャンピオンに挑める。総当たり戦でチャンピオンリーグ優勝者が1位でビリの四天王はクビ。四天王の座が奪われる。

 

 チャンピオンは負けない限りはチャンピオンである……チャンピオンとしての富、名声を手に入れれる。品格も大事だが一番はなんと言っても強さだろう。四天王と呼ばれる明らかに別格なトレーナーすらも余裕で倒せるのだから。

 

「探すか」

 

 ヒトカゲで順調に勝ち続けておき、おつきみやまに辿り着いた。既に人が色々と開拓している山であり、ハナダシティ方面に向かうルートは確立されている。迷子になることは特に無いが、少し獣道なんかを歩めば野生のポケモンがいる。人間が生きるのに必要な場所とポケモンが生きるのに必要な場所が分かれているが共存している不思議な山だ。

 

「いけ、モンスターボール!」

 

 エンザンは通常のルートから外れた獣道を歩んでいた。目的は当然、ポケモンのゲットにある。

 

 次のハナダジム戦は余程の事が無ければ負けることはないだろうと考えている。だが、それでも戦力は増やしておいて損は無い。

 

 ズバットが飛んでいるのを見かけたのでモンスターボールを投げた。ズバットにモンスターボールが当たり、ズバットはゲットされた。

 

 

空を飛べる、と言うのはシンプルに強い。

足場を気にせずに移動することが可能なのだから……イワークレベルの巨体が相手でなければ大体は機動力を武器に戦える。

バタフリーは変化技主体、リザードンは攻撃主体、クロバットはその中間……純粋な飛行戦力はもう1体必要か……ピジョット、オニドリルは無し。ドードリオは魅力的だが空を飛ぶポケモンではない。

基本的にはアイテムを持たせない世界だからポイズンヒールは死に特性に近い、ポイズンヒールを活かせない以上は守りを主体にしたポケモンバトルが出来ないからグライオンは無し。今欲しいのは純粋な飛行戦力、そうなれば序盤鳥ポケモンがオススメで強い序盤鳥ポケモンと言えば……ムクホーク辺りが手堅いな。

 

 

 他になにをゲットしたりすればいいのか等を考える。飛行戦力は後1体ぐらいは欲しい、今すぐにでもだ。

 

 しかし残念な事にエンザンが思い浮かべているひこうタイプでひこうタイプとして力を発揮するポケモンの殆どがこの地方に居ない。スボミーの様に都合良く会うことが出来ればいいが、この世界にはここに行けば確定でポケモンが会える!と言う場所はホントに稀少である。

 

「う、うわぁああ!!」

 

「バタフリー!ねんりきで受け止めろ!」

 

 目当てのポケモンはまだいるのだと獣道を歩んでいれ自分と同じ歳頃のトレーナーが転がってきた。このままだと自分にぶつかると感じたので直ぐにバタフリーを出した。エスパータイプの初歩的な技であるねんりき、恐ろしく使い勝手が良い。

 

 転がってくるトレーナーをバタフリーはねんりきで止めた。

 

 

コイツは……

 

 

「いてて……あ、ありがとう!」

 

「お礼を言われるほどの事じゃない……なんで転がってきたんだ?」

 

「いや〜獣道にポケモン達が居るって聞いたから来たんだけどうっかりと足を滑らせてね……ポケモン達の力を借りればよかったんだけど転がってたから」

 

「……ここは獣道で人間が整備した土地じゃない。足を滑らせる事や凶暴なポケモンが居ることを考えポケモンは出しておけ」

 

 現に俺はなにかがあった時を想定し、バタフリーを出している。

 

 普通に通過するだけならば簡単なおつきみやまだが、獣道に入るのならば危険地帯でもある。エンザンのバタフリーは羽根を羽ばたかせながらエンザンのもとに向かう。

 

「そいつは君のバタフリー?」

 

「ああ……バタフリーはポケモンのゲットには便利なポケモンで、特性のふくがんでねむりごなが高確率で当たる。その上でねんりきを覚えるからなにかあった時も動ける」

 

「……え?」

 

「どうした?」

 

「バタフリーって、ねんりきを覚えたんだ……」

 

「…………進化すれば勝手に覚えるぞ?」

 

 

バタフリーのねんりきはマイナーなのか?俺の中ではかなりメジャーなものなんだが。

 

 

 トレーナーがバタフリーのねんりきの存在を知らなかった事に少しだけ困惑する。トレーナーはモンスターボールを取り出す。赤色のポケモン図鑑を取り出す。

 

「あ、ホントだ!」

 

「…………それは定期的にしておいた方がいいぞ」

 

 ポケモンのステータスの確認はポケモントレーナーならばすることだ。男の持っているバタフリーもねんりきを覚えていたのだと驚いていた。それを見てポケモンのステータス確認は定期的にしなければならないと言っておいた。

 

「あ、自己紹介がまだだったね。僕はヒロシ」

 

「俺はエンザンだ……自己紹介をして早々に悪いが俺は行かせてもらう。ポケモンをゲットしたいからな」

 

 トレーナー同士目を合わせたらポケモンバトルが礼儀かもしれないが、今はポケモンのゲットに集中したい。最短でゲットする事が出来るのはおそらくはこのおつきみやまに生息している。

 

「じゃあ2人でポケモンを探そうよ!」

 

「……欲しいポケモンが被って争奪戦になる、それが一番恐れないといけない状況だぞ?」

 

「あ……」

 

「俺は目当てのポケモンが居る……お前には居るのか?」

 

「え、いないけど?」

 

「目当てのポケモンがいなくて気に入ったからゲットする!なゲットはしたくはない」

 

行き当たりばったりが一番危険だ。

スボミーは想定外なところがあるが、悪い方向でなくいい方向での想定外だ。軌道修正をしてより磐石な戦力になった。

だが、想定外ばかりだと下手したらそのタイプのポケモンを持っていないということにもなる。

 

 

「結構考えてるんだね」

 

「考えているもなにも、俺は駆け出しのトレーナーだ。欲しいポケモンはそれなりに居る」

 

「そっか……僕もまだカントーリーグに出場するのに必要な6体のポケモンをゲットしてないから早いとこゲットしないと」

 

「そういう風に考えていたら色々と大変だ……バタフリー、コイツが居ないか探してくれ」

 

 ポケモン図鑑に載っている目当てのポケモンをバタフリーに見せる。バタフリーは分かったと頷けば羽根を羽ばたかせて獣道の奥に進んでいき……一点を凝視した。バタフリーは目当てのポケモンを見つけてくれた。

 

「フリィ!」

 

「見つけたか?」

 

 バタフリーは急いで戻ってきたので目当てのポケモンを見つけたかを聞けば頷いた。

 

 逃げられる前にゲットしなければならないと急いで獣道を突き進んでいき……目当てのポケモン、サイホーンの群れを見つけた。

 

「サイホーン、エンザンはサイホーンを探していたんだね」

 

「ここならば出ると聞いていたからな。バタフリー、ねむりごなだ!」

 

 何故か付いてきているヒロシは特に気にせずにバタフリーにねむりごなを指示する。突然の出来事でサイホーンは反応出来ない。ねむりごなを吸ってサイホーンはねむり状態になった。この状態ならば攻撃する必要は無い。エンザンはモンスターボールを投げ……サイホーンがゲットされた。

 

「…………」

 

「やったね、エンザン。サイホーンがゲット出来て」

 

「……コイツじゃないな」

 

「え!?」

 

 サイホーンを無事にゲットすることが出来たので我が事の様に喜んでくれるヒロシ。エンザンはヒロシを気にすることなくポケモン図鑑を取り出してゲットしたばかりのサイホーンのデータを確認する。そして望んでいる個体ではないのだとモンスターボールから青色の光線、つまりは逃がす時の光線を出した。

 

「コイツじゃない」

 

「コイツじゃないって、サイホーンだよ?」

 

「この特性のサイホーンは要らない……俺が欲しいサイホーンはいしあたま個体だ。ひらいしん個体のサイホーンは要らない」

 

 エンザンがゲットしたサイホーンは特性がひらいしんの個体だった。サイホーンにひらいしん、テラスタルが無ければゴミも同然の特性だ。いしあたまのサイホーンならば最終的にドサイドンにした時に色々と有利に働く。

 

「要らないってそんな、やっと見つけたんだよ?」

 

「俺の望んでいるサイホーンじゃなければ意味が無い……少しやり方を変えてみるか。バタフリー、エレキネット!時間をかけてもいいからなるべく大きいのを頼む」

 

 エンザンがやっていることを信じられない!と驚いているが、エンザンは特に気にしない。

 

 ひらいしん個体のサイホーンだったが他にもまだサイホーンは居る。バタフリーに当てることを重視せずとにかく大きいだけのエレキネットを作るように指示を出す。バタフリーは通常よりも巨大なエレキネットを作った。

 

「……」

 

「散り散りになった……コレは、ここに居るサイホーンは全員特性がひらいしんって事かな?」

 

 ひらいしんはその名の通りでんきタイプの技を引き寄せる特性、ならばでんきタイプの技であるエレキネットを引き寄せないサイホーンを見つければいい。エレキネットを放てば右に左に斜めにエレキネットが不自然な形で引っ張られる。特性がひらいしんであるサイホーン達がひらいしんで引っ張りあって拡散させた。ひらいしん個体しかこの場に居ないのかとヒロシは推理した。

 

「確かにでんきタイプが通じなくてパワー自慢のサイホーンにはひらいしんの特性は噛み合ってないかもしれない。でも、特性なんかよりもサイホーン自身を見ないと」

 

「そのサイホーン自身の1つが特性だ……」

 

 

スボミーの時は深くは考えていなかったが特性はバカに出来ない。

スボミーはどくのトゲ個体だ、本音を言えばしぜんかいふく個体が良いが今の段階ではそこまで贅沢は言えない。

だが、サイホーンは大抵の地方で見かけるポケモン。カントーではここに行けば会える可能性が高いという場所まである。ここを除けばイワヤマトンネルかセキエイ高原かサファリゾーンぐらいだろう……クチバジム戦で使いたいからな……。

 

 

「それは…………」

 

「俺には俺のやり方がある。お前にはお前のやり方がある。だから口出しをするな」

 

 サイホーンの特性以外も良いところはあると主張したかったヒロシだったが、個性の話をするのならば特性も嫌でも入る。

 

 自分のやり方は切り捨てのやり方なのは自覚しており批判されることは認めている。テラスタルを使えば色々と出来るが、逆を言えばテラスタルが使えなければひらいしんのサイホーンは使い物にならない。エンザンはまだテラスタルを会得していない。そして会得したとしても貴重なテラスタルと言う武器をサイホーンには使わない。でんきタイプと相性が悪い、ひこう、みずの2つでそのタイプにテラスタルとしてもあまり旨味は生かせない。

 

「……いけ、モンスターボール!」

 

「……意趣返しのつもりだろうが、そういうのは気にしないタイプだぞ?」

 

 

なんというか……いや、別にそうしたいのならばそうすればいいが俺はそういう事を気にしないぞ。

 

 

 ヒロシはモンスターボールを取り出してエンザンが逃がしたサイホーンをゲットした。

 

 エンザンはヒロシがこのサイホーンはしっかりと鍛え上げればいしあたま個体のサイホーンに負けることはないんだ!と証明したいのかもしれないのだろうが、エンザンはそれを証明されたとしてだからどうしたんだ?としか言えない。

 

 自分のやり方とは違うやり方は普通に知っている。姉が勢いに任せてゲットしたポケモンがそれで、姉はしっかりと成果を残している。ただそのやり方と自分のやり方は違う。

 

「いいんだ……このサイホーンは強くなれる!……サイホーン……君の名前はカクだ!」

 

 サイの角である犀角(サイカク)から連想し、カクと言う名前をつけたヒロシ。

 

 今日からは友達な関係性だと喜んでいる……そしてエンザンを見る。エンザンが必要ないと手放したサイホーンは使えると証明しようと考えている。だからそういうのは興味は無いのだとエンザンは獣道を歩く。が、サイホーンの群れは最初に見かけた1つだけだった。

 

 おつきみやま自体が広大な山ではない、だから群れが1つだけなのも極々普通な事だ。

 

「がんじょうイシツブテを探すか……」

 

 まだ完全におつきみやまの獣道を踏破したわけではないがポケモンの力を用いてサイホーンを探している。もしかしたらこの辺にはサイホーンはあの群れしかいないのだと考え、ゲットするポケモンを変える。

 

 

自由度はあるが、こういうところはゲームと違うのは厄介だな…………

 

 

 ゲーム通りにサイホーンは生息していたが、目当てのサイホーンは居なかった。

 

「土煙?」

 

 

アレは確かなにかしらが居るという証だったよな?

 

 

 ホントに一部だ、ホントに極々一部だが足元が小さな土煙を出していた。コレはBWに出てきたポケモンが出てくるもしくはジュエルが出てくるのかのどちらかだ。じめんを潜っているポケモンだがなにが出てくるのかとポケモン図鑑を構える。

 

『このポケモン図鑑では対応していないポケモン』

 

「モグ!」

 

「モグリュー!」

 

 

イッシュ地方のポケモン、ゲームでは後に生まれたから出てこなかったがおつきみやまに出てくるのか!

 

 

 土煙の中から出てきたのはモグリューだった。モグリューが出てくるという情報は知らなかったのだと直ぐにバタフリーにねむりごなを指示しモグリューを眠らせモンスターボールを投げた。モグリューは無事にゲットされた。

 

「かたやぶり個体か……コイツはいいな」

 

 

いしあたまサイホーンが無理ならばがんじょうイシツブテと考えていたが、かたやぶりモグリューが出てくるならば話は別だ。

特性がかたやぶり個体、相手の特性に左右されることがない。ふゆうを持っているポケモンにじめんタイプの技を当てられる。

競合相手で上なポケモンは多いがドリュウズは旅にも対戦にも強いポケモンだ。

 

 

 サイホーンを諦めがんじょうイシツブテを探そうかと考えていたところで思わぬ幸運に恵まれた。

 

 

今はまだこれでいいが、ポケモンが増えてきたら……ズバット、スボミー、バタフリーを博士の元に送るか。

 

 

 思わぬ収穫があったエンザンは顔には出していないが少し上機嫌に下山した。

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