ポケットモンスター チームオブブルース   作:局務事通交ピルア

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第8話

 

 

頼むからジム戦を受けてくれよ。

 

 

 ハナダシティに辿り着いたエンザンはポケモンセンターでポケモンを預けて回復を待ち、そして祈っていた。

 

 ハナダジムのジムリーダーと言えば、カスミ……なのだがカスミが不在である。ハナダジムには美人三姉妹が居るのだが、ポケモンバトルよりも女を磨くのに集中している。別に女性が女を磨くのは極々普通な事だ。だが、それを理由にジムリーダーとしての仕事を疎かにしている。

 

「お預かりになったポケモンは元気になりました」

 

「ありがとうございます」

 

 

何もせずにジムバッジを貰うのは流石に1人のポケモントレーナーとして思うところがある。

無理ならば無理で別のジムに行く……無理じゃないのが嬉しいところなのだが。

 

「すみません」

 

「あら、水中ショーは休みよ」

 

「いえ、ジム戦に挑みに来たんです」

 

 ハナダジムに向かい三姉妹の次女のアヤメに声をかけた。声をかけていきなり今日は水中ショーが休みと言うのはどうなのだろうかとエンザンは一瞬だけ考えたがジム戦に挑みに来たことを伝えると三姉妹の次女のアヤメが慌てた。

 

「あら?あらあら、あらぁ……」

 

「どうしたのアヤメ?」

 

「姉さん、チャレンジャーが来ちゃったわ」

 

「ええ、もう来ちゃったの?」

 

 アヤメが慌てていれば美人三姉妹の長女であるサクラがどうしたのかを聞きに来た。チャレンジャーが来たと聞けばサクラがガックリとした。ジムリーダーがそんな反応をしていいのだろうかと思いながらもバッジケースを取り出した。

 

「マサラタウンのエンザンです、ジムバッジは1つ」

 

「……1つ、かぁ……参ったわね……」

 

「……俺より前に挑んだトレーナーのせいでポケモンが居ないのならば待ちましょうか?」

 

「それじゃあ貴方の旅が……あ、そうだわ!ジムバッジが2つの時のポケモンでバトルを!」

 

「サクラ姉さん、それじゃあレベル差が」

 

「こっちは1体、そっちは3体よ!」

 

 ジムバッジが1個なトレーナーを相手にするポケモンが居ない。

 

 シゲル達とバトルをして傷ついているのならばそれは日を改めようと考えていたが、サクラは名案だとワンランク上のポケモンとバトルをしよう!とハナダジムが3つ目のジムバッジだった時に使うポケモンを使おう!ハンデは与えるわ!となった。

 

 

ハンデ戦か…………しないよりはした方がいいな。

 

 

「わかりました、ではそのルールでバトルをお願いします」

 

 一番最悪なパターンが起きなかったのを安堵し勝負を受け入れる。

 

 勝負が決まりならば早速だとジムのバトルフィールドに向かう。常駐している審判に今回のジム戦は特別ルールだと伝えた。ジムのルールの裁定はある程度はジムリーダーに任されるものなので審判はエンザンがそれで問題はないのかの確認をしエンザンは問題は無いと頷いた。

 

「これよりハナダジムジム戦を行います!今回は特別ルール!ジムリーダー側の使用ポケモンは1体!チャレンジャー側の使用ポケモンは3体!交代はチャレンジャーのみが可能です!」

 

「ペリッパー、お願いね」

 

 サクラが出したのはペリッパーだった。

 

 この地方で見ないポケモンが出てきたなと思っているとポツと自分の頭に雨粒がついた。

 

 

ま、まさか!

 

 

 エンザンは天井を見上げた。天井には雨雲が発生しており雨が降り注いだ。

 

「うふふ、驚いたかしら?この子はペリッパー、ホウエン地方でよく見られるポケモンで特性はあめふらし」

 

「……こちら側が使用ポケモン3体とは言え2つ目のジムバッジを賭けたバトルで出しますか?」

 

「エンザンくん、貴方は本気でカントーリーグを目指しているかしら?」

 

「ええ、目指していますが?」

 

「なら、過酷なポケモンバトルな世界を教えるのがジムリーダーの仕事なの。確かにこのあめふらしペリッパーは3つ目のジムバッジを賭けた場合のジム戦に使うにはちょっと強いわ。でも、それを乗り越えてこそのポケモンバトル……出来ないならばここで終わらせるのもジムリーダーの役目なの」

 

 夢を見て挑戦し、破れるやつは破れる。バッジ2個は偶然なんかもありしっかりと実力が備わっていない事も多々ある。

 

 だからこそあめふらしペリッパーと言う夢も希望も無いガチのポケモンで挑む。ポケモンバトルが楽しいと勝つ喜びを教えたのならば次は過酷な世界であることを教える。流石に他のポケモンは3つ目のジムバッジのジムに相応しいレベルのポケモンだがペリッパーは異質だった。

 

 

こうなると色々と危険だが……それを越えてこそだな。

 

 

「スボミー、バトルスタート!」

 

「スボ!」

 

「試合開始!」

 

 カスミの情報は知っているがサクラの情報は知らない。みずタイプは確定だが、ペリッパーは予想外だ。だが、文句は言わない。自分も既にモグリューとスボミーを持っているのだから言う権利は無い。

 

「ペリッパー、れいとうビーム!」

 

「浮島を飛び移れ……道を作るんだ!」

 

 相性のいいこおりタイプのれいとうビームで攻めてきた。コレは回避することが出来るのだと回避する……水のフィールドの一部は凍りついた。スボミーは浮島から浮島へと転々としていきペリッパーがれいとうビームを撃ち終えるまで回避し続けた。

 

「見た目に似合わずに足が早いのね……でも、コレならどうかしら?ペリッパー、つばめがえし!」

 

「リップ!」

 

「スボミー、メガドレイン!」

 

 ペリッパーのれいとうビームを完全に回避したがまだ手はあるぞとつばめがえしを使ってきた。

 

 必中のつばめがえしを避ける手立ては無い。まもるは覚えていない。スボミーはメガドレインの緑色のオーラを放つ、ペリッパーはそれを軽々と回避していきつばめがえしを当てた。

 

「スボ……」

 

「スボミー、戦闘不能!ペリッパーの勝ち!」

 

「うふふ、どうかしら?」

 

「…………運が良かった」

 

「あら、運なんて言葉を使うの?」

 

「ペリッパーはどく状態だ」

 

「え!?」

 

 つばめがえしを当てた際にペリッパーがスボミーのどくのトゲに触れた。ペリッパーはどく状態になった。

 

 運が良いなんて言葉を使っている子どもと思っていたサクラだったがここでペリッパーがどく状態になった事に気付く。

 

 まさかどくのトゲがあるだなんてと思ってもみなかった。そしてサクラは焦りを見せる。

 

 

ペリッパーに時間制限がついた、今の俺のポケモン達とペリッパーの間には思ったよりも差がある。

一瞬だけしびれごなを使うべきかなんて考えていたが、しびれごなを使えばどく状態にはならなかった。

 

「バタフリー、バトルスタート!」

 

「フリィ!」

 

「こうなった以上は少し大人げないけれど……ペリッパー、ぼうふうよ!」

 

「ホントに大人げないですね!」

 

 2体目に出したのはバタフリーだ。時間制限が生まれたサクラは使うつもりはなかったが使おうとぼうふうを使う。あめ状態のフィールドでは必中のぼうふう、バタフリーは乱気流に飲み込まれた。風を読もうにもその名の通り暴風だ。読み切る事が出来ない暴れ風だ。

 

「……バタフリー、エレキネットだ!」

 

「その状態じゃ無理があるわ!」

 

「とにかく撒き散らせ!」

 

 ぼうふうの風圧に流されていくバタフリーは身動きが取れない。だが使える技があるとエレキネットを使う。ペリッパーに向かって飛ばそうとするが今向いている方向が右なのか左なのか上なのか下なのかが分からないレベルで乱気流に混ぜられているバタフリー。

 

「フリャアア!?」

 

「え、嘘!?」

 

「バタフリー、エレキネット!」

 

 

コレならばどうだ?

 

 

 そこかしこに撃ちまくったエレキネット。1つもペリッパーに当たることはなかった。しかし浮島にはくっついた。

 

 バタフリーは風に押されていき浮島にくっついたエレキネットに触れ、エレキネットに捕まった。自らで放ったエレキネットに捕まり電撃に苦しみがバタフリーはぼうふうの暴風に引っ張られなかった。コレが狙いだとエレキネットを指示した。

 

 バタフリーには少し厳しいかもしれないが、コレが一番の筈だ。バタフリーはエレキネットを放った。今度はエレキネットがペリッパーに命中した……

 

「大分無茶をしたから……本来のエレキネットじゃないわね」

 

「バタフリー、ちょうおんぱ!」

 

 命中したがエレキネットに捕まり自らでダメージを受けている状態で新しくエレキネットを作った。作ったが本来のエレキネットの威力が出ていない。ペリッパーにはダメージが入ったもののペリッパーを一撃で倒せるダメージを与えることは出来なかった。

 

 

無茶苦茶な戦法をものは試しにやってみたが……サトシの様に上手くはいかないか。

 

 

 エレキネットで倒すことが出来なかったがペリッパーにちょうおんぱを当てることが出来た……と同時にバタフリーを縛るエレキネットが消えバタフリーは氷の上に倒れた。

 

「バタフリー、戦闘不能!ペリッパーの勝ち!」

 

 サトシの様に少し奇天烈なバトルで行ってみるかと試してみたが思ったよりも成果は出なかった。幸いにもペリッパーはこんらん状態に陥っている。どく状態に加えてこんらん状態にもなっている……だが、ペリッパーにはぼうふうがある

 

 ぼうふうの一芸だけで殆どのポケモンを倒せる。エンザンはバタフリーをモンスターボールに戻し、最後のポケモンが入ったモンスターボールを取り出した。

 

「ヒトデマン、バトルスタート!」

 

「ヘァッ!!」

 

 3体目のポケモンはヒトデマン、実はハナダジムでは元から出すつもりだったポケモンだ。

 

「あらぁ、可愛いヒトデマンね」

 

 

ヒトデマンの何処らへんが可愛いんだ?

 

 

 サクラがヒトデマンを見て可愛いと言っているが、エンザンはヒトデマンの何処が可愛いのかが分からなかった。

 

 

ペリッパーはこんらん状態になっている。だから、狙うのは今しかない。

 

 

「ヒトデマン、10まんボルトだ!」

 

「ペリッパー、ぼうふうよ!」

 

 みずタイプ対策に覚えさせている10まんボルトを放った。ペリッパーはぼうふうを……使わずに浮島に激突した。

 

 10まんボルトがペリッパーに命中した……が、倒れない。

 

「リィ!!」

 

「あら、ナイスタイミング!コレで終わりよ!ぼうふう!」

 

「10まんボルト!」

 

 ペリッパーがこんらん状態から元の状態に戻った。時間的にもあめふらしで降らせた雨もそろそろ消えるだろう。

 

 最後の必中のぼうふう、それに対抗して10まんボルト……これ以外にペリッパーを倒せる技は無い。ペリッパーに10まんボルトが当たり、ヒトデマンはぼうふうによって吹き飛ばされた。

 

「リィ……」

 

「あ……」

 

「……ペリッパー」

 

「待ってください!まだヒトデマンが!」

 

 ペリッパーが地面に落ちた。どくと10まんボルトのダメージで限界を迎えた。

 

 審判がペリッパーを戦闘不能と判定をしようとするのだがエンザンが待ったをかけた。ヒトデマンはぼうふうにより吹き飛ばされた、水の中に入っている。まだヒトデマンがどうなったのかが分からない……

 

「ヘァッ……」

 

「ペリッパー、ヒトデマン!両者共に戦闘不能!この試合、引き分けになります!!」

 

 ヒトデマンは浮かんできた……が、天井を向いている。

 

 ヒトデマンも戦闘不能になった。審判はペリッパーとヒトデマン、両者共に戦闘不能とし試合の結果が引き分けだと判定した。

 

「いいバトルだったわ……ペリッパーが負けるなんて思いもしなかったわ」

 

「ペリッパーは負けたんじゃないです。引き分けたんです」

 

「いいえ、負けよ……ホントならばジムバッジが2つあるトレーナーを倒す為にこの子は居る。でも、この子はジムバッジ4つのトレーナーと渡り合えるぐらいには強いの」

 

 サクラは自分が負けたのだと認める……だが、エンザンは負けたのでなく引き分けになったと勝っていないと考えている。

 

 そんな中でサクラはハナダジムを制覇した証であるブルーバッジを取り出した……エンザンはそのブルーバッジを見つめる。

 

「コレは……お情けのバッジですか?」

 

「そうじゃないわ……もし、本来のポケモン達で戦っていたら貴方が勝っていた。ジムバッジは勝つ以外でも認めれば渡せるものなの」

 

「……………」

 

 サクラはエンザンがブルーバッジを渡すのに相応しいトレーナーだと認めた。エンザンはやや不服そうにしていたもののジムバッジを受け取った。そしてハナダジムを後にしハナダシティのポケモンセンターに向かいポケモン達を回復させる。

 

「まだまだか……」

 

 

まだまだ弱いトレーナー、それをハッキリと思い知らされた。

ポケモン達はバタフリーを除いて進化をしていない。シゲルはおそらくは既にゼニガメをカメールに進化させている……少し育成に時間をかけないといけないか。

 

 

 エンザンは自分が弱いトレーナーだと思い知らされたので気持ちを改める。

 

 次に向かうのはクチバジムがあるクチバシティだがポケモンの育成に力を注ぐ。ヒトカゲはリザード、ズバットはクロバット、スボミーはロゼリアに進化した。

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